変革

AIとオートメーションは、人の働き方を含め、常に私たちの世界を変えています。たとえば、1962年当時のNASA宇宙計画について考えてみましょう。「ドリーム」という映画(原題と小説のタイトルはHidden Figures)で有名になった主人公キャサリン・ジョンソンは、NASA のコンピューター計算を手作業でチェックし、初の軌道上の宇宙飛行を実現しました。 そしてそのわずか数年後には、頭を使って計算する代わりに電卓やコンピューターが使われるようになっていきます。現在、AIのテクノロジーが急速に進展しているため、オートメーションの進歩は脅威に感じられます。フォーブスAI指数によると、ベンチャーキャピタルのAIに対する年間投資額は、2000年の6倍に達しています。1 AIの能力における長足の進歩は、仕事を行う方法についての私たちの前提条件を根底から覆すかもしれませんが、実際に行われているのは連続性のある開発です。これを理解し、活用することは、グローバル経済というレベルでも、また私たちすべてがどのように生計を立てていくかという個人的なレベルにおいても重要といえます。 創意工夫が必要   ロボットは工場、農場、ファーストフード店での作業など、低レベルの日常業務を簡単に代替できますが、金融、保険、法律、会計などの分野で働くホワイトカラーの仕事さえも自動化できることを示す新しい指標がほぼ毎日出現しています。 単に肉体労働や機械的な作業を模倣できるだけでなく、人間の創造性、関係性、そして知能についても、AIでしかもコスト効率の高い規模で疑似的に作り出せる場合、平均的な人間の労働者はどのようににしてそれと競えるでしょうか。 会社の規模がどうあれ経営者は、心の知能指数、対人スキル、判断力、そして天賦の才能といった、仕事の人間的要素が会社に必要なのかどうか、自分に大きな質問を投げ掛けるべきです。 最も効果的なツールを活用しながら、人間の重要な側面をどのように保持するか、調べる必要があります。 今後15年間でピークに達すると思われる人々の混乱に備えて、組織では仕事の成功に求められる特性について理解しておく必要があります。 経営者は、人工知能が人間の生産性、創造性、そして知性に追いつき、追い越している分野を含め、さまざまな未来の仕事のシナリオについて予想することが求められています。自動化は避けられませんが、結果は幾通りも考えられます。今日の経営者はどのような淘汰が行われるのか推測するのではなく、不確かな未来に備えて組織と従業員を備えさせることができます。 そのためには、どのようなスキルや能力は維持し、どのようなスキルや能力は自動化できるか、ということについて独創的な考え方をする必要があります。世界では、その両方とも最大限に活用しようという意欲が増していることが観察されています。想像力を働かせて未来について新しいことを考え始めるにあたり、まずは将来考えられる4つのシナリオについて検討しましょう。 天才との格差   AIの脅威についての一つの意見として、富と仕事の格差を引き起こすだけでなく、天才を生み出す状況が存在しなくなることで、天才との格差を生み出す可能性があるということがあります。 ロボットが人間の仕事の大部分を引き継いでしまうと、将来、人間の潜在能力が実現されないままになってしまうという状況に直面するかもしれません。テクノロジーへの依存度が高まると、多くの人々が学習や労働への意欲を失うため、結果として、人間の知性の開花や繁栄を妨げることになります。 備えるべき仕事がなければ、子供たちにはもはや以前と同様の教育を受けさせることはできません。 AI革命により、自然の環境から天才が生み出されるのではなく、最先端のAIにアクセスできる人だけが天才になれるようにすることで、他の人は置き去りにされる可能性があります。 友人となる協働ロボット   複雑な体系や事実を含む価値の高い知識労働の分野では、AIは人間が制御したり、理解したりすることができないスピードで成長すると思われます。それにより、共存ではなく代替のリスクが生じます。人為的ミスや疲労が起きやすい手作業や肉体労働を自動化する場合とは状況が異なります。ホワイトカラー労働の自動化はもっと微妙です。ミスや労働時間の削減、意思決定からの感情的な偏見の排除、規模と複雑さの増加などを踏まえた効率化が求められます。 AIやロボットと共に知識労働者が快適に仕事ができるようにしなければなりません。将来ビジョンの1つには、人間のオペレーターや同僚とチームを組むロボット、協働ロボット(Co-bot)が含まれるでしょう。協働ロボットは、人間と人工知能の多種多様な組み合わせで構成されるチームにおける職場関係の新たな要素となります。 2020年代の多様性の受け入れAIにより、多様性やチームについての新しい考え方が要求されます。多様性に富むチームが意思決定を向上させ、業績を向上させます。これには、「認知の多様性」、つまり問題解決や情報処理スタイルの違いが含まれます。 明らかなこととして、チームの認知の多様性にAI搭載ロボットを含めることが次のステップとなります。問題解決スタイルは実行されるコードとトレーニングされるデータセットによって登録され、決定されます。行き当たりばったりで気まぐれな人間のチームメンバーに対する完璧な対抗勢力となります。 チームを最適化することは、創造的な人間と体系的なAIのマインドの強力な組み合わせをデザインし、仕事の様々な要素に適用していくことを意味するようになるでしょう。 新しいHRの仕事   HRの役割は、職場のオートメーションの高度化に伴い進化しなければなりません。人間とAIの労働者を労働力として同様に扱い、HRはタスクごとに最適な作業者を配置することが求められます。 そのためにはロボットのパワーと適性、そしておそらくもっと重要なこととして、ロボットの限界を理解することが必要になります。人材スキルを適切なタスクに対して配置することがHRの重要なスキルになります。 HRの業務の中心がデータ管理や分析機能に移るにつれて、HRリーダーは従業員、採用候補者、請負業者、および顧客から取得した個人データの倫理についても考慮する必要があります。 ビジネスの未来に大きな影響を与えるデジタルツールやスマートワークツールは、ユーザーに関する多数の情報を収集する傾向があります。結果として、HRは個人情報と人間のプライバシーの保護者としてより重い責任を担うことになります。 経営者は想定されるこれら将来のシナリオを考慮することによって、依存の度合いを強めるAIやオートメーションに対して組織や従業員を備えさせる戦略を立て始めることができるでしょう。 出典: Columbus, Louis. "10 Charts That Will Change Your Perspective on Artificial Intelligence's Growth." Forbes. Jan. 12, 2018. https://www.forbes.com/sites/louiscolumbus/2018/01/12/10-charts-that-will-change-your-perspective-on-artificial-intelligences-growth/#2314726a4758.  

