キャリア

明日の都市における今日の人材

2018年11月22日
  • Pearly Siffel

    Strategy and Geographic Expansion Leader, International, Mercer

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「次世代のメガシティは、先を見据えた従業員達が生活の満足度をどのように定義づけるかに注視することで、すでに確立された経済力を持つ拠点に挑戦している。」

世界的な人口の都市化
 

今後10年間で、世界のGDP成長のほぼ半分が成長市場の約400の都市から上がってくるだろう。特に、現在スキルや才能のある従業員が、現代の大都市の、職業的、個人的そして文化的な快適さに惹かれていくにつれて、都市化は現代社会の文化的そして経済的な原動力になり続ける。実際、前世紀で都市化は13%から55%へと進み、2050年までには70%にまで成長することが予測されている。しかしながらこの成長により、かつては世界で最も成功している従業員や企業の事実上のホームタウンとしてその地位が確立されていた巨大都市を、今まで見過ごされていた都市が追い抜かすチャンスが提供されているのだ。

高いスキルを持つ人材が不足しているということはすなわち、都市や企業は、ビジネスの未来を導く才能のある人材を求めてますます熾烈な競争を戦わなくてはならないということだ。このように強く望まれる従業員は、どこで働き、住みそして子育てをするかを決める時に、人的そして社会的要因の重なった優先順位を持つため、人口の都市化に新たなトレンドを起こしている。『人が第一:新興国メガシティの成長を推進する』と題されたマーサーの新しい調査では、15の新興メガシティにおいて従業員がなぜ「生活に対する満足感」を最も重要な要因と捉えているのかを探り、そして、最高の人材を惹き寄せるために、安心・安全やその他の職務的に重要な要因や地域に限定的な条件がどのように影響するかを分析している。

このマーサーの調査は、7ヵ国(ブラジル、中国、インド、ケニア、メキシコ、モロッコ、そしてナイジェリア)の7,200人の従業員および577人の雇用主にわたって行われている。このレポートでは、今日の従業員達の間に広まっているニーズや、どこで働き、そしてなぜそこを選ぶのかということについてのモチベーションや懸念事項を詳しく調査している。レポートでは同時に、雇用主やメガシティがそういった従業員やその家族のニーズを満たすことができるのかということも分析している。高いスキルを持つ人材が少なく人口の都市化が進んでいる世界で、雇用主や都市は、その存在について重要な質問をしている。「プロフェッショナルを特定の都市に移住させるものは何か?雇用主や都市はどうしたら、新たに出現したホットスポットに、勢いのある新興企業や将来的なユニコーン企業そして世界的なブランドから望まれるようになり、優秀で高レベルのスキルを持つ従業員を惹きつけることができるのか?生産性の高い従業員は、雇用主や拠点となる都市に対して、実際に何を求めているのか?」

明日の都市でよりよい生活をしたいという欲求  
 

マーサーのレポートでは、人々の優先順位を認識し取り込むことの重要性を明らかにしている。企業はあまりにもしばしば、ビジネスとその拠点となる都市において潜在的な成長を解放させる鍵となるのはキャリアと雇用の機会を創出することだという思い込み(雇用主のランキング1位)の下で運営をしている。企業はまた、仕事に対する満足度が都市を繁栄させる重要なもう一つの要因に違いないという印象(雇用主のランキング3位)を持っている。このような誤解のある結論は、企業やメガシティにひどくコストをかけさせ、現代のグローバル経済の競争を勝ち抜くための力を弱体化させるかもしれない。

調査の一部において、マーサーは従業員に焦点を置き、それぞれの回答者層、世代区分、キャリア向上、生涯学習への傾向、経済的安定レベルに基づいた細分化調査を行った。レポートでは従業員の「生活に対する満足感」を、人・健康・資産・仕事という、4つの鍵となる基準を使って説明している。各従業員セグメント固有のニーズや価値観を明らかにすることで、高成長都市の雇用主や政府が高いスキルを持つ人材を惹きつけ維持するのに必要な、有益な見識を得ることができる。

昇進の機会や仕事の満足度は経済的に良い暮らしをするために重要ではあるが、従業員達は、家族や安全そして環境的な要因こそが、感情面でのストレス度合やライフスタイルを維持すること、そして個人の健康に影響を与える要素として、より重要なものと位置付けている。下の図は、「生活に対する満足感」の様々な構成要素について、雇用主と従業員の間でいかに大きな食い違いがあるかを表している。

 

 


