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テクノロジーで人材状況を改善する3つの方法

2019年6月13日
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"「スキル評価にますます重点が置かれるようになっているため、人材評価は競合他社に先駆けて高いポテンシャルを持つ人材を獲得するマラソンのようなものになっています」。"

マーサーメトルの人材獲得状況2019年次報告書によると、人材獲得は企業が直面する最大の課題の1つです。テクノロジーによるイノベーションが市場を席巻し、スキル評価にますます重点が置かれるようになっているため、人材評価は競合他社に先駆けて高いポテンシャルを持つ人材を獲得するマラソンのようなものになっています。

求人プロセスは新聞広告からソーシャルリクルーティングに進化しています。さらに、次の業界トレンドは採用の自動化です。企業の採用活動は人手を介したプロセスからテクノロジー主導型のプロセスに流れ始めています。

テクノロジーで人材状況を改善する3つの方法は次のとおりです。

1.テクノロジーで雇用主のブランド価値を向上させる

 

2019年以降も優秀な人材を惹きつけ、維持しておくためには、強力なブランドを構築することがすべての雇用主の優先事項であるべきです。職場環境を改善し、従業員のエンゲージメントを高める努力を惜しまない企業がますます増える中では、ブランドに関するポジティブな話題がマーケットで拡散するように図る必要があります。

また、LinkedInの最新レポートでは、求職者の75%が企業に入社する前に社内のインナーブランディング(ブランドの理念やビジョンを社内に浸透させるための活動)を考慮していることを示しています。1ポジティブなインナーブランドは、質の高い人材を引き付け、維持し、そして紹介を通じて自動的に複数の求人の応募が得られるようになります。これがインナーブランディングの力です。

ここでテクノロジーによりどんな違いが生じるでしょうか?最新鋭のツール、アプリケーション、ソリューションを使うことで、大きな違いをもたらすことができます。スマートキャリアサイト、堅牢なソーシャルメディアの存在、求職者関係管理(CRM)システムなどのテクノロジーは、より洗練されたブランド戦略を実現する上で企業を支援することができ、それに伴うあらゆるメリットをもたらすことができるのです。

2.テクノロジーで求職者のエクスペリエンスを改善する

 

求職者が複数の求人から選べる場合、入社を促すにはそれなりの理由がなければなりません。高い給与だけが動機になるとは限りません。求職者のエクスペリエンスを満足のいくものにすることが決め手になる可能性があります。

採用プロセスは大きく3つの段階に分類されます。ソーシングリクルーティング、選考と決定、そしてオンボーディングです。採用担当者の仕事は、各段階においてシームレスでストレスフリーなエクスペリエンスを提供することであり、求職者が「この会社の採用プロセスはしっかりしている。きっと仕事もしやすいに違いない」と考えるようにすることです。その後は心配することはありません。一方、いずれかの段階で障害が発生したり、採用プロセスの段取りが悪いという印象を与えてしまった場合、求職者が他社のポジションを探してしまう可能性があります。

採用テクノロジーを導入することによって、求職者に優れたエクスペリエンスを提供するための選択肢が広がります。

3.テクノロジーで人材プールの質を高める

 

かつて企業には、人事評価と採用に関する標準化された手順がありませんでした。新聞広告、飛び込み、体系化されていない面接、さらにはペーパーテストの穴埋め問題に頼っていました。ただし、時が経つにつれ、企業はこれらの手法に欠点があることに気付くようになりました。

従来の採用方法は時間がかかり、複雑で、バイアスがかかっていました。人事担当者は面接で質問をする際、具体的なデータやフレームワークを持ち合わせていないため、求職者のソフトスキルの評価や弱みの理解ができずにいました。結果として求職者の辞退率が高まり、雇用主にとってジレンマとなっていました。

このようにプロセスが体系化されていなかったため、オンラインアセスメントの役割が高まり、今では求職者の有するスキルに基づいて、特定の職務に理想的な求職者の最終候補者のリストを提示するまでになっています。さらに、これらの事前審査によって、新入社員の仕事の能力とと定着率も予測します。一般的に、特に優秀な人材が求人市場に出るのは平均10日間と言われています。そのため企業は、優秀な求職者に関心を持ってもらえるように、さらに実践的、短期間、かつ興味深い人材獲得プロセスの開発を進めています。

さらに、マーサーメトルのレポートによると、企業の53%はコンピテンシーベースの面接を行い、40%は優秀な人材を採用するためにビデオ面接を活用しています。新時代の採用方法は、求職者のエンゲージメントを高めるだけでなく、人材の質も向上させます。2017年には、IT/ES業界ではアセスメントの活用が132%増加し、銀行金融サービスおよび保険(BFSI)業界では217%の増加が見られました。

採用テクノロジーの導入は、新時代の手法の効果性を示すものです。ツールにより求職者からの入力が収集され、回答がまとめられて、長所、短所、要改善分野を強調した最終レポートが提供されます。データに裏打ちされた結果は最終的には雇用主のブランド価値を高め、求職者のエクスペリエンスを改善し、人材プールの品質を向上させることにつながり、一括採用と中途採用の両方でシームレスな採用を実現するのに役立ちます。

1"The Ultimate List of Employer Brand Statistics," LinkedIn Talent Solutions,https://business.linkedin.com/content/dam/business/talent-solutions/global/en_us/c/pdfs/ultimate-list-of-employer-brand-stats.pdf.