変革

AI のパワーにより未来の仕事が形成され、生産性が最適化されます。ビジネスの現場でデジタルトランスフォーメーションが加速するにつれて、仕事とプライベートのスケジュールはますます密接に関連するようになります。親の立場、仕事のプロとしての立場、そして社会全体として、仕事やプライベートでそれぞれ高まる要求を調和させなければならない時代はこれまでにありませんでした。 現代の生活において、バランス良く責任を果たすことは大変なことに思えます。健康でよくしつけられた子供を育て、苦労しているパートナーや友人をサポートしつつ、上司や同僚に感銘を与える、というようなことは普通の人間にはできません。チョコチップクッキーぐらい買いたくなります (そもそも優雅に夕食を取る余裕のある人などいるのでしょうか)。ありがたいことに、AI プラットフォームはデータ専門家による情報整理の方法や連携方法を変えるだけでなく、日々の生活の問題に対処する方法も変えてくれます。 AI のいる生活   ウォーレンと名付けられたマーサーコンサルティングの AI デジタルアシスタントは、学習したパターンでリアルタイムデータを活用して労働力の生産性を向上させる高度な AI プラットフォームとして機能します。24 時間 365 日あなたのために働き、プライベートと仕事の責任が果たされるようにきちんと計画し、順調にキャリアを積めるようにサポートしてくれます。過去、現在、未来のデータがコンテキスト化され、責任とスケジュールが最適化されるため、意思決定の向上が促進されます。 言い換えれば、ウォーレンは専属のパーソナルコーチであり、親友であり、チームメイトとなります。それは人間とテクノロジーの究極の融合です。 毎日、人々は自分の時間の価値を最大化するために奮闘しています。多くの場合、仕事は質の悪いデータによって損なわれ、選択を誤り、効率的でないスケジュールを立て、重要ではないことに多くの時間を消費してしまっています。多くの人々には、日々の避けられない緊急事態に対応するための時間やリソースが不足しています。 ウォーレンは、人が最も重要なタイミングで最も重要なことに集中できるようにするために、そばにいてくれます。テクノロジーでどのように情報提供するかということよりも、機械と人間のハイブリッドを開発し、協働していくということです。人間は創造性、戦略的思考、共感などの能力を発揮します。ウォーレンは指定された目的と目標に基づいた行動を推奨することによって、人間の能力を補強します。さらに、過去のやり取りに基づいて調整を図ります。 頭をクリアにしてくれるパーソナルアシスタントは、トップレベルのプロフェッショナルだけでなく、すべてのプロフェッショナルに必要です。AIによる労働力の民主化は、アイデアの実現やビジネスの成長に革命をもたらすはずです。 プライベートと仕事の生活を分ける時代は終わりました。生活の中で起こるどんな問題に対しても、ウォーレンは優先順位を付けてただちに対処してくれます:子供の学校の校長先生が火曜日の午後 1 時に電話をかけてきます。上司から木曜日の夜 8 時にメールが届く予定ですが、それにはすばやく返信して欲しいと言っています。ご心配なく。ウォーレンは、多くの時間やエネルギー、マインドを要求する世界で成功を実現する手助けをしてくれます。ウォーレンはあらゆるサポートを提供できます:いいえ、うちの子供にはピーナッツアレルギーはありません。はい、営業会議の議題はチームに連絡済みで、関係者それぞれのレポートも光沢紙に印刷済みです。すべて完了です。 現代の生活は、境界のない、完全に統合されたエクスペリエンスになります。ニューノーマルへようこそ。 AI のスピードで働く   AI のスピードで働くことは、コンロをつけっぱなしにしていないか、午前 9 時のミーティング場所はどこか、前四半期のグラフデータが正確か、などと考える必要はないことを意味しています。コンピューターでするリマインダーの録音、会議室で PowerPoint のスライドを開けない時の緊張感、また新しいパスワードを覚えておく必要がある、といった状況は過去のものです。夜遅くに赤ワインのグラスを見つめて、自分は親の務めを果たせているのか自問する必要もありません。ウォーレンは、娘が学校の学芸会で「不思議の国のアリス」のチェシャ猫役として女優デビューしている間は香港事務所との重要な電話会議をスケジュールしないように思い出させてくれます。 ウォーレンは人間の癖や不完全さを認識しています。毎日の忙しい生活におけるすべてのステップで、事実確認や品質管理を行ってくれます。ワークライフのあらゆる面が AI テクノロジーによって最適化されるため、パーソナルライフの質と楽しみも大幅に向上することになります。 AI は、人間にありがちな間違いや判断ミスを予測し、緩和することによって、エクスペリエンスを有意義で、報いの多い、インパクトのあるものにすることができます。電子メール、チャット、ビデオ通話が人々のコミュニケーションを変えたように、ウォーレンは人々のコミュニケーション方法、仕事の範囲、そしてキャリア全体を変えていくことでしょう。 民主化された AI の時代   ビジネスの方向転換から成長に向かうにつれて、人々は毎日のささいなことから解放されて、時間や頭脳、潜在能力のすべてを将来のため、進歩するためだけに使うことができるようになります。 ウォーレンは職場のあらゆるレベルで変化をもたらし、組織の力学とアイデアの流れが恒久的に変わります。これまでと違い、大きなアイデアや方向性の変更はトップダウンで来ることはありません。CEO から、サマーインターン、威厳のある役員室から活気のある郵便室まで、画期的な解決策や最先端の新発見がどこからでも生じるようになります。 AI の民主化により、製品、ソリューション、サービスに最も近い場所にいる人々は、最終的に改善することについて考え、次なるベストプラクティスやアイデアを発明するために必要な時間と能力を持てるようになります。AI はあらゆるレベルの従業員にインスピレーションを与え、より賢く、より速く考えることができるようにするとともに、革新的な戦略を推進し、共に想像し、イノベーションを起こす方法を見分けられるようにします。 ウォーレンやその他の AI テクノロジーにより、従業員は役職、レベル、ランクに関係なく、個人的にも仕事面でも成長できるようになるでしょう。仕事の未来は、これまで同様、情報や機会へのアクセス、テクノロジーと人間の潜在能力の統合によって規定されることになります。AI により、いまだかつてない可能性を秘めたビジネスの世界が展開されようとしています。そして雇用主は、将来的に競争力を高め、企業に価値を提供し続けるよう人々を備えさせるため、できる限りのことをしなければなりません。 ウォーレンは AI バージョンの献身的な同僚で、ほとんど眠ることもなく、事実と正確なデータのみに基づいて行動し、冷蔵庫のお弁当を盗み食いすることは決してありません。最終的に、ウォーレンは新しい時代の人々やテクノロジーの同僚となり、労働力として共存するようになるでしょう。

