キャリア

サウジアラビアの「ビジョン2030」における女性の役割

2019年4月25日
  • Najla Najm

    サウジアラビア、キャリアビジネスリーダー

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"「今後数年間にわたって、女性がサウジアラビアの成長を引き続き牽引し、この王国の持つ真の可能性を世界の舞台で解き放つ様子を見ることになるでしょう。それは、非常に興味をそそられることです。」"

ここ何年にもわたり、サウジアラビアの労働人口における女性の地位は、実に顕著な変化を示してきました。女性が車を運転する権利を認める2017年の国王令は、女性従業員の移動を可能にする歴史的な第一歩となりました。しかし、国のありかたを形づくる重要な変化が見られるようになったのは、これよりもずっと前のことでした。2009年には初の女性副大臣が任命され、2013年には諮問評議会議員に女性が迎えられています。

変革は、主に女性の教育に総合的に力を入れることで促進されてきました。実際、2008年には、リヤドにあるプリンセス・ヌーラ大学が世界最大の女子大学となったことが発表されました。1 こうした歩みは、サウジアラビアが世界の舞台に平等に参加するための基礎を固める中で起こった氷山の一角に過ぎませんが、「ビジョン2030」を成功させる重要な要素であることは明らかでしょう。2

世界的な観点からみれば、サウジアラビア王国で起こっていることは、働き方に関して進む、より幅広い議論の一部です。こうした議論には、北米における同一労働同一賃金の問題、ヨーロッパにおける女性の取締役会代表の欠如などあらゆる話題が含まれます。実のところ、マーサーは世界経済フォーラムと協力して、キャンペーンを実施しています。その中心となるのが、女性が活躍する時という調査です。この調査によると、現在の変化の速度では、男女間の世界的な経済格差を埋めるには217年かかります。同時に、ビジネスや社会全体の成長にとって、男女平等および労働力への女性参画に留意すべきであることは、ますます明らかになってきています。

この報告書ではまた、多様な労働力が、収益を確実に増強する、ビジネス上不可欠なものであることも示唆されています。世界中の組織ではこうしたメリットを実感し、上級管理職の女性を増やしたり、女性の昇進を可能にしたりするよう、意識的に努力しています。「ビジョン2030」につながる国内の観点からみると、政府と民間部門の重要な組織から、指導者、経営幹部、理事などへの女性の起用が数多く発表されています。

最近では、世界で最も収益を上げている石油会社サウジアラムコが取締役に初の女性を任命し、シティグループもサウジアラビアでの事業責任者に女性を任命しています。多くの企業が、上級管理職の増加、女性の昇進の許可、男女間の賃金格差縮小などの面で、持続的な成果を挙げています。才能と能力こそが業務の成功を決定する要因であるため、これらの企業は能力に基づいた人材の採用と昇進を行うようになっています。女性が成功するための準備は万端です。

それでは、実際、サウジアラビアの組織はどのように女性の活躍を確実なものとし、それにより「ビジョン2030」を推進できるのでしょう。今日、サウジアラビアの人口のほぼ50%が女性ですが、現時点では、女性の労働人口はわずか20%となっています。3 一方で、女性のほうが高い割合で高等教育の学位を有している傾向があります。サウジアラビア女性の莫大なポテンシャルを解放することで、人材活用の余地が生まれます。

女性が活躍する時の調査は、組織が男女平等を推進できる方法を説明しています。例えば、労働力データを分析することで、雇用主はどの業務に人材をより大きく成長させる価値があるかを把握し、女性がそれらの業務に就く機会が平等にあるかどうかを評価することができます。その後、雇用主は再教育の機会を検討して、女性従業員が自らの学びに満足できるように人材を最適に配置できます。そうすれば、新たな方法で価値を生む意欲ある従業員によって、組織はメリットを享受できます。

サウジアラビアの大規模な変革が進む中、人々とスキルが同国の「ビジョン2030」を成功させる鍵となります。というのも、人間こそがあらゆる大きな変化の原動力だからです。女性にとっての機会が拡大する最近の傾向、そしてますます多様化する労働人口に女性がもたらす知識とスキルを考えると、持続可能な成長は、未来を活気づける適切な人材を活かせるかどうかにかかっています。その結果、サウジアラビアの地位が、かつての石油主導の国から人材主導の国に移行しています。

今後数年間にわたって、女性がサウジアラビアの成長を引き続き牽引し、この王国の持つ真の可能性を世界の舞台で解き放つ様子を見ることになるでしょう。それは、非常に興味をそそられることです。

1"World's Largest University for Women Launched in Saudi Arabia", Arab News, May 2011,https://www.edarabia.com/21384/worlds-largest-university-for-women-launched-in-saudi-arabia/.
2
"Our Vision: Saudi Arabia, the Heart of the Arab and Islamic Worlds, the Investment Powerhouse and the Hub Connecting Three Continents," Saudi Vision 2030,https://vision2030.gov.sa/en.
3
Trading Economics, 20 Million Indicators From 196 Countries,https://tradingeconomics.com.

 