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Lewis Garrad | 30 1 2020

優秀な人材の確保は、あらゆる組織の将来の成功に不可欠である。そして、エンゲージメントの高い労働力は、人材を動員し求めるものを実現するための最短経路である。これら2つの基本的な経営理念をリーダーたちが確信する中、従業員エンゲージメントは過去10年間で極めて重要な人事トピックとなりました。その結果、主に年次の従業員フィードバックなどにより、多くの組織がエンゲージメントを高めるプログラムに投資するようになりました。 しかし、リーダーや人事部がいくら注力しても、多くの組織は従業員の エンゲージメントと生産性 の改善に苦戦しています。組織の慣性、あるいは「ドラッグ」(drag)は、複数のレベルで進捗に影響を与える普遍的な現象です。1ほとんどの組織は、人々が実際の変化よりも現状維持を好むと理解しています。そのため、多くの人事リーダーは、より関連性の高い有意義な 従業員エンゲージメント を生み出す要因を探求してきました。 科学的な見地 最近のメタアナリシスでは、職場でのエンゲージメントが性格によってどの程度予測できるかが検証されました。2多くの組織が文化的および環境的要因に焦点を当てる中、個々の違いが組織との関わり方にどれほど影響するかを知ろうとしたのです。分析では、職場でのエンゲージメントの約半分が個性によって予測できることが示されました。熱心で、明るく、誠実な従業員は、全般的により高いレベルのエンゲージメントを示しました。 この発見から、エンゲージメントを変えることがどれほど困難であるか説明がつきます。エンゲージメントの半分が性格によって予測できるのであれば、職場慣行や職場環境の組織的改革を成功させるには、個人レベルで何らかのインパクトを与えなければなりません。 エンゲージメントを増進する要因が従業員の認識と性格の両方であるなら、マネージャーレベルで変化を起こす必要があります。個々の従業員を対象に、その人と仕事の繋がりを強くするようなイニシアチブの実施も求められるでしょう。文化的/集団的な変化は、健康状態や協力体制、創造性、生産性を改善するためにも欠かせません。 「エンゲージ可能な」人材の登用こそが成功戦略、という意味ではありません。組織の多様性が極めて重要なリソースなのです。より懐疑的で批判的な人はエンゲージメントが困難になる可能性があるものの、現状に異議を唱えることができる可能性を秘めているのです。このような人材も職場には重要な存在であり、彼らを排除することは効果的なアプローチではありません。 ジョブ・デザインで仕事をもっと魅力的に 最近、Facebook HRチームは、従業員が辞職する理由を調査した結果を発表しました。3日々の仕事が自分の望むほど面白くなく魅力的ではないから、というのが主な理由に挙げられました。Facebookの場合、魅力的でないのはマネージャーではなく仕事なのです。 しかし、職務設計とは通常マネージャーが行うため、完成度は決して高くないと言えます。パフォーマンス管理など他の分野で準備されたトレーニングの量と比較すると、多くのマネージャーが仕事の設計方法に関するガイダンスを受けていないためです。 それでも、ジョブ・デザインは、人事管理でより優先度の高い機能を持つ可能性があります。AIが利用しやすくなれば組織は処理作業を外部委託できるようになります。これは、仕事の仕方を再考する重大な機会となるでしょう。というのも、テクノロジーの活用によって、仕事をより興味深く魅力的にするように設計し直せるからです。 この領域で2つ目の機会となるのが、エビデンスに基づいた管理を採用することです。効果的な仕事の設計を支える科学は既に確立されています。シンプルなプロセスと枠組みを導入することは、マネージャーが現在の仕事の設計を評価し、作成する作業の品質を向上させるために重要となります。 ジョブ・デザインはマネージャーにとって簡単な作業のように見えますが、具体的な職務記述書に忠実な従業員はほぼいません。職務設計をマネージャーと従業員間の共同プロセスにした研究では、自分の役割を作成する人のほうがより積極的で生産的になり、自身の仕事に多くの意味を見出すことが示されています。 キャリアは従業員と組織の未来を繋ぐ 多くの組織が長年にわたってキャリアの軌跡を重視してきました。タレント・レビュー、社内求人、上司とのキャリア開発相談など、これら全ては、キャリアアップをより楽観的に見られるよう設計されています。 問題は、これらの行動は想定したほど機能していない点です。多くの従業員が与えられた現実的なキャリアオプションについて明確に理解しておらず、また組織の構造や要件が変化すればたちまちそのキャリアが風化してしまいます。人材需要が変化するにつれ、慎重に計画されたキャリアも無用の長物となるのです。 極めて困難な課題と言えます。学校や大学の教育者でさえ頭を悩ませています。現在、そして未来、学生にはどのような仕事やキャリアがあるのか。社会的、技術的、経済的に絶え間ない変化があるため、この問いに答えるのは不可能です。この課題解決に導く立場にあるのが企業ですが、そのためには仕事からスキルへと焦点を移さなければなりません。機能性のリストではなく、顧客に価値を提供する適応可能なスキルの束として仕事を捉えるようになれば、ビジネスのどこに有用で応用可能なスキルがあるのかを理解できるようになるでしょう。 また、このシフトで、リーダー陣は異なる方法で従業員とキャリアアップについて話せるようになるでしょう。テクノロジーを使うことで、各々にとって価値あるスキル、価値を低下させているスキル、仕事との関係性を維持するために必要なスキルを従業員が理解するサポートができます。また、個々のエンゲージメントデータは、従業員を前向きにするような経験についてアドバイスしたり、個性に沿った方向で指導したりするうえで役立ちます。 技術的なスキルに加え、組織はリーダーシップ候補となる人材についても検討が必要です。リーダーシップの可能性を最大化させるのは、あらゆる企業にとってホットトピックですが、成功している組織は多くありません。人材データの量が増加する中、リーダーシップ力のある人材が必要な能力開発に集中できるよう、より強力な自己認識の構築に向けた支援を行うことが大切です。 ホリスティックなEPV(Employee Value Proposition)の構築 仕事は、タスクリストという概念から脱却し、代わりに個人的な意義と商業的価値双方における活動のセットとして考えられなければなりません。人事部が従業員のバリュープロポジションを抜本的に異なる方法で考えない限り、この移行は不可能と言えるでしょう。 最も効果的なバリュープロポジションは、仕事が果たす狭い「経済的な」役割だけではなく、従業員の経験全体を評価するものです。生計を立てることより、やりがいのある仕事をする方が困難という人も多いはずです。説得力のあるバリュープロポジションでは、その両方を行えるよう取り組みます。つまり、従業員の処理作業(給与や福利厚生)の先を考え、より未来志向な関係の要素、すなわち、持続可能な幸福感、革新、造成、体験、新しいスキルを開発する機会を取り入れます。 職場で成功することの価値 現在、多くのエンゲージメントプログラムでは、従業員をより組織に尽くせるようにする方法を重視しています。しかし、ここでの問いは、「より健全かつ生産的な体験を実現するテクノロジーを活用しつつ、組織と従業員が共有された未来を一緒に作っていくにはどうすればよいか?」これにより、関係の構造が変化し、従業員による貢献をより広く評価できるようになります。 人事リーダーは、従業員による仕事への認識と彼らの行動をより強力に結び付けながら、従業員の自己認識向上に役立つツールの構築に目を向けなくてはなりません。 従業員調査プログラムは、「エンゲージメントインデックス」のような結果ばかりに焦点を合わせていることもあり、長年にわたって暗礁に乗り上げています。テクノロジーによって従業員のフィードバックデータの活用法が民主化するにつれ、これを双方向的な形で活用し、従業員とマネージャーの両方を指導する機会が出てきました。個々の経験や改善点と主軸に従業員アンケートやフィードバックを改革すると、人事リーダーは、実際に機能するツール採用するうえでより良い決断を下すことができるようになるでしょう。 詳細は、こちらをご覧ください:https://www.mercer.com/what-we-do/workforce-and-careers/talent-strategy/allegro-pulse-survey-platform.html ソース: 1. Garton, Eric. "Your Organization Wastes Time: Here's How to Fix It." Harvard Business Review, 13 Mar. 2017, https://hbr.org/2017/03/your-organization-wastes-time-heres-how-to-fix-it. 2. Young, Henry R.; Glerum, David R.; Wang, Wei; Joseph, Dana L. "Who Are the Most Engaged at Work? A Meta‐Analysis of Personality and Employee Engagement." Wiley Online Library, 23 Jul. 2018, https://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1002/job.2303. 3. Goler, Lori; Gale, Janelle; Harrington, Brynn; Grant, Adam. "Why People Really Quit Their Jobs." Harvard Business Review, 11 Jan. 2018, https://hbr.org/2018/01/why-people-really-quit-their-jobs.