すでに確立された強い拠点を凌駕すること  
 

上海やソウルなど、世界は力のあるメガシティが世界経済に及ぼす影響についてとてもよく理解している。しかし、このような都市の驚異的な成功というものは、その都市の将来的な成長を限定してしまう問題の一因ともなる。急騰する家賃や生活費、手に負えないほどの人口増や汚染の進度、入手しにくい手ごろな価格の介護サービスや教育、長くなる通勤時間に劣化していくインフラ、これらのすべてが、現代的な従業員がどこに住み子育てをするかを決めるにあたって探し求める快適さを、いつの間にか半減させてしまう。それとは対照的に、新興の次世代都市は現代の従業員のニーズに合わせて成長する(ニーズを受けてから対応する、ではなく)のにより適している。

企業やメガシティというものの強さというものはつまり、そこにいる人々の強さである。すでに確立された強い拠点と競い世界経済において素晴らしい存在感を打ち立てるためには、新興のメガシティはスキルを持つ従業員からの職業的、個人的そして文化的な要望すべてに対し、積極的に応えなければならない。調査では、15の現在そして将来のメガシティでいくつかの共通点があるものの、人・健康・資産・仕事というカテゴリーに分けてパフォーマンスを見た時の重要な違いを明らかにしている。レポートでは都市を従業員の期待に応える能力に応じて、先進的・発展中・台頭中という3つのグループに分類している。

 

これら15の新興メガシティには、1億1,300万人以上の集積された人口、力強い推移が予想されるGDP、年間40億ドル以上の国外からの直接投資、そして今後10年にわたって新たな消費者が100万人に到達すると予想される人口成長の軌道がある。これらの成長経済は、新たな世界経済の最前線を象徴している。もしも、これらの15の都市におけるビジネスリーダーや政策決定機関、インフラの設計者が彼らのリソースを調整し、「従業員の声」を彼らの決定や計画のプロセスに組み込めば、居住決定をうながす人的そして社会的要因をうまく示すことができるだろう。従業員人口の各セグメントにおける固有のニーズや欲求そしてモチベーションへの理解を深めることで、企業は、最高の人材をより惹きつけ維持するために提供するものやプログラムを用意することができる。そして従業員一人ごとに、すでに確立された拠点を凌駕することができるのだ。

コラボレーションの新時代  
 

雇用主も次世代のメガシティも、単独では「生活に対する満足感」を供給することはできない。スキルのある従業員が望むのは、企業と都市政府が協力して初めてもたらされるリソースだ。企業のソートリーダー達と為政者が、デジタル化やグローバリゼーション、現代のヘルスケアや、将来を見越した家族が価値を見出すことができる教育環境を提供するような、新たな政策や構想を作り出し実行しなければならない。コラボレーションの新時代を強固なものにするにはまず、従業員個人及び集団的な人材の声や関心を高めることから始めることだ。雇用主や新興のメガシティは、従業員がどのように暮らし、働き、仕事をしそして学びたいのかを十分に理解しなければならない。

もちろん、すべての雇用主やメガシティが同じではない。周囲のコミュニティや季節の変化、個人の状況(健康不安など)、人生の夢、あるいは職場や学校から自宅の距離が近いことなど、従業員のニーズは様々だ。伝統的なビジネスのダイナミクスを超えた考え方や従業員の複雑なニーズを優先することには、新鮮な思考を要する。発奮させるようなアサインメントやリテンションボーナス、出張手当などは、限られたインパクトしか持たない。企業やメガシティは、従業員を育む環境を作り出さなくてはならず、それは彼らが働き、家族を支えそして地域に密着する新たな方法のある生活を追い求めることができるものでなければならない。

官民の効果的なパートナーシップによって、大きなスケールで改善を促進し向上を加速することができる。従業員やその家族が成長することができる環境を作り出すことで、企業や政府は、すべての人にとって継続維持できる経済成長を作り出し、彼らが惹きつけようとしている従業員の将来的なニーズに対処することができる。例えば、手ごろな住居がない、地域の交通に問題がある、育児や高齢者介護の利用といったことは、従業員の生活の満足度に直接インパクトを与える。そういった複雑な課題の深刻さや全体像を明らかにするためには、雇用主や次世代メガシティは、他の企業や市民社会と協力し、従業員やその家族に報いる戦略を発展させる組織を支えるべきだ。こういったことができなければ、取り残されるかもしれない。

企業や自治体が人材への戦略を加速し商業的な利益を上げるにはどうしたらよいか、さらに推察や実務的なアドバイスを得るためには、『人が第一:新興国メガシティの成長を推進する』をご覧ください。