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Amy Scissons | 26 3 2020

今日の世界では、多様な人材を育成し、雇用し続けることはかつてなく困難になっています。多様性の問題を「解決」するばかりで人材確保ができるものではありません。多様な人材を育成、開発しなければ、離職や意欲の低下という新たな問題に直面します。 この点はマーサーが発表したレポート「ダイバーシティ&インクルージョンテクノロジー:革新的な新興マーケット」の論評にも反映されています。「経営者らは、多様な組織や包容性の高い文化がないことは全体の問題であり、個人の力ではどうにもならないことを理解し始めている」 幸い、多様な人材のニーズを的確に支援する方法があります。詳しく見ていく前に、まず多様な人材の構築、維持、育成の重要性について考えましょう。 開発された多様な人材のメリット   今日の企業が生き残るためには、HRを含めビジネスのあらゆる面で俊敏性を優先する必要があります。マーサーの「2019年グローバル人材動向調査」における調査では、素早い変化を実現し、事業の混乱を最小限に抑えつつ、急激なトレンドにも迅速に対処する自信を持っている企業は約3割です。では、HRのアジャイルアプローチとは、どのように実践されているのでしょうか。 この俊敏性と自信は、一つには十分に開発された多様な人材から生まれています。従業員をスキルアップさせて将来のビジネスニーズを満たせるようにしておくことで、デジタルオートメーションや産業融合など、あらゆる激変に伴う移行を円滑化できます。俊敏性を高めることで、広範囲にわたる業界の変革を乗り切り、競合他社を出し抜いて、スムーズに優位性を獲得できるとしたら、いかがでしょうか。 それを実現するためには、多様な人材が必要としているものに注目しなければなりません。 多様な人材のニーズを理解する   まず、今日の人材は、スキル開発の機会が見える雇用プロセスを求めています。マーサーの「2018年グローバル人材動向調査」によると、会社が個人的および職業的に成長する機会を与えてくれていると考える従業員は66%に過ぎませんでした。 とはいえ、マーサーの「2019年グローバル人材動向調査」になると、世界の人材が職場で優先するものは微妙に変化しています。従業員と雇用主の間でスキルアップのニーズに差があるのが世界的な傾向です。 労働者が雇用関係に求めるものを調査した結果、新たなスキルの開発が第1位となった国もあります。世界的には、これは従業員の雇用主に対する要望第3位になっています。いくつか例を見てみましょう。 1.     ブラジル:世界の大半の地域と同じく、貢献に対する評価が第1位となっているものの、従業員が求めているもの第2位がスキルの向上と新たな能力の開発となっています。 2.     メキシコ:新たなスキルとテクノロジーを学ぶ機会が従業員にとって最優先事項となっており、次にワークライフバランスの管理が続きます。 3.     中国:中国の従業員にとっては、ワークライフバランスが最優先事項であり、次に新たなスキルの習得が続きます。3位に優先することは、楽しい職場環境です。 4.     中東:中東では、何よりも新たなスキルの開発や新たなテクノロジーの学習機会が最優先事項となっています。ワークライフバランスが2位、有意義なプロジェクトが3位と続きます。 これらの嗜好は様々な形で表出します。例えば、メキシコの労働者の9割以上は、カジュアルなフリーランススタイルの働き方に対してオープンであり、新たな仕事の機会を求めるとともに、自らのスケジュールを管理することに一定の関心があることが分かります。これはワークライフバランスの優先度の高さとも結びつきます。 優先順位は国によって多少異なるものの、世界的、文化的、地理的な違いを越えて、従業員が職場に求めるものは似通っていることが分かります。真の課題は、雇用主がスキル開発にどのように取り組むかという点にあります。 人材のスキル再開発、スキルアップ、育成   スキルの再開発とスキルアップにおいて、従来のトレーニングは必ずしも最善の方法ではありません。多文化の人材の特定のニーズに対応していないことが多いためです。例えば、講義形式のセッションにおいて、受講者がテーマを自らに当てはめて考えることができなければ、理解は困難になります。また、受講者が大人数の前で発言することを好まない場合、会話の交換が難しくなる可能性があります。 そこでマーサーのダイバーシティ&インクルージョンレポートが指摘するように、新たなテクノロジーを活用する独自の方法でこの課題に対処できます。その例の1つは、プライベート通信チャネルの活用です。翻訳会社などが提供しているような新たなツールを活用し、教室での受講者は匿名で質問でき、トレーナーはバランスの取れたディスカッションの仲介役を果たすことができます。また、トレーナーが受講者のパルスサーベイを行い、会話のトピックに対する安心感の推移を評価できます。 このような新たなテクノロジーや手法を活用することによって、人材育成に目を見張る成果が出ることがあり、そこに独自のメリットも伴います。ただし、離職率の低減にも等しく重点を置いてスキル開発に取り組まなければ、効果が乏しくなることに留意します。手塩にかけて育てた人材が競合他社で新たなスキルを活用することほど悔しいことはありません。雇用主が学習を最終目標と見なすのではなく、従業員のキャリアジャーニーにおける継続的なステップとして見る必要があるのはそのためです。 従業員はスキル開発を望み、キャリアに対するその影響を理解しているというデータがあります。一方の雇用主は、競争力を維持するためにも、学習についてさらに革新的なアプローチを取る必要があります。多文化の背景や多様なニーズを持つ労働者を含め、全ての人材を育成すること、これが長期的に業績を維持していく秘訣です。

島田 圭子 | 27 2 2020

世界経済フォーラムが2019年末に発表したジェンダー・ギャップ指数で、日本は153ヵ国中、過去最低の121位となった。ランキングを2018年の110位から大きく下げている。一方で例年実施している同フォーラム年次総会(通称:ダボス会議)での弊社主催イベント「When Women Thrive, Business Thrive - 女性が活躍するとき、企業も持続的に成長する」には今年三菱ケミカルホールディングス株式会社が日本企業からパネリスト参加をされ、弊社主催の同タイトルの調査にも日本から有意な数の企業の参加があり、企業における女性活躍への関心は高まっている。そのような中、先般小泉環境相の「男性による」育休取得が話題になった。特に海外からは、自国では男性の取得が当たり前であり、日本で男性の取得率が6.16%(2018年厚労省調べ)と低いことに驚く声が多くきかれた。この「男性の育休取得」を、小さなこどもを持つ働く「女性の活躍」との関連で見ていきたい。 まず、日本における育児休業制度とはどのようなものか。現在につながる法定の育児休業制度は、日本では1992年に所得補償のない状態で施行、1995年に雇用保険による一部所得補償が導入され、その後何度かの改正を経て現在では原則として休業開始時賃金月額の50%(休業開始後6か月間は67%)支給される。父親の育児休業取得を促す仕組みとして、取得回数と期間の特例がある。子1人につき原則1回である育児休業の回数を、子の出生日から8週間以内に父親が最初の育児休業を取得した場合に2回目の取得を可能とし(「パパ休暇」)、また原則満1歳までの育児休業期間に対して、夫婦の両方が時期をずらして取得することによって、子どもが最大1歳2か月まで休業を可能としている(「パパ・ママ育休プラス」)。それでも男性の取得率は大きく上がっていない。主な理由として、「会社での育児休業制度の未整備(27.5%)」に加え、「業務繁忙による職場の人手不足(27.8%)」、「職場で育児休業を取得しづらい雰囲気(25.4%)」等が挙がっている(出典:三菱UFJリサーチ&コンサルティング「仕事と家庭の両立に関する実態把握のための調査研究事業報告書」(平成29年度))が、取得後に職場で不利な扱いを受ける等のパタニティハラスメントの存在も否めない。共働き世帯が1997年を境に増加し、専業主婦世帯の2倍を超すようになっても(2018年男女共同参画白書)、共働き世帯の夫の家事・育児にかける時間は1日平均46分(妻は4時間44分)と大幅な差がある。(2016年社会生活基本調査)。 この男性の育児休業取得の促進は、特に日本企業、また日本社会にとってどのような意味があるだろうか。それは、働く女性の活躍の加速である。私は女性の活躍を阻むもののひとつとして、専業主婦世帯が多かった時代の名残で、育児は母親がすべき、従って女性は(仕事をしていても)家事・育児をメインで負担すべきという考え方とそれにより、女性が家事・育児に時間を取られすぎている状況があると考える。特に子どもが小さい時には、保育園に子どもを迎えに行き、食事を与え、寝かしつけてから夜仕事をする、というサイクルが続くと心身共に疲弊し、当初希望していてもより重い役割を担うことに逡巡するリスクは必ずある。せっかく管理職になっていても、疲弊して管理職を降りる決意をするケースも存在する。なお、この「ワンオペ育児」を助長しているのが、女性(母親)のみによる育児休業制度の取得だと考えており、この間に母親が家事・育児をメインでカバーする状態が確立してしまうと、仕事復帰後にその状況を変えることが難しくなる。男性(父親)側も、手伝おうにも習熟していないので対応が難しく、また入る隙がないということになる。男性が育児休業を取得することにより、まず育児をしっかりと体験するので、母親(女性)と役割分担ができる知識とスキルが身に付き、子どもとのアタッチメントが高まる。この経験は早い段階で行うほど効果がある。主に母親が育児休業を取得する現状においては、男性(父親)は産後直後と、女性(母親)の仕事復帰の前に2回取得できると、比較的初期に育児・家事の分担ができ、女性の早期の仕事復帰とその後の仕事と育児・家事のバランスがとりやすくなるのではないかと思う。 育児は母親がするものという固定概念を崩すには大きな力が必要となる。職場で実質的に促進するなど、経営側も現場も取得を本気でサポートする風土を作らないと、給付金を80%に引き上げても男性の育児休業取得は促進されないと考える。また、実際に取得する場合には、うまい引継ぎや生産性の向上も求められるだろう。働き方改革、日本の雇用・人材マネジメントの改革の一環として、ぜひ特に日本企業で男性の育児休業取得に向けた後押しをしていけると理想的である。まずは各企業で定めている年間5日程度の有給の「育児休暇」の取得からスタートするのでも意味があると考える。