Pat Milligan | 19 12 2019

平均寿命はここ数十年で急激に延びています。1960年には平均53歳に満たなかったのが、2017年には72歳となりました。高所得国では、平均寿命は80歳に届こうとしています。1 世界中で平均寿命と労働寿命が延びているため、就労生活における3大ステージ、すなわち「就学」、「就業」、「退職」に沿ったキャリアモデルにこだわる人は少なくなりつつあります。これに代わって広がりを見せているのがマルチステージという形です。一個人が正社員となり退社した後、パートタイムで働いたり、ギグエコノミーに参加したり、熟年期になって新しいことを学んだり資格を取得したりするスタイルです。 企業は、従業員の労働寿命が長くなり退職年齢が上がっている、この新たな現実に合わせてモデルや慣行、ポリシーなどを進化させていかなければなりません。労働寿命を延ばして高齢に至るまで生産性を維持するべく、「高齢化に備える」必要があります。これを怠れば、拡大しつつあるこの層から得られる利益を失うことになるでしょう。 また、こうした従業員が年齢差別を受けないように配慮することも大切です。雇用の平等に対する取り組み、そして徹底したダイバーシティ(多様性)とインクルージョン(一体性)の戦略を採用している組織でも見過ごされがちなものです。 世界の人材、熟練社員 マーサーが発表したレポート「Next Stage:高齢化への備えはできていますか?」によると、平均寿命と労働寿命は世界中で延びているものの、アジア太平洋地域が最も熟練社員の増加の影響を受けています。 同レポートでは、2015年から2030年の間に65歳以上の人口が2億人を上回ると推計しています。日本は世界初の「超超高齢(ultra-aged)」社会を迎えつつあり、65歳以上が人口の28%を上回るようになります。香港、韓国、台湾が後に続いて「超高齢(super-aged)」社会を迎え、人口の21%以上が近く65歳以上になろうとしているのです。 平均寿命が延びていることから、高齢な従業員は難しい判断に迫られています。多くの人は新しいスキルを学びたい、他の人とつながっていたい、あるいは社会に貢献したいという動機で仕事をしています。しかし、そのような選択肢を持たない高齢な労働者も存在します。延びた寿命の生活資金を賄うためだけに働き続ける人たちです。 老後は出費がかさむこと、年金制度が脆弱化していること、所得格差を背景とした貯蓄不足、低金利などの要因により、かつては退職年齢の迫った社員が当たり前に享受していた安心感が揺らいでいます。継続雇用を望むベテラン社員の存在は、企業や若手従業員にとってかつてない課題であるとともに、機会でもあります。 先入観と偏見を取り除く 世界中の職場において、従業員の人種や性的指向、性別に関わる差別をなくす取り組みは大幅に進歩しているものの、年齢差別については見過ごされがちです。 熟練社員に対する誤解のうち、とりわけ根強く有害なものをマーサーのNext Stageレポートより紹介します。 1.     誤解: 「熟練社員は生産性が低い」 事実:加齢とともに仕事のパフォーマンスが低下するという思い込みが誤解であると証明する研究が多く存在します。 2.     誤解:「熟練社員は新たなスキルやテクノロジーを習得するのが困難」 事実:ここで障害となっているのは、高齢な従業員は新たなスキルの習得が困難ということではなく、往々にして特定のスキルや知識を向上させるために必要なトレーニングを受けていないということです。熟練社員を含む労働者のうち、85%がキャリア開発の可能性を高めるためにスキル開発の機会と技術的なトレーニングを積極的に求めているという研究があります。 3.     誤解:「熟練社員は多くの国で人件費がかさむ」 事実:年齢(と責務)が増すにつれて賃金が上昇する可能性はあるものの、離職率が少ないなど、別の面で雇用者のコストを大幅に削減することもできます。マーサーのデータでは、労働者の年齢が上がる中で、同レベルの役職の賃金に一定の低下が見られます。 熟練した労働者の生産性、学習意欲および能力、雇用者の支出に切り込んだマーサーの調査と分析では、ベテラン社員と若手社員の間に繊細で複雑な関係があることが明らかになっています。高齢な従業員の生産性が低かった事例においても、個人のパフォーマンスに焦点が当てられる一方、メンタリングやトレーニング、指導に充てた時間など、重要な要素が考慮されていませんでした。 熟練社員の価値を高める 企業は、円熟した従業員の才能やスキル、潜在能力を活用することを学ぶ必要があります。マーサーの「2019年グローバル人材動向調査」は、現代のテクノロジーを企業の人事システムに統合することで、ベテラン社員に有益なツールを提供し、価値ある新たなスキルを教えることができるとしています。これらのテクノロジーでは、専門的な学習機能と予測型のソフトウェアアルゴリズムを利用し、精選(キュレーション)されたキャリア開発パスを提供します。 企業の学習プラットフォームでは、特定のキャリア目標に関係するコンテンツを集めたりスキルギャップを埋めたり、また専門知識を共有する同僚とのネットワーク作りにも活用できます。キュレーション学習プログラムでは、従業員が自分のペースでスキルを開発し、個人的なキャリア目標のベンチマークに基づいて資格を取得することも可能です。 また、企業の多くは熟練社員の価値と貢献を正確に評価できていません。そのために高齢な従業員の職業能力開発の機会が制限されているのが現状です。マーサーのNext Stageレポートでは、熟練した労働者は、長年の実務経験から得た深い知識、事業に関連する社会資本、技術またはコンテンツの専門知識を通じて、組織のパフォーマンスに大きく貢献できるとしています。 また、傾聴やコミュニケーション、コラボレーション、チームビルディングなどの重要なソフトスキルは、一般的に軽視されがちです。業績評価や昇進の可能性、報酬など、一般的なパフォーマンス指標に頼る企業では、ベテラン社員の貢献を過小評価し、活用機会を逃してしまいかねません。 熟練社員の価値と可能性を最大限に高めることにより、雇用主はこれらの従業員の経験や知識、人生経験を活用する職業能力開発の機会を新たに創出できます。年齢は知恵を育みます。エンパワーメントによって活用された熟練社員は、過去の貴重な経験を道標にしつつ、企業を明るい未来に導いていけるはずです。 出典: 1. "Life expectancy at birth, total (years)." The World Bank, 2017, https://data.worldbank.org/indicator/sp.dyn.le00.in