Voice on Growthその他の記事

Patrick Hyland, PhD | 17 10 2019

  マネジメントに関する責任でストレスを感じているのはあなただけではありません。最近の調査で、仕事のストレスレベルに対処できると考えているリーダーとマネージャーはわずか 67% であることが判明しました。残りの 33%は自信がない、困惑していると回答しています。ほぼ同率でワーク・ライフ・バランスを保つのに苦しんでいる人もいます。質の高い仕事をするのに十分な時間が得られていると自覚するリーダーとマネージャーは半数にすぎず、仕事として割り切ることができると感じているのは 48% にとどまりました。これらの結果は、経営陣やマネージャーの約 3 割 から半数が、耐え忍んで仕事上の課題に対処していることを示しています。   このような統計を目にしても、「仕事にストレスはつきもの」と肩をすくめ、ため息をつくだけの人もいます。この思考は敗北主義者の観点で、危険であると示す研究結果が増えています。ストレスに関連する健康上のリスクとは別にしても、リーダーが体調不良、あるいは身体的・精神的に疲弊していると、職場の機能不全を生じさせる場合があります。   たとえば、バーバラ・フレドリクソン博士は、ネガティブな感情は「戦うか逃げるかすくむ」マインドに人を閉じ込め、創造的に考え革新的なソリューションを開発する能力を抑制すると述べています。また、ヤンネ・スカコン氏とそのチーム1は経営者がストレスに対処しているとそれが従業員にも伝わり、実務やストレスレベルにも影響が及ぶことを発見しました。そしてマーサー・シロタによる調査では、ストレスレベルの高いマネージャーは直属の部下を認めたり、賞賛したりする可能性が大幅に低いことが明らかになっています。    職場で慢性的なストレスがあるとしたら、リーダーやマネージャーは自己犠牲的な殉教者であるべきという神話を信じるのはやめましょう。自身の健康だけではなく、チームの相乗効果やエンゲージメントもリスクにさらすこととます。疲れ果てる前に、セルフケア戦略の立案を始めるためには、次の 4 つのステップが有効です。   1.危険な兆候を見分ける   燃え尽きてしまうこと、それは自信喪失や冷淡な態度を伴う、身体的、精神的、そして感情的に消耗した状態をいい、深刻に捉える必要があります。研究者たちは長期間の燃え尽き症候群が、うつ病、不安症、心臓病、高コレステロール血症、脳卒中および 2 型糖尿病を含む、多くの身体的・精神的な健康問題を引き起こす可能性があると指摘しています。    人は燃え尽きると怒りっぽくなり、意欲の低下、食事や睡眠など生活習慣の変化、または説明のつかないうずきや痛みなど、さまざまな形で現れることがあります。   2.休息と回復   燃え尽きているように感じた場合、助けを求める対策をすぐに講じる必要があります。まずは、いま経験していることを誰かに話すことから始めてください。上司、HRのビジネスパートナーまたは同僚に話しましょう。職場の誰かに話せない場合は、(a) 健康的ではないブラック企業2で働いている可能性を認め、(b) 家族、友人、または医師に必ず話すようにしましょう。沈黙のままでは、疲弊から孤立へと至り問題がより複雑になるかもしれません。    そして、仕事から切り離す方法を探し始めます。起床してすぐにメールチェックをするのはやめ、不要な会議をなくし、負荷を軽くしましょう。メンタルヘルスデーを設けるのも1つです。勤務時間を短縮するなど、休暇が認められる場合は取得してください。休息しリセットする方法を見つけ、回復できるようにします。   3.反省と方向転換   自らの体験から少し距離を置くことができたら、燃え尽き症候群に至った要因を特定してみましょう。まず出来事を時系列で思い返します。ストレスレベルが最初に上昇し始めたのはいつか、仕事で何が起きているか、仕事以外の自身とも向き合ってください。以前にもこのような経験をしたことはあったか、それとも燃え尽きを経験したのは初めてか、自身に問いかけます。    次に、ストレスの性質について考えましょう。ストレス自体は常に悪いものとは限りません。研究者たちは課題に伴うストレス、つまり重要な目標を達成することに伴うストレスは、仕事の満足度にポジティブな影響を及ぼすと指摘します。逆に障害となるストレス、つまり仕事を成し遂げる上で障害となるストレスは、仕事の満足度にネガティブな影響を及ぼします。燃え尽き症候群を経験したことがあれば、多くの障害となるストレスに対処してきたはずです。そのことを念頭に置き、組織で仕事を成し遂げる方法について考えます。