スマートシティ。コネクテッドシティ。インテリジェントシティ。アジャイルシティ。データ主導型の都市。統合された都市。ブロックチェーンを活用した都市。持続可能な都市。将来性のある都市。現代の都市がビジョン、熱意、才能を持った人々に不足することはありません。それでも優良企業、スタートアップ企業、優秀な人材だけでなく、海外の直接投資を呼び込み、成長を促進する最高のテクノロジーにアクセスできるようにしておかなければなりません。 ただし、世界の GDP はこれまでと同じ仕方で成長していくわけではありません。明日の最も競争力のあるスマートシティの多くは、今まで見過ごされていた都市であり、かつては世界で最も成功している従業員や企業の事実上のホームタウンとして、地位が確立されていた巨大都市を追い抜かすチャンスが提供されてきました。その運命に従うことになります。これらのスマートシティは、エネルギーやモビリティなど都市サービスの質とパフォーマンスを向上させる情報通信技術に投資することにより、組織を支え、成長を保証する高度なスキルを持つ労働者の獲得に競い合っています。 雇用主と従業員が直面する問題   従業員がどこで働き、生活し、家族を育てるかを決めるについて、マーサーの最近の調査『ピープルファースト:新興メガシティの成長を推進する (People first: driving growth in emerging megacities)』では、人間的また社会的要因が優先されることが明らかになっています。労働者に対するアンケートでは人間、健康、お金、仕事という 4 つのカテゴリーで 20 の詳細な要因を重要度順に並べる質問がなされました。回答では自分が住んで働く都市を決める場合、総合的に暮らしに満足できるか、安全やセキュリティ、環境への配慮、友人や家族の住んでいるところに近いこと、などの人間的な要因が最重要要因として位置づけられています。 この調査では、インドのコルカタからナイジェリアのラゴスまで、世界の急成長中のいくつかの都市について、どうしたら経済的に成長し、人々を引きつけ、新しい住民が繁栄し、市民生活を向上させる道を開けるかについても考察しています。考察された内容から、世界中の都市のリーダーや政策立案者は、都市の持続に必要なことだけでなく成長を推進するために必要なことについて貴重な教訓を学ぶことができます。 実際、ますます都市化が進んだ世界では高度なスキルを持つ人材が不足する中で、雇用主と都市は実存に関する重要な問いに直面しています: ·  プロフェッショナルが特定の都市に移住し、そこにとどまる理由は何でしょうか? ·  台頭するホットスポットで新興スタートアップ企業、将来のユニコーン企業、グローバルブランドが求める高いレベルのスキルを持つ優秀な労働者を雇用主や都市が囲い込むにはどうしたらいいでしょうか? ·  生産的な従業員は雇用主やホームタウンにいったい何を望んでいるのでしょうか? その答えは、世界の新興メガシティが、後追いの都市から世界的なパワープレーヤーに変革を遂げることをどの程度優先するか、という点にあるかもしれません。したがって、長期的に成功し、成功し続ける可能性が非常に高い都市のサンプルを比較すると参考になります。共通しているのは、チャンスとリソースに対する地域的優位性に対するコミットメントであり、独自の方法でシリコンバレーのような、将来の最もスキルのある人材が成長し、人工知能と最新テクノロジーの発展の中にあって有意義な人生を送ることができる都市を築くという決意です。 「サイバーバッド」から他のライバル都市へ   新興メガシティの典型的な例は、インド南部のテランガーナ州の州都ハイデラバードです。人口 800 万人のハイデラバードは、インドで 6 番目に人口の多い都市圏で、世界的な IT ハブとして評判が高まり、サイバーバッド (「インド版シリコンバレー」) として人気を集めています(メガシティの定義は 1,000 万人以上の人口を擁する都市です。この記事で説明される都市は、すでにその基準に達しているか、到達することが予想されています)。 ハイデラバードでは IT に加えて、自動車産業や医薬品、そして伝統的な農業基盤でも成長を遂げています。デジタルおよび不動産インフラに大規模な投資を行って都市をアップグレードし、IT 企業を誘致しています。特に HITEC シティでは、アメリカの IT 大手企業のために最新テクノロジーを備えた街づくりを行っています。国内外のブランドが市内に店舗をオープンしており、小売業も成長しています。 対照的に比較的大きな都市、チェンナイ (2017 年人口 900 万人、2014 年時点の GDP 590 億ドル) は「インドのデトロイト」として知られており、同国の自動車産業をリードしていますが、ソフトウェアサービス、医療ツーリズム、金融サービス、そしてハードウェア製造 (石油化学製品や繊維製品と共に) の成長によって、経済的な深みを増しています。IT と BPO (ビジネスプロセスアウトソーシング) サービスの主要輸出国でもあります。 経済規模が大きいため、中国の新興メガシティは強い印象を与えます。成都の 2014 年の GDP は 2,340 億ドル、2017 年の人口は 1,400 万人で、中国西部で一番の都市圏であり、特に省エネと環境保護産業で成長しているため、熟練労働者にとって魅力的な都市となっています。 実際、「新エネルギー」産業 (素材、ハイブリッド自動車、電気自動車、および IT) に重点が置かれていることが、成都の成長を後押ししています。一方、中国で 2 番目に大きい東部の都市、南京 (2014 年の GDP は 2,030 億ドル、2017 年の人口は 700 万人) では、金融サービス、文化、観光を中心とするサービス産業が支配的です。IT、環境保護、新エネルギー、スマートパワーグリッドが南京の新たな柱となりつつあり、多数の多国籍企業がそこに研究センターを開設しています。南京の失業率は数年間中国の全国平均を下回っています。 ケニアからハリスコへ   新興国経済の規模では中国とインドが支配的である一方、他の地域もメガシティマップ上に多数出現しています。ナイロビはケニアの首都で最大の都市というだけではありません。 2017 年の 400 万人から 2030 年には 1000 万人への人口増加が見込まれています。ナイロビには国連環境計画や世界銀行など 100 を超える国際機関、ならびに大手製造業および IT 企業の地域本部があり、卓越した農業と合わせて現在そして将来に向けた経済の足がかりとしています。 同様に、グアダラハラ (2014 年 GDP: 810 億ドル、2017 年人口: 500 万人) は、メキシコの首都でハリスコ州の最大の都市を超えています。フィナンシャルタイムズによると「メキシコ版シリコンバレー」として知られ、メキシコでも投資を呼び込む可能性が最も高い都市と考えられています。一種の社会文化センターとして国際的な映画祭やブックフェアを開催することで、ハイテク、化学、電子製造業の成長を強力に補完し、優秀な人材を引き付ける働きをしています。 これらの都市はそれぞれ独自の方法で人を集め、スキルの高い人材がさまざまな面で成長できる環境を作り出しています。これには人々を第一に考え、最も重要なことにフォーカスすることが求められます。マーサーによる新興メガシティについての調査では、雇用主は人々が都市に引っ越してそこに留まる動機について誤解しがちであることが明らかになっています:人的および社会的な要因は、お金や仕事の要因よりも重要です。新興メガシティにとって、シリコンバレーのようになることが望ましいと考えられているかもしれませんが、いずれにしても、今日も明日も人々が住める場所であることを実証していく必要があります。 元の記事はBRINK ニュースに掲載されています。

David Anderson | 22 8 2019
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私たちはいま変革の時代に生きています。「未来の仕事」がどうなるのか、個人や企業、社会がどのように影響を受けるのか、という点に触れずにビジネスの何らかの側面を議論するのは難しくなっています。その背景には技術の進歩、政府の政策の変化、また従業員の期待の移り変わりにより、仕事の概念が変わりつつあることがますます強く意識されている、ということがあります。 人工知能 (AI) とオートメーションが日常生活に浸透するにつれ、人々がどのように働き、生きるかを見直す絶好の機会が生まれています。これは、この創造的破壊の時代における従業員体験にとって何を意味するのでしょうか?今の時代、企業が意義のある従業員体験プログラムを構築するにはどうしたら良いでしょうか? HR の役割:人間を中心とした時代に人と人をつなぐ   マーサーの2019 グローバル・タレント・トレンドレポートによると、約 73% の役員は今後 3 年間で業界内で大きな創造的破壊が起こることを予想しています。これは 2018 年の 26% からの大幅な増加です。創造的破壊によりもたらされるものは、絶え間ない変化だけでなく、従業員の信頼の低下や採用抑制の増加など、いくつかの人的資本リスクです。多くの組織では、人間を中心としたトランスフォーメーションが創造的破壊の衝撃をイノベーションのきらめきに変換する鍵であることが認識されています。これは、設計段階で HR 部門がリードする必要があることを意味していますが、今日の主要な変更プロジェクトのアイデア生成段階に参加している HR リーダーは 5 分の 2 に限られています。 常に変化の中心に人事の議題があるようにするため、HR はパーティに遅れてくる客のようにではなく、設計プロセスで定位置を必要としています。HR 部門が貢献する重要な機能は、優れた従業員体験の設計と実現に役立つはずです。 従業員体験を理解する   従業員のライフサイクルで重要な瞬間をどのように捉えていますか?入社から新しい上司の異動、昇進まで、重要な体験が従業員の組織に対する絆を形作ります。従業員はそれぞれ異なり、多様なニーズや才能を持ち、キャリアの過程でさまざまな出来事を経験します。組織との連携を強化する体験もありますが、損なう体験もあります。これは、さまざまなレベルの従業員のパフォーマンスや業績につながります。 新しいツールがもたらすデータとアナリティクスを導入したデジタル化された HR チームは、経営者がこれらの体験をより深いレベルで理解できるようにする上で助けになります。組織は年に一度、従業員の姿勢に関して一時的な調査を行うことが一般的とはいえ、多くの企業では、より深い洞察を得るため、もっと流動的な意識調査で従業員に耳を傾ける戦略を強化しようとしています。 従業員体験プラットフォームを使用すると、HR チームは必要に応じてオンデマンドでアンケートを実施できるようになり、従業員は最も適切なタイミングでフィードバックを返し、特定のニーズやタイミングに合わせたアクションを実行することができるようになります。HR チームはマーサーの Allegro Pulsing Tech のようなプラットフォームを使うことで、アクティブリスニングのアプローチを活用し、時系列で体験を理解できます。これにより、複数のタッチポイントについての洞察が深まり、HR 部門では従業員のライフサイクル全体にわたって魅力的な体験を設計する機会が得られます。こうすることで、毎日話を聞いてもらい、サポートされていて、仕事でベストを尽くせるよう応援してもらっていると従業員が感じる企業文化になっていきます。 ますます多くの組織で、従業員体験が顧客体験と同じほど重要であることが認識されています。調査によると、先進的な顧客体験を提供している企業は、優れた企業文化や意欲的なスタッフによってそうしていることが分かっています。従業員体験に対する投資の重要性を無視することはできません。 21 世紀型従業員体験プログラムの構築   従業員の成功を支援するためには、重要な従業員体験について意図的に再設計し、新しいテクノロジーと AI を活用して開放的で、パーソナライズされ、フォーカスされた仕事にする必要があります。これを行うために、組織は複数の方法論を活用して従業員に対するヒアリングプログラムを導入し、従業員自身を含む多様な利害関係者に対する深い洞察を得ることが必要です。この新しいタイプの組織的研究では、測定アプローチを進化させ、新しいテクノロジーを活用して統合化された分析がサポートされ、組織内で多くの実験的な試みを行って真の学習が促進されます。目標は、もっと魅力的な従業員体験、生産性の高いチーム、およびハイパフォーマンスな組織を生み出すために、最適な方法について全員の理解を広げ、深めることにあります。 この創造的破壊の時代にあって、変化のペースが加速するにつれて、個人は適応し、貢献するための新しい方法を見つけるためのサポートを必要としています。助けがなければ、個人、組織、そして社会は繁栄できません。より多くのタスクが自動化されるにつれて、HR 部門は従業員体験の守護者として、この改革を先導する最も良い立場にあります。

Lewis Garrad | 11 7 2019
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マーサーメトルの人材獲得状況2019年次報告書によると、人材獲得は企業が直面する最大の課題の1つです。テクノロジーによるイノベーションが市場を席巻し、スキル評価にますます重点が置かれるようになっているため、人材評価は競合他社に先駆けて高いポテンシャルを持つ人材を獲得するマラソンのようなものになっています。 求人プロセスは新聞広告からソーシャルリクルーティングに進化しています。さらに、次の業界トレンドは採用の自動化です。企業の採用活動は人手を介したプロセスからテクノロジー主導型のプロセスに流れ始めています。 テクノロジーで人材状況を改善する3つの方法は次のとおりです。 1.テクノロジーで雇用主のブランド価値を向上させる   2019年以降も優秀な人材を惹きつけ、維持しておくためには、強力なブランドを構築することがすべての雇用主の優先事項であるべきです。職場環境を改善し、従業員のエンゲージメントを高める努力を惜しまない企業がますます増える中では、ブランドに関するポジティブな話題がマーケットで拡散するように図る必要があります。 また、LinkedInの最新レポートでは、求職者の75%が企業に入社する前に社内のインナーブランディング(ブランドの理念やビジョンを社内に浸透させるための活動)を考慮していることを示しています。1ポジティブなインナーブランドは、質の高い人材を引き付け、維持し、そして紹介を通じて自動的に複数の求人の応募が得られるようになります。これがインナーブランディングの力です。 ここでテクノロジーによりどんな違いが生じるでしょうか?最新鋭のツール、アプリケーション、ソリューションを使うことで、大きな違いをもたらすことができます。スマートキャリアサイト、堅牢なソーシャルメディアの存在、求職者関係管理(CRM)システムなどのテクノロジーは、より洗練されたブランド戦略を実現する上で企業を支援することができ、それに伴うあらゆるメリットをもたらすことができるのです。 2.テクノロジーで求職者のエクスペリエンスを改善する   求職者が複数の求人から選べる場合、入社を促すにはそれなりの理由がなければなりません。高い給与だけが動機になるとは限りません。求職者のエクスペリエンスを満足のいくものにすることが決め手になる可能性があります。 採用プロセスは大きく3つの段階に分類されます。ソーシングリクルーティング、選考と決定、そしてオンボーディングです。採用担当者の仕事は、各段階においてシームレスでストレスフリーなエクスペリエンスを提供することであり、求職者が「この会社の採用プロセスはしっかりしている。きっと仕事もしやすいに違いない」と考えるようにすることです。その後は心配することはありません。一方、いずれかの段階で障害が発生したり、採用プロセスの段取りが悪いという印象を与えてしまった場合、求職者が他社のポジションを探してしまう可能性があります。 採用テクノロジーを導入することによって、求職者に優れたエクスペリエンスを提供するための選択肢が広がります。 3.テクノロジーで人材プールの質を高める   かつて企業には、人事評価と採用に関する標準化された手順がありませんでした。新聞広告、飛び込み、体系化されていない面接、さらにはペーパーテストの穴埋め問題に頼っていました。ただし、時が経つにつれ、企業はこれらの手法に欠点があることに気付くようになりました。 従来の採用方法は時間がかかり、複雑で、バイアスがかかっていました。人事担当者は面接で質問をする際、具体的なデータやフレームワークを持ち合わせていないため、求職者のソフトスキルの評価や弱みの理解ができずにいました。結果として求職者の辞退率が高まり、雇用主にとってジレンマとなっていました。 このようにプロセスが体系化されていなかったため、オンラインアセスメントの役割が高まり、今では求職者の有するスキルに基づいて、特定の職務に理想的な求職者の最終候補者のリストを提示するまでになっています。さらに、これらの事前審査によって、新入社員の仕事の能力とと定着率も予測します。一般的に、特に優秀な人材が求人市場に出るのは平均10日間と言われています。そのため企業は、優秀な求職者に関心を持ってもらえるように、さらに実践的、短期間、かつ興味深い人材獲得プロセスの開発を進めています。 さらに、マーサーメトルのレポートによると、企業の53%はコンピテンシーベースの面接を行い、40%は優秀な人材を採用するためにビデオ面接を活用しています。新時代の採用方法は、求職者のエンゲージメントを高めるだけでなく、人材の質も向上させます。2017年には、IT/ES業界ではアセスメントの活用が132%増加し、銀行金融サービスおよび保険(BFSI)業界では217%の増加が見られました。 採用テクノロジーの導入は、新時代の手法の効果性を示すものです。ツールにより求職者からの入力が収集され、回答がまとめられて、長所、短所、要改善分野を強調した最終レポートが提供されます。データに裏打ちされた結果は最終的には雇用主のブランド価値を高め、求職者のエクスペリエンスを改善し、人材プールの品質を向上させることにつながり、一括採用と中途採用の両方でシームレスな採用を実現するのに役立ちます。 1"The Ultimate List of Employer Brand Statistics," LinkedIn Talent Solutions,https://business.linkedin.com/content/dam/business/talent-solutions/global/en_us/c/pdfs/ultimate-list-of-employer-brand-stats.pdf.

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爆発的な人口増加が発生すると、労働人口も増加します。それに伴い、地方自治体、国内企業、多国籍企業には、人口流入に対応するよう、より大きな圧力がかかってきます。労働力のニーズを確実に満たしつつ、組織はどのように急速な都市化の恩恵を利用できるのでしょうか。そして、最良の市場参入戦略とはどのようなものでしょうか。 今日、10人に5人がアジアの都市部に住んでおり、世界の都市人口の54%を占めています1。今後20年間で、10億人以上の人々がアジアの都市部に移動すると予想されています。言い換えると、毎週100万人が新たに到着することになります。近いうちに、世界のメガシティーの60%がアジアに集中することになります。 インドでは、この傾向がさらに加速しており、2億人以上の人々がより良い生活の質とより大きな経済的見通しを求めて、生まれ育った土地から移住しています。インドの都市部は今後数年間で飛躍的に成長し、同国のGDPの大部分が都市からのものになると予想されています。インドの都市部の成長ペースを考えれば、インドにはまもなく新しいメガシティーや何百という新しい都市が生まれることでしょう。 インドに赴けば、この国の膨大な成長が手に取るようにわかり、その活力や活気は刺激的かつ圧倒的です。野外市場や露店からホテルのロビーや会議室の喧騒まで、色、音、味、匂いの饗宴が五感を圧倒します。その中心にいるのがこの国の人々です。 ただ、急激な成長は、新旧問わず、高度にネット接続された「スマート」な都市、さらには新興企業、地元企業、多国籍企業にとって、大きな課題となっています。障害とチャンスをより理解できるよう、マーサーは「ピープルファースト:新興メガシティーにおける成長の促進(People First: Driving Growth in Emerging Megacities)」という広範な研究を行い、新興の成長都市における生活と仕事を調査しました。 この調査は、インドの4つの急成長都市(アーメダバード、チェンナイ、ハイデラバード、コルカタ)を含む、世界15都市の雇用主と労働者の視点を収集したものです。調査結果は、インドの都市化の恩恵を受ける可能性のある人々に、実用的な洞察を提供しています。以下が3つの重要な調査結果および必須事項です。 1.人々が最も大切にしていることを理解する   この調査では、人々が都市にどのような期待を寄せているか、および人々が特に重要と考える要素を都市がどの程度提供しているかを検討しました。世界的に見て、労働者の生活の質に対する期待とそのニーズに応える都市のパフォーマンスの間には30ポイントの差がありました。全世界の統計では、生活・就労する都市についての人々の感じ方に影響を及ぼす要因の上位3つは、安全・安心で暴力がないこと(1位)、手頃な価格の住宅(2位)、そして輸送・交通・移動手段(3位)となっています。 インドでの調査結果も驚くほど似ていますが、地域による違いもあります。コルカタの住民は、十分な就業機会がないことが問題であると感じています(25ポイント差)。一方、アーメダバードとチェンナイの人々は、大気汚染や水質汚染への対応が改善されることを望んでおり(それぞれ14ポイント差と19ポイント差)、ハイデラバードでは、給与/ボーナスが最大の課題として浮上しています(10ポイント差)。 人口過剰で資源に制約のある都市部で、都市が住民のニーズをより適切に満たすことができるようにするには、政府と企業が協力して取り組む必要があります。この調査によれば、労働者階級の人々は、都市の体系的な問題に大規模に対処する責任を負うことを、特定のひとつの組織に求めていないことがわかりました。 その代わり、国・連邦政府の支援(62%)や大企業の支援(53%)を受けながら、市や地方自治体と効果的に協力していくこと(77%)を望んでいます。どの組織も、急速に成長中の都市におけるインフラ、人材、または人々のニーズに関する問題を単独で解決することはできません。こうした問題解決は、協力、関心の共有、リソースの共同管理により可能となるもので、また、そのように行われなくてはなりません。 2.仕事の未来に備える   都市が自動化や新技術の試験場となることはよくあり、職場は一般的に、そうした動きの影響から一番に恩恵を受ける領域の1つです。インドでは、他のいくつかの世界経済地域に比べて、「コネクティビティ」(相互接続性)が生活様式に溶け込んでおり、デジタルプラットフォームが広く使用されています。各種の推計では、2030年までに買い物の40%以上がデジタル的な影響を大きく受けた形態になるとされています。2インドは、国としての人工知能戦略の構築において世界をリードする国の1つです。ブロックチェーンテクノロジーの採用では最前線を進み、ドローンの使用でも先がけとなっています。 マーサーの調査結果では、被雇用者(45%)と雇用者(52%)の両方が、自動化およびAIによって作業の効率化が進むと考えています。世界全体では、62%の労働者が、今後5〜10年以内にAIが自分の仕事の少なくとも半分を置き換えることができるようになると予想しています。インドでは、自動化はさらに大きな役割を果たすと予測されています。というのも、インドの雇用者の61%、被雇用者の8%が、テクノロジーが自らの仕事の50%以上に取って代わると予想しているからです。このため、今後5年のうちに失職しないと確信する人は5人に1人に留まっています。企業にとってこの結果は、未来の働き方に備えるとともに、将来必要とされるスキルや人材を想定して準備を進めることを求めるメッセージといえるでしょう。 さらに旅は続きます。マーサーの調査によると、現時点では、柔軟な勤務形態(フレックスタイム、在宅勤務など)で働く人々は、インドの未来を支える都市における労働人口の30%に過ぎません。テクノロジーが人間の能力をますます拡大し続ける中、企業は「どこで」作業を行うかのみならず、「どのように」行うかについても計画する必要があります。企業が競争優位性を維持するためには、現在とは異なる人材と新たなスキルを模索し、人間ならではの能力――複雑な問題解決能力、創造力、優れた顧客サービス、異文化間の協力、判断力、共感力など――をこれまで以上に重視する必要があります。 結局、企業は人をテクノロジーの中心に置くことにより利益を得るのであって、その逆ではありません。 3.インド人となり、インド製品を購入し、インド人と提携する   国際企業が事業の規模を拡大し、世界的に事業を拡大しようとするなら、インドを見逃してはなりません。2025年までに、インドの世帯数は3倍になり、その80%が中流階級の家族で構成されるようになります。そして、中流階級の拡大に伴って、生活の質の向上に対する需要が高まっています。生活必需品から贅沢品、あらゆる形態のサービス、住居・教育・ヘルスケアの改善、交通手段の安定性向上、さらには安全性に至るまで、さまざまなものが求められています。 世界の優良企業はインドに進出する際に、十分な情報に基づく適切な戦略を考案する必要があるでしょう。一部の企業にとっては、最良の形で参入できる方法は、文化的規範、規制環境や商習慣への対応方法について深い知識と専門性を備えた地元企業と提携することかもしれません。 また、事業拡大は、インドを安価な労働力を得る場所としてでなく、購買力をますます高めつつある才能豊かな教養のある人々が存在する貴重な場所ととらえる、考え方の転換にもつながります。ただしその場合、従来型の働き方を手放し、代わりに現地のパートナーシップ、慣習、リーダーシップを取り入れることになるでしょう。 根気強く執拗に持続可能な成長を追求すれば、長期的な価値を推進できるでしょう。最後に、我々の多くが退職する前に、インドが米国経済を追い越し、世界第2位の市場になる可能性が高いことを念頭に置いておくと、皆に利益がもたらされるでしょう。3 時間同様、成長は待ってはくれません。インドの急速に拡大する都市は、うまくいけば、収益性のある成長を遂げる可能性があります。重要なのは、誰にとっても、利益を得るとは人々を最優先にすること(ピープルファースト)であるという点です。 企業や自治体がどのように市民に対する戦略を加速し、営業的利益を実現できるのか、さらなる洞察と実用的なアドバイスにアクセスするには、「ピープルファースト:新興メガシティーにおける成長の促進(People First: Driving Growth in Emerging Megacities)」をダウンロードしてください。 出典: 1U.N. Economic and Social Council, "Urbanization and sustainable development in Asia and the Pacific: linkages and policy implications," March 7, 2017, https://www.unescap.org/commission/73/document/E73_16E.pdf. 2Ojha, Nikhil and Zara, Ingilizian, "How India Will Consume in 2030: 10 Mega Trends," World Economic Forum, January 7, 2019, https://www.weforum.org/agenda/2019/01/10-mega-trends-for-india-in-2030-the-future-of-consumption-in-one-of-the-fastest-growing-consumer-markets. 3Wang, Brian, "World GDP Forecasts for 2030," Next Big Future, January 14, 2019, https://www.nextbigfuture.com/2019/01/world-gdp-forecasts-for-2030.html.