Fabio Takaki | 19 12 2019

影響力を持つ女性たちには企業、業界、さらには国家を変革する力があります。マーサーのレポート「When Women Thrive Business Thrive ~女性が活躍するとき、企業も持続的に成長する~[T.M.1] 」によると、女性がリーダーとして働き生活している地域では、教育、健康、地域開発プログラムへの貢献度が高くなるとされています。 女性のリーダーが企業や地域社会にポジティブな影響を与えるにも関わらず、世界の大手金融機関のリーダーに女性は少ないのが現状です。また、女性たちは投資対象となる企業の経営陣にも低いウエイトでしか存在しません。オリバー・ワイマンの新しい報告書[T.M.2] (MMCグループ企業の一部) によると、世界の金融機関では経営幹部の20%、取締役会の23%を女性が占めていますが、CEOはわずか6%に留まっています。 しかし、伝統的に女性の昇進が最も難しいとされていた地域の1つの中東において、金融業界の経営幹部に女性が徐々に登用され始めています1。中東の金融業界で女性が地位を確保し地域社会や他の業界に波及していくにつれ、世界の経営者たちはこの動きに注力する必要があるでしょう。 中東の金融業界で活躍する女性の経営幹部 中東の金融業界ではますます多くの女性が、銀行、投資会社、金融、法律、コンサルティング関係の会社の経営幹部を務めています1。たとえば、2018年9月、ローラ・アブ・マネ (Rola Abu Manneh) 氏はスタンダードチャータードUAEのCEOに指名され、UAE初の女性頭取になりました。UAEの銀行業界で長年の経験を持つアブ・マネ氏は、重要案件を銀行に持ち込むナレッジとリーダーシップ力を発揮しています。マネ氏は、CEOに就任した最初の年に、ドバイに拠点を置くエマール・プロパティーズに対し、ホテルをアブダビナショナルホテルに売却するよう提言しました2。 もう一つ例を挙げるとすると、サウジアラビア最大の商業銀行、サンバ・フィナンシャル・グループ初の女性CEOのラニア・ナシャール (Rania Nashar) 氏です。商業銀行セクターで20年以上の経験を持つナシャール氏は、2017年にCEOに指名され、サウジアラビアの上場銀行初の女性CEOとなりました3。また、この瞬間をもってサウジアラビアKSAのビジョン2030の一環として男女平等を促進する改革が始まっており、ナシャール氏はこれを継続させたいと述べています。 「サンバ銀行ほどの規模の銀行でも女性CEOが指揮を執ることができ、史上最高の業績を上げられることを実証するだけでなく、サウジアラビアや世界のすべての女性のために示したいです」とナシャール氏は語り、付け加えました。「サウジの女性たちが誇れるお手本になりたいと思います」4 ルブナ・オラヤン (Lubna Olayan) 氏も、サウジアラビアの有力なリーダーの一人です。彼女は30年以上にわたって、湾岸地域でオラヤングループの貿易、不動産、投資、消費、産業関連の業務を行う持株会社オラヤン・ファイナンシング・カンパニーのCEOを務めました。また、タイム誌の「世界で最も影響力のある100人」、フォーチュン誌の「世界で最も有力な女性」への選出を含め、多数の賞を受賞し、女性の経済的権利の擁護者として評価されています5。 リーダーシップに重要なジェンダー平等 こうした女性のリーダーたちは、地域の金融業界の男女平等の推進と変革に貢献しています。進歩はしているものの、課題は山積みと言えるでしょう。政府はジェンダーの均等を促進するための取り組みを行っていますが、経営者たちのマインドセットを変え、バイアスを克服するには時間がかかります。 しかし、それは追求する価値のあるプロセスです。人手不足に直面している組織や国家にとって、女性の人材を活用することにより、競争、成長、成功のための戦略的な機会が提供され、経済全体の変革も促進されます。 マーサーのレポート「When Women Thrive Business Thrive ~女性が活躍するとき、企業も持続的に成長する~」によると、女性は供給者、育児・介護者、意思決定者、消費者として重要な役割を担っており、将来の世代の教育と健康、そして地域社会の発展に貢献しているとされています。女性幹部は、結束力の強いチームを作り、人材の維持、スキル開発、育成を行い、多様で新しい視点を組織にもたらす上でも寄与します。 実際、マーサーの調査は女性幹部の登用の増加が、地域社会や国家における経済的および社会的発展に影響を与えることも示唆しています。エコノミストは、男女の雇用格差を是正することで国内総生産を米国で5%、日本で9%、アラブ首長国連邦で12%、ヨーロッパで34%大幅に向上させることができると算出しています。 女性比率の低い領域におけるジェンダー平等の実現 女性の人材を獲得し、意欲的に働いてもらうための適切なアプローチは、それぞれの企業の風土や必要性によって異なるとはいえ、世界的にも有効と考えられる戦略がいくつか存在します。マーサーの調査によると、ジェンダーの多様性を実現するために必要な要素として、健康、経済的な安定、人材の適切なマネジメントが挙げられています。 1.健康 女性にとって健康は特に重要です。女性特有の健康問題や病気の影響があり、男性とは異なる方法で医療制度を利用することがあるためです。 たとえば、女性の罹患率が高い精神衛生上のリスクは、女性の生産性に大きな影響を与えています。単極性うつ病は、仕事上の障害の主な要因となっており、男性より女性の方が約2倍多いと言われています6。 ビジネスにおけるジェンダー平等を実現するには、企業は次のような分野で、女性が最も必要とする方法でヘルスケアを提供する必要があります。 1.     フレキシブルな産休 2.     身体的健康、ウェルネス、メンタルヘルスのサポート 3.     医療リソースへの自由度のあるアクセス 4.     厳しいライフイベントにおける精神的支援 5.     女性専用の医療サポート 2.経済的な安定 女性の抱える経済的責任や経済的ストレスは、男性よりも大きいことが報告されています。プルデンシャルが実施した2018年の調査によると、平均的な女性は、平均的な男性と比較して、退職後の貯蓄が少ないことも明らかになっています。退職後に備えて貯金をしていた女性はわずか54%で、その額は平均115,412ドルです。対照的に、退職後に備えて貯金をしていた男性は61%で、その額は平均202,859ドルでした。女性が退職後に貧困に陥る可能性が大幅に高く、女性の平均余命を短くすることにもつながることを示しています7。 この問題に対応すべく、組織は女性が公正な報酬を受けられるようにすること、将来のお金[T.M.3] の計画についてコーチングや教育支援を強化すること、女性向けに退職オプションを調整すること、貯蓄・退職口座への体系的かつ定期的な積み立てを奨励することを確実に行っていく必要があります。 3.人材の適切なマネジメント 女性には、トレーニングとスキル開発の機会だけでなく、昇進の機会に加え仕事以外の重要な役割を果たすための柔軟な勤務体系も必要です。 経営レベルでの男女共同参画をさらに改善するために、管理職に対する取り組みは欠かせません。しかし通常、管理職は長時間勤務が必要となり、チームやクライアント、上層部の管理能力も求められます。そうした地位の女性たちにとっては出産期と重なる可能性があり、企業がテクノロジーの活用、育児支援、女性向けメンタリングおよび経営支援、ビジネスリソースグループ、多様性および一体性プログラム、トレーニングなど、適切な働き方を提供しなければさらに困難になります。 女性の人材がビジネスに貢献し、事業拡大をもたらす力となりうることに疑いの余地はありません。金融機関と政府が優秀な女性を労働者また経営者[T.M.4] として登用するために求められる戦略に注力することにより、ポジティブな成果が表れてくるでしょう。影響力を持つ女性たちは、ビジネスの洞察力を生かし組織の成長を促すだけでなく、社会における女性の役割が教育やコミュニティを大きく改善し、ひいては国家の変革を可能にします。 出典: 1. 1. "The 50 Most Influential Women in Middle East Finance," Financial News, 29 Apr. 2019, https://www.fnlondon.com/articles/the-50-most-influential-women-in-middle-east-finance-20190429. 2. "FN 50 Middle East Women 2019," Financial News, 2019, https://lists.fnlondon.com/fn50/women_in_finance_/2019/?mod=lists-profile. 3. "Rania Nashar," Forbes, 2018, https://www.forbes.com/profile/rania-nashar/#20d8136e473c. 4. Masige, Sharon."Raising the Bar:Rania Nashar," The CEO Magazine, 27 Jun. 2019, https://www.theceomagazine.com/executive-interviews/finance-banking/rania-nashar/ 5. "Lubna Olayan Retires as CEO of Olayan Financing Co.; Jonathan Franklin Named New CEO," Olayan, 29 Apr. 2019, https://olayan.com/lubna-olayan-retires-ceo-olayan-financing-co-jonathan-franklin-named-new-ceo。 6. "Gender and Women's Mental Health:The Facts," World Health Organization, https://www.who.int/mental_health/prevention/genderwomen/en/#:~:targetText=Unipolar%20depression%2C%20predicted%20to%20be,persistent%20in%20women%20than%20men。 7. "The Cut:Exploring Financial Wellness Within Diverse Populations," Prudential, 2018, http://news.prudential.com/content/1209/files/PrudentialTheCutExploringFinancialWellnessWithinDiversePopulations.pdf.