一部の専門家は、燃え尽き症候群は機能不全の状態にある組織で働いた結果であると主張しています。    最後に、自分の性格、仕事に対する価値観や態度、所属する組織、そして仕事について考えてみましょう。研究者たちは、特定の人格特性を持つ人々に燃え尽きる傾向があることも発見しました。3自らを振り返り次に見えてくる目標は、経験から学び将来的に燃え尽きてしまうのを防ぐために洞察することです。   4.折れない心を育てる   燃え尽き症候群を経験した方にも良い面があります。人として強く賢く折れない心を育てるためにこの経験を役立てることができるからです。しかし、そのためには意識的な努力とセルフケアの実践に専念することが求められます。    セルフケアプランを設計する場合は、複数の方法が存在します。まず、仕事に対するアプローチを再考し、稼働日における習慣の一部を変える必要があるかもしれません。身体的な健康状態は極めて重要です。研究者たちは、リーダーやマネージャーが規則正しく食事をし、十分な睡眠をとり、運動すると生産性が上がると指摘しています。    精神的な健康状態も同様に重要です。スタンフォードの心理学者アリア・クラム氏は、管理する方法さえ知っていれば、ストレスはリーダーにとって良いものになると主張します。仕事と生活の困難に対する感情的な反応を考慮する必要性があります。心理的柔軟性と感情的な俊敏性があると生産性の高いリーダーになることが調査で立証されています。4    また、総合的なアプローチとして不可欠なのは、セルフケアプランを立てる際、自分が誰であり、自身にとって何が重要であるかというすべての側面に配慮することです。調査によると、精神的な生活、つまり生活に意味や目的、一貫性をもたらす側面が折れない心を育てるのに役立つと明らかにしています。    これら4 つのステップを検討する際に留意すべきは、自分の世話ができないようであれば長期にわたってチームもマネージできないということです。ある時点で忍耐、健康、エネルギー、または生産性が失われることになります。何らかのセルフケア戦略がなければ、自分自身に対して、またあなたを信頼する人々に対して害を及ぼすことになるでしょう。 出典: 1. Skakon, Janne; Nielsen, Karina; Borg, Vilhelm; Guzman, Jaime. "Are Leaders' Well-being, Behaviours and Style Associated with the Affective Well-being of Their Employees? A Systematic Review of Three Decades of Research." An International Journal of Work, Health & Organisations, Volume 24, Issue 2, 2010,https://www.tandfonline.com/doi/abs/10.1080/02678373.2010.495262. 2. Appelbaum, Steven and Roy-Girard, David. "Toxins in the Workplace: Affect on Organizations and Employees." Corporate Governance International Journal of Business in Society, 2007,https://www.researchgate.net/publication/242349375_Toxins_in_the_workplace_Affect_on_organizations_and_employees. 3. Scott, Elizabeth. "Traits and Attitudes That Increase Burnout Risk." Very Well Mind, May 20, 2019,https://www.verywellmind.com/mental-burnout-personality-traits-3144514. 4. Kashdana, Todd B. and Rottenberg, Jonathan. "Psychological Flexibility as a Fundamental Aspect of Health." Elsevier, Volume 30, Issue 7, November 2010,https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0272735810000413?via%3Dihub.