Pearly Siffel | 30 5 2019
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家族経営企業がさまざまな業界にわたり、湾岸協力会議(GCC)全体で目立っていることは間違いありません。中小企業から有名な多国籍企業まで、家族によって所有・経営される企業が現代の国家の基盤となっています。 これらの企業の多くは、50年にわたり存続し、今日もなお生き残っています。第1世代が退陣し始めると、第2、第3世代への所有権の移行が見られます。中東では、今後10年間で約1兆ドルの資産が次世代の家族経営企業に譲渡されると推定されています。1 第1世代から第2世代への移行、そして徐々に増える第2世代から第3世代への移行は、こうした企業の持続可能性と成長に大きな影響を与えることでしょう。その結果、多くの企業がバトンを次世代に引き継ぐ状況にあることから、相続計画や後任計画への関心が高まっています。 現在のリーダーは家族内で事業を続けることを望みますが、移行のかなり前に準備が整っていない場合、多くの問題が発生するおそれがあります。このような準備不足は一般的なものです。リーダーは日々の事業運営に夢中になるあまり、長期的、戦略的な優先事項を見失うことは容易だからです。リーダーシップや所有権の変更に取り組まなかったことによる損失は、かなり大きくなる可能性があります。明確で戦略的な後任計画がないと、企業内で混乱、紛争、不確実性が生じて、買収や乗っ取りの対象になりやすくなります。 企業を長く存続させ、これまで築き上げてきた財産を維持できるかどうかは、相続計画と後任計画を通じて、こうした変化を先取りできるかどうかにかかってきます。 強力な社内人材戦略を立てる   計画を立てることには、多くの利点があります。最優先事項は、リーダーシップの継続性を確保することです。これは従業員のエンゲージメントを維持し、定着率を確保するための重要な要素になります。また、重要な役職について社内の候補者を採用するための時間的余裕が生まれるため、外部の候補者を探す費用を回避できます。社内候補者は、組織をよく知っており、社外からの採用に比べて成功する可能性が高い傾向にあります。また、社内の人材を昇進させることは、優秀な従業員の定着に役立ちます。それらの従業員が成長のチャンスを見いだし、成長を追求し続けるためです。 さらに、強力な人材戦略によってリーダーの役職を迅速に埋めることができれば、空席の役職による費用やリーダーシップの欠如による過ちだけでなく、過失による法的責任の発生を回避するのにも役立ちます。 運営構造を評価し、段階的に実行する   リーダーはしばしば、まず現在の報告体制と組織図を見て、誰が次のリーダーとなり得るかを評価します。しかし、組織の運営構造と、時間の経過に伴いそれがどう変化し得るかといった点を考えることも重要です。リーダーは、企業の成長に伴って職務別の活動をどのように発展させるかを検討しながら、この重要な変化の間、株主の体験にも目を向けなければなりません。職務を引き継ぐ人を選択する前に、こうした要素を検討する必要があります。 このプロセスの一環として、後任計画を段階的に行うことが重要となります。まず、会社にとって不可欠な役割を特定するとともに、要件を最もよく満たす後任人材のグループを選定することが重要です。「適切な評価」を確実に行って、準備の進み具合を見極めることで、次世代における企業のリーダーシップを強固なものにすることができます。過去の業績測定、360度のリーダーシップ行動テスト、将来性予測の手段など、さまざまな評価方法が適しています。 経営幹部のリーダーシップの関与   最後に、後任計画プロセスには、経営幹部のリーダーシップの関与が不可欠です。企業の上級幹部は、次世代人材の登用計画に全面的に携わり、頻繁に集まって、戦略的な人材管理問題について議論すべきです。 企業の後任計画の最終的な結果は、社内の支持とコミットメントが得られるかどうかによって変わってきます。業務上の必要性や予期せぬ変更によって中断が生じることは避けられません。それでも事業承継を徐々に前進させ続けるには、高いレベルのエンゲージメントと継続的な取り組みが必要です。 家族経営企業の後任計画についての詳細は、こちら をご覧ください。 出典: 1Augustine, Babu, "Middle East's Family Businesses Get Serious on Sustainability" Gulf News, November 7, 2015,https://gulfnews.com/how-to/your-money/middle-easts-family-businesses-get-serious-on-sustainability-1.1614502.

Mustafa Faizani | 30 5 2019
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まったく新しい都市を一からつくることを考えてみてください。広大な川が蛇行する、肥沃な台地があります。都市計画の責任者はあなたです。最初に何をすべきでしょうか。道路のレイアウトを考えるでしょうか。警察署や消防署を作るでしょうか。開発する区域と開発しない区域を分けるでしょうか。あなたの決定は、都市の住民に何世代にもわたって影響を及ぼすので慎重に考えてください。 これは世界の新興大都市の現地の指導者たちが今日決定を迫られている問題と本質的に同じです。まったく新しい都市ではないかもしれませんが、辺境の新興都市が巨大都市へと成長と拡大を遂げる際、指導者たちは同様の課題に直面します。未来の発展にフォーカスした場合、どんなことを最優先すべきでしょうか。それは住民です。 マーサーが先日発表したレポート「ピープルファーストが新興巨大都市の成長を促進する」では、競合優位性を獲得するためにはロボットではなく人間を優先しなければならない、としています。人間を中心に据えたテクノロジーを設計する必要があります。マーサーの国際戦略地理拡大リーダー、パーリー・シフェル氏は次のように語ります。「未来には、テクノロジーを『活用』する場面が少なくなり、テクノロジーと『共存』する場面が多くなります」 1.テクノロジーは代替可能、人間は代替不可   「AIによって未来の働き方が変わる」という月並みな格言はかつてないほど真実味を帯びていますが、未来がどう変わるかを正しく表現していません。職場にAIを導入して活用する競争は、結果的にテクノロジーの飽和状態に行きつくはずです。企業が自動化の可能性を最大限に引き出しても、競合他社がそのモデルを複製してしまうのは時間の問題です。 すべてのオフィスにAIが導入された世界で勝つのは誰でしょうか。最高の人材がいる企業です。消費者と従業員のニーズにより、必然的にAIを活用した未来がやってきます。その時に真の差別化できる要素となるのは、テクノロジーと組み合わせたクリティカルシンキング、心の知能指数、創造的な問題解決などのヒューマンスキルです。 世界経済フォーラムの最近の報告では、自動化された世界で人間が価値を創出するために必要な10のスキルが概説されています。これは、未来の働き方に役立つことをしようとするには、「人間」にフォーカスを維持しなければならないことを思い出させてくれる、優れたアドバイスです。1 この点について、ツリウム社の創業者兼CEO、タマラ・マクリアリーは、筆者との最近の会話の中で次のように指摘しています。「AIの導入によるストレスフリーの輝かしい未来に気を取られていたら、足元をすくわれることになります。テクノロジーは未来の働き方を加速させる経済的な要因にはなるかもしれませんが、持続的な生産を生み出す中心的な牽引力となるのは、やはり人間です」 2.AI導入時の人材活用   小説や映画で描かれる未来のディストピアは誰もが知っています。テクノロジー中心の自動化された巨大都市をロボットの軍隊が管理し、人間の価値が低い世界です。私が思い描く未来の働き方は、このようなものではありません。 AIの普及により、一部の仕事は自動化されるかもしれませんが、配置転換された働き手は都市や雇用主、経済全体にとって著しい可能性を秘めています。マッキンゼーの予測では、デジタル転換、オートメーションおよびAIにより、世界の労働力の約14% (3億7500万人の従業員) はキャリアの新しい方向性を見つけなければならなくなります。2 ただし、未来の経済の方向性がクリアになり、スキルの再獲得と向上があらゆるキャリアパスの中心的な動きになるにつれ、新たに生み出された役職に適した人材を見つけるための大規模な争いが発生するでしょう。 この新たな経済によって、未来の働き方においてはヒューマンスキルが引っ張りだこになると、ルーディングループのCEO兼創業者のエイプリル・ルーディンは考えています。「AIは人々に取って代わるのではなく、人々に力を与えてくれるツールとなるでしょう。AIによって、人間は自分たちが最も得意な分野に時間を割けるようになります。人間関係を築くこと、判断を行うこと、共感を表すこと、問題解決能力を駆使することなどです」住民にフォーカスした都市は豊富な人材が集まり、繁栄することでしょう。 3.新規開発で一歩リード   今日の経済大国が商業インフラに対して行ってきた大規模な投資について考えてみましょう。公共交通システム、電力網やITネットワーク、民間開発や公共の都市計画区域について考えてみてください。何十億、何千億ものポンド、ドル、円、人民元、ルピー、ユーロが現在の経済を成り立たせる都市の整備に費やされました。未来の働き方において、これらの投資はどのように報われるでしょうか。 マーサーの「ピープルファースト」調査によれば、現在発展途上の巨大都市は「大規模で確立された都市のようなレガシーシステムに妨げられない」といいます。未来志向の経済の建設には多額の投資が求められるかもしれませんが、時代遅れになった都市をテクノロジーに対応した未来のために改修する事業のような、無駄な出費や妥協が求められることはありません。新興都市は、将来にわたって従業員が住み、働き、家族を育てることを望む、住民中心の魅力的なまちづくりに時間とリソースを集中させることができます。 「最新の大量輸送システムが都市に与える競争優位性を理解するのは難しいことです」と、アジア・インサイト・サークル社CEOのウォルター・ジェニングス氏は言います。「中国で経済改革が始まったとき、深圳は人口5万人の漁村でした。現在の人口は1200~1600万人と推定されています」。 次のトレンド   都市計画担当者の話に戻りましょう。あなたは、土地の区画を見渡し、未来の理想的な都市を思い描いています。私たちにはあなたが担当する都市の道路の名前まではわかりませんが、急成長する新興都市を導く原則には多少の心当たりがあります。 最後に、私から3つのポイントをお伝えします。これらのポイントは、世界の成長を促進する人々、テクノロジー、新興都市を待ち受けるチャンスを探るための、ひとつのレンズとなります。 1. 住民を中心として、都市(または会社)を築きましょう。 2. 貴重な資産を捨てないでください。良い場所には良い人材の居場所が常にあります。 3. 他の都市が過去にたどった道ではなく、あなたの都市がこれから進むべき道を探してください。 出典: 1Desjardins, Jeff, "The Skills Needed to Survive the Robot Invasion of the Workplace," Visual Capitalist, June 27, 2018, https://www.visualcapitalist.com/skills-needed-survive-robot-workplace/. 2Illanes, Pablo, Lund, Susan, Mourshed, Mona, Rutherford, Scott and Tyreman, Magnus, "Retraining and Reskilling Workers in the Age of Automation," McKinsey Global Institute, January 2018, https://www.mckinsey.com/featured-insights/future-of-work/retraining-and-reskilling-workers-in-the-age-of-automation  

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アリババとテンセントとの間の名高い競争は、中国全土のデジタル技術とアプリ全般にわたり、激しく続けられています。eコマース大手2社の創始者であり、その精神的な支柱でもあるジャック・マーとポニー・マーにより動き始めたデジタル改革は、中国の中流階級の心を掴もうとする熾烈な競争により加速しています。 のるかそるかの競争です。中国の中流階級は、2020年代半ばまでに4億3千万人から7億8千万人に増加すると予想されていますが、この人口の大部分は、現代テクノロジーに精通し、化粧品から電子機器まであらゆるものをオンラインで買う習慣が身についている都市居住者です。1 急激に台頭する一極集中型サイバー空間   かつて、アリババとテンセントは互いに距離を保っていました。アリババは、非常に人気の高いサイト、タオバオを通じてeコマースを推進することに集中し、テンセントは、10億人以上のアクティブユーザーを擁するWeChatにエネルギーを費やしていました。2 しかし、世界の他地域と同様に、中国の人々がますます密接にデジタル領域に溶け込むようになるにつれ、かつては2つの大企業を心地よく区別していた境界線が狭まり始めました。中流階級の消費者は、オンラインバンキング、電子ウォレット、金融サービスから旅行計画、オンラインショッピング、コミュニケーションプラットフォームに至るまで、細分化されたデジタル生活を一元化する方法を望みました。 今日、中国の消費者は、アリババが実現したものか、テンセントのものか、どちらのインターネットブランドが自らの特定のニーズをよりよく満たしてくれるかを決めなくてはなりません。この決定は双方の企業にとって重要です。いったん消費者がオンラインバンキング、ショッピング、コミュニケーション環境の契約を行うと、アカウントの切り替えや連絡先の変更などが不便なので、結局のところ、ロイヤルティ(忠実度)は高いままになるからです。アリババとテンセントにとっては、最初に選んでもらうことが鍵となります。最終的には、個々の消費者が、インターネットの膨大な触手を最もスムーズにしてくれるのはどちらのバージョンであるか決めることになります。 2つの大企業、2つの異なる文化と戦略   両社の社内文化や戦略は、創業者の個性と同じくらい異なります。アリババは今でも、ルーツである講師に戻り、慈善事業を拡大中の創業者、ジャック・マーの率直な感性を体現しています。同社は、フリギー(旅行)、天猫(ショッピング)、フーマ・フレッシュ(生鮮食品)、アント・ファイナンシャル(人気の高いオンライン決済サービスプロバイダー)など、有名なeコマース企業の弱点を補完するために、関連会社をコントロールできるだけの株主持ち分を取得することで、影響力を高める方針を採っています。しかしテンセントは、より手広いアプローチを採用し、主力サービスのWeChatとの関連性が大きいものから小さいものまで幅広い事業の少数株主持ち分を確保しています。その目的は、自社技術への扉を開く関係を確立することです。3 いずれの戦略も最終的には、信頼性、利便性、個性を提供する高品質の商品を期待する中国の中流階級をエンゲージするよう設計されています。たくさんの可愛い漫画風マスコットや洗練されたマーケティング戦略で武装したアリババ対テンセントの競争は、中国のデジタルマーケティングの状況を変えました。どちらの企業も社内文化、戦略的計画、多様なブランドアイデンティティを通じて他社との差別化を図っていますが、中国の中流階級市場を扱っている点では同じであり、この共通の関心により、アリババとテンセントは中国の伝統、文化、消費行動に深く食い込むことになりました。 習慣と伝統 - 中国の中流階級へのエンゲージメント  革新的なホンバオ(紅包/赤封筒のお年玉)キャンペーン   2014年に、WeChatはホンバオ(紅包)キャンペーンを開始しました。これはすぐに、新しい科学技術が人々の生活とどのように調和できるかを示す強力な例となりました。このイニシアチブは、新年やその他の祝賀行事などの祝日に、家族や友人に現金が入った赤い封筒を手渡す、という何世紀も続いてきた中国の伝統を利用したものです。キャンペーンは、これまでにない富、購買力、そしてデジタル技術および機器への高まる執着を持つ中国の中流階級にとって、完璧にタイムリーなものでした。国の伝統や古くからの慣習を大切に祝うことで知られる中国は、デジタル変革をその文化と意識へ完全に取り込みました。 アリババはこれに応えて、WeChatのキャンペーン同様、個人やグループに配布できるバーチャルマネーを目玉とした独自のホンバオ(紅包)キャンペーンを開始し、自宅の友人や家族はもちろんのこと、職場の同僚同士の取引も簡単にできるようにしました。現金の贈呈からデジタル通貨によるギフトへの移行は、迅速かつ革命的でした。今日では、両ブランドがAIなどの最先端技術を利用して、この歴史的伝統に結びついた支出や習慣にゲーム的な感覚を導入する取り組みを進めています。アリババとテンセントは共に、中国の家族や地域がホンバオ(紅包)をやりとりする方法に永遠に影響を及ぼしました。これはサイバー空間と現実世界にとっての文化的変曲点といえます。 「独身の日」を巡る戦い   アリババとテンセントが中国の中流階級を巡って争うにつれ、ホンバオ(紅包)以外の文化的伝統も、効果的な消費者エンゲージメントの機会となりました。11月11日の「独身の日」は、中国で最も買い物熱が高まる日で、若い独身の人々と恋人たちの両方が祝います。(11/11という日付が4人の独身者に見えることに由来します。)1993年に始まったこの記念日は、2009年からアリババが活用するようになったおかげで、世界で最も利益の上がるオンラインショッピングイベントに発展しました。2017年には、アリババの独身の日の売上は、過去最高の253億ドルを記録しています。4 これまで独身の日は、独占販売と高品質でイメージを構築してきた高級ブランドではほとんど無視されてきましたが、今では高級ファッションブランドやぜいたく品の販売元もこの記念日を活用し、WeChatミニストアを通じて11月11日に割引販売を行うようになっています。WeChatのリーチにより、こうした高級ブランドが自社製品を宣伝して顧客に販売できる強力なプラットフォームが実現しています。5 独身の日は、まだアリババが優勢ですが、WeChatも当然、世界で最も利益の上がる24時間に注目を浴びる方法を模索していくことでしょう。 アリババとテンセントが将来の巨額の利益獲得に向けて張り合う中で、どちらの巨大企業も、増え続ける中国の中流階級の心と精神を掴み取ることが成功の鍵だと認識しています。世界各国で中流階級の購買力が拡大・強化し続けていますが、アリババとテンセントは、人々が持つ力を理解することが、前例のない成長の機会を生み出す鍵であると実証しています。 ゲームは続きます。 出典: 1Babones, Salvatore. "China's Middle Class Is Pulling Up the Ladder Behind Itself." Foreign Policy, 1 Feb. 2018, https://foreignpolicy.com/2018/02/01/chinas-middle-class-is-pulling-up-the-ladder-behind-itself/ 2Hollander, Rayna. "WeChat Has Hit 1 Billion Monthly Active Users." Business Insider, 6 Mar. 2018, https://www.businessinsider.com/wechat-has-hit-1-billion-monthly-active-users-2018-3. 3Lashinsky, Adam. "Alibaba v. Tencent: The Battle for Supremacy in China." https://fortune.com/longform/alibaba-tencent-china-internet/. 4Lashinsky, Adam. "Alibaba v. Tencent: The Battle for Supremacy in China." https://fortune.com/longform/alibaba-tencent-china-internet/ 5Pan, Yiling. "4 Takeaways for Luxury Brands from China's 2017 Singles Day Bonanza." Jing Daily, 14 Nov. 2017, https://jingdaily.com/4-takeaways-2017-singles-day-bonanza/

Sophia Powe | 09 5 2019
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ここ何年にもわたり、サウジアラビアの労働人口における女性の地位は、実に顕著な変化を示してきました。女性が車を運転する権利を認める2017年の国王令は、女性従業員の移動を可能にする歴史的な第一歩となりました。しかし、国のありかたを形づくる重要な変化が見られるようになったのは、これよりもずっと前のことでした。2009年には初の女性副大臣が任命され、2013年には諮問評議会議員に女性が迎えられています。 変革は、主に女性の教育に総合的に力を入れることで促進されてきました。実際、2008年には、リヤドにあるプリンセス・ヌーラ大学が世界最大の女子大学となったことが発表されました。1 こうした歩みは、サウジアラビアが世界の舞台に平等に参加するための基礎を固める中で起こった氷山の一角に過ぎませんが、「ビジョン2030」を成功させる重要な要素であることは明らかでしょう。2 世界的な観点からみれば、サウジアラビア王国で起こっていることは、働き方に関して進む、より幅広い議論の一部です。こうした議論には、北米における同一労働同一賃金の問題、ヨーロッパにおける女性の取締役会代表の欠如などあらゆる話題が含まれます。実のところ、マーサーは世界経済フォーラムと協力して、キャンペーンを実施しています。その中心となるのが、女性が活躍する時という調査です。この調査によると、現在の変化の速度では、男女間の世界的な経済格差を埋めるには217年かかります。同時に、ビジネスや社会全体の成長にとって、男女平等および労働力への女性参画に留意すべきであることは、ますます明らかになってきています。 この報告書ではまた、多様な労働力が、収益を確実に増強する、ビジネス上不可欠なものであることも示唆されています。世界中の組織ではこうしたメリットを実感し、上級管理職の女性を増やしたり、女性の昇進を可能にしたりするよう、意識的に努力しています。「ビジョン2030」につながる国内の観点からみると、政府と民間部門の重要な組織から、指導者、経営幹部、理事などへの女性の起用が数多く発表されています。 最近では、世界で最も収益を上げている石油会社サウジアラムコが取締役に初の女性を任命し、シティグループもサウジアラビアでの事業責任者に女性を任命しています。多くの企業が、上級管理職の増加、女性の昇進の許可、男女間の賃金格差縮小などの面で、持続的な成果を挙げています。才能と能力こそが業務の成功を決定する要因であるため、これらの企業は能力に基づいた人材の採用と昇進を行うようになっています。女性が成功するための準備は万端です。 それでは、実際、サウジアラビアの組織はどのように女性の活躍を確実なものとし、それにより「ビジョン2030」を推進できるのでしょう。今日、サウジアラビアの人口のほぼ50%が女性ですが、現時点では、女性の労働人口はわずか20%となっています。3 一方で、女性のほうが高い割合で高等教育の学位を有している傾向があります。サウジアラビア女性の莫大なポテンシャルを解放することで、人材活用の余地が生まれます。 女性が活躍する時の調査は、組織が男女平等を推進できる方法を説明しています。例えば、労働力データを分析することで、雇用主はどの業務に人材をより大きく成長させる価値があるかを把握し、女性がそれらの業務に就く機会が平等にあるかどうかを評価することができます。その後、雇用主は再教育の機会を検討して、女性従業員が自らの学びに満足できるように人材を最適に配置できます。そうすれば、新たな方法で価値を生む意欲ある従業員によって、組織はメリットを享受できます。 サウジアラビアの大規模な変革が進む中、人々とスキルが同国の「ビジョン2030」を成功させる鍵となります。というのも、人間こそがあらゆる大きな変化の原動力だからです。女性にとっての機会が拡大する最近の傾向、そしてますます多様化する労働人口に女性がもたらす知識とスキルを考えると、持続可能な成長は、未来を活気づける適切な人材を活かせるかどうかにかかっています。その結果、サウジアラビアの地位が、かつての石油主導の国から人材主導の国に移行しています。 今後数年間にわたって、女性がサウジアラビアの成長を引き続き牽引し、この王国の持つ真の可能性を世界の舞台で解き放つ様子を見ることになるでしょう。それは、非常に興味をそそられることです。 1"World's Largest University for Women Launched in Saudi Arabia", Arab News, May 2011,https://www.edarabia.com/21384/worlds-largest-university-for-women-launched-in-saudi-arabia/. 2"Our Vision: Saudi Arabia, the Heart of the Arab and Islamic Worlds, the Investment Powerhouse and the Hub Connecting Three Continents," Saudi Vision 2030, https://vision2030.gov.sa/en. 3Trading Economics, 20 Million Indicators From 196 Countries,https://tradingeconomics.com.  