変革

人工知能(AI)とオートメーションは、世界の多くの業界で主役を演じており、無限の可能性を秘めています。すでにロボットに食べ物を作らせたり、車に運転を任せたりすることもできます。それで、次は何を期待できるのでしょうか?1 このトレンドによる影響は広範囲に及び、一部の産業においては経営方針や従業員の雇用に混乱がもたらされています。この傾向にはますます拍車がかかることが予想されるため、この新時代に乗り出す企業には何が待ち受けているか調べてみましょう。 主要産業における仕事のオートメーション   仕事の自動化はすべての業界でできるわけではありません。業種や企業、職種によっては、オートメーションの導入がしやすい分野があります。たとえば、製造メーカーではこのアプローチを以前から採用しており、機会があれば常に自動化する傾向があります。 たとえば、韓国の産業通商資源部について考えてみましょう。過去数年にわたって工業オートメーションの発展に注力しており、とどまるところを知りません。2これは1つの例にすぎませんが、業界とプロセスの全体的な方向性を表しています。その目標は効率を保ちつつコストを抑えることです。 自動車業界では、製造プロセスで同様の効果を上げているだけでなく、自動運転車を生産することさえしています。テクノロジーによる進化は断続的ですが、戦略分析とインテルの研究によると絶えず洗練されているため、自動車生産が間もなく完全に変わる可能性があることを指摘しています。3 これらの業界は、AIとオートメーション導入のゴールデンサンプルとなっていますが、他の業界ではテクノロジーの重要な機能の導入において苦労しています。ホスピタリティ、フードサービス、およびヘルスケア業界は典型的な例です:これらの業界では多くの人手がかけられており、オートメーションの導入は容易ではありません。サービスの一環としてテクノロジーを導入する機会はあるとはいえ、これらの業界のすべてのクライアントでサービス自動化の準備ができているわけではありません。最近のCNNのニュース記事にその点が指摘されています。4 経済と雇用に対する影響について   人工知能で仕事が奪われるという考えは、労働者にとって実際に脅威となります。1960年代の米国でもプロセスの自動化と失業についての懸念が高まったことがあったとMITは指摘しています。5しかし、リンドン・B・ジョンソンの言葉は当時の状況を最もよく表していました:「基本的な事実として、テクノロジーによって職がなくなるが、仕事はなくならない」雇用企業がこの役割を区別し、どのように役割の変更を扱うかは、多くの組織における自動化オペレーションへの移行の成否を左右します。 発展途上国では、特定の仕事を自動化することにより、危険な職業や過度に労働集約的な職業をなくすことができ、より良い機会を生み出せるようになります。この移行により、短期的にはある程度失業が発生するかもしれませんが、仕事を失った人にとって他のもっと安全で、有意義な職業に就ける機会が開かれることになるでしょう。