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Lewis Garrad | 30 1 2020

優秀な人材の確保は、あらゆる組織の将来の成功に不可欠である。そして、エンゲージメントの高い労働力は、人材を動員し求めるものを実現するための最短経路である。これら2つの基本的な経営理念をリーダーたちが確信する中、従業員エンゲージメントは過去10年間で極めて重要な人事トピックとなりました。その結果、主に年次の従業員フィードバックなどにより、多くの組織がエンゲージメントを高めるプログラムに投資するようになりました。 しかし、リーダーや人事部がいくら注力しても、多くの組織は従業員の エンゲージメントと生産性 の改善に苦戦しています。組織の慣性、あるいは「ドラッグ」(drag)は、複数のレベルで進捗に影響を与える普遍的な現象です。1ほとんどの組織は、人々が実際の変化よりも現状維持を好むと理解しています。そのため、多くの人事リーダーは、より関連性の高い有意義な 従業員エンゲージメント を生み出す要因を探求してきました。 科学的な見地 最近のメタアナリシスでは、職場でのエンゲージメントが性格によってどの程度予測できるかが検証されました。2多くの組織が文化的および環境的要因に焦点を当てる中、個々の違いが組織との関わり方にどれほど影響するかを知ろうとしたのです。分析では、職場でのエンゲージメントの約半分が個性によって予測できることが示されました。熱心で、明るく、誠実な従業員は、全般的により高いレベルのエンゲージメントを示しました。 この発見から、エンゲージメントを変えることがどれほど困難であるか説明がつきます。エンゲージメントの半分が性格によって予測できるのであれば、職場慣行や職場環境の組織的改革を成功させるには、個人レベルで何らかのインパクトを与えなければなりません。 エンゲージメントを増進する要因が従業員の認識と性格の両方であるなら、マネージャーレベルで変化を起こす必要があります。個々の従業員を対象に、その人と仕事の繋がりを強くするようなイニシアチブの実施も求められるでしょう。文化的/集団的な変化は、健康状態や協力体制、創造性、生産性を改善するためにも欠かせません。 「エンゲージ可能な」人材の登用こそが成功戦略、という意味ではありません。組織の多様性が極めて重要なリソースなのです。より懐疑的で批判的な人はエンゲージメントが困難になる可能性があるものの、現状に異議を唱えることができる可能性を秘めているのです。このような人材も職場には重要な存在であり、彼らを排除することは効果的なアプローチではありません。 ジョブ・デザインで仕事をもっと魅力的に 最近、Facebook HRチームは、従業員が辞職する理由を調査した結果を発表しました。3日々の仕事が自分の望むほど面白くなく魅力的ではないから、というのが主な理由に挙げられました。Facebookの場合、魅力的でないのはマネージャーではなく仕事なのです。 しかし、職務設計とは通常マネージャーが行うため、完成度は決して高くないと言えます。パフォーマンス管理など他の分野で準備されたトレーニングの量と比較すると、多くのマネージャーが仕事の設計方法に関するガイダンスを受けていないためです。 それでも、ジョブ・デザインは、人事管理でより優先度の高い機能を持つ可能性があります。AIが利用しやすくなれば組織は処理作業を外部委託できるようになります。これは、仕事の仕方を再考する重大な機会となるでしょう。というのも、テクノロジーの活用によって、仕事をより興味深く魅力的にするように設計し直せるからです。 この領域で2つ目の機会となるのが、エビデンスに基づいた管理を採用することです。効果的な仕事の設計を支える科学は既に確立されています。シンプルなプロセスと枠組みを導入することは、マネージャーが現在の仕事の設計を評価し、作成する作業の品質を向上させるために重要となります。 ジョブ・デザインはマネージャーにとって簡単な作業のように見えますが、具体的な職務記述書に忠実な従業員はほぼいません。職務設計をマネージャーと従業員間の共同プロセスにした研究では、自分の役割を作成する人のほうがより積極的で生産的になり、自身の仕事に多くの意味を見出すことが示されています。 キャリアは従業員と組織の未来を繋ぐ 多くの組織が長年にわたってキャリアの軌跡を重視してきました。タレント・レビュー、社内求人、上司とのキャリア開発相談など、これら全ては、キャリアアップをより楽観的に見られるよう設計されています。 問題は、これらの行動は想定したほど機能していない点です。多くの従業員が与えられた現実的なキャリアオプションについて明確に理解しておらず、また組織の構造や要件が変化すればたちまちそのキャリアが風化してしまいます。人材需要が変化するにつれ、慎重に計画されたキャリアも無用の長物となるのです。 極めて困難な課題と言えます。学校や大学の教育者でさえ頭を悩ませています。現在、そして未来、学生にはどのような仕事やキャリアがあるのか。社会的、技術的、経済的に絶え間ない変化があるため、この問いに答えるのは不可能です。この課題解決に導く立場にあるのが企業ですが、そのためには仕事からスキルへと焦点を移さなければなりません。機能性のリストではなく、顧客に価値を提供する適応可能なスキルの束として仕事を捉えるようになれば、ビジネスのどこに有用で応用可能なスキルがあるのかを理解できるようになるでしょう。 また、このシフトで、リーダー陣は異なる方法で従業員とキャリアアップについて話せるようになるでしょう。テクノロジーを使うことで、各々にとって価値あるスキル、価値を低下させているスキル、仕事との関係性を維持するために必要なスキルを従業員が理解するサポートができます。また、個々のエンゲージメントデータは、従業員を前向きにするような経験についてアドバイスしたり、個性に沿った方向で指導したりするうえで役立ちます。 技術的なスキルに加え、組織はリーダーシップ候補となる人材についても検討が必要です。リーダーシップの可能性を最大化させるのは、あらゆる企業にとってホットトピックですが、成功している組織は多くありません。人材データの量が増加する中、リーダーシップ力のある人材が必要な能力開発に集中できるよう、より強力な自己認識の構築に向けた支援を行うことが大切です。 ホリスティックなEPV(Employee Value Proposition)の構築 仕事は、タスクリストという概念から脱却し、代わりに個人的な意義と商業的価値双方における活動のセットとして考えられなければなりません。人事部が従業員のバリュープロポジションを抜本的に異なる方法で考えない限り、この移行は不可能と言えるでしょう。 最も効果的なバリュープロポジションは、仕事が果たす狭い「経済的な」役割だけではなく、従業員の経験全体を評価するものです。生計を立てることより、やりがいのある仕事をする方が困難という人も多いはずです。説得力のあるバリュープロポジションでは、その両方を行えるよう取り組みます。つまり、従業員の処理作業(給与や福利厚生)の先を考え、より未来志向な関係の要素、すなわち、持続可能な幸福感、革新、造成、体験、新しいスキルを開発する機会を取り入れます。 職場で成功することの価値 現在、多くのエンゲージメントプログラムでは、従業員をより組織に尽くせるようにする方法を重視しています。しかし、ここでの問いは、「より健全かつ生産的な体験を実現するテクノロジーを活用しつつ、組織と従業員が共有された未来を一緒に作っていくにはどうすればよいか?」これにより、関係の構造が変化し、従業員による貢献をより広く評価できるようになります。 人事リーダーは、従業員による仕事への認識と彼らの行動をより強力に結び付けながら、従業員の自己認識向上に役立つツールの構築に目を向けなくてはなりません。 従業員調査プログラムは、「エンゲージメントインデックス」のような結果ばかりに焦点を合わせていることもあり、長年にわたって暗礁に乗り上げています。テクノロジーによって従業員のフィードバックデータの活用法が民主化するにつれ、これを双方向的な形で活用し、従業員とマネージャーの両方を指導する機会が出てきました。個々の経験や改善点と主軸に従業員アンケートやフィードバックを改革すると、人事リーダーは、実際に機能するツール採用するうえでより良い決断を下すことができるようになるでしょう。 詳細は、こちらをご覧ください:https://www.mercer.com/what-we-do/workforce-and-careers/talent-strategy/allegro-pulse-survey-platform.html ソース: 1. Garton, Eric. "Your Organization Wastes Time: Here's How to Fix It." Harvard Business Review, 13 Mar. 2017, https://hbr.org/2017/03/your-organization-wastes-time-heres-how-to-fix-it. 2. Young, Henry R.; Glerum, David R.; Wang, Wei; Joseph, Dana L. "Who Are the Most Engaged at Work? A Meta‐Analysis of Personality and Employee Engagement." Wiley Online Library, 23 Jul. 2018, https://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1002/job.2303. 3. Goler, Lori; Gale, Janelle; Harrington, Brynn; Grant, Adam. "Why People Really Quit Their Jobs." Harvard Business Review, 11 Jan. 2018, https://hbr.org/2018/01/why-people-really-quit-their-jobs.