Simon Coxeter | 27 2 2020

ファイナンスは、会社のあらゆる機能に影響を与え、個人にとっては個人の生活にも影響を及ぼします。従業員の経済状態が厳しくなると、仕事の満足度や態度に影響が及び、パフォーマンスが妨げられる可能性があります。経済的なストレスを抱えた労働者は、そうでない労働者よりも仕事の機会を逃し、医療費が高いことが知られています。これらの要因は、必然的に企業の従業員エンゲージメントレベルを損ない、最終的には業績にも影響します。特に、複数の従業員が経済的困難を経験している場合はそう言えます。 同時に人事のプロフェッショナルは、人は給料のためだけに働いているのではなく、給与を上げるだけでは必ずしも仕事の満足度が上がるとは限らないことを知っています。さらに従業員は明るい企業文化、柔軟な予定、表彰、人材開発(L&D)、退職プラン、その他の福利厚生も求めています。当然、従業員は給料は別の話としても、自分の価値が認められ、未来が開けている会社で働きたいと考えています。 世界の失業率が40年間で最低レベルに到達する中、人手不足が進行し、雇用主はますます採用競争が激化する環境に直面している一方、福利厚生パッケージは優秀な人材を集めてつなぎ留めるますます重要なツールになりつつあります。福利厚生で成長を続けているプログラムの一つは、体系化されたファイナンシャル・ウェルネスです。 ファイナンシャル・ウェルネスのソリューションでは、目標の策定、基本的なファイナンシャル・リテラシー、予算編成、負債管理、経済的ストレスの軽減などのコースがあり、従業員はお金に関する教育が受けられます。ファイナンシャル・ウェルネスのプログラムの目的は住宅、自動車、大学、退職金などのための貯蓄など、お金が関係する様々なライフステージで目標達成に役立つ行動に向けて従業員をガイドすることにあります。「マーサーの健康的で働きがいのあるレポート」では、ファイナンシャル・ウェルネスが提供された場合、福利厚生プランに対する従業員(および雇用主)の満足度が高いことが明らかになっています。さらに、多くの企業はファイナンシャル・ウェルネスの投資対効果を33%と報告しています。 従業員が経済状態について不安を抱く。 多くの従業員にとって、ストレスの最大の原因はお金です。マーサーのInside Employees Mindsレポートで3,000人のワーカーを対象に行われた調査では、経済的ストレスがどの程度仕事に影響を与えたか、という質問に対して、経済的な課題を抱えている人の62%が最も大きな経済的な心配として月々の支払いを挙げています。その中には年間の世帯収入が10万ドル以上の人々も含まれていました。 経済的ストレスは年齢層によって異なります。ヤングアダルト層は、特に大学の教育関連費用などで多額の負債を抱えています。ファミリー層はキャッシュフローの問題や予想外の出費で経済的な目標達成に苦労しています。中高年層も高齢の親の介護や家に戻ってきた子供の世話をすることで経済的なストレスを抱えていることがあります。ひとり親には特有の経済的ストレスがあります。したがって、ファイナンシャル・ウェルネスプログラムを設計する際は、従業員全体の年齢層とそれぞれの生活の経済状態を考慮することが重要です。 注目すべきファイナンシャル・ウェルネスのトレンド 経済的な困難からくるすべての苦悩については、ファイナンシャル・ウェルネスのプログラムにより状況が改善され、従業員にも雇用主にも利益がもたらされることが期待されます。ギャラップの調査によるとファイナンシャル・ウェルネス(経済的健康)は、所得レベルに関係なく、前向きな行動と強い人間関係に密接に関連しています。 雇用主はファイナンシャル・ウェルネスのプログラムを導入することで、従業員がより幸福で、より健康的で、より生産的になることで恩恵を得ます。モルガン・スタンレーとファイナンシャル・ヘルス・ネットワークの共同調査では、75%の従業員がファイナンシャル・ウェルネス・プログラムは福利厚生の重要な要素であり、60%がファイナンシャル・ウェルネス・ソリューションを実施している会社で働き続けたいと回答しています。 雇用主は従業員が抱える経済的ストレスに対処することの重要性を認識していますが、従業員へのサポートを提供する取り組みの点で改善の余地があります。アジア太平洋、ヨーロッパ、アフリカ、中東、および北米の従業員を対象にしたシグナの世界幸福度調査では、従業員の87%が職場でストレスを感じており、個人の経済状態が最大のストレス要因になっています。そして、従業員の38%はストレス管理のサポートがまったく提供されていないと回答しています。従業員のうち雇用主からサポートを受けていると回答しているのは46%に上る一方で、サポートが適切であると感じているのは28%にとどまります。 そろそろファイナンシャル・ウェルネスの水準を引き上げても良いころです。企業が従業員のファイナンシャル・ウェルネスのソリューションを最大限に活用し、競合他社を先んじるために企業が検討しているいくつかの新しいトレンドと戦略を以下に示します。 ユーザーはパーソナライズされたテクノロジー主導型ソリューションを求めています。 ファイナンシャル・プランニングについては、モダンでシンプルなインタフェースで経済状態の全体像を把握し、お金に関する目標を達成して説明責任を果たせるように、パーソナライズされた解説つきのソリューションが求められています。 最近のForresterの調査によると、資産管理会社の顧客はファイナンシャル・プランニングのソリューションに対してもっと多くの機能やデジタル対応を求めています。こうした需要から、アカウントの集約、パーソナライズされたコンテンツ配信などの機能が生まれ、説明責任という基本的な要素がファイナンシャル・ウェルネス・プログラムの成功をもたらしています。「ヘルプ・ミー・ヘルプ・マイセルフ」型のツールは経済状態のスナップショット、予算プランナーやローン返済計算機の機能を備え、ユーザーごとにパーソナライズされます。 特に、モルガン・スタンレーとファイナンシャル・ヘルス・ネットワークによる調査では、42%の従業員が、雇用主の提供する福利厚生やプログラムについて十分に知らされていないと感じる、と回答していることが明らかになりました。すべての福利厚生を活用していない多くの従業員は、もっと明確な説明があり、利用しやすくなれば、福利厚生を利用するようになるだろうと回答しています。Thompsons Online Benefits Watchによると、従業員の70%が福利厚生パッケージへのスマートフォンによるアクセスを望んでいますが、それを提供している雇用主は51%にすぎません。 これらのギャップは、企業がファイナンシャル・ウェルネス・プログラムを向上させ、従業員にとって使いやすく魅力的なものにする機会があることを意味しています。雇用主はライブWebセミナー、ソーシャルメディア、SMS通知などを使って福利厚生について知らせる必要があるでしょう。また、スマートフォンからアクセスでき、ユーザーエクスペリエンスをパーソナライズできるオンラインツールを提供する必要もあります。 2.データアナリティクスとデジタルテクノロジーによって、ファイナンシャル・ウェルネス・プログラムをパーソナライズする。 ファイナンシャル・ウェルネス・プログラムでは、データ・アナリティクスに基づいてデジタル時代に従業員が期待するパーソナライゼーションが提供されます。