Abdulaziz Alajlan | 17 10 2019

何十年にもわたり、サウジアラビアは国家的、文化的、経済的に石油輸出およびエネルギー産業と密接に結びついてきました。Saudi Vision 2030 と名付けられた大胆且つ真新しいビジョンは、大規模な改革と政策立案により、化石燃料依存から脱却し、サウジアラビアの国内外を近代化させ、世界的な金融大国となることを目指しています。 変化を受け入れる力 2016 年にムハンマド・ビン・サルマン・ビン・アブドゥルアズィーズ・アル・サウド皇太子が発表した Saudi Vision 20301 という国家的プロジェクトでは、急速に変化する世界のリーダーとして台頭する、という前例のないコミットメントが詳述されています。新しい経済状況を反映して原油価格が変動し、地政学的な勢力が中東全体の国家の役割と目的を形作るにつれて、積極的に変化を受け入れる、というサウジアラビアのこの決断は国内外で驚くべき波及効果をもたらす可能性があります。 人口 3,340 万人以上、年齢の中央値が 25 歳のサウジアラビアには、大きな挑戦と機会に満ちた未来があります。Saudi Vision 2030 は、グローバライゼーションが続く世界において石油が時代遅れで有害なエネルギー源と見られる中、何百万人もの若い市民の労働力、成功への道筋を国家が示すロードマップとなります。長年にわたり作り上げてきた収益源と経済パラダイムを移行させるためには、地元の労働力のスキルセットを本格的にシフトし、最新テクノロジーに習熟する必要があります。 他の国々が気候変動やその他の地政学的なシフトに苦戦している一方、サウジアラビア政府は政策改革によって国内外の人々の生活を向上させる具体的な方法を世界に指し示しています。2 複雑なグローバル経済への対応 Saudi Vision 2030 は、デジタルトランスフォーメーションを活用しつつ、イノベーティブな国内の人材政策の実施を試みるインドなど、経済成長著しい国々に大きな影響を与えるはずです。 実際にサウジアラビアとインドとの関係性はますます複雑化してきています。インドは多くの西側諸国とは異なり、力強い経済的成長を推進するために大量の石油を必要としています。欧州や米国など工業化されたマーケットでは、環境に優しい代替交通手段や電気自動車の需要が高まっていますが、インドでは現在も化石燃料に大きく依存しています。2040 年までにインドは、拡大する経済と徐々に都市化する人口を支えるために、毎日最高 1000 万バレルの原油を処理する必要が生じると予想されています。3 サウジアラビア政府は、国家として市民生活の水準を向上させるための政策 (市民に無料の大学教育を提供するなど) を既にいくつか実施しており、民営化を優先して経済の国際化を進めています。2030 プランでは、金融機関が民間部門の成長を促進し、グローバルな経済競争に向けて国内の労働力を調整する点で大きく前進することを奨励しています。建設、金融、ヘルスケア、小売、宗教観光など、民営化や石油以外の産業の成長に注力することで、サウジアラビアの企業や起業家に新たなチャンスを創出します。4 地域のリソースを活用した未来の創造 Saudi Vision 2030 では、労働市場と社会における女性の役割、デジタルトランスフォーメーションと自動化の影響、サウジアラビア企業の感性を近代化させる必要性など、国家が直面する地域的、文化的な課題の多くが取り上げられています。女性の労働参加率を 22% から 30% に引き上げることを目標に、女性に車の運転を認め、経済的成長に至る道を開いたことは、世界中の投資家から好意的に受け止められました。2030 プランでは、国内問題と国民の健康全般にも重点を置き、平均寿命を 74 歳から 80 歳に引き上げる目標を掲げ、すべてのサウジアラビア国民に対し、毎日の運動と健康的なライフスタイルを推奨しています。5 サウジアラビア政府はまた、スマートフォンやデータ中心のオペレーション、その他のテクノロジーを通じて市民とリソースをつなぐ電子政府サービスを導入することで、社会にデジタル時代をもたらそうとしています。この動きにより、政府の仕事がなくなった人的資本が民間部門に流入するはずです。『マーサーグローバル人材動向調査2019年度版』のレポートによると、インド、ブラジル、日本などの国では、オートメーション分野が 70% 成長するため、サウジアラビアなどで働き手のための新たな役割やプロフェッショナルによる開発機会を探るニーズが高まることが予想されます。 2030 プランでは、国家固有のリソースに向けて壮大なビジョンがあります。市場経済と政府機関全体における女性のエンパワーメントと最新テクノロジーの統合は、この包括的な戦略の一部に過ぎません。サウジアラビアはグローバル経済の先進的な金融メカニズムの投資を招き入れ、国家の歴史に焦点を当てたキャンペーンで観光を盛り上げ、新しく現代的な視点から国民と世界を永遠に続く未来へと導こうとしています。成功するか否か、世界は 2030 年に知ることになるでしょう。 出典: 1. Kingdom of Saudi Arabia. "Saudi Census: The Total Population." General Authority for Statistics, Accessed 11 July 2019,https://www.stats.gov.sa/en/node. 2. Mohammed bin Salman bin Abdulaziz Al-Saud. "Vision 2030." Vision 2030, 9 May. 2019,https://vision2030.gov.sa/en. 3. Critchlow, Andrew. "India is too important for oil titan Saudi to ignore." S&P Global Platts, 6 Mar. 2019,https://blogs.platts.com/2019/03/06/india-important-oil-saudi/. 4. Nuruzzaman, Mohammed. "Saudi Arabia's 'Vision 2030': Will It Save Or Sink the Middle East?" E-International Relations, 10 Jul. 2018,https://www.e-ir.info/2018/07/10/saudi-arabias-vision-2030-will-it-save-or-sink-the-middle-east/. 5. "Saudi Arabia Vision — Goals and Objectives." GO-Gulf, 14 Jul. 2016,https://www.go-gulf.com/blog/saudi-arabia-vision-2030/.