Pat Milligan | 19 12 2019

平均寿命はここ数十年で急激に延びています。1960年には平均53歳に満たなかったのが、2017年には72歳となりました。高所得国では、平均寿命は80歳に届こうとしています。1 世界中で平均寿命と労働寿命が延びているため、就労生活における3大ステージ、すなわち「就学」、「就業」、「退職」に沿ったキャリアモデルにこだわる人は少なくなりつつあります。これに代わって広がりを見せているのがマルチステージという形です。一個人が正社員となり退社した後、パートタイムで働いたり、ギグエコノミーに参加したり、熟年期になって新しいことを学んだり資格を取得したりするスタイルです。 企業は、従業員の労働寿命が長くなり退職年齢が上がっている、この新たな現実に合わせてモデルや慣行、ポリシーなどを進化させていかなければなりません。労働寿命を延ばして高齢に至るまで生産性を維持するべく、「高齢化に備える」必要があります。これを怠れば、拡大しつつあるこの層から得られる利益を失うことになるでしょう。 また、こうした従業員が年齢差別を受けないように配慮することも大切です。雇用の平等に対する取り組み、そして徹底したダイバーシティ(多様性)とインクルージョン(一体性)の戦略を採用している組織でも見過ごされがちなものです。 世界の人材、熟練社員 マーサーが発表したレポート「Next Stage:高齢化への備えはできていますか?」によると、平均寿命と労働寿命は世界中で延びているものの、アジア太平洋地域が最も熟練社員の増加の影響を受けています。 同レポートでは、2015年から2030年の間に65歳以上の人口が2億人を上回ると推計しています。日本は世界初の「超超高齢(ultra-aged)」社会を迎えつつあり、65歳以上が人口の28%を上回るようになります。香港、韓国、台湾が後に続いて「超高齢(super-aged)」社会を迎え、人口の21%以上が近く65歳以上になろうとしているのです。 平均寿命が延びていることから、高齢な従業員は難しい判断に迫られています。多くの人は新しいスキルを学びたい、他の人とつながっていたい、あるいは社会に貢献したいという動機で仕事をしています。しかし、そのような選択肢を持たない高齢な労働者も存在します。延びた寿命の生活資金を賄うためだけに働き続ける人たちです。 老後は出費がかさむこと、年金制度が脆弱化していること、所得格差を背景とした貯蓄不足、低金利などの要因により、かつては退職年齢の迫った社員が当たり前に享受していた安心感が揺らいでいます。継続雇用を望むベテラン社員の存在は、企業や若手従業員にとってかつてない課題であるとともに、機会でもあります。 先入観と偏見を取り除く 世界中の職場において、従業員の人種や性的指向、性別に関わる差別をなくす取り組みは大幅に進歩しているものの、年齢差別については見過ごされがちです。 熟練社員に対する誤解のうち、とりわけ根強く有害なものをマーサーのNext Stageレポートより紹介します。 1.     誤解: 「熟練社員は生産性が低い」 事実:加齢とともに仕事のパフォーマンスが低下するという思い込みが誤解であると証明する研究が多く存在します。 2.     誤解:「熟練社員は新たなスキルやテクノロジーを習得するのが困難」 事実:ここで障害となっているのは、高齢な従業員は新たなスキルの習得が困難ということではなく、往々にして特定のスキルや知識を向上させるために必要なトレーニングを受けていないということです。熟練社員を含む労働者のうち、85%がキャリア開発の可能性を高めるためにスキル開発の機会と技術的なトレーニングを積極的に求めているという研究があります。 3.     誤解:「熟練社員は多くの国で人件費がかさむ」 事実:年齢(と責務)が増すにつれて賃金が上昇する可能性はあるものの、離職率が少ないなど、別の面で雇用者のコストを大幅に削減することもできます。マーサーのデータでは、労働者の年齢が上がる中で、同レベルの役職の賃金に一定の低下が見られます。 熟練した労働者の生産性、学習意欲および能力、雇用者の支出に切り込んだマーサーの調査と分析では、ベテラン社員と若手社員の間に繊細で複雑な関係があることが明らかになっています。高齢な従業員の生産性が低かった事例においても、個人のパフォーマンスに焦点が当てられる一方、メンタリングやトレーニング、指導に充てた時間など、重要な要素が考慮されていませんでした。 熟練社員の価値を高める 企業は、円熟した従業員の才能やスキル、潜在能力を活用することを学ぶ必要があります。マーサーの「2019年グローバル人材動向調査」は、現代のテクノロジーを企業の人事システムに統合することで、ベテラン社員に有益なツールを提供し、価値ある新たなスキルを教えることができるとしています。これらのテクノロジーでは、専門的な学習機能と予測型のソフトウェアアルゴリズムを利用し、精選(キュレーション)されたキャリア開発パスを提供します。 企業の学習プラットフォームでは、特定のキャリア目標に関係するコンテンツを集めたりスキルギャップを埋めたり、また専門知識を共有する同僚とのネットワーク作りにも活用できます。キュレーション学習プログラムでは、従業員が自分のペースでスキルを開発し、個人的なキャリア目標のベンチマークに基づいて資格を取得することも可能です。 また、企業の多くは熟練社員の価値と貢献を正確に評価できていません。そのために高齢な従業員の職業能力開発の機会が制限されているのが現状です。マーサーのNext Stageレポートでは、熟練した労働者は、長年の実務経験から得た深い知識、事業に関連する社会資本、技術またはコンテンツの専門知識を通じて、組織のパフォーマンスに大きく貢献できるとしています。 また、傾聴やコミュニケーション、コラボレーション、チームビルディングなどの重要なソフトスキルは、一般的に軽視されがちです。業績評価や昇進の可能性、報酬など、一般的なパフォーマンス指標に頼る企業では、ベテラン社員の貢献を過小評価し、活用機会を逃してしまいかねません。 熟練社員の価値と可能性を最大限に高めることにより、雇用主はこれらの従業員の経験や知識、人生経験を活用する職業能力開発の機会を新たに創出できます。年齢は知恵を育みます。エンパワーメントによって活用された熟練社員は、過去の貴重な経験を道標にしつつ、企業を明るい未来に導いていけるはずです。 出典: 1. "Life expectancy at birth, total (years)." The World Bank, 2017, https://data.worldbank.org/indicator/sp.dyn.le00.in