Najla Najm | 02 5 2019
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現在進んでいる世界経済の変化は、人類の中で起きつつある強力な変化を反映したものです。かつて政治的な逆風、貧弱なインフラ、労働力の活用不足などによって妨げられてきた経済圏が、デジタル技術と、相互につながったリソースへのアクセスを用いて、前例のない富と影響力を築いています。 しかし、経済成長地域は従来の市場に追いつく以上のことを行っています。未来のビジネス、そして世界経済全体における根本的変化をリードしているのです。インドは、人工知能(AI)およびロボティック・プロセス・オートメーション(RPA)技術のリーダーとして、米国と日本を追い抜きました。1 かつては失速していたラテンアメリカ経済は、2019年には安定した成長が見込まれています。2また、中国の中流階級の購買力は、電子商取引、そして消費者による製品やサービスの発見、購入、獲得方法を永久に変えてしまいました。3 当然のことながら、ビジネスリーダーは現代の変化の速度や範囲、そしてそれが組織や労働者の活力に意味するところを考えて圧倒されることがあります。ここで挙げる3つのリーダーシップの資質を備えれば、不確実な未来においてもリーダーは成功することができます 1.心の知能指数とソフトスキルを示す   「人々は他者が言ったことを忘れるし、他者がしたことも忘れるが、自分がどう感じさせられたかということは決して忘れないものであると私は学んできた。」 ―マヤ・アンジェロウ リーダーは他者の感情を認めながらも自分の感情に誠実でなくてはなりません。終身雇用や保証された年金制度の時代は多くの地域で終わりつつあり、その結果、世界中の被雇用者が、雇用の安定や長期的な経済的幸福に不安を抱いています。さらに、マーサーグローバル人材動向調査2018年度版によると、被雇用者は、目的のある仕事ができる役割をますます追い求めるようになっており、リーダーは、より深いレベルで労働人口とつながるようさらなる圧力にさらされています。この現実を内面化し、従業員の不安を軽減できる有意義な措置を講じるビジネスリーダーが、従業員の支持を集めることになります。  率直であることは真のコミュニケーションの基礎となります。リーダーは、積極的に心の知能指数(EQ)とソフトスキル指数を開発しなければなりません。そうすることで、常に真実を伝えながらも雇用者の感情に訴えかけ、個々の雇用者と従業員全体を刺激できます。事実は常に説得力を持ちます。人々は自らに敬意をもって接してくれるリーダーを尊敬し、人生に影響を与える情報を用意してくれます。  未来のビジネスで成功したいと願うビジネスリーダーは、心の知能指数とソフトスキルを優先事項とすべきです。他者の願望、感性、課題に共感できるようになるには、耳を傾け、理解し、行動を起こそうとする協調努力が必要です。特に新興国では、労働人口が農村地域から新興巨大都市に引き寄せられているため、リーダーは、手頃に利用できる保育や交通手段の発掘、金融投資の機会へのアクセス、専門的な能力開発プログラムの追求といった問題に前向きに対処しなければなりません。  ソフトスキルにより、リーダーは情報を押しつけるのではなく、伝えられるようになります。このつながりにより、従業員との強固な関係が構築されるとともに、生産性が向上します。そして、従業員は、ビジネスの目標と成功に自らが不可欠だと感じるようになります。というのも、実際に従業員はビジネスに不可欠なのです。純粋な感謝の気持ちが、強力な動機となるのです。 2.科学技術への情熱を持つ 自分が「出世した」と感じているリーダーは、的外れだと思われる運命にあります。役員室に鎮座して、従業員のチームに命令し、伝達事項を公布するようなビジネスリーダーのイメージは時代遅れになりつつあります。科学技術は常に進化しており、ビジネスリーダーは、現代のデジタル機器、プラットフォーム、および戦略の習熟度ということになると、他者に頼ってギャップを埋めることはできません。 新技術の習得には時間がかかります。そして、多くのリーダーにとって、時間は貴重な商品です。しかし、デジタル変革の時代には、ビジネスリーダーがビジネス運営、消費者エンゲージメント、および販売戦略に影響を与える技術革新やトレンドの開発に熱心に取り組むことが求められています。  未来のビジネスにおいては、リーダーには、最新のデジタルエコシステムやメディアチャネルを通じてコミュニケーションをとれる技術的能力が必要とされます。こうした能力は、科学技術がどう進化しており、また究極に相互接続された世界で、科学技術によりビジネスがどう推進されるのか、という点に関するリーダーの理解を示します。ビジネスリーダーは、従業員や外部の協力会社に対して(さらには競合他社に対しても)、「示してほしい」「教えてほしい」と定期的に教えを請うべきです。というのも、こうした問いかけが、学びへの情熱を表すとともに、常に情報を入手し、関係を保つ必要性を高く評価する、心の知能指数をしているという心の知能指数を示すからです。  また、科学技術に精通することで、リーダーは業務リソース、従業員のスキルセット、優先順位や成長投資について判断する必要性に関して、点と点を結んで全体像を作り上げることができるようになります。疑問があるときに、最新のアプリケーションやデバイスの使用方法を尋ねたからといって、恥ずかしいことは何もありません。未来は待ってくれないのです。  3.あらゆる成長がグローバルであると知る   スマートフォンについて考えてみましょう。おそらく、チリ産のリチウム、中国産のインジウム、ルワンダ産のコルタンが含まれているでしょう。4最もローカルなビジネスでさえもグローバル経済に依存しています。国際的な考え方でビジネスチャンスを文脈に当てはめることのできるリーダーが、ビジネスの未来に成功を導く態勢を整えているといえます。  2025年には、世界の人口は81億人に達する見込みです。つまり、歴史的レベルのビジネスチャンス、未開発の市場、収入源が発見されるのを待っていることになります。5成長は、ビジネスが向かう未来を考慮に入れた、前向きな取り組みの結果なのです。ブレグジットの実行から米国の不確定な国際貿易の力学まで、西側諸国の経済が政治的混乱に苦労し続けている中で、経済成長地域はあらゆる産業に大きな影響を与える可能性があります。 しかし、成長に焦点を置くリーダーは、コンセンサスの構築や、さまざまな利害関係者からの支持の取り付けといった課題に直面します。経営幹部レベルの重役や従業員から投資家や株主に至るまで、リーダーはビジネスの未来がもたらす可能性を捉えるビジョンと戦略を伝えられなければなりません。リーダーは、常にグローバル経済の観点から考える必要があります。というのも、人口が増大する中で、人々の心、精神とニーズにこそ、チャンスが存在するからです。前進するためのビジョンをリーダーが提示し続ける限り、今後もこれがビジネスの牽引力となるでしょう。  経済成長地域は、利益のある販売市場以上のものをビジネスリーダーに提供します。インフラストラクチャや製造から人的資本やデジタル技術に至るまでのあらゆる資産に関して、成長経済圏は価値あるサプライチェーンと投資機会を提供します。グローバル化した世界でビジネスの未来を手にするのは、上昇中の経済圏にチャンスがあることを理解しているリーダーと、EQ、テクノロジー、そしてグローバルな考え方が成功する力に影響を及ぼすことを理解しているリーダーなのです。   1Some, Kamalika. "India Leads US and Japan in Driving RPA and AI Based Technologies." Analytics Insight, 2 Oct. 2018, https://www.analyticsinsight.net/india-leads-us-japan-driving-rpa-ai-based-technologies/. 2"Latin America Outlook 3Q18." BBVA Research, https://www.bbvaresearch.com/wp-content/uploads/2018/08/Latin_America_Outlook_3Q18.pdf. 3Riming, Nie. "How China's Middle Class Will Dictate the Future of E-Commerce." Sixth Tone, 16 Jan. 2018, https://www.sixthtone.com/news/1001560/how-chinas-middle-class-will-dictate-the-future-of-e-commerce. 4Olingo, Allan. "Minerals in Your Mobile Phone." The East African, https://www.theeastafrican.co.ke/business/Minerals-in-your-mobile-phone-/-/2560/2739730/-/xveeqw/-/index.html 5Olson, Alexandra. "U.N.: World Population to Reach 8.1B in 2025." USA Today, Gannett Satellite Information Network, 13 June 2013, https://www.usatoday.com/story/news/world/2013/06/13/un-world-population-81-billion-2025/2420989/.

Sophia Powe | 25 4 2019
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組織文化は重要です。これは、今日の世界の事実上すべてに当てはまる単純で永続的なメッセージですが、M&Aディールの利害関係者や株主のために経済的価値を追求する際には、さらに現実味を帯びることになります。新会社の従業員をまとめて受け入れつつ、評判に対するリスクから保護する場合、組織文化、そしてそのリスクを無視するという選択肢は存在しません。 従業員からみれば、組織文化とは、事業成果をもたらす個々の行動、および、そうした行動を強化するために業務推進力をどう活用できるか、ということになります。組織文化の調整は、M&Aにおける効果的な組織変革に不可欠です。この調整には、明確な事業戦略、ならびに、あらゆる取引の実行を成功させるためのディールの論理的根拠および必要な統合リスクの理解が必要となってきます。 文化は経営モデルの基盤を確立するもので、これが次には、必要なスキル、期待される行動、給与や報酬プランなどの推進力といった人材プラットフォームの要件を定義します。成果や結果が重要となるため、それらを測定し、統合リスクの軽減に必要なあらゆる行動を指示できるようにする必要があります。 現実をよく見る   マーサーの新しい研究は、過去36か月間に買手と売手の両方で4,000件以上のディールに協力した54カ国、1,438者の意見より得られた重要な調査結果を基に、組織文化リスクの軽減がM&Aディールの価値の推進に重要であることを明らかにしています。M&Aアドバイザー、ビジネスリーダー、人事担当者、従業員の4つの利害関係者グループから知見が集められました。これらの利害関係者は、世界中で延べ4300万人以上を雇用している企業で働いています。 マーサーの調査によると、世界中のM&Aディールの43%が重大な文化的不整合を経験しており、それによりディールが遅延または終了したり、購入価格に悪影響が出たりしています。さらに、67%で文化の問題によりシナジーの実現が遅れています。 また、回答者の61%が、組織文化の第一の推進要因として「リーダーの発言だけでなく、その行動様式」という項目を選択しました。「ガバナンスと意思決定のプロセス」(53%)および「コミュニケーションのスタイルと透明性」(46%)も高く評価されました。交渉役はまた、生産性の低下、重要な人材の流出、顧客の混乱など、文化の不整合から生じる問題のために30%のディールが最後まで財務目標を達成できないとも述べています。 M&Aによる変化の時期、従業員のエンゲージメントを高めるためにリーダーが取るべきステップ   重要な点として、回答者の36%(47カ国)が、M&Aにおける力強い文化的調整を生み出し、全従業員をエンゲージするための、特に重要なリーダーシップのチャンスを指摘しました。こうした上位5つの活動が順にランク付けされており、回答の86%を占めています。 さらに、年間1,200件以上のディール(うち60%はクロスボーダー)に関するマーサーの調査から、変化を受け入れ、迅速で機知に富んだ意思決定を採用し、時宜を得た執行を優先する指導能力が、成功を収める買収者の重要な組織的および文化的資質として浮上しました。 大切なのは人々とその行動、そして、新しい組織でやり方を変えることになっている事柄を正確に理解することです。 経営陣へのプレッシャーに関する国別パターン   M&A取引中は、経営陣に大きなプレッシャーがかかります。その結果、リーダーは、規定された業務戦略や目標の時宜を得た達成から注意をそらされることが多くなります。また、リーダーや上級管理職が、ディールの論理的根拠を一般従業員に十分に伝えていないことも珍しくありあせん。こうした傾向は、業績に悪影響を及ぼすおそれがありますし、実際に及ぼしています。経営幹部は、統合に関する各重要目標に全員で合意することができますが、万一、経営陣の1人が全員で決定した計画に反する行動に出れば、実行に深刻な遅れが出る可能性があります。 当然のことながら、組織文化は、企業の発祥国、求めている才能の種類、所属する業界など多くの事柄に基づきます。マーサーは、200件以上の世界規模の取引経験を持つM&Aアドバイザーのパネルに、国別の買手の行動様式や地域を超えた振る舞いについて尋ねました。統合に影響を与え、ディール成功の可能性に影響を与えるであろう文化的行動パターンに関する国別の特徴をよりよく理解することが目的です。統合に影響を与える4つの重要分野に焦点が当てられました。すなわち、リスク許容度、クローズ後の経営維持、明確に割り当てられたガバナンスおよび意思決定の権利、そして、業務成果に伴う報酬の調整です。 パネルは、クロスオーバー(国際)M&Aに影響を与える複数の国別特徴を特定しました。例えば、日本と中国の買手は、入札に勝つために、非常に高いリスク許容度を示します。しかし、同じ日本と中国の買手は、現状維持のほうが心地よいため、クローズ直後に積極的な業務改革や構造改革の手段を講じることには非常に消極的です。ほとんどの買手はクローズ直後から100日間の変更計画を採用しますが、日本の買手は1,000日間の変更計画に、より安心感を覚えます。 この調査、そして顧客体験は、M&Aにおける組織文化リスクの軽減に向けた実証済みの道筋を明らかにします。買手は、以下の原則を採用することで、対象企業の文化的不整合に伴う財務リスクをよりよく理解できる形で上層指導部やディールチームを適切に配置できるようになります。 文化的不整合を業務および評判リスクとして認識する。  ディールのテーマを明確に設定し、周知する。これには、ターゲット企業との合併で獲得しようとしている業務能力および不足人材と、デューディリジェンスプロセスに関係するすべての利害関係者の情報を含める必要があります。 取引の可能性を認識しているターゲット企業の経営陣との「一対一」の時間を含め、売手と独占的な話し合いができる状況にある際は、文化のデューディリジェンスを主張する。 ターゲット企業の業務における「警戒信号」や、発言と行動の矛盾を文書化、定量化して、それをディールに反映させる。 不正経理を避けるように、文化面でのディール失敗の原因を避ける意思を示す。   実際、経営陣がM&Aの文化的問題でつまずいているという強力な証拠があります。しかしながら、今日の競争の激しいM&A市場では、優秀なビジネスリーダーは、統制の取れた分析的かつ実用的なアプローチを活用しながら、文化をデューディリジェンスと統合の際の優先事項としています。こうしたリーダーは、2社間の現実的なシナジーや、買収企業における統合に最適なタイミングを識別するのに、より適した立場にあります。 企業資産としての文化に関するNACDブルーリボン委員会の最近の報告によると、文化が成り行き任せにされた場合、文化は貴重なエネルギーを奪い、新しい組織の目的および戦略目標の達成にブレーキをかける可能性があります。1 しかし、うまく導いて管理すれば、文化は利害関係者に価値を提供するためのロケット燃料となります。 出典: 1"NACD Blue Ribbon Commission Report on Culture as a Corporate Asset", National Association of Corporate Directors, 3 de outubro de 2017, https://www.nacdonline.org/insights/publications.cfm?ItemNumber=48252.  

Jeff Cox | 03 4 2019
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自動車産業における離職率は驚くほど高い。事実、全米自動車ディーラー協会(NADA)によれば、ディーラーによっては70~80%にものぼると報告されている。この傾向は業界にいる人すべてに関係するはずだ。なぜなら、従業員が激しく入れ替わるということは、もっと深刻で厄介な問題が多岐にわたって存在していることの兆候だからだ。満足している人は良い仕事を辞めたりしない。明らかに何かが間違っているのだ。 では、何が起こっていて、それを直すためには何ができるのか? エンプロイー・エクスペリエンス(従業員の経験価値)に焦点を当てる   まず始めに、企業は従業員を組織の中心に位置づけなくてはならない。理論上は実現するのが簡単そうに見えるが、現実はだいぶ異なる。ほとんどの企業はその決定や行動から判断する限り、自社の従業員よりも財務状況に焦点を当てている。 ビジネスというものが営利目的であることから、セールスの数字を精査し分析することに定期的に焦点を当てるのは当然のことだ。しかし、自動車産業では年間に何回、従業員のパフォーマンスについての話し合いがされているだろうか?もしかしたら、年に1回か2回?ほとんどの組織がパフォーマンスの評価よりもセールスの数字の方を優先するのは、それが組織のDNAとして実務に組み込まれてしまっているからだ。これは、自社の最も重要な資産であるはずの人材を犠牲にして、日常的に実施されている。 変化へのコミットメント   離職率を下げるためには、自動車産業はまず始めにどういった変化が必要なのかを認識し、その変化をもたらすための戦略を立てなければならない。この産業の現状から、将来目指す姿へのパラダイムシフトが必要だ。 手始めに、自動車産業は以下の質問をする必要がある。         1. 仕事はどのように組織立てて行われるべきか?         2. 価値はどのように生み出されるか?         3. 進化していく環境の中で、従業員の成功をどのように保証するか? マーサーの「2018年グローバル人材動向調査」では、自動車産業の離職率の問題を解決しうる上位5つのトレンドを明らかにしている。         1. 迅速な変化         2. 目的意識の共有         3.  永続的な柔軟性         4.  人材プラットフォーム         5.  デジタル化の徹底 迅速な変化   企業には変化する力が必要であり、その変化は迅速なものでなければならない。世界は常に前に向かって変化し進化している。もしも、ある自動車企業が、現在発生している変化に対しそのスピードに応じて積極的に受け入れなければ、そのビジネスは取り残されてしまうだろう。 変化は、しかしながら、従業員に不安を生み出す。仕事における変化は、職の保証や経済的な充足、そして人間として必要な、自分を鼓舞するような職場ややりがいのあるキャリアのように、人生において非常に重要な事柄にインパクトを与える。ここが、不確実な時代に、確かさをもたらすリーダーシップが必要不可欠となるところだ。従業員に、一貫して明確で確実なリーダーシップを示すことができる組織は、変化の時代においても安定して成功できるものだ。実際、迅速に変化できる能力は、組織として他と差別化できるような能力となっている。 目的意識の共有   従業員は所属する会社に対して、価値観や企業文化を共有することで忠誠心を持つ。通常は、企業文化はその組織のリーダー達によって決められ、そのリーダー達には、会社の価値観や使命を明瞭に確立させる責任がある。 マーサーの調査によれば、成功している従業員が目的意識を強く持っている会社で働きたがる傾向は、そうでない従業員の2倍だ。エンプロイー・バリュー・プロポジション(従業員への価値の提案)に、より高い目的意識を含んでいることは、個人の潜在能力を解放させ、従業員を変化の媒介となるよう刺激する。自動車メーカーは、忠誠心があり触発された人材を育成することで、この競争において自社ブランドを差別化することができる。 永続的な柔軟性   自動車産業における人事リーダー達のうち、自社のフレックスワークが目に見える形で存在していると答えるのは、2パーセント。彼らの会社の50%以上の従業員が、より柔軟な働き方の選択肢を欲しているにもかかわらずだ。しかし、40%以上の従業員は、柔軟な働き方自体が自身の昇進の機会に影響するのではないかと懸念している。 自動車産業のリーダー達は、従業員のためにもっと柔軟性を増やす革新的な方法を探さなくてはならない。この柔軟性というのは、単純にいつどこで働くかということではなく、何の仕事が誰によってどのようになされているのかを再考する、ということだ。従業員の力を最大限に引き出すということはすなわち、彼らの生産性と利便性を優先するために望ましい働き方を、彼らと一緒に考えることだ。 人材プラットフォーム   自動車メーカーは、自社人材に対し、そのスキルを開発しプロフェッショナルとして成功させることのできる場へと進化する必要がある。従業員の想像力と熱意を、スキルの集合や仕事の要望が絶えず進歩している産業の進化するニーズへとリンクさせることで、自動車メーカーは、雇用の場というだけでなく、専門的能力の開発の場となりうるのだ。 人事リーダー達のうち36%は、バイ・ビルド・アンド・ボロウ(買収・社内育成・一時的な補充による人材の獲得)戦略の有効性についての分析を行っている。産業界の専門家や従業員が欲するのは、職の保証、職場の安全性、そして、自分達のスキルや知識ベースが将来的にも産業界の発展に追い抜かされることはないという自信だ。もし企業が従業員にとって有意義なキャリアを育むための場となるよう機能するのであれば、人的資源への投資によって会社は成長しその底上げを図ることができるだろう。 徹底的なデジタル化   自動車産業及び世界にとって、デジタル経済はすでに目の前に存在している。「デジタル化しようとしている」と語っているような会社は、デジタル変換の学習曲線がはるかに遅れている。AIやオートメーションは、ビジネスのすべてのレベルにおいて変革をもたらすことで、人間の潜在能力を解放し続けるだろう。機械の操作や材料の調達から、人材育成や進化する顧客のニーズに応えるといったことまで。 従業員の56%は、彼らの専門的な目標を達成するための鍵は最新のデジタルツールだと言っている。自動車産業のリーダー達は、従業員自身が自分達の行っていることの中心にいられるようにテクノロジーを活用する必要がある。従業員を最優先すれば利益はついてくる。   1People First: Mercer's 2018 Global Talent Trends Study https://www.mercer.com/our-thinking/career/voice-on-talent/people-first-mercers-2018-global-talent-trends-study.html