Dr. Avneet Kaur | 03 10 2019

  近年、オンサイトクリニックの利用が増加している理由として、質の高いタイムリーなケアにより生産性を高め、欠勤を減らし、従業員の健康状態を向上させることができると認識されています。 貴社のオンサイトクリニックでは、十分な導入効果が得られていますか?あるいは法的な要件を満たすことにのみ重点を置かれているでしょうか。オンサイトクリニックを最大限活用するためには、重要な点が3つあります。最近マーサーが行った職場の診療所のアンケートによると、オンサイトクリニックを備えた企業では 1.5 倍以上の投資利益率 (ROI) が得られています。同じような利益率が見込めない場合は、オンサイトクリニックが基本要件の範囲内にとどまっている可能性があります。 クリニックを患者中心に 従業員に適したサービスがクリニックで提供されているかを確認しましょう。これにより利用されないサービスに出費することなく、従業員の満足感を高め、健康状態を改善し、結果的に業績を向上させる投資対象に資金を充てることができます。従業員の年齢層、性別、仕事の性質について理解を深めましょう。必要な保健や社会福祉サービス、専門家のサポートを理解する上で大きく前進できます。   統計情報に加え、従業員のヘルスケアのニーズを理解することも重要です。たとえば、どのような病気が一般的で、適切に管理する必要があり、ライフスタイルに潜む主なリスクファクターを教育や予防的なサービスによってどう回避できるか、などです。 価値を伝える重要性 「それを造れば、彼らは必ず来る」という古い考え方では、求める ROI が得られないかもしれません。従業員にもたらす価値を強調することで、オンサイトで提供されるサービスについてコミュニケーションを図ることが重要です。便利で楽に受診できること、質の高い医療機関への紹介・案内、病気の早期発見などのメリットについて伝えます。   効果的なコミュニケーションにより、利用率が改善し、病気の早期発見だけでなく、企業として投資を最大化しながら従業員の福祉にも貢献することにもつながります。 オンサイトクリニック:ウェルネスハブ オンサイトクリニックが適切に設計・管理されると、企業と従業員の双方に大きなメリットが生まれます。適切に設計されたクリニックは真の窓口の役割を果たし、従業員に質の高い医療機関や福利厚生・ヘルスケアサービスを案内も可能となります。また、救急治療や高額な医療費を回避するための鍵となる、予防や教育サービスを従業員に直接提供することもできます。   マーサーでは、クライアントの効果的なオンサイトクリニックの管理に向けて、4-C モデルの導入を支援しています。これにより、企業は単に法的要件を満たすことから、従業員の価値に重点を置いた質の高い医療サービスを提供する体制へと移行し、クリニックの価値向上がさらに期待できるようになります。   オンサイトクリニックを最大限に活用する方法については、こちらからお問い合わせください。