それらはすべて、職場で求められるスキルが変わることを意味します。存在感を示し、競争力を維持するために将来の人材に求められるスキルとしてリーダーシップやその他のソフトスキルが重要になることを調査は示しています。LinkedInの調査によると、将来の最重要スキルはプログラミングなど技術的なスキルではないと説明しています。自動化されたオートメーションが発展するにつれ、コミュニケーションやコラボレーションなどのソフトスキルを優先する費用があるとのことです。6 オートメーションと高齢化問題   労働人口の高齢化とオートメーションの拡大が同時に進行している現在、労働者は現実的な脅威に直面しています。30年または40年の経験は自動化できる可能性が高いといえます。世界規模で調査すればするほど、この事実は厄介なものとなるでしょう。

ベトナムや中国などの一部の地域では、高齢の労働者が行う仕事の69%から76%は自動化されるリスクがあります。ちなみに、米国の高齢者の職業の約52%は自動化が可能と考えられています。また、将来的に懸念されるのは、日本などの地域で労働者の高齢化が急速に進んでおり、悪循環が生じていることです。雇用企業が定年退職を廃止し、この影響を緩和するための選択肢を模索しているのは朗報です。 オートメーションにより職場には大きなプラスとなる機会が多数もたらされますが、大切な点として、マイナスの影響を受ける人を見失ってはなりません。「将来性のある」労働力を多く確保すべくソフトスキルのトレーニングを優先するにせよ、労働集約的な職種や業種でオートメーションの活用方法を模索するにせよ、この傾向は今後も続いていきます。 競争とグローバリゼーションにより、雇用企業はプロセスを自動化するための新しい独創的な方法を見つけなければなりませんが、テクノロジーを中心に労働力を再構築する先進的な方法を模索する人々は、真の競争力を持つことになります。 出典: 1 Constine, Josh, "Taste test: Burger robot startup Creator opens first restaurant," Tech Crunch, June 21, 2018, https://techcrunch.com/2018/06/21/creator-hamburger-robot/. 2 Demaitre, Eugene, "South Korea Spends $14.8M to Replace Chinese Robotics Components," Robotics Business Review, October 20, 2015, https://www.roboticsbusinessreview.com/manufacturing/south-korea-spends-148m-to-replace-chinese-robotics-components/ 3 Statt, Nick, "New documentary Autonomy makes the convincing case that self-driving cars will change everything," The Verge, March 13, 2019, https://www.theverge.com/2019/3/13/18262364/autonomy-film-review-self-driving-cars-malcolm-gladwell-documentary-sxsw-2019. 4 Andone, Dakin and Moshtaghian, Artemis, "A doctor in California appeared via video link to tell a patient he was going to die. The man's family is upset," CNN, March 10, 2019,https://www.cnn.com/2019/03/10/health/patient-dies-robot-doctor/index.html. 5 Autor, David H., "Why Are There Still So Many Jobs? The History and Future of Workplace Automation," MIT: Journal of Economic Perspectives, Vol. 29, Issue 3, summer 2015,https://economics.mit.edu/files/11563. 6 Umoh, Ruth, "The CEO of LinkedIn shares the No. 1 job skill American employees are lacking," CNBC, April 26, 2018,https://www.cnbc.com/2018/04/26/linkedin-ceo-the-no-1-job-skill-american-employees-lack.html.

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small-tiles Jackson Kam | 11 7 2019