Nicol Mullins | 07 3 2019
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文化とは、人々が世界を解明する方法です。賑やかなムンバイの通りや蒸し暑いブラジルのビーチから、東京のネオンやメキシコシティのリズムまで、文化は人々にアイデンティティを与えてくれます。また、文化は規模に合わせて拡大することも、縮小することもできます。国、地域、職場にはそれぞれ、集合体としての個人を定義する文化があります。 一群の人々が価値観や感性に関する共通の理解に従って行動するとき、その人々はある一つの文化に寄与することになります。経済成長地域の企業は、デジタル変革時代の新たな機会を活かす豊かな企業内文化を確立するために、今すぐ行動を起こさなければなりません。 企業全体にわたるコンセンサスの構築   世界経済の進化に伴い、経済成長国は、国境を越えた国際市場にこれまでになくアクセスできるようになりました。しかし、急速な変化のため、多くのビジネスリーダーは、経済的な成功に対する文化の価値や役割について食い違う意見を持つようになっています。こうしたコンセンサスの欠如は、企業のビジョンを不明瞭にするだけでなく、社員や消費者の混乱の原因にもなります。 企業内文化が収益性にとってどのような意味を持つかという点について、世界中の企業の経営幹部、一般管理職、人事担当者の解釈は往々にして異なります。M&A業界に焦点を当てた、マーサーの調査レポート 『M&Aの価値を高めるための組織文化リスク対策 - Mitigating Culture Risk to Drive Deal Value』の概要は、経済成長地域のあらゆる企業に対し、文化をめぐるコンセンサス構築の複雑性に関する貴重な洞察を提供しています。 経営幹部レベルの重役は、ガバナンスと意思決定のプロセスが、文化の最重要構成要素だと評価しています(60%)。 独立系アドバイザーは、業務管理(測定)が組織変革を促し、文化を定義する上で役割を果たすことができ、また果たすべきであると考えていますが(45%)、これに同意している人事担当者は18%にすぎません。  経営企画の担当者(41%)は、リスク許容度および管理が取引の弱体化につながる可能性があると考えています。 人事担当者は、コラボレーション(69%)とエンパワーメント(54%)が文化の最重要構成要素だと評価しています。   経済成長地域の企業は、文化に関する自社の姿を定義することに積極的になるべきでしょう。技術革新や社員の意見を尊重する文化でしょうか、それともリスク回避型の厳密に階層的な文化でしょうか。個人の努力とチームワークのどちらを重視するのでしょうか。国際的な成長と、地域(ローカル)における卓越性のどちらに注力するのでしょうか。反抗的で不遜でしょうか、あるいは謙虚で真剣でしょうか。成功をどう定義し、社員と顧客をどのようにその定義の要素に組み込むのでしょうか。 効果的な企業文化は、リーダー、社員および業務全体のコンセンサスを構築することから始まります。 存在理由を明確に表現する   ビジネスリーダーも社員も皆が、「なぜここで働いているのか?」という質問に答えられなければなりません。この内省的な質問に答えることで、トップの意思決定者からあらゆるレベルの社員まで、企業に所属する人々が、その企業の存在理由を否応なしに内面化するようになります。存在理由を理解することで、ひとりひとりがその企業に入社し、ミッションの一端を担うことを選んだ意味合いが明確になります。 続いてビジネスリーダーは、その存在理由を、企業が市場価値を提供するターゲットと手段を示す戦略的目標として明確に表現する必要があります。この戦略的目標では、全社員に理解されている予算とスケジュールを考慮しなければなりません。それにより、全員が共通の価値観のもとで一丸となり、協力して目標に向かうことができます。 『M&Aの価値を高めるための組織文化リスク対策 - Mitigating Culture Risk to Drive Deal Value』報告書によると、アジア(日本以外)では、回答者の67%が、コラボレーションが「業績の高い」職場文化における最重要の行動であると考えています。ラテンアメリカでは、回答者の65%が同意しています。しかし、日本の回答者については、「コラボレーション」は、業績の高い職場文化の原動力の上位5件には入りませんでした。経済成長地域の企業は、競争の激しい世界経済に影響を与えようとする前に、強固な企業内文化を確立することが重要です。ただし、そうした企業内文化は、地理など、さまざまな要素の影響を受ける可能性があります。例えば、杭州を拠点とするアリババは、深センを拠点とするテンセントとはまったく異なる文化を持っています。 強固な文化は、企業が競合他社との差別化を図り、経済における逆境、リスク、制御不能な変動に効果的に対処する力となります。リスクへの取り組み方や課題への対処方法を決定すれば、企業の文化的価値が明らかになるだけでなく、社員や出資者に対して、団結につながる共通の目標をも示すことができます。企業内文化を明確に表明することは、生き残りの鍵となります。 さまざまな地域で文化を確立、強化しようとする企業にとっては、地理的ニュアンスを根本的に理解することが、例えばコラボレーションのような面で、戦略目標の成功と達成に不可欠となることがあります。 約束を実践するリーダーをエンパワーする   リーダーシップはあらゆる豊かな企業内文化の基盤です。実際、マーサーの報告書では、アジア(日本以外)の回答者の69%が、「リーダーの行動」が健全な組織文化の一番の「原動力」だと答えています。ラテンアメリカでは、64%がこの回答です。日本では、職場文化に対するリーダーシップの重要性を支持する回答が74%と目立っています。 企業の成功はしばしば、組織の価値を具現化し、それを社員や顧客に伝えるリーダーに直接結び付けられます。アリババとテンセントは、それぞれのリーダー、ジャック・マー(現在は引退していますが)とポニー・マーで有名です。リーダーシップはビジョン、エネルギー、方向性を提供します。企業の価値観と約束を最も代表するリーダーを見極めて選択することは、企業文化にとってきわめて重要です。これは必ずしも最も熟練した、あるいは最も人気のある実業家を選ぶということではなく、どのような関係でもそうであるように、最も相性の良い人物、すなわち、インスピレーション、創造性をもたらし、他者に奮闘するよう意欲を湧き起こさせることのできる人物を選ぶということです。 効果的なリーダーは、自分自身を含む全社員に説明責任を要求します。CEO、経営幹部レベルの上級管理者、その他マネージャーは、各自が代表する業務の価値観と基準に従って行動する必要があります。リーダーは、文化の持つビジョンと期待を行動に移すことによって、文化に正当性を与えます。模範を示さない偽善的なリーダーは、社員の意欲を失わせ、ブランド全体に対する人々の敬意を弱体化させます。説明責任の公平な分担を重視する文化は、社員同士のラポールと責任感を生み出します。自分自身より有意義で偉大なものに属していると感じれば、人は自らの仕事に善意を注ぎ込みます。強固な文化は、質の高い製品、サービス、そして顧客体験を生み出します。 人と業務にビジョンを合わせる   文化は偉大な企業同士を結びつける無形の力です。しかし、文化は空気のような性質のものであるため、多くの企業にとっては苛立たしいほど捉えどころのないものともなります。まして、文化が国際的なプレッシャーとデジタル変革の新時代に突入しつつある経済成長地域においては、なおさらです。 Mercerの東南アジアM&AリーダーDhruv Mehraは、ウェブキャストにおいて、前述の報告書についてこう説明しています。「文化は天気のようなものです。我々は、文化について好んで話題にし、文句を言い、何かにつけて文化のせいにします。しかし、文化をどうこうするつもりはないし、率直なところ、何ができるのかわからないのです。」 企業には途方もない金銭や価値が掛かっているので、天気のように文化を扱う余裕はありません、とMehraは説明を続けます。 基本的に、文化は人々が共に働くための業務基盤です。組織の集団的な力の中心です。企業文化は無形かもしれませんが、社員や顧客の視点および行動から容易に認識できます。文化とは、その目的を理解する社員全体から、専門的に満たされていると感じる個々の社員、そして繰り返し戻ってくる得意客まで、すべてを指します。文化とは、人々が集まり、彼らにとって意義のある何かを行うことです。文化は、企業が存在する理由なのです。

Dhruv Mehra | 07 3 2019
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近年、日本では、女性活躍や働き方改革、ダイバーシティといったことが盛んに言われるようになっている。また、2015年9月には女性活躍推進法が、2018年6月には働き方改革関連法案が成立している。女性の社会進出を促す背景には、少子高齢化による労働人口の減少や、女性の大学進学率の上昇による労働意識の向上、経済の低成長による男性収入の低下などがあり、女性の雇用者数は着実に増えている。その結果、出産や育児により女性の社会進出が阻害されていることの象徴となった、いわゆる「M字カーブ」が近年、改善されており、また、諸外国と比較しても遜色のない水準になってきている。 ただし、M字カーブが解消されつつあるのは、育児休暇制度の普及や保育所の整備などにより、女性が働き続けることが可能になったこともあるが、女性の非正規雇用の増加によるところが大きい。女性が、所得の低い非正規労働を選ぶ理由として、「自分の都合の良い時間に働ける」、「家事・育児・介護等家庭の事情と両立しやすい」といった理由を挙げることが多い。また、日本では、女性が役員や管理職に占める割合が依然として低い。女性の就業は徐々に進んでいるものの、職務は補助的な役割に留まり、キャリア形成という点においては課題が多いのが現状である。 (上記グラフは、いずれも「男女共同参画白書 平成30年版」より) 日本は今後、労働人口の減少に伴う、未曽有の人手不足に直面する可能性が高い。そのため、日本の企業にとっては、女性のみならず、あらゆる世代の、または様々な国籍の人材を確保し、中長期にわたって活躍を促すことが不可欠となるであろう。したがって、多様な人材が会社や組織の中で共存する(=ダイバーシティ)だけでなく、一人一人が組織の一員として尊重され、組織の意思決定や活動に参画できている(=インクルージョン)、そして自発的に自分の力を発揮しようとする貢献意欲が高まり(=エンゲージメントの向上)、それが組織・企業の競争力を高めていくという方向を目指していかなくてはいけない。 ただ、インクルージョンやエンゲージメントを高める取組みは非常に多岐にわたり、また相互に複雑に絡み合うため、個別の取組みをバラバラに実施しても効果が見えないということになりかねない。これらの取組みを企業の競争力の再構築につなげるためには、以下の3つの観点(①信頼関係の構築、②時間・場所の柔軟性、③多様性・個別性の尊重)から、その目的やアプローチをきちんと検証する必要があると思われる。 ①    職場での信頼関係構築に役立つか   インクルージョンやエンゲージメントを高める上で重要な役割を果たすのは、「会社」というよりも個々の「職場」という単位である。職場において、社員一人ひとりが自然体でいられる、すなわち、自分の考えを自由に発言できる、そしてそれを傾聴してもらえるという安心感や信頼関係があることがインクルージョンを促す大前提となる。これは、グーグル社が見つけた生産性向上のカギである「心理的安全性」(psychological safety)と同じである。 例えば、様々な形態のオープンなコミュニケーションや情報共有、また職場内での仕事や役割分担の見える化などの取組みは、最終的には、組織と人の信頼関係の醸成に役立つものであるべきであろう。また、信頼関係の醸成を何よりも大切にすることにより、社員一人一人の能力と創造性を引き出し、チーム全体の生産性を高めることにつながると思う。 ②    時間や場所の柔軟性を向上させるか   日本では、従来、「3つの無限定性」(職務内容・勤務地・労働時間の無限定性)を受け入れられる社員に頼った組織運営がなされてきた。しかし、近年、育児・介護をしながら働く社員の増加、共働き世帯の増加、健康やメンタルを害する社員の増加などにより、この「3つの無限定性」を受け入れられる社員は減ってきている。 職場で上司が長時間労働を是認・助長するような発言をすると、様々な事情によりそれができない社員は、「自分はこの職場で100%許容されていない」と感じ、能力や創造性を発揮する妨げになるであろう。また、職場にいる人だけに情報を共有したりすると、在宅やリモートで勤務している社員は、疎外感を感じるであろう。 個人がいつ、どこで働くかについての柔軟性を高めること、そして、そのために、多様な事情を抱える人材の参画意識を高めるような環境の整備や、仕事のプロセス改善を進めることにより、誰にとっても働きやすい組織へと変わることができる。 ③    多様性や個別性を尊重する観点が含まれているか   人材マネジメントや人事制度の仕組みにおいても、近年、社員の多様なニーズをより広い視野からとらえ直したり、個々人のキャリアや能力開発、ワークライフバランスや健康などを積極的に支援したりする取組みが増えている。           i.       例えば、2010年ころより、欧米企業の一部で、いわゆる“ノーレイティング”が導入されている。これは、評価結果を処遇に結び付けるよりも、評価を通じて、頻繁にフィードバックを行い、育成・成長を促すもので、社員の個別性を重視する。日本では、評価結果を処遇に結び付ける考えがまだ強く、導入企業は多くない。しかし、既存の評価制度の運用において、クイックにフィードバックを与えるための工夫がなされることは、個々の社員の成長やキャリア開発にとって有益である。         ii.       また、報酬の面では、報酬を金銭的なものだけでとらえるのではなく、“リワード”を多面的にとらえようとする動きがある(=トータルリワード、さらにはトータルバリュー)。その会社で働くことの意義を伝えること、キャリアや能力開発の機会を提供することなどを含めて“リワード”ととらえ、社員の創造性や能力の発揮を促す、さらにはエンゲージメントを高めることを狙っている。 インクルージョンやエンゲージメントを高める施策に取り組むにあたっては、上記①~③の観点で、その目的やアプローチの妥当性を検証するとともに、現在の組織における課題は何か、本来どうあるべきか、どの領域を優先すべきか、について客観的な事実やデータで根拠づけることも極めて重要である。 また、多様なメンバーを抱えるチームにおいて、個性ある人材の自由な発想と貢献意欲を引き出し、イノベーションを起こしながら収益につなげていくという、高度なマネジメントが今後のリーダーには求められる。インクルージョンやエンゲージメントを高める取組みが成功するためには、「管理・指揮」型のリーダーから、「支援・統合」型のリーダー、すなわち、インクルーシブ・リーダーシップの存在も不可欠であることを付け加えておきたい。 今後のVUCA時代において、会社のビジョンに共感した仲間との信頼関係が構築され、柔軟な働き方ができる環境が整備され、また、多様性と個別性を尊重する風土がある組織で働けることは、個人にとって最大のセーフティネットである。また、そういう組織においてのみ、個人は、高い貢献意欲を持って自分らしく働けるのではないだろうか。また、そのようなエンゲージメントの高い社員が集まってこそ、企業も競争力とレジリエンスを備えた、強い組織になれるのではないだろうか。

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インドのデジタル技術は、業界のあらゆる領域の労働力と業務プロセス全般にすさまじい変容をもたらしている。こうした変化により、自動化や現代のテクノロジーが従業員の仕事や生活にどう影響するのか?という事だけではなく、進化し続ける労働力のニーズに企業はどう関与するのか?という疑問を会社や従業員に投じることになった。ここで、変革し続けるインドの労働力のトレンドを考察してみる。 テクノロジー主導の崩壊は未来の仕事をどのように定義するか?   インドの急速な技術の発展により、人が行う仕事の力学は予期せぬ形で著しく影響を受けることになるであろう。人と機械の関係は、プロセスの自動化や、人間の感情や知能に関する機械学習のバランスをとりつつ、絶えず進化していくであろう。研究によると、感情的知能や革新する能力などの、人の先天的認知機能は機械には代替できないとしている。未来の労働力はこうした現実を中心に形成されるであろう。例えば、インドの殆どの銀行取引はオンラインで行うことが可能な中で、投資アドバイスや富裕層向けウェルス・マネジャーとの交わりにおいては、人の要素は今でもカギとなっている。未来の技術は、人間関係の影響を向上させながらも、作業を自動化し生産性を改善する。 デジタル・トランスフォーメーションは労働力をどう変えたか? インドではこれまでは、ピラミッド式の組織構造に配置される工学系の学校の卒業生を技術系企業が多数雇用することが就職シーズンの恒例となっていた。経験年数によって組織されるピラミッドの最初の三段階(1~3年、3~6年、6~9年)は、社員全体の凡そ8割になる。しかし予算上は、この8割の人は、管理職でない社員の賃金総額全体の3割未満にすぎない。初歩的な仕事が自動化され、中級レベルのエンジニアは未来に価値を提供する為に技術スキルの構築に注力することで利益率は向上し、生産性の効率化が図られるダイヤモンド型設計にピラミッド型設計は代替されて、組織構造は著しく変化した。 ITサポートやプロジェクト管理といった技術系の仕事の役割は最初に自動化され、企業によっては15%の人員削減を招くことになる。その他の技術系分野のヘッドカウントは経験によって増員又は削減となる。技術系の仕事では、オフショア運用、ソフト試験やリリースそしてアプリケーションの開発といった分野は自動化される。しかし、データサービス、UI/UX、クラウド・コンピューティングやクライアントのソリューションを創出する為のドメイン/機能知識をもたらすファンクショナル・ソリューション・アーキテクチャは増員となる。実際、こうした分野の仕事は100%以上の増加があり、組織の非線形の成長を後押しする。企業はまた、フリーランス、パートタイム/臨時雇用、クラウド・ソースの人材、あまり知られていないコーペティション・モデルなどの非伝統的な人材のプールを取り入れることで会社の組織構造を混乱させている。 未来の労働力を巻き込む為には何が必要か? 変化し続けるビジネスモデルと減少する海外での機会により、インドの技術者たちはバリュープロポジションを推進する為に品質と中身にフォーカスしている。テクノロジービジネスは、自然とイノベーションにフォーカスし、技術的革新と人のコラボレーションが成功する環境に価値が置かれる。従業員のエンゲージメントは、マズローの自己実現論を超えて、労働者が目的意識と個人的充実を仕事に求めるという自己実現の軌道に移っていった。 インドでは、労働力をいかに巻き込むかというエンゲージメント・モデルにおいて著しい変化が起きている。例えば、キュレーション・ラーニングはフレックスワーカーやギグワーカーに新しいキャリア開発の機会を提供している。従来は垂直方向の軌道を育成するフルタイム社員のキャリアパスは、特定の層、癖、目標、野望、興味やコミュニケーションスタイルで定義される様々な個性に基づきカスタマイズされた成長経験を含むように進化している。こうした取り組みは、目標指向の報酬が持続的にそして頻繁に強化される事により、異なるモチベーションにより触発を受ける高成績者に対して価値を創出する。 例えば、有給休暇をインドの祭日と合わせることもできる。若手社員は休暇の時間を「プロポーズの日」に使用することも出来るし、管理職は休暇を「アニュアル・デイ」や、その他育児関連の休暇に使用することも出来る。フリーのエージェントやギグワーカーは休暇を使ってソーシャルネットワーキングのイベント参加する事もできる。こうした人格ベースの命題を報酬にまで拡大するとしたら、若手社員は「デート手当」に価値を見出し、管理職レベルの専門家は家族や友人との食事代が出る「エンターテイメント手当」をありがたいと思うかもしれない。そうした手当は、会社の福利厚生や「ウーバライズ」された社員には製品のディスカウントにまで拡大することができる。 インドの新しいアプリスタイルの福利厚生は学習機会だけに留まらず、従業員エンゲージメントを成功させている。福利厚生の中には、健康ポータルを通じてのウェルネスサービスや、健康・心理カウンセリングの提供、オンラインクレジットによる報酬のパーソナライズ化や特典ポイントの付与などがある。従業員エンゲージメントの未来は柔軟でカスタマイズされた特典が、個人のニーズに合わせてカープーリングからストレス管理に至るまで提供されるのだ。未来の労働力は、福利厚生のパーソナライズ化と情熱により、従業員エンゲージメントの意味を再定義することになる。それはインドにおいて、引き続き個人の充足が社会人としての成功に重要な部分を占めるということを明らかにしている。