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M&A におけるディールバリューを高めるには、人事関連リスクに対し、早期に、また明確かつ体系的に取り組むことが重要です。人事関連リスクの主な例として、拙劣なインテグレーション、カルチャーや組織の違いへの無配慮、優秀な人材のリテンションの失敗、不明瞭な従業員コミュニケーションなどがあり、これらによってディールバリューが著しく毀損するリスクがあります。   うまく機能している HR M&A チームは、HR M&Aプレイブックを作成し、ディールプロセスを管理する共通アプローチを確立することで、これらの共通する人事関連リスクに対処しています。   HR M&A プレイブックには、共通に含めるべき重要な要素があります。   第一に、プレイブックは実戦的である必要があります。従来の HR M&A プレイブックは、総合的な百科事典のような機能をしており、各 HR ワークストリームのプロセスマップに加えて、想定される全てのディールシナリオを網羅していました。   従い、実際のディールにおいては、HR チームで活用しにくい状況がありました。プレイブックの効果を高めるには、活用されなければなりません。HR M&A プレイブックの開発にあたっては、情報過多を防ぎかつHR チームへの十分なガイダンスを提供する必要があります。HR チームも、プレイブックをどのようなディールシナリオにも適用できなければならず、難しいバランスを保つことになります。   第二に、プレイブックでは、ディールサイクル全体における HR (人事部)の役割を定義する必要があります。ディールバリューを最大化するため、HR は戦略的パートナーとして機能し、ディールコンテクストにおける役割と、リスクの軽減やディール目的の達成のためにどのように貢献できるかを明らかにしておかなければなりません。明確に定義されたプレイブックは、HR M&Aチームの各メンバー(経験の多寡に関わらず)が果たすべき役割を理解し、ディール固有の問題に素早く取り組むうえで役に立ちます。   タスクや判断基準が明確だと、HR M&Aチームメンバーの自信につながり、財務や法務、IT など他のチームとの人事面での 連携がしやすくなります。ディール全体を通じて組織連携を図ることで、組織横断で判断すべき重要な意思決定を、個別チームが単独で行うことを防ぐことができます。   このような環境では、HRチームは迅速に実行ができ、早期のディールバリューへのポジティブな影響が期待できます。それこそが究極のゴールです。   第三に、プレイブックにはデューデリジェンスの項目が含まれている必要があります。HR が関わるのはディールクローズ直前あるいはクローズ時となり、十分なデューデリジェンスが行われていないケースが散見されます。現在は売り手優位の市場であるため、買い手がデューデリジェンスに充てられる期間が短くなり、ますます売り手からの情報が不足する傾向にあります。   HRチーム がディールの早い段階で関与しなければ、買い手はディール価格やインテグレーション戦略、ディールスケジュールに重大な影響を及ぼし得る不要なリスクを負うことになり、結果的にディールが「不成立」になったり、シナジーが失われたりすることがあります。デューデリジェンスで明らかになる一般的な人事関連の問題には、経営権の移転によるチェンジ・オブ・コントロール(CiC)のトリガー、高額なセベランス(解雇・離職手当)の取り決め、リテンションリスク、カルチャーギャップ、確定給付型年金の積立不足、報酬・福利厚生制度のコンプライアンス問題などがあります。   効果的な M&A プレイブックには、適切な情報を請求し、レッドフラッグイシューを迅速に特定するためのデューデリジェンスツールに加え、経営企画部等のディールチームが早期に HRチームを動員すべき理由を示したビジネスケースが示されています。   第四に、プレイブックでは、推奨されるインテグレーションアプローチの概要を説明します。ディールは一つとして同じものはなく、例外が多いため、推奨されるインテグレーションアプローチ (または一般的なディールタイプに対する様々なアプローチ) について、HRチーム と経営陣が事前にすり合わせておくことが大切です。このプロセスの一環として、目指す統合成果について各ワークストリームで目線を合わせ、このアプローチをとる時期、予算、リソースの要件について理解し、例外や逸脱の承認プロセスを確立します。   ディールが発生しても、規定されたアプローチがあれば、各ワークストリームで例外事項が必要かどうかを素早く判断し、必要な場合は確立された承認プロセスに従って例外承認を得て進めることができます。これによりディールの実行が大幅に加速され、シナジーの実現につながります。インテグレーション戦略は、ディール目的にあるゴールを実現するようにデザインする必要があります。多くの場合、M&A の目標策定は CEO が担当しますが、HRチームは人事の観点から執行を担当します。   人事関連のインテグレーションアプローチは事業戦略に根ざし、以下の通りディールにおける人事関連の全ての側面に対応することが求められます。   · 今後のオペレーティングモデルと組織構造を明確に定義する   · 役割、責任、意思決定権限を一貫した形で定義する   · 今後の事業目標を支えるカルチャーを創出する   · 重要な人材を見極め、リテインする計画を立てる   ·  削減するポジションを決め、対象者を客観的に見極める計画を立てる (必要に応じて)   · 事業上の優先事項に合わせた報酬体系を立案する   · 各部門に求められる変化への適応を促す統一的かつ一貫したコミュニケーションプランを策定する   · 従業員のクロストレーニングと順応をサポートする要員を配置する   · 給与計算や福利厚生管理などの基本的な 人事 機能を維持・継続する   第五に、プレイブックにはプロジェクトマネジメントツールを含める必要があります。M&A ディール全体においてプロジェクトマネジメントが大切です。買収前、買収後の財務目標を達成するには、マイルストーンと成功指標を設定し、主要なタスクを明文化し、期日までに完了していくことが求められます。   確固としたタスクリストのテンプレートは、あらゆるプレイブックの中核とになります。これらのツールにより、ディールの固有の成果に基づくプロジェクトプランを総合的に策定することができ、個別の HR ワークストリームの出発点となります。これらのツールを活用して、重要なステップを確実に実行し、早期のシナジーによるコスト削減など、途中成果の管理ができます。   「アジャイル」プレイブックは常に進化しています。HR プロジェクトマネジメント事務局には、ディール終了時に事後分析を行い、今後に向けた教訓として新しいベストプラクティスをプレイブックに盛り込むことが求められます。   最後に、HRチームが有効にプレイブックを活用できるよう事前にトレーニングを行い、また必要に応じて特定の M&Aイシューへの対処について、社外のアドバイザーを動員することも重要になります。   適切に実行された M&Aディールは、最も貴重な資産である「人」を中心に据えるものです。ディールに伴う重大な人事関連リスクを考えると、HR M&A のレディネス(素地)は事業上不可欠であり、それはバリューを高めるための変革について伝え、指揮する機能を持たせることから始まります。   ディールに備え、早期に準備し、社内のプロセスを構築し、社外の専門家に頼ることで、HR チームはディールチームにとって貴重なメンバーになることができます。   アジャイル M&A プレイブックを活用することで、HR チームは今後の全てのディールで事業を効果的にサポートし、人材のエンゲージし、企業の短期的および長期的な業績を向上に貢献することができます。   詳細については、M&A サイト http://www.mercer.com/mergers-acquisitions をご覧ください。