データ・アナリティクスは従業員をタイプとカテゴリーに分類し、ライブイベントやライフステージごとにプログラムがパーソナライズするのに役立ちます。 オンラインストアで消費者の好みが収集され、統計データを使用して推奨や提案が行われるのと同様、ファイナンシャル・ウェルネス・プラットフォームではデータ・アナリティクスとアルゴリズムを活用して、従業員が目標に向けて成長しているか、何らかの支援が必要かどうかを判断します。 一部のプログラムでは、データ・アナリティクスを活用して従業員の節約と支出の習慣をフレーミングし、同僚と比較します。これらのプログラムでは、行動を分析し、スコアを提示できるため、従業員が貯蓄や債務の管理で改善が見られているかどうかを確認するのにも役立ちます。 一部のプログラムでは、従業員個人を対象に、新車の購入や結婚などのマイルストーンに的を絞ったマーケティングキャンペーンを作成する機能を雇用主に提供することもできます。これらのマイルストーンを活用し、家財保険への加入や教育貯蓄口座の開設を推奨するなど、貯蓄や支出といった何らかの行動のヒントを提供することもできます。 データ・アナリティクスを使用して各従業員のプロフィールを作成し、カスタマイズされたセルフサービス型のツールでサポートできます。こうすることで従業員は質問の答えを見つけ、ライフステージの変化をより適切に計画できるようになります。たとえば、従業員は自分のプロフィールやファイナンスに関するすべての情報を検討し、子供を産んだ場合に加入すべき生命保険の金額を判断できます。データ・アナリティクスがないと、金額は自分で計算しなければならず、面倒で時間がかかるほか、ファイナンシャル・アドバイザーに相談する場合はコストがかかります。 雇用主側のメリットとしては、ファイナンシャル・ウェルネス・プログラムのパフォーマンスを判断するデータを収集できるという点が挙げられます。このデータはプログラムで新しいコンポーネントや機能を提供するのに役立ち、従業員のニーズへの対応が改善されます。 3.従業員は口先だけでなく実質的な支援を求めている。 福利厚生エコシステムにおいては、ファイナンシャル・ウェルネス・プログラムの重要性が拡大し、給料の支払いだけでなく、経済的な安定についても雇用主に面倒を見てもらいたいとする従業員が増えています。Thompsons Online Benefits Watchによると、従業員の79%が計画、節約、投資に関する健全なアドバイスを提供する点で雇用主を信頼しています。従業員の経済状態の改善に向けて、雇用主には現実的で実際的な方法を示すことが期待されています。 メリルリンチの調査によると、ファイナンシャル・ウェルネスのプログラムに従業員が望むことと、雇用主が提供しているものの間には大きなギャップがあることが明らかになっています。たとえば一般的に、従業員は最終的な目標達成に向けて努力し、一度に一つの目標に集中したいと考える傾向にあります。一方で雇用主は、全体のファイナンスを管理するための包括的なアプローチを強調し、厳格なアプローチを取ります。 雇用主の包括的な戦略が善意に基づいていることは確かですが、利用者にとっては負荷が重くなる傾向があります。特にストレスの多い状況では、ファイナンシャル・プランニングは脅威として受け取られることもあります。こうした状況を緩和するため、ウェルネス業界の企業は従業員の視点からプログラムを設計して、総合的なアプローチを提供しています。経済的な健康を心身の健康と統合するホリスティックプログラムでは、お金に関する「部屋の片づけ」を行い、経済状態や結婚式用の貯蓄、住宅の購入、ローンの管理など、生活のさまざまな要素を結びつけるのに役立ちます。 適切に設計されたプログラムは、理解不可能なサービスや金融商品の複雑な情報や提案を次から次へと提示して従業員を怖気づかせるのではなく、ファイナンシャル・ウェルネスのトピックをわかりやすく説明しなければなりません。 4.エンゲージメント、生産性向上、成功のためのファイナンシャル・ウェルネス・プログラムのビジネスケースを構築する。 経営陣が知っているかどうかにかかわらず、従業員は経済的ストレスを職場に持ち込んでおり、それは会社の業績に影響を与えています。米国人材マネジメント協会の調査では、個人的な経済問題が過年度の全体的な仕事のパフォーマンスに少なくとも何らかの影響を及ぼしたと答えた回答者が83%もいたことがわかっています。このディスエンゲージメントは、企業にとって大きな損失を意味します。従業員のストレスにより、企業は年間500万ドル以上のコストを負担する可能性があります。 従業員のファイナンシャル・ウェルネスを支援することは、事業上の損失につながるため、組織にとって重要な優先事項となる傾向が高まっています。GuideSparkの調査によると、ウェルネス・プログラムが重要な福利厚生と回答したのは従業員の82%で、ストレス管理(86%)および運動(85%)に次いで3番目でした。 従業員のウェルネス・プログラムの成果は前途有望です。Employee Benefit Newsによると、ファイナンシャル・ウェルネスプログラムの参加者は経済状態が向上したことが明らかになっています。個人的な経済状態について「非常にストレスを感じている」と答えた参加者の割合は、ファイナンシャル・ウェルネス・プログラムの導入後には52.4%から19.2%へと減少しました。同様に、ファイナンシャル・ウェルネス・プログラムの導入後、参加者の56%が毎月のキャッシュフローを上手に管理できるようになったと回答しています。 5.学生ローンの返済とリーズナブルなコストの教育への関心が高まる。 人事業界においては、従業員を育成するスキル開発が従業員エンゲージメントの原動力となってきました。ただし、実際のところ多くの従業員にとって過去の支払いが負担となっています。高等教育の費用が高騰し、先進国と発展途上国の両方で学生ローンの債務問題が発生しています。大学の授業料は上昇し続けており、大卒の学生ローンの負債額は記録的なレベルに達しています。世界銀行は、先進国よりも発展途上国で高等教育の問題が発生していることを報告しています。 莫大な負債と高い授業料により、多くの従業員はキャリアアップのチャンスを得る前に意欲がそがれ、企業の人材格差が拡大し、人材の層が薄くなっています。授業料が上昇し負債が増大する中で、人事のプロフェッショナルには、企業と従業員の双方が直面する問題について解決策を示すことが求められています。つまりローンの返済教育を行うことで、従業員ができるだけ早くローンを返済できる戦略を立てることです。人事部の中には、さらに踏み込んでローンの代位弁済や授業料の返還プログラムを提供するよう経営陣に説得できる場合もあるでしょう。 従業員が経済状態を心配している場合、転職して、必要なツールや報酬を喜んで与えてくれる雇用主を見つける必要があるかもしれません。ローンの返済に関するアドバイスやサポートを提供することにより、従業員が直面する個人的な問題の解決策を提示できます。そうすれば従業員はもっと会社に尽くすようになり、会社全体の士気が向上するだけでなく、生産性も高まります。 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Amy Scissons | 26 3 2020