Mansee Singhal | 24 1 2019
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世界各地のビジネスは創造的破壊の時代に入っている。例えばスターバックスなどはモバイル端末での支払いに対応するようにビジネスモデルを変えたが、アメリカの店舗では3割がモバイル端末による支払いを占める。デジタルトランスフォーメーションで起こった分裂により、ほぼどの業界においてもビジネスモデルと人材の構造の再形成がおきている マーサーの行った2018 Global Talent Trends Study – Unlocking Growth in the Human Age(2018年グローバル人材動向調査 - 「人の時代」に成長を解き放つ)によると、自らをデジタル組織とするビジネスは、差別化の組織的コンピテンシーとしての変化のアジリティーで2倍も高いスコアを取る傾向があることが分かった。1 異なる国々の大陸     世界中でシェアリングエコノミーやオンデマンド経済を取り入れる中、アフリカ大陸には古く凝り固まった世界秩序の問題と取り組む多くの国がある。実際、多くのアフリカの国々は、変化よりもこれまでに慣れ親しんだものを好む。こうした考え方は、アフリカの労働政策の前進を妨げる時代遅れの問題から受ける影響を長引かせ、政治、経済、そして文化や立法にいたるまであらゆるレベルでインパクトを与える。 興味深いことは、立法政策と各国の文化、そして国籍は、従業員の報酬や褒賞といった重要な要素を形作っている。アフリカにおいてはFrancophone(フランコフォン=現金による複数の手当)と Anglophone (アングロフォン=給与、ボーナスと福利厚生手当を含む統合されたアプローチ)の2種類の全く異なる支払い構造がある。 例えば、ナイジェリアとケニアを比較すると、支払い構造は大きく違う。 ナイジェリアのフランコフォン形式の市場では、国としては税の恩恵に基づく構造を通して報酬を統合する立法の実施を試みているが、既存の慣行と社員の期待に基づく各種の手当と報酬が要求される。ケニアはそれとは反対に、現金による手当を提供し、給与とその他の福利厚生が統合され、本質的にはアングロフォンとして特徴づけられる。 アフリカの労働市場    創造的破壊がアフリカの労働市場にどう影響しているのか?究極的には、目的をもって人を雇用する場合に雇用者側は文化的なニュアンスを考慮して人を採用することが非常に重要である。マーサーの2018年グローバル人材動向調査(2018 Talent Trends study)では、高い目的感を従業員のための価値提案(Employee Value Proposition)に深く留めることで個人のポテンシャルが解き放たれ、人を変化へと駆り立てることがわかった。目的を見つけるために、従業員は専門知識の開発、学びの機会や実験を渇望する。従業員がこうした動機付けとなることを経験しない場合、他でインスピレーションを探すようになる。実際に南アフリカの39%の従業員は仕事に満足しているが、キャリアの成長とチャンスという観点から転職を希望しているのである。 1 変更のペースを受け止める     国によっては他国よりも創造的破壊を受け入れている国もある。例えば、アフリカで2番目に人口の多い国、エチオピアでは25年前に国境を開放してからの成長は目を見張るものがある。投資の機会をより多く創出することで、エチオピアは消費者市場に横たわるとてつもないポテンシャルと低い人件費の恩恵に気付いた海外の投資家を魅了した。ルワンダはアフリカでデジタルトランスフォーメーションに成功している注目すべき国の1つで、スマートシティーに向けて技術と変遷に大きな投資を続けている。 報告によれば、創造的破壊的技術の最前線にいるアフリカの国々はビジネスが変化を取り入れているスピードで変化している。実際、90%のこうしたビジネスは今後2年間で組織的再設計を計画し、人事の幹部の46%は今いる従業員に新しい仕事で再教育を予定している。 ビジネスチャンスに合わせたスキル    変化を受け入れる意思と能力はビジネスのエコシステムにおいて生命線ともいえる。管理職の53%は、組織における5つの役割のうち少なくとも1つは今後5年間で消滅すると信じている。しかし、こうした管理職のうち従業員に対するオンライン学習コースへのアクセスを増やしているのはたったの40%で、ビジネス内で活発に従業員のローテーションをしているのはたったの26% であった。1 アフリカにおいて創造的破壊とトランスフォーメーションにより台頭したチャンスを活かす為に、国は収益をもたらす他の産業のポテンシャルに投資すべきである。例えば、戦争で引き裂かれたリビアは主に石油ベースの経済から観光ベースの経済へと変遷したドバイの例に倣って観光関連のビジネスや企業を開発することができる。 イノベーションと社員のスキル開発はアフリカの未来にとって重大である。「タレントのパイプライン管理」の人的資本戦略は、デジタル時代の未来のビジネスに合致するスキルを開発できる新しい向上心のあるアプローチを求めるようになった今では陳腐化してきている。 アフリカでは過去の遺産の課題を多く抱えるなかで、変化が必要であることも理解している。デジタルトランスフォーメーションにフォーカスすることで、大陸とそれを形作る国々は、自らの経済、ビジネスそして人の繁栄の新しい時代の到来を告げるのである。 1 Global Talent Trends Study 2018: https://www.mercer.com/our-thinking/career/global-talent-hr-trends.htm

Nicol Mullins | 13 12 2018
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世界的な人口の都市化   今後10年間で、世界のGDP成長のほぼ半分が成長市場の約400の都市から上がってくるだろう。特に、現在スキルや才能のある従業員が、現代の大都市の、職業的、個人的そして文化的な快適さに惹かれていくにつれて、都市化は現代社会の文化的そして経済的な原動力になり続ける。実際、前世紀で都市化は13%から55%へと進み、2050年までには70%にまで成長することが予測されている。しかしながらこの成長により、かつては世界で最も成功している従業員や企業の事実上のホームタウンとしてその地位が確立されていた巨大都市を、今まで見過ごされていた都市が追い抜かすチャンスが提供されているのだ。 高いスキルを持つ人材が不足しているということはすなわち、都市や企業は、ビジネスの未来を導く才能のある人材を求めてますます熾烈な競争を戦わなくてはならないということだ。このように強く望まれる従業員は、どこで働き、住みそして子育てをするかを決める時に、人的そして社会的要因の重なった優先順位を持つため、人口の都市化に新たなトレンドを起こしている。『人が第一:新興国メガシティの成長を推進する』と題されたマーサーの新しい調査では、15の新興メガシティにおいて従業員がなぜ「生活に対する満足感」を最も重要な要因と捉えているのかを探り、そして、最高の人材を惹き寄せるために、安心・安全やその他の職務的に重要な要因や地域に限定的な条件がどのように影響するかを分析している。 このマーサーの調査は、7ヵ国(ブラジル、中国、インド、ケニア、メキシコ、モロッコ、そしてナイジェリア)の7,200人の従業員および577人の雇用主にわたって行われている。このレポートでは、今日の従業員達の間に広まっているニーズや、どこで働き、そしてなぜそこを選ぶのかということについてのモチベーションや懸念事項を詳しく調査している。レポートでは同時に、雇用主やメガシティがそういった従業員やその家族のニーズを満たすことができるのかということも分析している。高いスキルを持つ人材が少なく人口の都市化が進んでいる世界で、雇用主や都市は、その存在について重要な質問をしている。「プロフェッショナルを特定の都市に移住させるものは何か?雇用主や都市はどうしたら、新たに出現したホットスポットに、勢いのある新興企業や将来的なユニコーン企業そして世界的なブランドから望まれるようになり、優秀で高レベルのスキルを持つ従業員を惹きつけることができるのか?生産性の高い従業員は、雇用主や拠点となる都市に対して、実際に何を求めているのか?」 明日の都市でよりよい生活をしたいという欲求     マーサーのレポートでは、人々の優先順位を認識し取り込むことの重要性を明らかにしている。企業はあまりにもしばしば、ビジネスとその拠点となる都市において潜在的な成長を解放させる鍵となるのはキャリアと雇用の機会を創出することだという思い込み(雇用主のランキング1位)の下で運営をしている。企業はまた、仕事に対する満足度が都市を繁栄させる重要なもう一つの要因に違いないという印象(雇用主のランキング3位)を持っている。このような誤解のある結論は、企業やメガシティにひどくコストをかけさせ、現代のグローバル経済の競争を勝ち抜くための力を弱体化させるかもしれない。 調査の一部において、マーサーは従業員に焦点を置き、それぞれの回答者層、世代区分、キャリア向上、生涯学習への傾向、経済的安定レベルに基づいた細分化調査を行った。レポートでは従業員の「生活に対する満足感」を、人・健康・資産・仕事という、4つの鍵となる基準を使って説明している。各従業員セグメント固有のニーズや価値観を明らかにすることで、高成長都市の雇用主や政府が高いスキルを持つ人材を惹きつけ維持するのに必要な、有益な見識を得ることができる。 昇進の機会や仕事の満足度は経済的に良い暮らしをするために重要ではあるが、従業員達は、家族や安全そして環境的な要因こそが、感情面でのストレス度合やライフスタイルを維持すること、そして個人の健康に影響を与える要素として、より重要なものと位置付けている。下の図は、「生活に対する満足感」の様々な構成要素について、雇用主と従業員の間でいかに大きな食い違いがあるかを表している。     すでに確立された強い拠点を凌駕すること     上海やソウルなど、世界は力のあるメガシティが世界経済に及ぼす影響についてとてもよく理解している。しかし、このような都市の驚異的な成功というものは、その都市の将来的な成長を限定してしまう問題の一因ともなる。急騰する家賃や生活費、手に負えないほどの人口増や汚染の進度、入手しにくい手ごろな価格の介護サービスや教育、長くなる通勤時間に劣化していくインフラ、これらのすべてが、現代的な従業員がどこに住み子育てをするかを決めるにあたって探し求める快適さを、いつの間にか半減させてしまう。それとは対照的に、新興の次世代都市は現代の従業員のニーズに合わせて成長する(ニーズを受けてから対応する、ではなく)のにより適している。 企業やメガシティというものの強さというものはつまり、そこにいる人々の強さである。すでに確立された強い拠点と競い世界経済において素晴らしい存在感を打ち立てるためには、新興のメガシティはスキルを持つ従業員からの職業的、個人的そして文化的な要望すべてに対し、積極的に応えなければならない。調査では、15の現在そして将来のメガシティでいくつかの共通点があるものの、人・健康・資産・仕事というカテゴリーに分けてパフォーマンスを見た時の重要な違いを明らかにしている。レポートでは都市を従業員の期待に応える能力に応じて、先進的・発展中・台頭中という3つのグループに分類している。   これら15の新興メガシティには、1億1,300万人以上の集積された人口、力強い推移が予想されるGDP、年間40億ドル以上の国外からの直接投資、そして今後10年にわたって新たな消費者が100万人に到達すると予想される人口成長の軌道がある。これらの成長経済は、新たな世界経済の最前線を象徴している。もしも、これらの15の都市におけるビジネスリーダーや政策決定機関、インフラの設計者が彼らのリソースを調整し、「従業員の声」を彼らの決定や計画のプロセスに組み込めば、居住決定をうながす人的そして社会的要因をうまく示すことができるだろう。従業員人口の各セグメントにおける固有のニーズや欲求そしてモチベーションへの理解を深めることで、企業は、最高の人材をより惹きつけ維持するために提供するものやプログラムを用意することができる。そして従業員一人ごとに、すでに確立された拠点を凌駕することができるのだ。 コラボレーションの新時代     雇用主も次世代のメガシティも、単独では「生活に対する満足感」を供給することはできない。スキルのある従業員が望むのは、企業と都市政府が協力して初めてもたらされるリソースだ。企業のソートリーダー達と為政者が、デジタル化やグローバリゼーション、現代のヘルスケアや、将来を見越した家族が価値を見出すことができる教育環境を提供するような、新たな政策や構想を作り出し実行しなければならない。コラボレーションの新時代を強固なものにするにはまず、従業員個人及び集団的な人材の声や関心を高めることから始めることだ。雇用主や新興のメガシティは、従業員がどのように暮らし、働き、仕事をしそして学びたいのかを十分に理解しなければならない。 もちろん、すべての雇用主やメガシティが同じではない。周囲のコミュニティや季節の変化、個人の状況(健康不安など)、人生の夢、あるいは職場や学校から自宅の距離が近いことなど、従業員のニーズは様々だ。伝統的なビジネスのダイナミクスを超えた考え方や従業員の複雑なニーズを優先することには、新鮮な思考を要する。発奮させるようなアサインメントやリテンションボーナス、出張手当などは、限られたインパクトしか持たない。企業やメガシティは、従業員を育む環境を作り出さなくてはならず、それは彼らが働き、家族を支えそして地域に密着する新たな方法のある生活を追い求めることができるものでなければならない。 官民の効果的なパートナーシップによって、大きなスケールで改善を促進し向上を加速することができる。従業員やその家族が成長することができる環境を作り出すことで、企業や政府は、すべての人にとって継続維持できる経済成長を作り出し、彼らが惹きつけようとしている従業員の将来的なニーズに対処することができる。例えば、手ごろな住居がない、地域の交通に問題がある、育児や高齢者介護の利用といったことは、従業員の生活の満足度に直接インパクトを与える。そういった複雑な課題の深刻さや全体像を明らかにするためには、雇用主や次世代メガシティは、他の企業や市民社会と協力し、従業員やその家族に報いる戦略を発展させる組織を支えるべきだ。こういったことができなければ、取り残されるかもしれない。 企業や自治体が人材への戦略を加速し商業的な利益を上げるにはどうしたらよいか、さらに推察や実務的なアドバイスを得るためには、『人が第一:新興国メガシティの成長を推進する』をご覧ください。

Pearly Siffel | 06 12 2018
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グローバル化により金融サービス業界の形成が続いている。企業は事業の国際化を余儀なくされ、世界中にその影響の及ぶ範囲が拡大している。 世界金融危機後の時代、金融サービス業の殆どはその企業構造とグローバルフットプリントを綿密に検討している。最近では、ブリテックスや浮上する貿易戦争の影響で、金融サービス業は長年に渡り力と名声の上に築き上げられた業界を刷新する可能性のある非伝統的な場所に立地選定を検討している。金融ハブとして崇められてきたロンドン、ニューヨークシティーや東京は、歴史における名高い評判とストリート・クレディビリティはある。しかし、コスト意識が高く鋭敏で非集中的になっている世界にとっては、信じられないほど高価で過密な場所になる。 こうした傾向に拍車をかける重要な別の要素として、従来のビジネスモデルや金融業界におけるこれまでの顧客との関わり方の崩壊を約束するフィンテック(FinTech)業界の発展がある。フィンテックは、モバイルペイメントやP2Pの貸借取引の簡素化、株や暗号通貨への投資方法の現代化やその他のインターネットベースの金融取引を個人のスマートホンで実行するといった、大手銀行と顧客の関係に対して、先端のプラットフォームとアプリを通じて革命を起こす準備を整えている。特に、こうした業界の非集中化は新興経済国にとって前代未聞の成長のチャンスが訪れる。異なる州、国や文化のどこでどのように新しい存在感を確立するかの判断には、拡張したベンチャーのみならずブランドや企業の全てを予告なく壊滅できる決定的因子の複雑な絡み合わせを必要とする。 複雑な状況を理解するカギはその中心的要素を解体し、こうした要素がどうお互い関係し合い、成功または失敗を導くかをあらゆる角度で検討することである。金融サービス業において、効果的な立地選択には不動産や国際税法、そして環境技術やサプライチェーンのロジスティックスと全てに至る専門知識と適格性の多様な陣列を提供する結合力のあるチームを必要とする。このレベルの知的洗練の操縦には並外れた努力を必要とする。金融サービス業がその課題を回避できなければブランドにとっては恒久的なダメージとなるコスト高な経費を回避する為の立地選択における7つの課題を次に示す。 1. 文化的相違:異文化コミュニケーションは、異なる人々が同一の相互交流を経験するが、その経験から全く異なる感想と結論を持ち去る為、様々な目に見えない予期せぬ挑戦が余儀なくされる。立地選択は現地の事業許認可の規定や規制、建設やユティリティの問題、その他労働法、政治的問題や財務プロトコルといった文化的にデリケートな課題といった込み入ったトピックについて徹底した話合いを必要とする。立地選択チームのメンバーは全員が選ばれた地域の言語に堪能でその文化に長けていなければならない。 2. 要件定義の不足:立地選択はそれぞれが特有で、独自の挑戦課題や障害がある。金融サービス業は足場の拡大と株主に好印象を与えることに熱を上げ、重要な詳細を頻繁に見過ごすことがある。スマートな立地選択チームは、場所の発見から最終的な交渉に至るまで、そのプロセスにおいて終始要件が明確に定義され優先順位がつけられていることが保証されるよう内在のチェックアンドバランスに依存する。同時に、各立地評価で確認が必要な決定的要件範囲の遵守において、複数の立地を検討はチームを支援する。もしも、最初の要件で明確な定義や描出がされない場合、プロジェクト全体が危険にさらされることになる。 3. 透明性の欠如:立地選択にはそれが常に生産的方法で一致し繋がるとは限らない眩暈がするほどの数の人、意見そして専門的な洞察が関与する。コミュニケーションの崩壊はプロセスの全ての段階に影響し、その是正には予算のない時間とお金を必要とするコスト高という過ちの結末を招く。立地選択チームは、全ての基準に客観的な事実とデータに基づき評価される計画書が用意されている事の確認が必要となる。人は誰しもが誤りを免れない。よって、立地選択チームは、データソースの完全性と透明性、リサーチの手順と普及と情報分析を保護する厳しいガイドラインに従わなければなない。 4. 不完全な調査:立地選択は広範囲のステークホルダーに影響し、各ステークホルダーから慎重に意見を聞く必要がある。リサーチが不完全になる場合の多くは「全て」のステークホルダーの完全な関与を募ることが出来なかった結果で、誰の目にも明らかという理由だけではない。受入国や地方自治体及びその規制当局の意思決定者と住民に加えて、立地選択チームは近隣の地方自治体、労働及び経済開発機関、そしてその他の関連のコミュニティ、政治又は業界団体などを考慮しなければならない。こうしたステークホルダーの優先順位に早期に対処することが立地選択を成功させるカギとなる。 5. オペレーション全体への影響の理解:立地選択は資源集約的な努力である。企業にとって立地選択のプロセスが既存の優先順位や事業に与える全体の影響を過小評価することは容易い。人的資本、技術又はその他の資産の小規模のリロケーションであっても、重要なルーチンや関係を中断させる形で企業やその外部パートナーに反響が及ぶ。立地選択のプロセスを開始する前に、企業は立地選択の手順により最も影響を受ける人とプロセスを特定する為のストレス試験を実施すべきである。 6. 不適切な見落とし:効果的なリーダーシップは立地選択プロジェクトを成功させるカギである。立地選択の意思決定に多くの団体や個人が貢献するようになると、ワークフローサイロ、データの断片化、業績基準(パフォーマンスベンチマーク)に影響を受けやすいオペレーションになってしまう。立地選択チームは要件の定義、コミュニティの評価、租税/不動産分析と最終的な立地買収に至るまで各レベルに対する責任をもつエンティティを持つ必要がある。その後の協議と決断の堕落からデータ又はプロセスの崩壊を防ぐ為に、監視メカニズムは一番最初から実施されなくてはならない。 7. ブランドの品格:金融サービス業のグローバルフットプリントを増やす為の業務拡大は非常に公的で、コスト高の注目を浴びる追求である。立地選択の失敗のニュースはすぐに業界中そして世界に広がる。金融サービス会社で「それにしくじる」会社はそのブランドアイデンティティにとって壊滅的なダメージに苦しみ、無能で経営のお粗末な意思決定を誤った会社と受け取られるようになる。立地選択チームはメディアと共に立地選択の効果と利益に関する語り口を導くことを行うべきである。「それにうまくいく」会社はブランドを競合他社よりも高い位置に押し上げ、良く練り上げられた立地選択のオペレーションの上に将来のビジネスと利益を築くことができる。   最後に、金融サービス会社は立地選択の各プロジェクトには柔軟性、先見性そして学習意欲を必要とする非凡な努力を要することを覚えておく必要がある。同じ戦略、一般的な同じ質問は失敗への温床となるだけである。一方で、偏見のないダイナミックな包括的戦略は課題を早期に特定し、現実的なソリューションを可能とし、プロセス全体を最適化する。状況認識はチームの全メンバーから常時観察されなければいけない。結局のところ、立地選択の成功は、人が場所に優先する立地選択と言える。