Fabio Takaki | 19 12 2019

影響力を持つ女性たちには企業、業界、さらには国家を変革する力があります。マーサーのレポート「When Women Thrive Business Thrive ~女性が活躍するとき、企業も持続的に成長する~[T.M.1] 」によると、女性がリーダーとして働き生活している地域では、教育、健康、地域開発プログラムへの貢献度が高くなるとされています。 女性のリーダーが企業や地域社会にポジティブな影響を与えるにも関わらず、世界の大手金融機関のリーダーに女性は少ないのが現状です。また、女性たちは投資対象となる企業の経営陣にも低いウエイトでしか存在しません。オリバー・ワイマンの新しい報告書[T.M.2] (MMCグループ企業の一部) によると、世界の金融機関では経営幹部の20%、取締役会の23%を女性が占めていますが、CEOはわずか6%に留まっています。 しかし、伝統的に女性の昇進が最も難しいとされていた地域の1つの中東において、金融業界の経営幹部に女性が徐々に登用され始めています1。中東の金融業界で女性が地位を確保し地域社会や他の業界に波及していくにつれ、世界の経営者たちはこの動きに注力する必要があるでしょう。 中東の金融業界で活躍する女性の経営幹部 中東の金融業界ではますます多くの女性が、銀行、投資会社、金融、法律、コンサルティング関係の会社の経営幹部を務めています1。たとえば、2018年9月、ローラ・アブ・マネ (Rola Abu Manneh) 氏はスタンダードチャータードUAEのCEOに指名され、UAE初の女性頭取になりました。UAEの銀行業界で長年の経験を持つアブ・マネ氏は、重要案件を銀行に持ち込むナレッジとリーダーシップ力を発揮しています。マネ氏は、CEOに就任した最初の年に、ドバイに拠点を置くエマール・プロパティーズに対し、ホテルをアブダビナショナルホテルに売却するよう提言しました2。 もう一つ例を挙げるとすると、サウジアラビア最大の商業銀行、サンバ・フィナンシャル・グループ初の女性CEOのラニア・ナシャール (Rania Nashar) 氏です。商業銀行セクターで20年以上の経験を持つナシャール氏は、2017年にCEOに指名され、サウジアラビアの上場銀行初の女性CEOとなりました3。また、この瞬間をもってサウジアラビアKSAのビジョン2030の一環として男女平等を促進する改革が始まっており、ナシャール氏はこれを継続させたいと述べています。 「サンバ銀行ほどの規模の銀行でも女性CEOが指揮を執ることができ、史上最高の業績を上げられることを実証するだけでなく、サウジアラビアや世界のすべての女性のために示したいです」とナシャール氏は語り、付け加えました。「サウジの女性たちが誇れるお手本になりたいと思います」4 ルブナ・オラヤン (Lubna Olayan) 氏も、サウジアラビアの有力なリーダーの一人です。彼女は30年以上にわたって、湾岸地域でオラヤングループの貿易、不動産、投資、消費、産業関連の業務を行う持株会社オラヤン・ファイナンシング・カンパニーのCEOを務めました。また、タイム誌の「世界で最も影響力のある100人」、フォーチュン誌の「世界で最も有力な女性」への選出を含め、多数の賞を受賞し、女性の経済的権利の擁護者として評価されています5。 リーダーシップに重要なジェンダー平等 こうした女性のリーダーたちは、地域の金融業界の男女平等の推進と変革に貢献しています。進歩はしているものの、課題は山積みと言えるでしょう。政府はジェンダーの均等を促進するための取り組みを行っていますが、経営者たちのマインドセットを変え、バイアスを克服するには時間がかかります。 しかし、それは追求する価値のあるプロセスです。人手不足に直面している組織や国家にとって、女性の人材を活用することにより、競争、成長、成功のための戦略的な機会が提供され、経済全体の変革も促進されます。 マーサーのレポート「When Women Thrive Business Thrive ~女性が活躍するとき、企業も持続的に成長する~」によると、女性は供給者、育児・介護者、意思決定者、消費者として重要な役割を担っており、将来の世代の教育と健康、そして地域社会の発展に貢献しているとされています。女性幹部は、結束力の強いチームを作り、人材の維持、スキル開発、育成を行い、多様で新しい視点を組織にもたらす上でも寄与します。 実際、マーサーの調査は女性幹部の登用の増加が、地域社会や国家における経済的および社会的発展に影響を与えることも示唆しています。エコノミストは、男女の雇用格差を是正することで国内総生産を米国で5%、日本で9%、アラブ首長国連邦で12%、ヨーロッパで34%大幅に向上させることができると算出しています。 女性比率の低い領域におけるジェンダー平等の実現 女性の人材を獲得し、意欲的に働いてもらうための適切なアプローチは、それぞれの企業の風土や必要性によって異なるとはいえ、世界的にも有効と考えられる戦略がいくつか存在します。マーサーの調査によると、ジェンダーの多様性を実現するために必要な要素として、健康、経済的な安定、人材の適切なマネジメントが挙げられています。 1.健康 女性にとって健康は特に重要です。女性特有の健康問題や病気の影響があり、男性とは異なる方法で医療制度を利用することがあるためです。 たとえば、女性の罹患率が高い精神衛生上のリスクは、女性の生産性に大きな影響を与えています。単極性うつ病は、仕事上の障害の主な要因となっており、男性より女性の方が約2倍多いと言われています6。 