今日の世界では、多様な人材を育成し、雇用し続けることはかつてなく困難になっています。多様性の問題を「解決」するばかりで人材確保ができるものではありません。多様な人材を育成、開発しなければ、離職や意欲の低下という新たな問題に直面します。 この点はマーサーが発表したレポート「ダイバーシティ&インクルージョンテクノロジー:革新的な新興マーケット」の論評にも反映されています。「経営者らは、多様な組織や包容性の高い文化がないことは全体の問題であり、個人の力ではどうにもならないことを理解し始めている」 幸い、多様な人材のニーズを的確に支援する方法があります。詳しく見ていく前に、まず多様な人材の構築、維持、育成の重要性について考えましょう。 開発された多様な人材のメリット   今日の企業が生き残るためには、HRを含めビジネスのあらゆる面で俊敏性を優先する必要があります。マーサーの「2019年グローバル人材動向調査」における調査では、素早い変化を実現し、事業の混乱を最小限に抑えつつ、急激なトレンドにも迅速に対処する自信を持っている企業は約3割です。では、HRのアジャイルアプローチとは、どのように実践されているのでしょうか。 この俊敏性と自信は、一つには十分に開発された多様な人材から生まれています。従業員をスキルアップさせて将来のビジネスニーズを満たせるようにしておくことで、デジタルオートメーションや産業融合など、あらゆる激変に伴う移行を円滑化できます。俊敏性を高めることで、広範囲にわたる業界の変革を乗り切り、競合他社を出し抜いて、スムーズに優位性を獲得できるとしたら、いかがでしょうか。 それを実現するためには、多様な人材が必要としているものに注目しなければなりません。 多様な人材のニーズを理解する   まず、今日の人材は、スキル開発の機会が見える雇用プロセスを求めています。マーサーの「2018年グローバル人材動向調査」によると、会社が個人的および職業的に成長する機会を与えてくれていると考える従業員は66%に過ぎませんでした。 とはいえ、マーサーの「2019年グローバル人材動向調査」になると、世界の人材が職場で優先するものは微妙に変化しています。従業員と雇用主の間でスキルアップのニーズに差があるのが世界的な傾向です。 労働者が雇用関係に求めるものを調査した結果、新たなスキルの開発が第1位となった国もあります。世界的には、これは従業員の雇用主に対する要望第3位になっています。いくつか例を見てみましょう。 1.     ブラジル:世界の大半の地域と同じく、貢献に対する評価が第1位となっているものの、従業員が求めているもの第2位がスキルの向上と新たな能力の開発となっています。 2.     メキシコ:新たなスキルとテクノロジーを学ぶ機会が従業員にとって最優先事項となっており、次にワークライフバランスの管理が続きます。 3.     中国:中国の従業員にとっては、ワークライフバランスが最優先事項であり、次に新たなスキルの習得が続きます。3位に優先することは、楽しい職場環境です。 4.     中東:中東では、何よりも新たなスキルの開発や新たなテクノロジーの学習機会が最優先事項となっています。ワークライフバランスが2位、有意義なプロジェクトが3位と続きます。 これらの嗜好は様々な形で表出します。例えば、メキシコの労働者の9割以上は、カジュアルなフリーランススタイルの働き方に対してオープンであり、新たな仕事の機会を求めるとともに、自らのスケジュールを管理することに一定の関心があることが分かります。これはワークライフバランスの優先度の高さとも結びつきます。 優先順位は国によって多少異なるものの、世界的、文化的、地理的な違いを越えて、従業員が職場に求めるものは似通っていることが分かります。真の課題は、雇用主がスキル開発にどのように取り組むかという点にあります。 人材のスキル再開発、スキルアップ、育成   スキルの再開発とスキルアップにおいて、従来のトレーニングは必ずしも最善の方法ではありません。多文化の人材の特定のニーズに対応していないことが多いためです。例えば、講義形式のセッションにおいて、受講者がテーマを自らに当てはめて考えることができなければ、理解は困難になります。また、受講者が大人数の前で発言することを好まない場合、会話の交換が難しくなる可能性があります。 そこでマーサーのダイバーシティ&インクルージョンレポートが指摘するように、新たなテクノロジーを活用する独自の方法でこの課題に対処できます。その例の1つは、プライベート通信チャネルの活用です。翻訳会社などが提供しているような新たなツールを活用し、教室での受講者は匿名で質問でき、トレーナーはバランスの取れたディスカッションの仲介役を果たすことができます。また、トレーナーが受講者のパルスサーベイを行い、会話のトピックに対する安心感の推移を評価できます。 このような新たなテクノロジーや手法を活用することによって、人材育成に目を見張る成果が出ることがあり、そこに独自のメリットも伴います。ただし、離職率の低減にも等しく重点を置いてスキル開発に取り組まなければ、効果が乏しくなることに留意します。手塩にかけて育てた人材が競合他社で新たなスキルを活用することほど悔しいことはありません。雇用主が学習を最終目標と見なすのではなく、従業員のキャリアジャーニーにおける継続的なステップとして見る必要があるのはそのためです。 従業員はスキル開発を望み、キャリアに対するその影響を理解しているというデータがあります。一方の雇用主は、競争力を維持するためにも、学習についてさらに革新的なアプローチを取る必要があります。多文化の背景や多様なニーズを持つ労働者を含め、全ての人材を育成すること、これが長期的に業績を維持していく秘訣です。