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人間は生来文化的偏見を持つ性質があります。経済学や心理学、考古学を含む人間科学で見られるように、文化的なバイアスは「自身の文化的嗜好に伴う基準、または特定の文化における規範に従って事象を判断および解釈する過程1」であると定義されています。 ある文化では視線をそらすことは責任回避しようとしている、または内気であると解釈されるのに対して、別の文化で尊敬の表れだと解釈されるのは何故でしょう?また、アルゼンチン生まれの人々がサッカー選手のリオネル・メッシ選手仕様のジャージを着るのに対して、大西洋の対岸ではポルトガルのクリスチアーノ・ロナウド選手があがめられているのはなぜでしょう?韓国ではスープを飲む時に音を立てて飲むのが普通のことであるのに対して、他の国ではテーブルマナー違反とみなされるのはどうしてでしょう?英語の文章は左から右に読むのに、アラビア語などの文字は右から左に読まないと意味をなさない理由は?これらの事は文化的なバイアスがかかっているのです。私たちを取り巻く環境は、私たちが世界をどのように見つめ、どのように関わるかに強い影響を及ぼします。 しかし、コンピュータープログラミングのような大規模グローバル産業が単一の文化的視点で支配されるとしたら、何が起きるでしょうか。米国はコンピュータープログラミングの国際的なリーダーですが、最近のスタック・オーバーフローによる調査では、米国内のコンピュータープログラマーの85.5%は男性であり、このうち、大多数が白人だそうです2。プログラマーたちがAIの最前線でコードを作成していることを考えると、これが意味することは、白人男性の経験および感性がデジタル世界とAI分野の未来を定義付けていくということでしょうか。その答えは、YesとNoの両方です。   プログラミングの均質性の問題   異性愛者の白人男性がアルゴリズムを開発する際、必然的にそのAIはその開発者の特定の視点を通して世界を見ることになります。この元々の開発者の知的DNAを基盤として、このAIプロジェクトは発展し、インプットとデータを処理し、そして学習し続けることになります。人と同様に、限られた人生経験は、ますますグローバル化が進む世界の、想定外の問題や困難の中で、大きな損失となりかねません。 文化的バイアスは、予想もしないところに潜んでいるのです。例えば、ウォールマートが中国に進出した際、13億人を対象に小売店サービスを展開するというビジョンはすぐに行き詰ってしまいました。なぜなら、中国の消費者は米国の消費者と違って、国内の街ごと、地方ごとでニーズも好みも違うことがわかったからです。ウォールマートは、事業展開していた117の都市に向けた商品の取り合わせの正解を見つけることができませんでした。これに、先が見えない政治的困難およびインフラの不備と相まって、同社の最先端の効率的なサプライチェーンシステムが混乱を極めました3。 文化的バイアスは、高校の試験で問われるような歴史的問題から笑える冗談、果ては美しさの定義まで、全世界のほとんどすべての文化に微妙なニュアンスを持ちながら根強く存在するのです。機械学習とAIは、私たちの社会で急増し、影響を与え続けます。「私たち」、つまり業界の専門家、ビジネスリーダー、政府機関などは、プログラミングの均質性が私たちの感性、視点、優先順位を定義する上で担う役割について注意しなければなりません。 プロジェクトマネージャーとコーディネーターは、文化的バイアスがプログラミング過程で破壊的な影響を与えないようにするプロトコルを確立することが必要です。戦略検討の最前線においてダイバーシティを優先させることは必須です。多くの場合、文化的バイアスは目立たずほとんど目に見えませんが、何年も後に先見の明、認識そして共感が驚くほど欠如していたということが露見するのです。究極的な損害は高くつきます。マーサーのAccelerating for Impact:2018 Gender Inflection Point(ジェンダー変曲点)には、『調査では、無意識の偏見とは人間として普通の特徴ではあることが示されたものの、時に男性、女性、そして彼らのキャリアに関する決定が、実績、スキル、才能に対して報いるという組織のゴールに沿わないことがあるかもしれません4。』と書いてあります。 ここ10~20年に至っても、社会で年々高まっている、ダイバーシティと、あらゆる民族、性別、文化的背景を包含するインクルージョンを望む声に対して、どれだけの政治的方針、企業方針、そしていわゆる「文化的規範」がその高まりに対応できているのか、お考えください。事業の運営は絶え間なく変化しているのです。機転が利き、進歩的な考えを持つ企業は、文化的バイアスに対する最強の対抗手段はダイバーシティ、つまり多様な考え方、経験、経歴、信条、視点であるということを知っています。知性と創造性の豊かさが一体となって影響力の相乗効果を引き出し、文化的バイアスがプログラミングの結末を決定づけることを抑制します。簡単に言えば、ダイバーシティはAIにおける長期的な成功のカギだということです。   ソリューションは、最初から始めなければならない   プログラミングの均質性を防ぐために雇用主が取り組める対策があります。まず雇用者は、将来のビジョンが欠落すると競争力の低下につながることを認識し、プログラミングにおけるダイバーシティの欠如は責任問題であることを自覚するべきです。アップデートされた内部ポリシーとプロトコルは、AIの機能とそれが与える業界およびお客様への影響をふまえたビジネス目標と合致している必要があります。これはプログラミングの運用全体においてダイバーシティを構築することを意味し、それによって広範囲にわたる能力や視点、そしてアイディアが絶えず比較、改良され、命が吹き込まれていくのです。 次に、雇用者はテクノロジーの力そのものを活用しなければなりません。機械学習によって、コンピューターが「AI トレーニング」を使って独自のアルゴリズムを作り上げるように教え込むデータセットが作成されます。 そしてその後、機械は教え込まれたことに基づいて、完全に「新しく」オリジナルの合成物を作ります。つまり、最初のダイバーシティが、アウトプットにおけるダイバーシティという結果になるということです。その事業会社が多様性がある包括的な開発コミュニティーを持つ場合、普段見過ごされているような組織的問題やチャンスに潜在的に影響を及ぼす多様な問題をより反映したツールを作ります。均質性に影響されたプログラミングの罠にかからないためには、最初から始めましょう。   結論:成功に導くための包括的なAI分野   人とテクノロジーの融合が仕事の未来を定義付けますが、人的要素は常に進むべき道を明るく照らすでしょう。この進化し続ける状況において競争優位性を構築するためには、人が技術に及ぼす影響を評価し、人間の行動を導くものは人間性であることを忘れないことが必要です。効果的なデジタルトランスフォーメーションのためには、多様な視点の力へのコミットメントと、障壁のない開放的はAIの世界が広がるにつれて人間および人の経験がどのように進化するのかに対する理解が必要です。 結局のところ、異なる視点や経験を持つ人々が協力して問題を解決するとき、結果は素晴らしいものになり得るのです。ダイバーシティは、創造的プロセスとアイディアの相互交流につながるカギであり、現代の発見をけん引します。あらゆるプログラマーが勇敢な探検家であり、彼らの発見は世界中にいるプログラマーたちの才能と貢献に繋がっているべきなのです。   1 文化的バイアスの現象を事例で理解する https://psychologenie.com/understanding-cultural-bias-with-examples 2 スタック・オーバーフローデベロッパー調査2017 https://insights.stackoverflow.com/survey/2017#overview 3 Walmartが中国への進出に失敗した理由 http://fortune.com/2016/02/21/why-walmart-stumbled-on-road-to-china/ 4 Accelerating For Impact: 2018 Gender Imperative https://www.mercer.com/our-thinking/when-women-thrive-accelerating-for-impact.html

Amy Scissons | 02 10 2018
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何十年にもわたり組織は非常にエンゲージメ ントの高い社員がもたらす恩恵を認識し、理解を深めようとしてきました。マーサー | シロタが Engagement InstituteTMと共同で実施した最近の研究「エンゲージメントのDNA:組織がエンゲージメントの高い文化を創造・維持する方法」 では10人中9人のシニアリーダーがエンゲージメントは重要であると考え、10の組織のうち8つの組織が正式なエンゲージメントプログラムを既に導入していると回答しています。エンゲージメントは明らかに重要なフォーカスエリアになっていま す:組織は従業員のエンゲージメント向上のために年に約10億ドルの予算を投入していると推計されています1。しかしながら、従業員エンゲージメントにこのように巨額の投資を費やしており、また従業員エンゲージメントの推進に利用できるさまざまなアプローチが存在するにもかかわらず、 ほとんどの組織は未だに、エンゲージメントの課 題克服における進捗状況に不満を感じています。 実際のところ、調査の結果、マネージャーがエンゲージメント調査のデータに対して望ましい結果を達成するためにはどう対応すればよいかを知 っていると思う、と回答したHRリーダーは50%に留まりました2。 ではどこに問題があるのでしょうか。関連するデータや洞察の不足でしょうか?従業員の意見を聞き、その懸念を理解することができないのでしょうか?それとも、組織はただデータを収集するだけで満足し、良い結果を生むよう意図された行動計画の実行を怠っているのでしょうか?当社は、さまざまな利害関係者(ビジネスリーダー、HRリーダー、最前線のマネージャーや従業員)と議論する中で、エンゲージメントレベ ルの高い組織が人事的課題に取り組む方法と 従業員を関与させるために使用する無数の方 法には、それぞれ違いがあるにも関わらず、1つの点は共通であることに気が付きました。それは、エンゲージメントレベルの高い組織はエンゲージメントへのアプローチの基軸を1つの重要な価値「共感」に据えているという点です。 中には「従業員の職場での体験をより良く理解するために従業員エンゲージメント調査を実施するということ自体が、つまり共感的になっているということではないか」という人もいるでしょう。ある程度はそうも言えますが、現実的には、調査は最初の一歩に過ぎません。共感の原則は調査プロセスのみならず、従業員エンゲージメントの過程の全場面に適用されるべきで、特に行動計画などの調査実施後の関連する対処への適用が重要となります。 デザイン思考を採用して共感的になる   従業員エンゲージメントへの共感的アプローチは概念的には比較的単純だと思われるかもし れませんが、効果的に実施するためにはほとんどの組織が既に採用している最も伝統的な方法からの大胆な変更が必要となります。 共感的な、エンゲージメントレベルの高い組織を作るという目標を達成する方法をより良く理解するために、マーサーは人を中心にしたデザイン思考を取り入れることで、エンゲージメントの課題に対処し、従業員エンゲージメントの専門家となっている一流組織と協働しました。デ ザイン思考の枠組みは数多くありますが(良く知られたところでは、スタンフォードやIDEOなどが提唱)、すべてに共通するのが、従業員を中心としたアプローチの整備における主要な三段階、つまり、模索、創造、実現です。この三段階は 以下の通り概説されます: 模索段階 従業員やその他の同組織に属する利害 関係者、ならびに問題の背景について詳細を知る 把握した事項と様々な立場にある人から話を聞いた内容を統合する 創造段階 過去のステレオタイプから離れ、画期的なアイディアを構築するため繰り返し考察する 学習するためのプロトタイプを構築し、アイ ディアを改善するための土台を提供する 実際のユーザー、つまりこの場合には従業員にアイディアとプロトタイプを試してもらう 実現段階 選択した解決策を実施し継続的改善に焦点を当て続ける     模索段階   第一段階は、さらに発見と定義の2つのステップに 別れます。 発見 従業員エンゲージメント調査を使用して従業員からのフィードバックを収集することは、組織が従業員の固有のニーズを模索し、従業員が価値を認めるものを発見するのに役立ちます。従業員エンゲージメント調査の結果は、ビジネス上の目標を達成するだけでなく、従業員のニーズに真に対応する意義深い行動をデザインするために、組織がどこに共感する必要があるのかを示します。 このステップにおけるその他の重要な要素は、説得力のある問題提起をすることです。優れた構成の従業員エンゲージメント調査は将来の方向性を示す問題の中核的要素を特定します。中核的要 素には以下が含まれます: 誰が — 問題に最も関連性の高い特定の従業員セグメントを明らかにする 何が — 問題により生じる影響を理解する いつ — 調査を複数回実行することでその影響がプラスなのかマイナスなのかにかかわらず(例えば人員減や離職率など)特定の従業員動向がいつ生じたのかを特定する どこで — 問題が発生している場所を特定する なぜ — 統計分析を使用して従業員エンゲージメントを変動させる要素を特定する   定義 組織は収集した情報をすべて統合する必要があります— こうして知り得た情報を活かし、パターンを特定し、意義を見出し、自社の従業員動向の全体像を描きます。またこのステップで組織は、全般的従業員エンゲージメントアーキテクチャの基礎を策定し始めます。発見した事柄を従業員の体験というストーリーに変換することで、問題の根本を特定し、それを今後どう解消していくのかを明確にします。ストーリーはシンプルなもので構いません。例えば私が先日対応したテクノロジー企業では、従業員に高い自律性を提供し、実験的アプローチを会社のプロセスに組み込むことで従業員のエンゲージメントに成功しました。これは単に 経済的報酬を得ることだけでなく、革新する機会を提供されることでモチベーションが上がる傾向がある従業員には効果がある方法です。 組織の共感性を高める主要な部分は、従業員の過去の経験のマッピングと将来の経験の予想図を通して従業員の体験の分析を強化することです。その目的は時間の経過に沿って従業員の体験がどう変動するのかを把握することです。この他にも以下に挙げる要素が追加される場合があります:ハイポイント(
従業員から最も高い評価を獲得した瞬間)、ブレー
クダウン(人により受容の度合いが大きく異なり、一部の従業員からの評価を下げることにつながった瞬間)、感情(雇用主が従業員の人物像を定義することで予測できる特定の変更に対する従業員の心理的
反応)、タッチポイント(組織における従業員の体験全体のさまざまな部分とのつながり)。これは各組織に固有のエンゲージメントの基礎的部分を理解し、従業員のエンゲージメントを促進するプロセスを明らかにする上で役立ちます。また、従業員の体験のさまざまな構成要素同士を繋げることを可能にします。つまり(従業員との直接のやり取りに関連する)フロ ントステージから(エンゲージメントプログラムの導入を成功させるために必要な舞台裏の準備を含む) バックステージを結び付けます。 従業員の過去の体験を効果的にマッピングし、将来を想定することで以下が可能になります: 従業員の体験と使用されているシステムに関する明確な概要を提供する(業績管理や学習と開発など) カテゴリー間(例えば、報酬と俊敏性)や組織内関連グループ(マネージャーと従業員など)のコミュニケーションを促進する 特定の事柄が機能していない場所を見つけ、最も適したオプションを特定するために優れた改善と意思決定への支援の機会を示す     創造段階 ほとんどの組織が従業員の声とニーズに耳を傾ける ことに積極的であるものの、行動計画は未だに「閉じられた扉」の向こうで行われることが一般的で、そのため真に共感的になり得ていない。創造段階は利用可能な解決策を協力して特定するためのアイディアの発散と収束の段階、そして、模索段階からの結果の上に構築する段階です。この段階の「観念化、プ ロトタイプ、テスト」の3つのステップは循環的サイク ルとして機能します。 観念化 アイディアの創造において真に共感的であるために、エンゲージメントレベルの高い組織は従業員を行動計画策定に巻き込んだ参加型のデザインアプローチを採用しています。こうした組織は従 業員は重要な知識を提供できる存在であるとみなし、自らのニーズにどう対処すべきかについて、自分自身を表現するための適切な手段を提供された場合には、正確に表現できると認識しています。究極の目標は従業員それぞれに、組織で経験した独自のス トーリーを話してもらうことです。 これは効果的な従業員エンゲージメントプログラム策定の中核として機能し、多くの利点を提供します: 既存の解決策を超越することで革新的になる潜 在性を高める 従業員の多様性に富む見地と集合的知恵を活かす 模索する価値のある予期していなかった知識を 発見する イノベーションのためのオプションを増やし、柔軟性を高める 創造されるアイデアを所有しているという感覚をもたせる プロトタイプ 従業員のエンゲージメント行動計画の観念化が完了したら、最も有望なアイディアに注目しながら、共感性と革新の可能性を損ねることなく、組織を最善の解決策に導くのに役立つ質問に回答するためにプロトタイプの構築が重要になります。従業員エンゲージメントのための行動のプロトタイプは従業員の関与を促進するものである限り、形式に縛りはありません:従業員が ゲームとして楽しむコンセプトのストーリーボードやすべてを取り込んだガジェット、もしくはロールプレイング活動などさまざまな形式の活動が挙 げられます。プロトタイプはシンプルなもので構いません ̶ 手の込んだ詳細なものである必要はありません。解決策を示すいくつかのポイントや実施される手順を概説するだけで構いません。重要な点はプロトタイプが共感のアイディアをサポートし、従業員が実際に体験できるものであるという点です。 プロトタイプ作成プロセスをガイドする4つの原則: とにかく始める — 先延ばしにしない。従業員
エンゲージメントに関して何を行うか明確な考え
がなく、詳細が不明な場合でもそれらに阻止されてはいけません。何らかのメモやアイディアがあるだけでプロセスを進行するには十分です。 明確なインジケータを探す — プロトタイプは 一定の変数(例えば、業績評価と昇給や企業年金基金への会社の拠出比率を結びつけるかどうかなど)が含まれる特定の質問に対して回答することを可能にするため重要です。こうした変数は次 のステップまたは行動(変数の関係を強めるのか方向性の変更を決定するか)を支援するための根拠として機能します 考えを破棄する用意を整える — プロトタイプは絶対の解決策ではありません。従業員のエンゲージメントを高める方法は多数あります:組織は 1つのアイディアや解決策に固執しすぎることなく、他のオプションを模索することにもオープンな姿勢を保つ必要があります。 従業員に注目し続ける — 「従業員が求めるものとは?」と問い続けることが重要です。この質問への答えは有意義な従業員からのフィードバックを収集することでプロトタイプの作成に焦点を当てるのに役立ちます。こうした従業員からのフィードバックは、繰り返し行われる過程で情報を提供し次のステップにつながります。 クラウドソーシングキャンペーン: 会社は従業員に対し、人事プログラム(例えば、外部で行う社内行事や福利厚生プログラム)のための予算確保に参加するよう奨励します。その方法は金銭的価値はないものの、社内通貨として機能する仮想トークンを使用して特定のイベント案やイニシアチブに「投票」するよう依頼するというものです。例えば、人事プログラムのためにシニアリーダー1人当たり100米ドルの予算がある場合、シニアリーダーは最も有望なプログラムを特定し、会社がこうしたプログラムにどのくらいの予算を割り当てるべきかを決定するために、従業員向けに50米ドルの仮想トークンを発行します。会社の資金の用途に対する従業員の考えを組織に示す機会を提供し、従業員が予算の決定により直接的な影響力を持てるようにし、どういった体験が最高の結果と価値をもたらすのかについての意見を表明する機会を提供することで、従業員のエンゲージメントを高めます。 見せかけの扉: 見せかけの扉とは通常、従業員エンゲージメントイニシアチブまたはプログラムに対する行動を依頼するシンプルなウェブペ ージを指します。多くの場合従業員は「詳細を 表示」または「参加登録」といったボタンをクリックするよう促されます。組織はその後、さまざまなエンゲージメントプログラムに対する従業員 の行動と反応を追跡できるため、どのプログラ ムが最も多くのクリックレートを獲得したか、もしくはどのプログラムの訪問者数が最も多かっ たかなどを判断することが可能で、従業員の関心に最も適合するプログラムを理解する上で役立つ価値あるデータを提供します。 オズの魔法使い: このシナリオでは、従業員は自分がどの従業員エンゲージメントイニシア チブに参加しようとしているのかわかりません。代わりに背後でフィードバックが収集されます。例えば私が最近対応した小売企業では、従業員はカスタマーサービススキルの改善に繋がるより良いトレーニングアプローチを希望していました。そのため、企業は最善のトレーニング実施方法を探るため、新しいオンラインプログラムを作成しました。この会社は、従業員との最適な通信回数などを判断するためにテクノロジーの使用を精査することを希望しました。従業員がオンラインプ ログラムを受講する中で、従業員の行動と応答(例えばプログラム内の1つのページから次のページ への移動方法など)が指導、モニター、記録され、トレーニング実施方法のデザインを形成し、洗練させる上で生かされました。さまざまな変数に対して テストを実施し、テスト結果に従ってトレーニングの デザインを採用することで、この小売り企業は従業 員のニーズに最適なトレーニングをカスタマイズす ることに成功しました。 テスト プロトタイプが現実的な解決策になるこ とを確認するために、テストを実施する必要があります:従業員からプロトタイプに対するフィードバックを引き出し、従業員エンゲージメントへのフォーカスを強化します。またテストは循環的サイクルをサポートし、言うまでもなく最も適した解決策を特定する上で重要です。 テストへの共感的なアプローチは循環プロセスの中で従業員のフィードバックを収集し、従業員エンゲージメント行動計画のデザインを形成する上での一助となります。「マイクロパイロッティング」 は1つの有用な選択肢で、市場の最新動向であり、従業員のフィードバックを取得する優れた方法です。マイクロパイロットの実施には多岐にわたる方法があります。私がエンゲージメントレベルの高い組織と仕事をしてきた経験から得た、いくつかの例を以下に列挙します。   実現段階 従業員エンゲージメントプログラムの実行段階で 共感性への焦点を維持するために、開発には一貫性が必要で、すべての利害関係者は継続的学習のアプローチを採用する必要があります。実現段階で成功している組織は共感的アプローチには真のインパクトがあり、従業員エンゲージメントの取り組みは本物でなければならず、単に見世物として構築 されるべきではないことを理解しています。そしてさ らに重要なのは、従業員エンゲージメントプログラ ムは「実行可能」かつ「学習可能」でなければなりま せん。   実行可能   o 参加型:従業員が導入に参加している。 o 当事者意識:従業員エンゲージメントの推進の責任はリーダーシップとHRのみが負うものではありません。この重要な責任は一般従業員にも委任されている。 o 透明性:従業員は従業員エンゲージメントプログラムの全側面に関し明確に理解し ている。 o 応答性: 従業員エンゲージメントプログラ ムは重要な要素を捉えるようデザインされている(例えばボーナスに関連するコミュニケ ーションや昇進の決定、または会社からの退職など)。 o 包括的:従業員はエンゲージメントへの取り組みに個人的な利害関係があると感じており、誰も疎外されているとは感じていない。 o ルールに基づく:インセンティブやその他 の行動に対する結果が生じるようにすることで、行動を強いるために公正な方針の枠組 みを導入し、特定された従業員エンゲージメント対策が適切に導入され、希望した通りのインパクトが達成されていることを確認できるようにしている。   学習可能:   進歩的な調査デザインとは?エンゲージメントのレベルの高い組織は、1度のみ実行する従業員エンゲ ージメント調査を作成することはありません。こうした組織は定期的にエンゲージメント調査を実施し、 従業員の意見を継続的に聞けるようにします。調査に用いられる質問の数は通常限られているため、 優れた調査の体験を提供できるよう、現在の状況を反映する適切な質問を選択することが非常に重要です。調査の質問は、全般的な戦略に沿った内容で、長期的な目標を視野に入れつつ、組織内で変革 が自然に進展していく過程に合わせて策定される必要があります。シニアリーダーが組織の変革が従業員にもたらす影響について知りたいと言う場合には、調査の質問は革新的な変化に対する従業員の反応を的確にとらえる質問でなければなりません。 例えば、組織の変革が進む中で調査の質問は、初期段階では従業員の変化に対する意識について尋ね、その後の調査では、従業員の変化に対する理解やコミットメントについて尋ねるものに進化した形式をとるかもしれません。 最後に 創造的破壊が進むこの時代において、従業員のエ ンゲージメントの向上に成功する組織は、競争に先んずることは明白です。人材を巡り競争が激化するビジネス社会で勝利するためには、組織は有意義で豊かな従業員の体験をデザインするためにデ ザイン思考を導入することで共感性の原則を強化し、モデル化する必要があります。組織が従業員に対して真に共感的で、文字通り従業員の立場に立ち、従業員エンゲージメントイニシアチブに対し、継続的学習に重点を置いた循環的アプローチをとる場合、その組織は発展的な人材の構築に成功し、 ビジネスの成功は自然についてくることでしょう。 1 Mercer | Sirota and Engagement Institute study, DNA of Engagement: How Organizations Create and Sustain Highly Engaging Cultures, 2014. 2 Ibid.