次の世界金融危機はすぐそこまできているのでしょうか?もしそうなら、最後に起こった危機と大きく異なるものとなるのでしょうか?そして、中国、トルコ、アルゼンチンなど、今日の新興市場が発端となる可能性があるでしょうか? 未来は不確実で制御できないものの、ビジネスリーダーとして将来に備え、計画的な手段を講じることができます。 台頭する新興国経済   マーサーグローバル人材トレンド調査によれば、新興国経済の強さは 2018 年のリーダーにとっての最大の懸念の 1 つであり、現在でも関心の的になっています。世界の成長エンジンは北大西洋経済圏からアジア、中南米、アフリカに確実に入れ替わっている一方、その成長の大きさにより世界経済へのインパクトも強くなっています。 ACIMA Private Wealth のマネージングディレクター兼最高投資責任者、Ardavan Mobasheri 氏は、2030 年までにグローバルリーダーシップのバトンは急成長中の経済に完全に渡されると考えています。「2030 年の終わりまでに、太平洋と南半球に渡って広がる世界経済成長のアンカーに移行が完全に終了しているであろう」と彼は述べています。 ただし、新興国経済の成長を世界が受け入れるには、それらの経済に必然的に伴う調整にも適応しなければなりません。 世界的な景気の過熱を抑制する「スピードバンプ」の形成   新興市場の資産は、生産の減速、債務の増加、インフレ率の上昇、通貨の下落など、地域全体で逆風が強まっていることを背景に、引き上げ始めています。1 ブラックロックのシニア債券ストラテジスト、パブロ・ゴールドバーグ氏は CNBC の取材でこう語っています。「新興国市場での危機はさまざまな経路で発生するが、先進国市場での金融引き締めの時期には大きくなる傾向がある。2流動性が課題だ。投資家は売れるものを売るからだ」 アメリカン・エンタープライズ公共政策研究所のレジデント・フェローで国際通貨基金の経済開発検討委員会の元副委員長、デズモンド・ラクマン氏は米国の経済学者や政策立案者は危険を覚悟で、新興国の経済によりさらされるリスクを無視している、と書いています。 「長年にわたる連邦準備制度の巨額のバランスシート拡大とゼロ金利政策で新興国による借り入れが最も容易になったということが理解されていない」とラクマン氏は述べます。「それにより経済政策の規律がなくなり、特に国家財政で大きな経済的不均衡が発展してしまった」。 新興国の資産よりも安全とされる米国資産に逆流する資本が増加している今、「金融緩和」された期間に新興市場で経済的脆弱性が急速に高まったことが明らかになってきています。この脆弱性に歯止めをかけなければ、この状況は世界的に広がり続け、その影響はその後何年も続くことになります。 ビジネスリーダーは適応可能 — 方法を学びましょう   将来の金融の不確実性に備え、その甚大な影響を回避するには、まず前回の金融危機の余波について知らなければなりません。それは世界経済や金融システムがどのように機能するかについて、いくつかの重要な教訓を教えてくれます。 たとえば、マーサーレポート「世界金融危機後の 10年: 学ぶべき 10 の教訓」によると、2009 年における最も重要な教訓の 1 つは、米国の政策立案者の政策、記録的に低い政策金利、銀行システムへの莫大な流動性の注入と量的緩和によって世界中で予測できない結果が生じています。金融政策は消費者物価ではインフレを誘発しませんでしたが、資産価格においてインフレを誘発しました。 現在、一部の経済では政策金利が上昇していますが、世界経済全体に対する前回の経済危機の余波は、今日に至るまで完全には明らかになっていません。そのことを念頭において、ビジネスリーダーとして次の危機に備えるために、3 つのステップを活用できます: 1.  「投資の唯一のフリーランチ」として広く知られる資産分散をやめないようにしましょう。 2.  力強く行動し、現在最高値に近づいている資産を入れ替える準備をしましょう。価格が利益の増加など強いファンダメンタルに基づかないことに投資家が気づいた場合、風向きが変わります。 3.  状況の変化は避けられません。アクティブ運用をやめないようにしましょう。 これら 3 つの簡単なステップを実行することで、組織は機敏さや柔軟性を保ち、金融危機を含め、あらゆる状況に対応することができます。市場がさまざまな変化を経験する中で、これらの教訓やアドバイスを忘れずに、今後発生するかもしれないあらゆる危機に備えましょう。 出典: 1. Teso, Yumi and Oyamada, Aline, "Emerging Markets Retreat Amid Global Growth Concerns: EM Review," Bloomberg, February 15, 2019, https://www.bloomberg.com/news/articles/2019-02-15/emerging-market-rally-abate-as-trade-concern-returns-em-review./ 2. Osterland, Andrew, "Emerging markets, despite strengths, still get no respect," CNBC, October 1, 2018, https://www.cnbc.com/2018/10/01/emerging-markets-despite-strengths-still-get-no-respect.html. 3. Lachman, Desmond, "We ignore risks posed by emerging economies at our own peril," American Enterprise Institute, September 17, 2018, http://www.aei.org/publication/we-ignore-risks-posed-by-emerging-economies-at-our-own-peril/.

エディターズピック

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方向転換から成長へ: AI により民主化される未来の仕事