Simon Coxeter | 27 2 2020

ファイナンスは、会社のあらゆる機能に影響を与え、個人にとっては個人の生活にも影響を及ぼします。従業員の経済状態が厳しくなると、仕事の満足度や態度に影響が及び、パフォーマンスが妨げられる可能性があります。経済的なストレスを抱えた労働者は、そうでない労働者よりも仕事の機会を逃し、医療費が高いことが知られています。これらの要因は、必然的に企業の従業員エンゲージメントレベルを損ない、最終的には業績にも影響します。特に、複数の従業員が経済的困難を経験している場合はそう言えます。 同時に人事のプロフェッショナルは、人は給料のためだけに働いているのではなく、給与を上げるだけでは必ずしも仕事の満足度が上がるとは限らないことを知っています。さらに従業員は明るい企業文化、柔軟な予定、表彰、人材開発(L&D)、退職プラン、その他の福利厚生も求めています。当然、従業員は給料は別の話としても、自分の価値が認められ、未来が開けている会社で働きたいと考えています。 世界の失業率が40年間で最低レベルに到達する中、人手不足が進行し、雇用主はますます採用競争が激化する環境に直面している一方、福利厚生パッケージは優秀な人材を集めてつなぎ留めるますます重要なツールになりつつあります。福利厚生で成長を続けているプログラムの一つは、体系化されたファイナンシャル・ウェルネスです。 ファイナンシャル・ウェルネスのソリューションでは、目標の策定、基本的なファイナンシャル・リテラシー、予算編成、負債管理、経済的ストレスの軽減などのコースがあり、従業員はお金に関する教育が受けられます。ファイナンシャル・ウェルネスのプログラムの目的は住宅、自動車、大学、退職金などのための貯蓄など、お金が関係する様々なライフステージで目標達成に役立つ行動に向けて従業員をガイドすることにあります。「マーサーの健康的で働きがいのあるレポート」では、ファイナンシャル・ウェルネスが提供された場合、福利厚生プランに対する従業員(および雇用主)の満足度が高いことが明らかになっています。さらに、多くの企業はファイナンシャル・ウェルネスの投資対効果を33%と報告しています。 従業員が経済状態について不安を抱く。 多くの従業員にとって、ストレスの最大の原因はお金です。マーサーのInside Employees Mindsレポートで3,000人のワーカーを対象に行われた調査では、経済的ストレスがどの程度仕事に影響を与えたか、という質問に対して、経済的な課題を抱えている人の62%が最も大きな経済的な心配として月々の支払いを挙げています。その中には年間の世帯収入が10万ドル以上の人々も含まれていました。 経済的ストレスは年齢層によって異なります。ヤングアダルト層は、特に大学の教育関連費用などで多額の負債を抱えています。ファミリー層はキャッシュフローの問題や予想外の出費で経済的な目標達成に苦労しています。中高年層も高齢の親の介護や家に戻ってきた子供の世話をすることで経済的なストレスを抱えていることがあります。ひとり親には特有の経済的ストレスがあります。したがって、ファイナンシャル・ウェルネスプログラムを設計する際は、従業員全体の年齢層とそれぞれの生活の経済状態を考慮することが重要です。 注目すべきファイナンシャル・ウェルネスのトレンド 経済的な困難からくるすべての苦悩については、ファイナンシャル・ウェルネスのプログラムにより状況が改善され、従業員にも雇用主にも利益がもたらされることが期待されます。ギャラップの調査によるとファイナンシャル・ウェルネス(経済的健康)は、所得レベルに関係なく、前向きな行動と強い人間関係に密接に関連しています。 雇用主はファイナンシャル・ウェルネスのプログラムを導入することで、従業員がより幸福で、より健康的で、より生産的になることで恩恵を得ます。モルガン・スタンレーとファイナンシャル・ヘルス・ネットワークの共同調査では、75%の従業員がファイナンシャル・ウェルネス・プログラムは福利厚生の重要な要素であり、60%がファイナンシャル・ウェルネス・ソリューションを実施している会社で働き続けたいと回答しています。 雇用主は従業員が抱える経済的ストレスに対処することの重要性を認識していますが、従業員へのサポートを提供する取り組みの点で改善の余地があります。アジア太平洋、ヨーロッパ、アフリカ、中東、および北米の従業員を対象にしたシグナの世界幸福度調査では、従業員の87%が職場でストレスを感じており、個人の経済状態が最大のストレス要因になっています。そして、従業員の38%はストレス管理のサポートがまったく提供されていないと回答しています。従業員のうち雇用主からサポートを受けていると回答しているのは46%に上る一方で、サポートが適切であると感じているのは28%にとどまります。 そろそろファイナンシャル・ウェルネスの水準を引き上げても良いころです。企業が従業員のファイナンシャル・ウェルネスのソリューションを最大限に活用し、競合他社を先んじるために企業が検討しているいくつかの新しいトレンドと戦略を以下に示します。 ユーザーはパーソナライズされたテクノロジー主導型ソリューションを求めています。 ファイナンシャル・プランニングについては、モダンでシンプルなインタフェースで経済状態の全体像を把握し、お金に関する目標を達成して説明責任を果たせるように、パーソナライズされた解説つきのソリューションが求められています。 最近のForresterの調査によると、資産管理会社の顧客はファイナンシャル・プランニングのソリューションに対してもっと多くの機能やデジタル対応を求めています。こうした需要から、アカウントの集約、パーソナライズされたコンテンツ配信などの機能が生まれ、説明責任という基本的な要素がファイナンシャル・ウェルネス・プログラムの成功をもたらしています。「ヘルプ・ミー・ヘルプ・マイセルフ」型のツールは経済状態のスナップショット、予算プランナーやローン返済計算機の機能を備え、ユーザーごとにパーソナライズされます。 特に、モルガン・スタンレーとファイナンシャル・ヘルス・ネットワークによる調査では、42%の従業員が、雇用主の提供する福利厚生やプログラムについて十分に知らされていないと感じる、と回答していることが明らかになりました。すべての福利厚生を活用していない多くの従業員は、もっと明確な説明があり、利用しやすくなれば、福利厚生を利用するようになるだろうと回答しています。Thompsons Online Benefits Watchによると、従業員の70%が福利厚生パッケージへのスマートフォンによるアクセスを望んでいますが、それを提供している雇用主は51%にすぎません。 これらのギャップは、企業がファイナンシャル・ウェルネス・プログラムを向上させ、従業員にとって使いやすく魅力的なものにする機会があることを意味しています。雇用主はライブWebセミナー、ソーシャルメディア、SMS通知などを使って福利厚生について知らせる必要があるでしょう。また、スマートフォンからアクセスでき、ユーザーエクスペリエンスをパーソナライズできるオンラインツールを提供する必要もあります。 2.データアナリティクスとデジタルテクノロジーによって、ファイナンシャル・ウェルネス・プログラムをパーソナライズする。 ファイナンシャル・ウェルネス・プログラムでは、データ・アナリティクスに基づいてデジタル時代に従業員が期待するパーソナライゼーションが提供されます。データ・アナリティクスは従業員をタイプとカテゴリーに分類し、ライブイベントやライフステージごとにプログラムがパーソナライズするのに役立ちます。 オンラインストアで消費者の好みが収集され、統計データを使用して推奨や提案が行われるのと同様、ファイナンシャル・ウェルネス・プラットフォームではデータ・アナリティクスとアルゴリズムを活用して、従業員が目標に向けて成長しているか、何らかの支援が必要かどうかを判断します。 一部のプログラムでは、データ・アナリティクスを活用して従業員の節約と支出の習慣をフレーミングし、同僚と比較します。これらのプログラムでは、行動を分析し、スコアを提示できるため、従業員が貯蓄や債務の管理で改善が見られているかどうかを確認するのにも役立ちます。 