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成長経済はビジネスの世界で目覚ましい変化を起こしており、影響を受けない企業はないというほどの波及効果を生んでいます。従来のビジネス哲学は、一部のリーダーが荒波をわたっていくのに役立つかもしれませんが、これほど素早く変化する世界で本当に成功する方法はどこのビジネススクールでも教えてはくれません。 あなたがスタートアップ企業のトップであれ、フォーチュン500に選ばれた大企業のトップであれ、私たちは皆、急速に変容するボーダーレスな情報のサイクルや加速する都市化、新しいテクノロジー、グローバルな市場の形成、そして安価な資本の急増と格闘しています。こうしたもの全ての中で、私たちは同じ核心的問題「どうすれば変化の速い世界についていけるのか?」という問題の解決に取り組んでいるのです。 一部の人は、その答えを見つけるためにビジネススクールの原則に頼るのですが、この根本的な問題の解決策を見つけ出すには、経営やテクノロジーの活用、ビジネス構造の変更だけでは不十分です。形のない解決策が必要なのです。世界の流れについていこうとするリーダーや企業は成長するという思考と文化を取り入れなければなりません。つまり新しいチャンスを特定してつかみ取り、持続可能な方法で実施するための先見性、勇気と工夫が必要なのです。 ステップ1:変化の必要性を認識する   歴史的に世界経済を支配してきた西側の列強は世界経済のリーダーシップをアジア、中東、アフリカ、南米といった成長経済圏に「ゆずり渡し」つつあります。こうした経済圏は、ビジネスの世界をひっくり返しています。2008年の金融危機以降、これらの地域が世界の経済成長の80%以上1 に貢献してきたことを考えると、実に驚異的です。2050年までには、こうした地域が世界の経済圏の上位10位までを占めることになるでしょう2。 世界でビジネスが動いている場所だけではなく、私たちはビジネスを行う方法にも、大きな変化を見ています。デジタル、モバイルおよびソーシャルメディアはカスタマーエクスペリエンスを変化させ、産業やビジネスに破壊的変化を生じ、さらに新しい産業やビジネスを生み出しています。それに伴い、従業員のスキルや属性にも変革が必要になっています。アジアとアフリカにおけるモバイルテクノロジーやソリューションの発展だけを見てもが驚異的です。それは支払い機能だけににとどまらず、社会とビジネスにおける取引のシステム全体を根本的に変えています。 要するに、世界は大きく変わり続けているということです。それも、おそるべき速さで。 成長するという思考を身に着けたリーダーは、戦略的な選択を推し進め、イノベーションに力を入れます。明確な目的を持ち、そして人々を中心に位置づけることで、外的な環境を活用できることを、こうしたリーダーは良くわかっているのです。無限の可能性、新しい領域、そして競争力のある可能性に触発され、これらにつきものの課題にも怯まないリーダーこそが、将来成功を手にする人々です。   ステップ2:新しい考え方を取り入れる   成長するという思考の根本は、その人自身に深く根を張り意思決定の方法に影響を与える信念です。成長するという思考を身に着けた人々は、課題に直面してこそ強くなります。彼らは課題を、自分の視野を広げ、新しいことを学び、経験を積んで自分自身を高めるチャンスであると捉えます。そうすることで、こうした人々はもっとも困難な環境であっても利益を生み出すビジネスの成長を成し遂げるのです。 逆に、こうした思考を備えていない人々は、不確実性の前におびえ、麻痺してしまいます。例として、キャロル・ドゥエックの著書『マインドセット:「やればできる!」の研究』から、CEOの固定的な思考に関するケーススタディを見てみましょう。著書の中でドゥエックは、固定的なマインドセットは、エゴがどこから来るのか、それがなぜ自滅に結びつくのかの理解に結びつくと述べています。固定的なマインドセットを持つCEOに言及し、ドゥエックは、こうした人々は一部の人間だけが優れていると考えはじめ、従業員の成長を促進するのではなく、むしろ部下を自分の欲求のために利用して自分の優越性を証明し見せつけたがる、と述べています3。思考の多様性や議論を呼ぶような見解を受け入れず、最終的には、固定的なマインドセットを持つリーダーは自分の会社の長期的な成功を犠牲にしたり、もっと悪くすると会社を破滅に導いてしまうのです、 意義のある変革を推し進め、拡張を続ける世界の舞台で競争力を維持するために、成功するリーダーは有限的思考の犠牲者になってはいけません。常に一流を求め続け、成長に向けて戦い、絶え間ない行動に向かう力を持っておかなければなりません。   ステップ3:蓄積が飛躍をもたらす-情熱を共有し、チームをまとめること   本当に成功したリーダーは、「1000回の良い意思決定」が必要であると言います。これはつまり、厳しい競争の中で、毎回最良の意思決定をし長期的に影響を及ぼしていくということです。成長するというオープンな思考を、一貫して事業のポートフォリオ全体に、長期にわたって持続的に適用することが、飛躍的な成長につながっていきます。複利のように、成長に向けた意思決定に次ぐ意思決定を社内全体で繰り返していけば、競争力を急激に伸ばすことになるのです。 成長するという思考という概念は本質的にはシンプルなものですが、この精神を一貫して従業員に根付かせていくのは難しいものです。57か国、26の業界の800の組織を対象としたマーサーの調査では、自分の会社は説得力がある独自の価値提案を行っていると答えた従業員は5人に2人にとどまりました。この調査を元に、マーサーは『成長モデル:破壊時代に勝利を手にする方法』を作成しました。このモデルが強調するのは、変化の続く時代には、組織は「成長を重視する」文化、あるいは成長するという思考を構築しなければならないということです。従業員受容し、連帯感を高め、イノベーションを重視するということです4。 リーダーとしては、こうした視点を推し進め、育てることを優先しなければなりません。 調査では、成長するという思考の文化を備えた企業で働く従業員は、固定的な思考を持つ企業で働く従業員よりも、自社への信頼度が47%高いことがわかりました。さらに、自社の将来に対する責任感とコミットメントの感覚は34%高く、自社がリスクを取ることをサポートすると考える割合は65%高く、自社がイノベーションを推し進めると考える割合は49%高いという結果が得られました5。 成長するという思考と文化の構築は、それについて話し合うことから始まります。情熱は伝染するものです。偉大なリーダーは、自分のビジョンを共有することで、他人に影響を与えるのです。リーダーは、説得力のあるストーリーを語るというアプローチを通じて、上から命令することなく、大きな見地から、ただ収益性を目指すことを超えて、「なぜ」それを行うのか、ということに関連づけて変化を引き起こしていくのです。サイモン・シネックが述べたように「自分が信じているものについて語れば、同じものを信じている人々を惹きつけることになる」のです。   ステップ4:飛躍的な成長を達成する   変化を続ける世界についていくことで引き出される潜在能力 は莫大なものです。30歳以下の世界人口の90%を成長経済圏の人々が占めています6。つまり、2030年までに世界の労働年齢人口の85%をこの地域の人々が占めることになります7。グローバル・フォーチュン500に選出される成長経済圏の多国籍企業が2005年から2013年の間で240%増加したことも、驚くことではありません8。またこれらの市場は、2030年までに世界のGDPの60%近くを占めるようになると見込まれています9。 成長するという思考を身につけることで、既存の市場だけではなく数多くの新たな事業分野でのチャンスへの扉が開かれるのです。世界の中で急速に成長を続ける地域の マーケットニーズを予測し、これに応えることが出来る企業やリーダーの発信は、 より多くの人々の目に触れ、刺激を与えることでしょう。こうした人々は自らの価値観を体現するのです。 ルワンダの作家、Bangambiki Habyarimanaはこう述べています。「あなたを縛る教えやプログラムは、どんなものであれ粉々に砕いてしまいなさい。世界はあなたのものです。その手に握りなさい。」 今日のビジネスリーダーは、これまでは考えられなかったような未来を創造するチャンスを手にしています。テクノロジーとグローバル化が私たちの間の境界線を溶解させるのですから、私たちは自分たち自身の思考の境界線も溶解させなければなりません。現代こそが、成長するという思考と文化のための時代なのです。   References 1 国際通貨基金(2016年2月4日)成長のための新たなグローバルパートナーシップにおいて新興市場が担う役割 著者:国際通貨基金専務理事クリスティーヌ・ラガルド https://www.imf.org/en/News/Articles/2015/09/28/04/53/sp020416#P27_3292 2 PWC(2015年)2050年の世界 世界的な経済力の変動は継続するか https://www.pwc.com/gx/en/issues/the-economy/assets/world-in-2050-february-2015.pdf 3 ドウェック・キャロル S. 『マインドセット:「やればできる!」の研究』ニューヨーク:Ballantine Books, 2007年版. 4 マーサー(2017年)『成長モデル:破壊時代に勝利を手にする方法』を作成しました。  http://www.mercersignatureevents.com/ASIAHR2017/hongkong/agenda.shtml 5 Senn Delaney.(2014年)新たな調査の結果、組織の中で成長するという思考の育成が重要な理由。 http://knowledge.senndelaney.com/docs/thought_papers/pdf/stanford_agilitystudy_hart.pdf 6 ユーロモニターインターナショナル.(2014年5月30日)新興市場は、全世界の30歳未満の人口の90%を占めています。 http://blog.euromonitor.com/2014/05/emerging-markets-account-for-90-of-the-global-population-aged-under-30.html 7 Lam, David.(2014年)新興市場における労働力の構成 https://www.kansascityfed.org/publicat/sympos/2014/2014Lam.pdf 8 GE レポート(2014年6月20日).新興市場のスタートアップ企業の台頭 https://www.ge.com/reports/post/93343731983/the-rise-of-emerging-market-startups/ 9 経済協力開発機構(2010年5月26日) 経済:最新の予測では、2030年までに世界のGDPの約60%は発展途上国による。 http://www.oecd.org/dev/pgd/economydevelopingcountriessettoaccountfornearly60ofworldgdpby2030accordingtonewestimates.htm

David Anderson | 24 7 2018
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いかなる場合でも現状に不満を抱くことが、人間に本来備わっている魅力的とも言える側面の一つです。仕事に関して言えば、従業員が頻繁に口にする不平不満の対象となるのが給与や福利厚生です。将来の働き方について、従業員は、自身のキャリアを自分自身でコントロールしたい、相応の報酬を受けたい、大事なことをしていると認識したいと思っています。成功する人材を育成するために、人事部およびリーダーは、組織全体にわたって、ピープルアナリティクス(行動分析に基づいたデータ解析)を用いて、成功できる職場環境を作るのに何が必要かを見極める必要があります。ここでいう成功できる職場環境とは、従業員が能力開発について権限を与えられていると感じる、仕事にやりがいを感じる、中核となるニーズが満たされていると確信できる職場環境です。 今日のようなデジタル時代において、エンゲージメントの高い成功する人材を育成することは、終着点ではなく旅のようなものです。会社が前向きな変化を経営の優先課題に位置づけると、単に仕事に打ち込むだけではなく任務に献身する従業員が、会社の計画や目標を完遂してくれます。会社は、ピープルアナリティクスを通じて、従業員がキャリアパスについて感じていることを理解したり仕事へのやりがいを見極めたりするために従業員フィードバックプログラムを使用できます。   理由その1:ピープルアナリティクスは、従業員のエンパワメントの向上につながる要因を特定する 新しい技術を利用してマネージャーが、膨大な量の情報および従業員への要求を迅速かつ簡単に選別できるようになるにつれて、従業員からの期待も同じように高まっています。現代社会で働く従業員は、自身の仕事をコントロールしたい、少なくとも勤務形態、勤務場所、勤務時間について発言権を持ちたいと思っています。往々にして、こうした意思決定プロセスに関与していないと感じた従業員は失望感を抱くことになります。結果として、職場における柔軟性は、今日の市場において最優先事項となっています。このことは、世界経済フォーラムにおいて提示されたThe Future of Jobs(仕事の未来)というレポート1での回答者の44%、および、マーサーのTalent Trends 2018(人材動向調査2018年)というレポート2での回答者の51%が、職場における柔軟性は最も注視すべき動向である、または必要不可欠であると述べていることからも明らかです。 さらに、従業員と会社の双方が、希望する未来像がどのようなものか、「成功している」キャリアまたはビジネスが何を意味するかについて再確認しています。成功を収めている会社には、各自の能力を継続して開発する、習得する、拡大する人材がいるという認識が高まりつつあります。本題からは外れますが、従業員は将来のビジネスニーズに対応できるスキルを習得することがいかに重要であるかについて理解し始めています。なぜでしょうか?それは、2020年までに、仕事の36%は複雑な問題解決能力を必要とし、19%は感情知能、交渉力、他者との協調性といった社会スキルが求められるようになるとされているからです1。当然のことながら、世界経済フォーラムでは、2020年までに「ほとんどの職業に求められるコアスキルセットの3分の1以上は、今日の仕事においては重要でないとみなされているものになる」と予測しています。 多くの従業員が学ぶ必要があることと、学ぶ必要がないことを見極める方法を習得することにより焦点を当てる必要がある、そのために多くの会社が従業員のエンパワメントを高める必要がある、とされるのは、こうした背景があるからです。   理由その2:ピープルアナリティクスは、従業員の仕事と目的意識を結び付ける Talent Trends 2018(人材動向調査2018年)レポートでは、成功する従業員の75%は目的意識の強い会社で働いていることも判明しました。事実、従業員の期待が変化するにつれて、多くの従業員は、職場においてより意義のある、柔軟で、豊かな経験を求めるようになっています。その傾向が強いのは、従業員が将来の雇用について強い不安を感じるほどに技術革新による自動化が進んでいる職場です。アナリティクスを利用する会社は、従業員に意義や目的を与えて、従業員が変動の激しい不確かな職場環境において確固たる指針を見つけられるよう手助けします。マーサー ‐ シロタが実施した調査のデータによると、3人に1人の従業員が仕事におけるエンゲージメントに関する質問に強く同意している一方で、会社が外部のビジネス環境の変化に対して効果的に対応していることに強く同意している従業員は6人に1人に留まっています3。後者の結果は、ほどんどの従業員が各自の目的意識が会社のそれと整合していないと感じていることを反映していると言えるかもしれません。 この問題に対処するための取組みとして、一部の会社は、従業員が会社の目的とのつながりをより強く感じられるように仕事をカスタマイズするためにアナリティクスを使用し始めています。従業員が以下のような意見を持てるような職場を設計するという意図があります: 1.     自信がある。 仕事をするのに必要なものが揃っていて、行動を取るための人材や情報を入手できる先を知っている。 2.     仕事の手順は単純である。この作業体験は、自分がすでに使用している消費者向けのツールやサイトと同じように慣れ親しんでいるものである。 3.     評価されていると感じる。 貢献する方法を知っていて、現在と将来、この会社で働くことに対して価値を見出すことができる。 理由その3:ピープルアナリティクスは、社内ユーザーと社外ユーザーの体験を向上させる 当然ながら、会社は従業員についての洞察を継続的に得られる方法を探っています。実際、46%の会社は今後1年以内に継続的にフィードバックを取得するツールの導入を検討していて、多くの会社は重要なプロジェクトに関してリアルタイムのフィードバックを入手するツールを探求しています。会社が人材プラットフォームやスキルに基づく雇用に向かうにつれて、その多くは、継続的なフィードバックを提供して、より高いアジリティを推進する調査や他の手法を組み合わせたものとなる、よりスマートな従業員フィードバックアナリティクスを活用する必要があります。従業員の健康維持、資産形成、キャリア開発を支援するのに役立つ人材エコシステムと連動したデジタルソリューションは、将来の働き方を考える上で不可欠になります2。 こうした変革によって、多くの人事部リーダーは従業員のことをお客様のように考え始めました。マーケティング部がお客様について知るためにデータ駆動型アプローチを使用するように、人事部も従業員に対して同様のアプローチを使用し始めています。たとえば、従業員のフィードバックや行動に関するデータは、オンボーディング(入社)からオフボーディング(退職・離職)までの従業員ライフサイクルを向上させる方法を学ぶのに使用することができます。成功している会社は、変革や改善を実施するために、従業員調査の結果を従業員ライフサイクル全体にわたって取り入れることを年1回ではなく頻繁に行います。 このことは魅力的に聞こえますが、人事部がよく苦労するのは、ユーザーエンゲージメントを後押しするような、従業員と管理者にとって説得力のあるユーザー体験を設計することです。フィードバックプロセスの向上、ワークフローの簡素化、従業員の体験の特化を行うために技術を利用する責任は人事部にあると私は思います。最も効果的な従業員意識調査では、リーダーや人事部が会社の状況を把握するのに役立つ従業員の意見を収集する手順が簡略化されています。適切な方法で実施された従業員意識調査は、戦略の設定や修正に使用できる情報や洞察の宝庫です。 最後に、そして恐らく最も重要なことを覚えておいてください。組織の変更や改善を推進するのに役立つものでなければ、ピープルアナリティクスや従業員フィードバックプログラムを利用する意味はありません。 たとえば、Googleのアイルランド支社では、「Dublin Goes Dark」というプログラムを実施して、ワークライフバランスについての従業員のフィードバックに対応しました。このプログラムでは、社員は退社時に端末をオフィスに置いて、完全に仕事から離れる生活を推奨しました4。これは、自分たちの意見が尊重されていて、権限が与えられていると従業員が感じられる成功している会社になるためにGoogleが従業員のフィードバック(またはピープルアナリティクス)を利用している一例です。 理由その4:ピープルアナリティクスは、人材の潜在能力を最大限に引き出す 成功する組織を効率よく作るには、ピープルアナリティクスを使用して従業員について知らないことを特定する必要があります。従業員エンゲージメント調査は、リーダーや人事部が会社の状況を把握するためのより簡略化されたプロセスを導き出してくれます。定期的なフィードバックを求めることは、会社が中核となる従業員のニーズおよびエンゲージメントを把握するのに役立ちます。また、どのようなギャップを埋める必要があるか、どのような問題が発生する可能性があるかについても明らかにしてくれます。さらに、フィードバックは、新たなニーズが生じた時点で軌道修正する機会を会社に提供します。定期的にフィードバックを確認して対応策を実施することで、会社は人材の潜在能力を最大限に引き出す環境を作ることができます。 参考資料 1 The Future of Jobs:Employment, Skills and Workforce Strategy for the Fourth Industrial Revolution | World Economic Forum (未来の仕事:第4次産業革命の雇用・技能・人材戦略 | 世界経済フォーラム) http://www3.weforum.org/docs/WEF_Future_of_Jobs.pdf 2 Global Talent Trends Study 2018 (グローバル人材動向調査2018年) https://www.mercer.com/our-thinking/career/global-talent-hr-trends.html 3 Sirota's Normative Database (シロタ社のノーマティブデータベース) https://www.sirota.com/improve-your-performance/action-practices-and-tools/best-practices-database/sirotas-normative-database/ 4 Google's Scientific Approach To Work-life Balance (and Much More) (Googleのワークライフバランスへの科学的アプローチ) (およびその他) Laszlo Bock - https://hbr.org/2014/03/googles-scientific-approach-to-work-life-balance-and-much-more

Lewis Garrad | 10 7 2018
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パフォーマンス・マネジメントの進化と、この伝統的 な管理手法の効果に関する議論は世界的に続いて いる。近年、ゼネラル・エレクトリック、アクセンチュ ア、デロイトといった牽引役が年度毎の人事評価を 廃止すると宣言して以来、多くの会社が現在のパフ ォーマンス・マネジメントの原理がどれほどの効果 を持つかを再検討してきた。毎年の人事評価とパフ ォーマンス・マネジメントは同義語であるという神話 は、これまでになく崩壊に近づいている。 ここで、アジアにおいてこれらの進展がどのように辿られているかを見てみよう。経済活動の停滞や特定の政治的出来事により経済的な不安定感が増幅する中、この地域や世界の他の地域の企業は新たな成長基盤を探すのに必死だ。この成長を促進するためには潜在能力の高いハイ・パフォーマーを採用し、彼らのモチベーションを高め、長期的に雇用することが非常に大切である。これに伴い人事リーダーが問うべき質問は『評価すべきか、せざるべきか?』から『報酬と評価を結び付けるべきか?』そして『我々がパフォーマンス・マネジメント制度により達成しようとしていることは何か?』へと変遷する必要があった。 マーサーが最近53カ国の1000社以上の企業に対して行った調査1は、多くの企業が未だ『年度始めの目標設定』と『年度末の人事評価』を行っており、つまりは評価に基づいたボーナスの決定に繋がっているということを明らかにした。これはパフォーマンス・マネジメント・プロセスにおいて近年よく見られるようになってきた変化に一見矛盾するように思われる。またこの調査は、95%の経営陣と従業員が現在の評価制度に対して不満を抱いているということも明らかにした。この課題を取り巻く議論が収束を見せていないことを語っている。 我々のアジアにおけるクライアントとの活動を通して、実際にはこれらの企業が世界的なトレンドをよく観察していること、また評価制度をどのようにしてより有意義なものにできるか模索しているということが見えてきた。更に、幾つかの先進的なアジアの企業は年間を通じた継続的なフィードバックを行うことに、そしてまた他方ではこの成績評価に加えてポテンシャル(将来における可能性)の評価に重点を置くようになっている。 アジアの人事リーダーが認識しておかなければならないその他の興味深い文化的なニュアンスとして、この地域の被雇用者の多くは西欧の被雇用者とは異なり実は成績評価を期待し、そしてそれを好ましく思っているということが挙げられる。 アジアの被雇用者の多くは学生時代を強い競争に晒されて育っており、仕事場においても成績評価を受けることを当たり前で必要なこととして考えている。アジアの人事リーダー達は革新的な変革を起こさない傾向にある反面、評価制度によってもたらされた成功例を数多く持つ地域と言える。 パフォーマンス・マネジメントの目的、またこれが何をもたらすべきかを明確にすることはよい出発点となるであろう。そしてこれは事業戦略の向かう方向と、現在のマクロ経済という枠組みの中で事業がどのような進化を遂げているかを反映するものでなければならない。例えば、もし組織が事業規模の成長から事業の収益性へとその焦点を移行させているのだとしたら、原価を無視した個別のセールス目標は、事業に対する価値の貢献を測るのには適していないかもしれない。 パフォーマンス・マネジメント・アプローチを構築するためのステップ   パフォーマンス・マネジメントは5つの主要な要素を取り込んだものでなければならない: これらの要素はしばしばお互いに相対するものであるかもしれない。ハイ・パフォーマーのモチベーションを高め、限られた額の報酬を公平に分配し、なおかつアンダー・パフォーマーもチェックするといったことだ。アジアにおいてその目的は組織のオーナーシップの本質によって左右される。これは組織が国営か、公営か、それとも四半期の売り上げ成長よりも長期的な価値観を重視する特定の一家が所有するアジアの巨大コングロマリットの一部であるかによって大きく変わってくるためである。 人事リーダーはまず、役員レベルで株主とパフォーマンス・マネジメントが持つ本来の目的がどうあるべきかについて同意を得る必要がある。ひとたび長期的な理念が合意を得れば、人事リーダーは成果、特に組織全体の業績と全階層、全ファンクションの個人の行動がどのようにリンクさせるか検討することができるようになる。 その目的に沿った、業績管理制度のデザインあるいは再定義の次のステップは従業員を核とした多くの労力を必要とする長い道のりである。これはアジアにおいて最も困難な過程かもしれない。パフォーマンス向上に向けて、従業員のフォーカス・グループ・セッションを行う場合でも、良くて、バラツキのある意見が得られる、という結果であろう。 というのも西欧の従業員と異なり、アジアの多くの従業員は意見を率直にもしくは声高に語らないからである。よって重要なガイダンスとして、コラボレーションを促進し、また(特に同僚と部下からの)フィードバックを助長する設計が求められるということが挙げられる。制度の透明性と信用性は、複数のコミュニケーション・チャンネルを構築することにより時間の経過とともに達成することができる。このプロセスを支えるテクノロジーは直感的に使え、機動性が高く、経営陣と従業員の双方に質の高いユーザー・エクスペリエンスを届けることができるものでなければならない。 この地域以外の世界各地同様、我々は未だパフォーマンス・マネジメントを迅速にかつ容易に『解決』できる理想策を見出してはいない。アジアやその他の経済発展を見せる地域の企業はパフォーマンス・マネージメントに対して抜本的で広範な改革を行うことに躊躇してきたように思われる。しかし、これはむしろポジティブな側面として捉えることができるかもしれない。アジアの人事リーダー達が、社会的また文化的な背景を考慮しながら、従業員の変革のために、最新のベストプラクティスを活用できることを意味するからだ。一度、事業目的と個人のモチベーションが連結され根本的な理念が確立されれば、パワフルなパフォーマンス・マネジメントは戦略的人事管理を望まれるべき方向へと導いて行くはずである。