AI のパワーにより未来の仕事が形成され、生産性が最適化されます。ビジネスの現場でデジタルトランスフォーメーションが加速するにつれて、仕事とプライベートのスケジュールはますます密接に関連するようになります。親の立場、仕事のプロとしての立場、そして社会全体として、仕事やプライベートでそれぞれ高まる要求を調和させなければならない時代はこれまでにありませんでした。 現代の生活において、バランス良く責任を果たすことは大変なことに思えます。健康でよくしつけられた子供を育て、苦労しているパートナーや友人をサポートしつつ、上司や同僚に感銘を与える、というようなことは普通の人間にはできません。チョコチップクッキーぐらい買いたくなります (そもそも優雅に夕食を取る余裕のある人などいるのでしょうか)。ありがたいことに、AI プラットフォームはデータ専門家による情報整理の方法や連携方法を変えるだけでなく、日々の生活の問題に対処する方法も変えてくれます。 AI のいる生活   ウォーレンと名付けられたマーサーコンサルティングの AI デジタルアシスタントは、学習したパターンでリアルタイムデータを活用して労働力の生産性を向上させる高度な AI プラットフォームとして機能します。24 時間 365 日あなたのために働き、プライベートと仕事の責任が果たされるようにきちんと計画し、順調にキャリアを積めるようにサポートしてくれます。過去、現在、未来のデータがコンテキスト化され、責任とスケジュールが最適化されるため、意思決定の向上が促進されます。 言い換えれば、ウォーレンは専属のパーソナルコーチであり、親友であり、チームメイトとなります。それは人間とテクノロジーの究極の融合です。 毎日、人々は自分の時間の価値を最大化するために奮闘しています。多くの場合、仕事は質の悪いデータによって損なわれ、選択を誤り、効率的でないスケジュールを立て、重要ではないことに多くの時間を消費してしまっています。多くの人々には、日々の避けられない緊急事態に対応するための時間やリソースが不足しています。 ウォーレンは、人が最も重要なタイミングで最も重要なことに集中できるようにするために、そばにいてくれます。テクノロジーでどのように情報提供するかということよりも、機械と人間のハイブリッドを開発し、協働していくということです。人間は創造性、戦略的思考、共感などの能力を発揮します。ウォーレンは指定された目的と目標に基づいた行動を推奨することによって、人間の能力を補強します。さらに、過去のやり取りに基づいて調整を図ります。 頭をクリアにしてくれるパーソナルアシスタントは、トップレベルのプロフェッショナルだけでなく、すべてのプロフェッショナルに必要です。AIによる労働力の民主化は、アイデアの実現やビジネスの成長に革命をもたらすはずです。 プライベートと仕事の生活を分ける時代は終わりました。生活の中で起こるどんな問題に対しても、ウォーレンは優先順位を付けてただちに対処してくれます:子供の学校の校長先生が火曜日の午後 1 時に電話をかけてきます。上司から木曜日の夜 8 時にメールが届く予定ですが、それにはすばやく返信して欲しいと言っています。ご心配なく。ウォーレンは、多くの時間やエネルギー、マインドを要求する世界で成功を実現する手助けをしてくれます。ウォーレンはあらゆるサポートを提供できます:いいえ、うちの子供にはピーナッツアレルギーはありません。はい、営業会議の議題はチームに連絡済みで、関係者それぞれのレポートも光沢紙に印刷済みです。すべて完了です。 現代の生活は、境界のない、完全に統合されたエクスペリエンスになります。ニューノーマルへようこそ。 AI のスピードで働く   AI のスピードで働くことは、コンロをつけっぱなしにしていないか、午前 9 時のミーティング場所はどこか、前四半期のグラフデータが正確か、などと考える必要はないことを意味しています。コンピューターでするリマインダーの録音、会議室で PowerPoint のスライドを開けない時の緊張感、また新しいパスワードを覚えておく必要がある、といった状況は過去のものです。夜遅くに赤ワインのグラスを見つめて、自分は親の務めを果たせているのか自問する必要もありません。ウォーレンは、娘が学校の学芸会で「不思議の国のアリス」のチェシャ猫役として女優デビューしている間は香港事務所との重要な電話会議をスケジュールしないように思い出させてくれます。 ウォーレンは人間の癖や不完全さを認識しています。毎日の忙しい生活におけるすべてのステップで、事実確認や品質管理を行ってくれます。ワークライフのあらゆる面が AI テクノロジーによって最適化されるため、パーソナルライフの質と楽しみも大幅に向上することになります。 AI は、人間にありがちな間違いや判断ミスを予測し、緩和することによって、エクスペリエンスを有意義で、報いの多い、インパクトのあるものにすることができます。電子メール、チャット、ビデオ通話が人々のコミュニケーションを変えたように、ウォーレンは人々のコミュニケーション方法、仕事の範囲、そしてキャリア全体を変えていくことでしょう。 民主化された AI の時代   ビジネスの方向転換から成長に向かうにつれて、人々は毎日のささいなことから解放されて、時間や頭脳、潜在能力のすべてを将来のため、進歩するためだけに使うことができるようになります。 ウォーレンは職場のあらゆるレベルで変化をもたらし、組織の力学とアイデアの流れが恒久的に変わります。これまでと違い、大きなアイデアや方向性の変更はトップダウンで来ることはありません。CEO から、サマーインターン、威厳のある役員室から活気のある郵便室まで、画期的な解決策や最先端の新発見がどこからでも生じるようになります。 AI の民主化により、製品、ソリューション、サービスに最も近い場所にいる人々は、最終的に改善することについて考え、次なるベストプラクティスやアイデアを発明するために必要な時間と能力を持てるようになります。AI はあらゆるレベルの従業員にインスピレーションを与え、より賢く、より速く考えることができるようにするとともに、革新的な戦略を推進し、共に想像し、イノベーションを起こす方法を見分けられるようにします。 ウォーレンやその他の AI テクノロジーにより、従業員は役職、レベル、ランクに関係なく、個人的にも仕事面でも成長できるようになるでしょう。仕事の未来は、これまで同様、情報や機会へのアクセス、テクノロジーと人間の潜在能力の統合によって規定されることになります。AI により、いまだかつてない可能性を秘めたビジネスの世界が展開されようとしています。そして雇用主は、将来的に競争力を高め、企業に価値を提供し続けるよう人々を備えさせるため、できる限りのことをしなければなりません。 ウォーレンは AI バージョンの献身的な同僚で、ほとんど眠ることもなく、事実と正確なデータのみに基づいて行動し、冷蔵庫のお弁当を盗み食いすることは決してありません。最終的に、ウォーレンは新しい時代の人々やテクノロジーの同僚となり、労働力として共存するようになるでしょう。