ビジネスにおけるジェンダー平等を実現するには、企業は次のような分野で、女性が最も必要とする方法でヘルスケアを提供する必要があります。 1.     フレキシブルな産休 2.     身体的健康、ウェルネス、メンタルヘルスのサポート 3.     医療リソースへの自由度のあるアクセス 4.     厳しいライフイベントにおける精神的支援 5.     女性専用の医療サポート 2.経済的な安定 女性の抱える経済的責任や経済的ストレスは、男性よりも大きいことが報告されています。プルデンシャルが実施した2018年の調査によると、平均的な女性は、平均的な男性と比較して、退職後の貯蓄が少ないことも明らかになっています。退職後に備えて貯金をしていた女性はわずか54%で、その額は平均115,412ドルです。対照的に、退職後に備えて貯金をしていた男性は61%で、その額は平均202,859ドルでした。女性が退職後に貧困に陥る可能性が大幅に高く、女性の平均余命を短くすることにもつながることを示しています7。 この問題に対応すべく、組織は女性が公正な報酬を受けられるようにすること、将来のお金[T.M.3] の計画についてコーチングや教育支援を強化すること、女性向けに退職オプションを調整すること、貯蓄・退職口座への体系的かつ定期的な積み立てを奨励することを確実に行っていく必要があります。 3.人材の適切なマネジメント 女性には、トレーニングとスキル開発の機会だけでなく、昇進の機会に加え仕事以外の重要な役割を果たすための柔軟な勤務体系も必要です。 経営レベルでの男女共同参画をさらに改善するために、管理職に対する取り組みは欠かせません。しかし通常、管理職は長時間勤務が必要となり、チームやクライアント、上層部の管理能力も求められます。そうした地位の女性たちにとっては出産期と重なる可能性があり、企業がテクノロジーの活用、育児支援、女性向けメンタリングおよび経営支援、ビジネスリソースグループ、多様性および一体性プログラム、トレーニングなど、適切な働き方を提供しなければさらに困難になります。 女性の人材がビジネスに貢献し、事業拡大をもたらす力となりうることに疑いの余地はありません。金融機関と政府が優秀な女性を労働者また経営者[T.M.4] として登用するために求められる戦略に注力することにより、ポジティブな成果が表れてくるでしょう。影響力を持つ女性たちは、ビジネスの洞察力を生かし組織の成長を促すだけでなく、社会における女性の役割が教育やコミュニティを大きく改善し、ひいては国家の変革を可能にします。 出典: 1. 1. "The 50 Most Influential Women in Middle East Finance," Financial News, 29 Apr. 2019, https://www.fnlondon.com/articles/the-50-most-influential-women-in-middle-east-finance-20190429. 2. "FN 50 Middle East Women 2019," Financial News, 2019, https://lists.fnlondon.com/fn50/women_in_finance_/2019/?mod=lists-profile. 3. "Rania Nashar," Forbes, 2018, https://www.forbes.com/profile/rania-nashar/#20d8136e473c. 4. Masige, Sharon."Raising the Bar:Rania Nashar," The CEO Magazine, 27 Jun. 2019, https://www.theceomagazine.com/executive-interviews/finance-banking/rania-nashar/ 5. "Lubna Olayan Retires as CEO of Olayan Financing Co.; Jonathan Franklin Named New CEO," Olayan, 29 Apr. 2019, https://olayan.com/lubna-olayan-retires-ceo-olayan-financing-co-jonathan-franklin-named-new-ceo。 6. "Gender and Women's Mental Health:The Facts," World Health Organization, https://www.who.int/mental_health/prevention/genderwomen/en/#:~:targetText=Unipolar%20depression%2C%20predicted%20to%20be,persistent%20in%20women%20than%20men。 7. "The Cut:Exploring Financial Wellness Within Diverse Populations," Prudential, 2018, http://news.prudential.com/content/1209/files/PrudentialTheCutExploringFinancialWellnessWithinDiversePopulations.pdf.

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