Jackson Kam | 03 7 2018
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現代の多くの企業が、労働力としての女性の進出はビジネスの成長とイノベーションにつながる最大のチャンスの一つになり得ると認識しています。しかし、企業でのジェンダーの不均衡の改善が難しいことは、よく知られています。ジェンダーの平等に向けて多くの企業が取り組みを進めてはいるものの、女性の労働力のポテンシャルを完全に実現するまでにはまだ何十年もかかりそうな状況です。 『When Women Thrive, Businesses Thrive(女性が活躍するとき、ビジネスも繁栄する)』と題されたマーサーの調査では、ビジネスリーダーがビジネス上の必須事項を理解し、データと分析を駆使して組織内のジェンダーの不均衡の根本原因を把握しないかぎり、改善はできないということが明らかになっています。 しかし、女性の活躍を支援するということは、組織が関係者すべての心理を深く理解して配慮しなければならないということでもあります。そして、変化につながる情熱と勇気を持って深く携わるロールモデルが必要です。組織を作り上げるすべての人の行動を変えるということ、または組織の文化を変えるということは、他の多くの変更管理プロジェクトよりも難しいものです。以下で、その理由をご紹介しましょう。 · 男性は重要だが、同等のパートナーとして関与することはできない。当社の調査では、男性が積極的にダイバーシティとインクルージョン(多様性と社会包摂、D&I)を支持するほど女性の存在感は高くなっていますが、こうした取り組みに積極的に関与していると答えた男性は38%に留まりました。 · 行動のほとんどは無意識に行われるため、トレーニングやコミュニケーションキャンペーンは効果が出にくい。意識的バイアスも、確かにジェンダーの不均衡にある程度影響を与えていますが、無意識の思い込みや行動の方がはるかに広く浸透しています。そして、はるかに改善が難しいのです。実際のところ、ダイバーシティについての従来のトレーニングでは、個人間の違いを強調する一方で無意識のバイアスを克服する戦略が提示できないため、かえってD&Iの取り組みを妨げてしまうことがあります。 · 不確実性をはじめとした要素の捉え方やプロセスへの反応の男女間の違いが誤って理解され、ジェンダーの不均衡を維持してしまう。 調査では、男性と女性は雇用までのプロセスについて異なる認識を持つことがわかっています。 例えば、男性は人間関係によるひいきや自己宣伝が許容されているものとみなす傾向がより高いのに対し、女性はもっと厳密に資格に基づくものとみなす傾向にあります。こうした違いは、各種のプロセスを設計する際に影響を及ぼし、特定の要素や認識を重視する一方でそれ以外を軽視することになります。そして、従来のD&Iの取り組みでは効果が出にくいようなジェンダーの不均衡につながることもあるのです。 · 感情は邪魔になることもある。物事を変えるときにつきもののネガティブな感情を把握することは重要です。こうした感情は、変革にかかわる全ての人に影響を与えます。例えば、男性はジェンダーの平等を目指すことを、女性が勝利し男性が敗北するゼロサムゲームと考えがちです。男性は自分の地位や特権を失うことを恐れるかもしれませんが、また同時にフレックスタイムや家族のための休暇規定など、ワークライフバランスを推進し、機会の平等を実現するためのプログラムの活用をためらうこともあります。一方女性の場合、特に男性の同僚との平等に関する十分な対話ができていないために、他に優先順位の高い事柄が犠牲になるのを恐れて、挑戦的な課題に取り組んだり、出世への階段をアグレッシブに登っていくことをためらう場合があります。 こうした問題に対する答えは、人間を変えるのではなく、人に合わせてプロセスや慣行を変えていくことです。つまり以下のようなことです: · キャリアの進展の上で女性が直面している壁についての分析の結果や、ビジネス上の要件を元に、定量化可能な目標を設定すること。例えば損益の面から、より多くの女性の採用を決めたり、出産後の女性を雇用し続けることを組織で決定することもあります。 · ジェンダーの平等という結果に向けた行動を明確にし、モデル化すること。例えば、特定の役職で募集する女性の数を増やしたり、育児休暇を活用する男性の割合を増やすといったことが挙げられます。 · 現在の行動の基盤となっているものを把握し、新しい行動を促進する最良の方法を選ぶこと。例えば、内部調査の結果、成果を上げる確実度が40%であっても男性が新しい役職に応募し、一方女性であれば確実度が80%に達さない限り応募しないということが明らかになれば、組織内では女性がより速くその80%の基準値を達成できるような対策を取り入れることができるでしょう。こうした対策としては、追加のトレーニングを提供したり、応募を考えている人が自分のスキルと役職に求められるスキルの比較検討ができるよう、その役職に関する理解を深める取り組みを行うということが挙げられるでしょう。 · 組織内のあらゆる階層で、望ましい行動を率先して行うリーダーやロールモデルを設置すること。 過去4年間、ジェンダー面での多様性を進展させる要素に投資を行っている先駆的な組織と連携する仕事ができたことは、私たちにとって大きな喜びでした。現在の問題は、より多くの組織が、改善に向けて行動を取るかどうかという点です。強力なイノベーションと成長に向けた高い生産性と積極的な関与という報酬が約束されているのですから、この問題の答えが「イエス」であることには、これまでになく希望が持てるでしょう。

Pat Milligan | 12 6 2018
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数十年にわたり、組織のリーダー、人事担当者、産業組織心理学者はコミットメントの高い労働環境を作る方法を模索してきました。離職率に係わる経費とビジネスの中断を考えると、これは当然のことでしょう。ある最近の調査では、離職に掛かるコスト (退職関連費用、従業員補充に掛かるコストなど) は、在職中の従業員の給与の90から200パーセントに相当することがわかりました。  離職率が高まると1、組織の構造が脆弱になり2、   無形の知識とスキルの喪失3、   運用有効性の低下4、   事故率の上昇5、   顧客サービスと品質への影響6、そして顧客満足度の低下が起こり7、それにより会社の財務パフォーマンスに悪影響を及ぼしかねません8。 コミットメントを高めるために、多くの組織は従業員を中心とする環境を築こうとしています。これらの組織は、膨大な時間、労力、およびリソースを費やし、従業員を動機付ける要因の特定、従業員エンゲージメントの評価、従業員の経験の強化に励んでいます。たとえば一部の組織では、マネージャーが直属の部下の重要なニーズを満たせるように「在職インタビュー」を実施しています。従業員が仕事をより個人的に意味深く満足いくものにできるように、ジョブクラフティングの実践を取り入れている組織もあります。 私たちの経験によると、こういった施策には有効な効果がありコミットメントの向上につながります。しかし、これらの影響は長続きするものではなく、しばしば一時的な修正と局部的な改善にとどまり、広域にわたる組織的な変化をもたらしません。むしろ、こうしたエンゲージメントを構築するための活動は、従業員側に事業に対する根本的な疑問や懸念がある場合、裏目に出ることがあります。不明瞭な戦略、非効率な作業プロセス、不明確なパフォーマンス目標、クライアントや顧客のニーズを満たさなくなった製品やサービスは、従業員の不満を募る要因となります。最近ある従業員は次のように述べています。「私はこの会社が大好きですが、会社の方向性が気に入りません。無意味なことに時間をかけすぎています。クライアントに会って売るという、私たちがやるべきことから遠のいているように思えます。」 組織の葛藤に直面した場合、愛社精神にあふれる従業員でさえもより良い機会を求めて離職するでしょう。最近のマーサー シロタによるエンゲージメントに関する調査では、退職した従業員の4分の1はエンゲージメントの高い社員であったことがわかりました。 エンゲージメントが従業員の在職を保証しないのであれば、コミットメントの高い組織を作り上げるにはどのような方法が最善なのでしょうか。新しい研究では、個々のコミットメントは従業員の体験よりも事業のパフォーマンスに関連している可能性が示されています。近年、研究者たちは組織の効力感 (組織のメンバーが集団的な能力、使命、そして事業のレジリエンスにどの程度信頼を寄せているか) と従業員のコミットメントとパフォーマンスの関係性を探り始めています。組織的効力感という概念は、アルバート・バンデューラの貴重な研究に遡ります。アルバート・パンデューラは家族、コミュニティ、および社会的機関の力の一部は、それを構成するメンバーの集団的効力感、つまり協力のもとに問題を解決したり困難に対処できるかどうか、に依存すると提唱しました。この初期の理論を踏まえ、ほかの研究者たちは組織環境の効力感に焦点を当て、それが数々の重要な仕事の成果に関連することを特定しました。たとえば、カポネら(2013)は、組織的効力感が従業員の仕事満足度、幸福、およびパフォーマンスにプラスの影響を与えていることを発見しました。また、ゼラーズら (2001)   は、集団的効力感が高い医療従事者ほど仕事満足度が高く、離職の可能性が低いことを特定しました。 この研究の情報をもとに、当社では最近、組織に対する従業員の信頼度と従業員のコミットメントとエンゲージメントの関係性を探りました。小規模、中規模および大規模の組織で働く、1,700人以上の従業員から会社横断的にデータを集め、一連の分析を行った末、3つの主な調査結果が浮き彫りになりました。   1. 組織の信頼度は、従業員のコミットメントに関連している   多数の診断項目において、従業員の信頼度と従業員のコミットメントに、顕著な正の相関が見つかりました。従業員は、市場に合った製品とサービスを持つ安定した組織で働いていると感じる場合に、組織に留まりたいと思う可能性が高かったのに対し、従業員が組織の将来に信頼を抱いていない場合は、コミットメントレベルが急激に下降していたのです。実際、組織の将来を信頼できないと感じる回答者の40%以上が、1年以内に退社する意向があると答えていました。   2. 組織への信頼度は、適切な労働環境で非常に高くなる   統計分析に基づき、組織への信頼の原動力として、4点の基本項目を特定しました。1つ目は、明確なコミュニケーションです。従業員が会社の目標を理解し、組織が効果的にコミュニケーションを図っていると感じる場合に、信頼を抱く傾向が高かったのです。2つ目は、協働の実感です。従業員は、職務を超えた高度なチームワークを体験する場合に、将来を肯定的にとらえる傾向がありました。3つ目は、組織の機動性です。革新を奨励し、顧客のニーズに素早く対応する機敏な組織で働いていると感じる従業員は、将来を楽観的にとらえる傾向がありました。そして最後に、効果的なリーダーシップが重要となります。シニアリーダーが正しい判断を下していると信用している従業員は、組織的効力感をより感じる傾向がありました。   3. コミットメントの最も高い従業員は、信頼があり、エンゲ ージメントも高い   信頼のある従業員が組織を去ろうと考える傾向が低いという調査結果に加え、エンゲージメントが従業員コミットメントを予測する大きな判断材料であることもわかりました。実際、従業員が組織に信頼をおいており仕事に愛着を感じている場合、退職を希望する傾向は低いのです。 また、エンゲージメントと信頼の間には顕著な正の相関関係があることがわかりました。これらの2つが好循環により促進しあい、大きな活力、努力、忠誠心を生み出しているのです。統計分析に基づき、組織が効率的で、シニアリーダーが効果的で、将来の昇進進路が約束されていると感じられた場合、従業員の自信とエンゲージメントが高くなる傾向にあることがわかりました。 すべてを合わせて考察すると、分析から組織への信頼度が従業員のコミットメントに影響する重要な要因であることがわかります。コミットメントの高い労働環境の構築を求めるリーダーとマネージャーにとって、このことから重要な疑問が浮かび上がるでしょう。組織への信頼度を高めるには何が最善なのだろうか。研究に基づき私たちは次の4つのステップを推奨しています。   1. 将来を予測する   多くの会社にとっては不安定な時期にあります。コミットメントや優先順位が頻繁に変化する中、多くの従業員が混迷の中で方向を見失ったと感じているようです。最新のマーサー シロタデータベースによると、シニアリーダーが明確な指示を出していると感じていると報告したのは従業員のわずか9%でした。最近の現場調査でわかったとおり、明確な戦略的意図が欠如していると、信頼を失いかねません。組織がどこに向かっているのかがわからなければ、従業員が将来を楽観視するのは困難なのです。あなたの組織が近年、数々の変化を潜り抜けているのであれば今こそ、あなたの従業員が戦略的方向性をどれくらい理解し支持しているのかを評価するときかもしれません。   2. 好奇心、創造性、コラボレーションの文化を作る   文化は、日常的な人の考え方、感じ方、行動を形づける、目に見えない組織のインフラです。私たちの研究によると、従業員は、協力的な関係で一緒に作業する「パートナーシップ文化」において労働する場合に力強く前進することがわかっています。信頼は、従業員がスマートなリスクを負い、斬新なアイデアを追い求め、現状に疑問を投げかけても安全であると感じる環境で生まれるものです。しかし、問題はあります。パートナーシップの文化は、正しいタイプのリーダーシップを必要とします。私たちは、リーダーやマネージャーがサイロを構築し、短期的な財務に固着し、スタッフを細かく管理することで、創造性とコラボレーションをつぶす様子を見てきました。そのため、コラボレーションのある文化を構築したいのであれば、上層部から始めることが必要となります。    3. パフォーマンスの障壁を取り除く   私たちの研究によると、ほとんどの従業員は、入社して間もない頃は非常にモチベーションが高いことがわかりました。しかし、初期のその活力は、従業員が過剰な規則規制、不要な官僚的な動き、そして時代遅れのツールや技術が伴う環境で働く必要を強いられた場合に、しばしばモチベーションが低下します。職場の障害物が増えるほど、従業員の不満が募り、心離れし、うんざりさえしてしまう傾向にあります。コミットメントの高い労働環境を作りたいのであれば、従業員が日常的に最高の仕事をできなくするような、パフォーマンスの障害物を特定して取り除く必要があります。   4. 昇進進路を明確にする   私たちの調査では、コミットメントの最も高い従業員は、組織の将来と職業上の自身の将来の両方について前向きにとらえていることがわかりました。複数のクライアントと研究プロジェクトから、職場で成長し、発達できると感じる従業員は、より懸命に働き、より長く在職し、より高いパフォーマンスを達成する傾向があることがわかりました。しかし、マーサーのデータでは、組織内での潜在的な昇進進路を明確に理解している従業員は、わずか57%だったのです。残りは混乱しているか悲観的な見方を示していました。この混乱に対抗するための最善の方法は、従業員が会社内でどれくらい成長できるのかを理解しやすくする、説得力のあるのキャリア フレームワークを作成することです。入念に設計されたキャリア フレームワークは、従業員の仕事と組織の将来についての考え方に大きく影響することがわかっています。 これらの推奨事項の中核には、シンプルな前提があります。あなたのリーダー、マネージャー、人事担当者が、納得感のある将来のビジョンを明確に伝え、適切な文化を育成し、パフォーマンスを促して魅力的な昇進進路を作ることによって、従業員の信頼度を高めることができます。それにより、今度は組織がコミットメントを高め、離職率を抑制し、集団的パフォーマンスを改善することにつながるでしょう。 1 Allen, Bryant, & Vardaman, 2010 2 e.g., Batt & Colvin, 2011 3 Nyberg & Ployhart, 2013 4 e.g., Ton & Huckman, 2008 5 e.g., Shaw, Gupta, & Delery, 2005 6 e.g., Hancock, Allen, Bosco, McDaniel, & Pierce, 2013 7 Heavey, Holwerda, & Hausknecht, 2013 8 e.g., Park & Shaw, 2013; Shaw et al., 2005

Dr. Patrick Hyland | 27 5 2018
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先日リリースされたマーサーの調査「Talent Trends 20181(2018年人材動向調査)」によれば、役員の半数以上が、2022年までに自分の組織の少なくとも20%の役割がなくなる考えています。進化を続けるビジネスニーズに対応する人材を組織に確保するために、あなたは何をしていますか?こう考えてみてください。キャリアフレームワーク戦略とプラットフォームを設定することで、中核社員および派遣社員が組織構造に組み込まれ、向上し続ける個人のスキルセットとビジネスニーズをリアルタイムで一致させることができるようになります。 これは、世界経済フォーラムの「The Future of Jobs(未来の仕事)」報告書で回答者の39%が流動性や配置転換を支持すると回答2したことや、マーサーの「Thrivingin the age of Desruption(創造的破壊時代の繁栄)」レポートで回答者の71%が社内の流動性が推奨されると回答3したことと一致する結果となっています。ここに見られる意図と行動の間のギャップは、成功する環境を築き、組織のキャリアフレームワーク戦略を明確にすることで埋めることができます。 繁栄する組織で社員のエンゲージメントを確保する 繁栄する組織は、多くの場合、社員エンゲージメントを推進する鍵である活力と真正性を備えています。研究調査から、自らが携わるプロジェクトから活力を得て、仕事において自分らしく振舞いえると感じる社員は、仕事に対する満足度、組織に所属し続けたいとの希望、自分の職場を他者に推薦する意思を示す確率が84%高いことが分かっています3。 さらに、繁栄する組織は社会的影響度が高く、信頼の文化と高潔な信念を具現化する傾向にあります。こうした組織は、機敏に外的変化に対応し、社員のキャリア成長のための明瞭なキャリアパスを提供しています。こうした環境では、社員はエンゲージメントが高く、エンパワーメントを実感して活力を得ます。将来に対して自信があり、自らの業務と組織に残って仕事を続けたいという意欲にあふれています。 図1 繁栄する組織が社員エンゲージメントに不可欠であるなら、どうやって繁栄する組織を創造しますか? 以下の4つのステップで始めることができます:  応答性が高く効果的なキャリアフレームワークを設定し、導入する 未来志向のリーダーはビジネスを推進できる人を特定します。そうした人々が、今日はまだ影響力のある地位に就いていなくても、その人たちの将来の役職がまだ存在しなくても関係ありません。これは業務、役職、キャリアプランニング、能力開発に密接に関係します。キャリアフレームワークは、社員が自らのキャリアパスに影響を持っていることを理解する未来志向の人材戦略の策定の1つの側面です。 キャリアフレームワークは、当初、米軍の影響で広がり始めました。もともとは、兵士の成長と成功を測定する方法として、能力を視認可能な行動として定義したものでした。1990年代後半になって、このフレームワークが、能力と仕事を結びつける方法として進化しました。もっとも、今日の優れたキャリアフレームワークは社員の評価よりも、キャリアの工程に重きを置いています。キャリアフレームワークは人事関連のプロセスの中心で、より大きな事業の成功を推進することに焦点を当てたスキルに基づく枠組みで、社員に活力を与えるものです。 また、キャリアフレームワークは社員と経営陣双方の視点から、柔軟性を備え、個々人に対応するものとなっています。応答性が高く、効果的なフレームワークは社員が自分自身の進路と体験を創造する機会を提供します。一方で、マネージャーは社員の志向に関する知識を得ることができます。社員とマネージャーとの会話は、業績に関する話題を超えて、その社員が開発したり成長する必要がある体験や能力を特定することに及びます。 マクロレベルでは、キャリアフレームワークは、組織にフィードバックと洞察力も提供します。現在の人材の状況と、どういった能力を開発する必要があるかという点を明らかにします。さらに、キャリアフレームワークのプラットフォームは機会と情報を可視化します。例えば、Fuel50は、直感的でカスタマイズ可能な人工知能を使用したソリューションであり、スケーラブルでアジャイルな透明性の高いキャリアパスを実現します。Fuel50のCareerDriveツールはユーザーや社員がキャリアに投資、管理し、組織の価値観とともに、自らのキャリアとビジネスの軌道や既存ならびに新規の役職をどう適合できるかを理解できるようにします。  図2. キャリアフレームワーク 応答性が高く、効果的なキャリアフレームワークを構築したいですか?以下の7つのステップをお勧めします:  キャリアフレームワークを構築する上で検討すべき6点:  未来に備える マクロレベルでは、組織は社内のギグエコノミーを支えるデジタルインフラストラクチャを作成する必要があります。これは、現代の作業者が、そのスキルによって会社にではなくプロジェクトやチームに貢献するという状況と合致しています。個人のキャリアマネジメントは、社員がプロジェクトに入札し社内フリーランサーとして働く社内の「業務市場」により駆動されることもあります。会社はこれを支援するインフラストラクチャを提供する必要があります。 以前は、キャリアフレームワークは能力により実現され、能力とは技術的な要件を定義するものでした。しかし、現在では、新たに出現する未来の仕事の構成要素として能力に焦点が当てられています。世界経済フォーラムの「Future of Jobs(未来の仕事)」報告書では、2020年までに「ほとんどの職業で望まれる中核的スキルセットの3分の1以上が、今日の仕事においては重要視されていないスキルからなるだろう。」2と予測されています。従って、リーダーは、社員が敏捷性のある能力を構築するための支援の提供に焦点を当てる必要があります。広範なスキルは、個人および会社の成功をより一層の高みへと導きます。 不確実な仕事の将来においてでも競争力を持つためには、社員は好奇心を持たなければなりません。強く望まれるもう一つの特長は、新たな情報と経験を求める姿勢であり、データストリームを解析して関連する知見を認識することは人間による判断が必要です。その他に需要の高いスキルは、成長志向とクリティカルシンキングです。 高まり続ける未来志向に併せて、社員は成功に必要なスキルを獲得するにはどうすればいいかを模索しています。雇用主は、社員エンゲージメントの1つの方法としてこの質問に対する答えを提供するべきでしょう。繁栄する職場と堅牢なキャリアフレームワークがあれば、回答を提供できます。 1 2018年グローバル人材動向調査 | マーサー - https://www.mercer.com/our-thinking/career/global-talent-hr-trends.html
 2 The Future of Jobs:Employment, Skills and Workforce Strategy for the Fourth Industrial Revolution | 世界経済フォーラム - http://www3.weforum.org/docs/WEF_Future_of_Jobs.pdf
 3 創造的破壊時代の繁栄 | マーサー - https://www.mercer.com/our-thinking/thrive/thriving-in-a-disrupted-world.html 4 キャリア開発機会 | Thai Union - www.thaiunion.com/en/careers/career-development-opportunities

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