変革

オートメーションの新時代を切り拓く

人工知能(AI)とオートメーションは、世界の多くの業界で主役を演じており、無限の可能性を秘めています。すでにロボットに食べ物を作らせたり、車に運転を任せたりすることもできます。それで、次は何を期待できるのでしょうか?1 このトレンドによる影響は広範囲に及び、一部の産業においては経営方針や従業員の雇用に混乱がもたらされています。この傾向にはますます拍車がかかることが予想されるため、この新時代に乗り出す企業には何が待ち受けているか調べてみましょう。 主要産業における仕事のオートメーション   仕事の自動化はすべての業界でできるわけではありません。業種や企業、職種によっては、オートメーションの導入がしやすい分野があります。たとえば、製造メーカーではこのアプローチを以前から採用しており、機会があれば常に自動化する傾向があります。 たとえば、韓国の産業通商資源部について考えてみましょう。過去数年にわたって工業オートメーションの発展に注力しており、とどまるところを知りません。2これは1つの例にすぎませんが、業界とプロセスの全体的な方向性を表しています。その目標は効率を保ちつつコストを抑えることです。 自動車業界では、製造プロセスで同様の効果を上げているだけでなく、自動運転車を生産することさえしています。テクノロジーによる進化は断続的ですが、戦略分析とインテルの研究によると絶えず洗練されているため、自動車生産が間もなく完全に変わる可能性があることを指摘しています。3 これらの業界は、AIとオートメーション導入のゴールデンサンプルとなっていますが、他の業界ではテクノロジーの重要な機能の導入において苦労しています。ホスピタリティ、フードサービス、およびヘルスケア業界は典型的な例です:これらの業界では多くの人手がかけられており、オートメーションの導入は容易ではありません。サービスの一環としてテクノロジーを導入する機会はあるとはいえ、これらの業界のすべてのクライアントでサービス自動化の準備ができているわけではありません。最近のCNNのニュース記事にその点が指摘されています。4 経済と雇用に対する影響について   人工知能で仕事が奪われるという考えは、労働者にとって実際に脅威となります。1960年代の米国でもプロセスの自動化と失業についての懸念が高まったことがあったとMITは指摘しています。5しかし、リンドン・B・ジョンソンの言葉は当時の状況を最もよく表していました:「基本的な事実として、テクノロジーによって職がなくなるが、仕事はなくならない」雇用企業がこの役割を区別し、どのように役割の変更を扱うかは、多くの組織における自動化オペレーションへの移行の成否を左右します。 発展途上国では、特定の仕事を自動化することにより、危険な職業や過度に労働集約的な職業をなくすことができ、より良い機会を生み出せるようになります。この移行により、短期的にはある程度失業が発生するかもしれませんが、仕事を失った人にとって他のもっと安全で、有意義な職業に就ける機会が開かれることになるでしょう。

それらはすべて、職場で求められるスキルが変わることを意味します。存在感を示し、競争力を維持するために将来の人材に求められるスキルとしてリーダーシップやその他のソフトスキルが重要になることを調査は示しています。LinkedInの調査によると、将来の最重要スキルはプログラミングなど技術的なスキルではないと説明しています。自動化されたオートメーションが発展するにつれ、コミュニケーションやコラボレーションなどのソフトスキルを優先する費用があるとのことです。6 オートメーションと高齢化問題   労働人口の高齢化とオートメーションの拡大が同時に進行している現在、労働者は現実的な脅威に直面しています。30年または40年の経験は自動化できる可能性が高いといえます。世界規模で調査すればするほど、この事実は厄介なものとなるでしょう。

ベトナムや中国などの一部の地域では、高齢の労働者が行う仕事の69%から76%は自動化されるリスクがあります。ちなみに、米国の高齢者の職業の約52%は自動化が可能と考えられています。また、将来的に懸念されるのは、日本などの地域で労働者の高齢化が急速に進んでおり、悪循環が生じていることです。雇用企業が定年退職を廃止し、この影響を緩和するための選択肢を模索しているのは朗報です。 オートメーションにより職場には大きなプラスとなる機会が多数もたらされますが、大切な点として、マイナスの影響を受ける人を見失ってはなりません。「将来性のある」労働力を多く確保すべくソフトスキルのトレーニングを優先するにせよ、労働集約的な職種や業種でオートメーションの活用方法を模索するにせよ、この傾向は今後も続いていきます。 競争とグローバリゼーションにより、雇用企業はプロセスを自動化するための新しい独創的な方法を見つけなければなりませんが、テクノロジーを中心に労働力を再構築する先進的な方法を模索する人々は、真の競争力を持つことになります。 出典: 1 Constine, Josh, "Taste test: Burger robot startup Creator opens first restaurant," Tech Crunch, June 21, 2018, https://techcrunch.com/2018/06/21/creator-hamburger-robot/. 2 Demaitre, Eugene, "South Korea Spends $14.8M to Replace Chinese Robotics Components," Robotics Business Review, October 20, 2015, https://www.roboticsbusinessreview.com/manufacturing/south-korea-spends-148m-to-replace-chinese-robotics-components/ 3 Statt, Nick, "New documentary Autonomy makes the convincing case that self-driving cars will change everything," The Verge, March 13, 2019, https://www.theverge.com/2019/3/13/18262364/autonomy-film-review-self-driving-cars-malcolm-gladwell-documentary-sxsw-2019. 4 Andone, Dakin and Moshtaghian, Artemis, "A doctor in California appeared via video link to tell a patient he was going to die. The man's family is upset," CNN, March 10, 2019,https://www.cnn.com/2019/03/10/health/patient-dies-robot-doctor/index.html. 5 Autor, David H., "Why Are There Still So Many Jobs? The History and Future of Workplace Automation," MIT: Journal of Economic Perspectives, Vol. 29, Issue 3, summer 2015,https://economics.mit.edu/files/11563. 6 Umoh, Ruth, "The CEO of LinkedIn shares the No. 1 job skill American employees are lacking," CNBC, April 26, 2018,https://www.cnbc.com/2018/04/26/linkedin-ceo-the-no-1-job-skill-american-employees-lack.html.