一部のプログラムでは、従業員個人を対象に、新車の購入や結婚などのマイルストーンに的を絞ったマーケティングキャンペーンを作成する機能を雇用主に提供することもできます。これらのマイルストーンを活用し、家財保険への加入や教育貯蓄口座の開設を推奨するなど、貯蓄や支出といった何らかの行動のヒントを提供することもできます。 データ・アナリティクスを使用して各従業員のプロフィールを作成し、カスタマイズされたセルフサービス型のツールでサポートできます。こうすることで従業員は質問の答えを見つけ、ライフステージの変化をより適切に計画できるようになります。たとえば、従業員は自分のプロフィールやファイナンスに関するすべての情報を検討し、子供を産んだ場合に加入すべき生命保険の金額を判断できます。データ・アナリティクスがないと、金額は自分で計算しなければならず、面倒で時間がかかるほか、ファイナンシャル・アドバイザーに相談する場合はコストがかかります。 雇用主側のメリットとしては、ファイナンシャル・ウェルネス・プログラムのパフォーマンスを判断するデータを収集できるという点が挙げられます。このデータはプログラムで新しいコンポーネントや機能を提供するのに役立ち、従業員のニーズへの対応が改善されます。 3.従業員は口先だけでなく実質的な支援を求めている。 福利厚生エコシステムにおいては、ファイナンシャル・ウェルネス・プログラムの重要性が拡大し、給料の支払いだけでなく、経済的な安定についても雇用主に面倒を見てもらいたいとする従業員が増えています。Thompsons Online Benefits Watchによると、従業員の79%が計画、節約、投資に関する健全なアドバイスを提供する点で雇用主を信頼しています。従業員の経済状態の改善に向けて、雇用主には現実的で実際的な方法を示すことが期待されています。 メリルリンチの調査によると、ファイナンシャル・ウェルネスのプログラムに従業員が望むことと、雇用主が提供しているものの間には大きなギャップがあることが明らかになっています。たとえば一般的に、従業員は最終的な目標達成に向けて努力し、一度に一つの目標に集中したいと考える傾向にあります。一方で雇用主は、全体のファイナンスを管理するための包括的なアプローチを強調し、厳格なアプローチを取ります。 雇用主の包括的な戦略が善意に基づいていることは確かですが、利用者にとっては負荷が重くなる傾向があります。特にストレスの多い状況では、ファイナンシャル・プランニングは脅威として受け取られることもあります。こうした状況を緩和するため、ウェルネス業界の企業は従業員の視点からプログラムを設計して、総合的なアプローチを提供しています。経済的な健康を心身の健康と統合するホリスティックプログラムでは、お金に関する「部屋の片づけ」を行い、経済状態や結婚式用の貯蓄、住宅の購入、ローンの管理など、生活のさまざまな要素を結びつけるのに役立ちます。 適切に設計されたプログラムは、理解不可能なサービスや金融商品の複雑な情報や提案を次から次へと提示して従業員を怖気づかせるのではなく、ファイナンシャル・ウェルネスのトピックをわかりやすく説明しなければなりません。 4.エンゲージメント、生産性向上、成功のためのファイナンシャル・ウェルネス・プログラムのビジネスケースを構築する。 経営陣が知っているかどうかにかかわらず、従業員は経済的ストレスを職場に持ち込んでおり、それは会社の業績に影響を与えています。米国人材マネジメント協会の調査では、個人的な経済問題が過年度の全体的な仕事のパフォーマンスに少なくとも何らかの影響を及ぼしたと答えた回答者が83%もいたことがわかっています。このディスエンゲージメントは、企業にとって大きな損失を意味します。従業員のストレスにより、企業は年間500万ドル以上のコストを負担する可能性があります。 従業員のファイナンシャル・ウェルネスを支援することは、事業上の損失につながるため、組織にとって重要な優先事項となる傾向が高まっています。GuideSparkの調査によると、ウェルネス・プログラムが重要な福利厚生と回答したのは従業員の82%で、ストレス管理(86%)および運動(85%)に次いで3番目でした。 従業員のウェルネス・プログラムの成果は前途有望です。Employee Benefit Newsによると、ファイナンシャル・ウェルネスプログラムの参加者は経済状態が向上したことが明らかになっています。個人的な経済状態について「非常にストレスを感じている」と答えた参加者の割合は、ファイナンシャル・ウェルネス・プログラムの導入後には52.4%から19.2%へと減少しました。同様に、ファイナンシャル・ウェルネス・プログラムの導入後、参加者の56%が毎月のキャッシュフローを上手に管理できるようになったと回答しています。 5.学生ローンの返済とリーズナブルなコストの教育への関心が高まる。 人事業界においては、従業員を育成するスキル開発が従業員エンゲージメントの原動力となってきました。ただし、実際のところ多くの従業員にとって過去の支払いが負担となっています。高等教育の費用が高騰し、先進国と発展途上国の両方で学生ローンの債務問題が発生しています。大学の授業料は上昇し続けており、大卒の学生ローンの負債額は記録的なレベルに達しています。世界銀行は、先進国よりも発展途上国で高等教育の問題が発生していることを報告しています。 莫大な負債と高い授業料により、多くの従業員はキャリアアップのチャンスを得る前に意欲がそがれ、企業の人材格差が拡大し、人材の層が薄くなっています。授業料が上昇し負債が増大する中で、人事のプロフェッショナルには、企業と従業員の双方が直面する問題について解決策を示すことが求められています。つまりローンの返済教育を行うことで、従業員ができるだけ早くローンを返済できる戦略を立てることです。人事部の中には、さらに踏み込んでローンの代位弁済や授業料の返還プログラムを提供するよう経営陣に説得できる場合もあるでしょう。 従業員が経済状態を心配している場合、転職して、必要なツールや報酬を喜んで与えてくれる雇用主を見つける必要があるかもしれません。ローンの返済に関するアドバイスやサポートを提供することにより、従業員が直面する個人的な問題の解決策を提示できます。そうすれば従業員はもっと会社に尽くすようになり、会社全体の士気が向上するだけでなく、生産性も高まります。 授業料の返還とその後の教育の奨励により、企業はデジタルトランスフォーメーションで繁栄し、生涯学習の文化を育成する点で大いに貢献することもできます。デジタル化が進行する中、従業員の役割は常に変化しており、固定の役職や詳細な職務記述書は過去のものです。現在のテクノロジーの成長のペースを考えると、技術スキルの多くは、今高く評価されていても、ほんの数年で時代遅れとなるかもしれません。 スキルの格差が拡大すると、企業は新しい従業員を簡単に採用するわけにはいかなくなります。その代わりにスキルアップと事業経営に新しいテクノロジーの導入に情熱を傾ける学習意欲に富む人材の採用に注目していく必要があります。授業料の返還や教育プランについてのアドバイスを行うことで、デジタル時代のための有能な人材を引き付け、育成していくことができるでしょう。 GallupのAnnual Global Emotions Reportでは、世界中の人々が多大なストレスを強いられており、経済状態は確実に最大のストレス要因の一つとなるだろうとしています。従業員のストレスが高まるにつれて、個人のパフォーマンスが低下し、会社の業績に悪影響を及ぼすことに多くの企業が気づくでしょう。何か手を打たなければ従業員の経済的なストレスレベルが上がり続け、企業は生産性の低下、欠勤の増加、エンゲージメントレベルの低下に苦しむことになります。 ファイナンシャル・ウェルネスのソリューションを適切に導入すれば、すべての関係者の経済状態は右肩上がりに上昇し、従業員にも会社にも利益がもたらされます。人事部は従業員と会社が手を取り合いながら働いていくというメッセージを発信することで、両者を結びつけるユニークな立場にあります。