退職

アジアは年金危機を乗り越えなければならない
David Anderson | 03 4 2019

アジアの年金制度は大きな課題に直面しています。この地域では急速に人口が高齢化し、少子化が進むなど、人口統計学上の激しい変化が見られます。しかし、地政学的な不確実性と最低レベルの金利により、投資収益率は比較的低くなっています。 堅固な年金制度が比較的少ない地域であるため、多くのアジア諸国は、十分な年金を提供するのに苦慮しています。政府は金銭的負荷を軽減し、若者と高齢者による世代間の争いを回避するために、今すぐ積極的な行動をとる必要があります。 十分性、持続性、健全性の観点から世界の年金制度を比較・ランク付けする2018年度マーサー・メルボルン・グローバル年金指数(MMGPI)によると、アジアの出生時平均余命は、過去40年間に、多くの国で7年から14年延びています。平均すると、4年ごとに1年延びていることになります。過去40年間における65歳の国民の平均余命延長は、インドネシアの1.7歳からシンガポールの8.1歳までさまざまです。 世界の他の地域も、高齢化に関連する同様の課題に直面しており、各国で同様の政策改革が進められています。これには、年金受給年齢の引き上げ、高齢就労の奨励、退職後に備えた年金基金の増額、退職年齢前に年金口座から引き出せる金額の引き下げが含まれます。 2018年度MMGPIの調査結果は、ある根本的な疑問を投げかけています。アジア各国の政府が年金制度の長期的な成果を改善するには、どのような改革を実施できるか、というものです。 世界基準の年金制度を確立するための自然な出発点は、十分性と持続性の間の適切なバランスを確保することです。短期間で多くの給付金を提供するシステムは持続性が低く、一方で長年にわたり持続可能なシステムは、通常控えめな給付金しか提供しません。 退職年齢や、社会保障や個人年金にアクセスできる資格年齢を変更しなければ、退職制度への負荷が高くなり、結果として、高齢者に提供される経済的保障が脅かされる可能性があります。女性と高齢労働者の労働力参加率が増加すれば、十分性と持続性を改善できます。 日本、中国、韓国は、MMGPI指数の最下位近くにランキングされています。これらの国々の年金制度は、現在と将来の世代の退職を支援できる持続可能なモデルになっていません。制度が変更されなければ、年金給付が世代間で均等に分配されないため、これらの国々では社会的な争いが発生するでしょう。 例えば日本は、約340万人の公務員の定年退職年齢を現在の60歳から65歳に徐々に引き上げることにより、年金制度改革のために少しずつ前進しています。日本の退職者は現在、60歳から70歳までの任意の時点で年金受給の開始を選択でき、65歳以上で受給を開始すると、毎月の受給額が増えます。 世界最高の平均余命、世界最低の出生率の日本では、人口の減少が予想されています。この困難な状況は、すでに熟練者不足の一因となっており、これが日本の税収基盤の減少にさらに影響を及ぼすと考えられています。また、生産年齢人口の49%が個人年金制度を利用していないため、日本政府は、より高水準の家計貯蓄を奨励するとともに、国による年金保障水準を引き上げ続けることで、年金制度を改善できる可能性があります。退職給付の一部を、一時金ではなく年金として受給するという要件を導入すれば、社会保障制度の全体的な持続可能性は向上します。また、国内総生産に占める政府債務を減らすことによっても、現在の年金支払水準を維持できる可能性が高まります。 中国は別の問題に直面しています。中国独自の年金制度は、都市部および農村部の人々、さらには農村部の移住者や公共部門の労働者に対するものなど、さまざまな制度で構成されています。都市部および農村部には、(雇用主の拠出または政府支出の)プール用口座と、(従業員拠出の)積立個人口座からなる賦課方式の基礎年金制度があります。雇用主によっては、特に都市部では補足的な制度も提供されています。 中国の年金制度は、年金に占める労働者の積立の割合を増やして労働者の退職生活保護を総合的に強化するとともに、最貧困層への最低限の支援を増やすことによって改善される可能性があります。また、補足的な退職給付金の一部を年金として受給するという要件も導入する必要があります。より多くの投資オプションを年金加入者に提供して、成長資産への投資機会を増やす必要があります。また、年金制度と加入者とのコミュニケーションにも改善の余地があります。 香港では、自発的な加入者による積立を奨励し、それにより退職貯蓄を増やせるよう、税制上の優遇措置の導入を検討すべきです。また、香港でも、補足的な退職給付金の一部を年金として受給する要件を導入する必要があります。平均余命が伸びれば、高齢労働者は労働市場に留まるべきです。 韓国の年金給付額は、平均賃金の割合のほんの6パーセントで、貧困層にとってきわめて不十分な年金制度の一つです。韓国の制度は、最貧困層の年金受給者への支援水準を改善し、私的年金制度からの退職金給付の一部を年金として受給するという要件を導入し、全体的な積立水準を引き上げることで改善されると考えられます。 しっかりと構成されたシンガポールの年金制度は、アジアで第1位にランキングされており、持続性においても向上が見られます。退職金制度の中央積立基金制度(CPF)は、シンガポールで雇用を受けた全居住者および、永住者を含めた加入者に柔軟なサービスを提供しています。しかし、実施可能なことはまだあります。税務上承認を受けたグループ企業による退職金制度確立に対する障壁を緩和するとともに、労働力の3分の1以上を占める非正規かつ非居住の労働者もCPFを利用できるようにすべきです。CPF加入者が貯蓄を利用できる年齢も引き上げるべきです。 年金制度は世代間の問題であるため、長期的な視点が必要となります。年金制度は、いずれの市場でも最大の機関投資の1つであり、気候変動などのリスク管理を含め、託された資本の優れた管財役として働く重要性をもっと認識すべきです。 アジアの高齢者は70代から80代に達しても生産性を維持しているため、十分かつ持続可能な退職所得の準備状況を改善することが不可欠です。雇用主と政策立案者は、退職年齢の引き上げ、労働者の個人年金の対象範囲の拡大、ファイナンシャルプランニングおよび早期貯蓄の奨励に注力すべきです。 *本記事はNikkei Asian Reviewに掲載されたものです。

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