島田 圭子 | 27 2 2020

世界経済フォーラムが2019年末に発表したジェンダー・ギャップ指数で、日本は153ヵ国中、過去最低の121位となった。ランキングを2018年の110位から大きく下げている。一方で例年実施している同フォーラム年次総会(通称:ダボス会議)での弊社主催イベント「When Women Thrive, Business Thrive - 女性が活躍するとき、企業も持続的に成長する」には今年三菱ケミカルホールディングス株式会社が日本企業からパネリスト参加をされ、弊社主催の同タイトルの調査にも日本から有意な数の企業の参加があり、企業における女性活躍への関心は高まっている。そのような中、先般小泉環境相の「男性による」育休取得が話題になった。特に海外からは、自国では男性の取得が当たり前であり、日本で男性の取得率が6.16%(2018年厚労省調べ)と低いことに驚く声が多くきかれた。この「男性の育休取得」を、小さなこどもを持つ働く「女性の活躍」との関連で見ていきたい。 まず、日本における育児休業制度とはどのようなものか。現在につながる法定の育児休業制度は、日本では1992年に所得補償のない状態で施行、1995年に雇用保険による一部所得補償が導入され、その後何度かの改正を経て現在では原則として休業開始時賃金月額の50%(休業開始後6か月間は67%)支給される。父親の育児休業取得を促す仕組みとして、取得回数と期間の特例がある。子1人につき原則1回である育児休業の回数を、子の出生日から8週間以内に父親が最初の育児休業を取得した場合に2回目の取得を可能とし(「パパ休暇」)、また原則満1歳までの育児休業期間に対して、夫婦の両方が時期をずらして取得することによって、子どもが最大1歳2か月まで休業を可能としている(「パパ・ママ育休プラス」)。それでも男性の取得率は大きく上がっていない。主な理由として、「会社での育児休業制度の未整備(27.5%)」に加え、「業務繁忙による職場の人手不足(27.8%)」、「職場で育児休業を取得しづらい雰囲気(25.4%)」等が挙がっている(出典:三菱UFJリサーチ&コンサルティング「仕事と家庭の両立に関する実態把握のための調査研究事業報告書」(平成29年度))が、取得後に職場で不利な扱いを受ける等のパタニティハラスメントの存在も否めない。共働き世帯が1997年を境に増加し、専業主婦世帯の2倍を超すようになっても(2018年男女共同参画白書)、共働き世帯の夫の家事・育児にかける時間は1日平均46分(妻は4時間44分)と大幅な差がある。(2016年社会生活基本調査)。 この男性の育児休業取得の促進は、特に日本企業、また日本社会にとってどのような意味があるだろうか。それは、働く女性の活躍の加速である。私は女性の活躍を阻むもののひとつとして、専業主婦世帯が多かった時代の名残で、育児は母親がすべき、従って女性は(仕事をしていても)家事・育児をメインで負担すべきという考え方とそれにより、女性が家事・育児に時間を取られすぎている状況があると考える。特に子どもが小さい時には、保育園に子どもを迎えに行き、食事を与え、寝かしつけてから夜仕事をする、というサイクルが続くと心身共に疲弊し、当初希望していてもより重い役割を担うことに逡巡するリスクは必ずある。せっかく管理職になっていても、疲弊して管理職を降りる決意をするケースも存在する。なお、この「ワンオペ育児」を助長しているのが、女性(母親)のみによる育児休業制度の取得だと考えており、この間に母親が家事・育児をメインでカバーする状態が確立してしまうと、仕事復帰後にその状況を変えることが難しくなる。男性(父親)側も、手伝おうにも習熟していないので対応が難しく、また入る隙がないということになる。男性が育児休業を取得することにより、まず育児をしっかりと体験するので、母親(女性)と役割分担ができる知識とスキルが身に付き、子どもとのアタッチメントが高まる。この経験は早い段階で行うほど効果がある。主に母親が育児休業を取得する現状においては、男性(父親)は産後直後と、女性(母親)の仕事復帰の前に2回取得できると、比較的初期に育児・家事の分担ができ、女性の早期の仕事復帰とその後の仕事と育児・家事のバランスがとりやすくなるのではないかと思う。 育児は母親がするものという固定概念を崩すには大きな力が必要となる。職場で実質的に促進するなど、経営側も現場も取得を本気でサポートする風土を作らないと、給付金を80%に引き上げても男性の育児休業取得は促進されないと考える。また、実際に取得する場合には、うまい引継ぎや生産性の向上も求められるだろう。働き方改革、日本の雇用・人材マネジメントの改革の一環として、ぜひ特に日本企業で男性の育児休業取得に向けた後押しをしていけると理想的である。まずは各企業で定めている年間5日程度の有給の「育児休暇」の取得からスタートするのでも意味があると考える。

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