ラテンアメリカ、中東、アフリカ、アジアは経済成長と人口動態、投資市場、規制の変化を背景に、世界で最もエキサイティングな市場の一つとなっています。 「マーサーの成長市場におけるアセットアロケーション動向調査: 進化する状況レポートでは、そのうち 14 の市場の年金基金について現在の投資ポジションおよび過去 5 年間の変化を調査しました。この調査には、南半球と東半球の市場全体で約 5 兆ドルの年金基金が含まれています。 世界銀行によると、これらの地域の経済によって世界の成長の約 70% がもたらされるため、資産の所有者、管理者、投資家に対して新たな投資機会が提供されています。消費と貯蓄のさまざまなパターンを生み出す中産階級の急速な拡大も見られ、さらに、世界の機関投資家の上位 50 社のうち半数がこれらの市場に本拠を定めています。1 ますます堅調になりつつある世界の投資環境 ラテンアメリカ、中東、アフリカ、アジアの経済規模は大きく、成長していて、個人が保有する富の割合が増えているため、世界中の投資家にとって特に注目の的となっています。これらの市場はまた、外国人投資家にますます門戸を開いています。同時に、これらの地域における規制の変更により、国内投資家の選択肢が広がり、自国の市場外で投資できるようになっています。その結果、投資環境はオープンで安定したものになっており、世界中の投資家にはますます機会の扉が開かれています。 これらの地域の年金基金制度も改革が進行中で、西欧諸国と同じく退職貯蓄については個人の責任が増大する傾向が見られます。全体的に見て、企業と政府が運営する制度の両方で確定給付 (DB) から確定拠出 (DC) に移行しつつあります。これらの変化により、将来の貯蓄ニーズを満たし、制度への信頼を担保するために効果的な投資ソリューションを提供する必要性が際立っています。 投資家による 3 種類の対応方法 投資家やプランマネージャーは、変化する環境に 3 種類の主な方法で対応しています。 1. 株式に投資する投資家が増加しています。過去 5 年間で、自己資本配分率は 32% から 40% へと約 8% 増加しました。多くの地域の投資家がポートフォリオの期待収益率を高めようとしてこのようなシフトが見られています。競争激化した低リターンの投資環境の中で、世界中の投資家が問題に直面しています。ポートフォリオミックスに株式を追加すると、長期的にリターンの向上が期待できるはずです。   2. 市場の自由化によりポートフォリオの多様化が可能になり、国内資産の代わりに外国資産へのエクスポージャーが高まっています。年金基金における海外エクスポージャーは、過去 5 年間平均で全株式ポートフォリオの 45% から 49% に増加しました。投資家は地理的な多様性を求めていますが、特にコロンビア、日本、韓国、マレーシア、台湾で伺えます。ブラジル、コロンビア、ペルー、南アフリカなどのいくつかの国でも、法律の最近の変更により、現在では外国資産へのエクスポージャーが増加しています。最近では日本政府の年金基金が国内株式を犠牲にして、外国株式に移行しています。 外国債券へのシフトも見られており、外国資産への配分は 16% から 23% に上昇しました。これは国内債券の金利が低いこと大きなやポートフォリオ多様化機会の追求によるものです。ただし、ホームバイアスが残っていますが、規制の変更により、幅広いグローバル投資が支えられるため、このトレンドは続くと予想されます。   3. 投資家のオルタナティブ投資に対する関心が若干高まっています。オルタナティブ投資をポートフォリオに組み入れる投資家が増加しており、マーサーではこのトレンドが継続すると予想しています。代替アセットアロケーションの詳細を公開した投資家のうち、平均配分の 70% 超が不動産とインフラに、約 20% が非公開企業の株式に投資されていました。規制の変更により、一部の分野では投資家にとって代替投資の魅力が増しています。たとえば、チリでは 2017 年に投資制度の改革案が可決され、具体的な制限はポートフォリオによって異なるものの、年金基金の運用者は最大 10% をオルタナティブ案件に投資できるようになりました。この改革の主な目的は、利益を上げて、最終的に年金収入を増やすことにあります。投資家がポートフォリオを多様化し、リターンの向上を追求する中で、代替投資のエクスポージャーは長期的に増大することが予想されます。 投資家の皆様におかれましては、当社レポートの調査結果を、ポートフォリオを見直し、投資リターンの向上のために改善できるアセットアロケーションの分野について調べる機会としてご活用いただければ幸いです。 詳細については、こちらのレポートをダウンロードしてください。 出典: "Top 1,000 Global Institutional Investors." Investment & Pensions Europe, 2016. https://www.ipe.com/Uploads/y/d/w/TOP-1000-Global.pdf.

David Anderson | 22 8 2019

スマートシティ。コネクテッドシティ。インテリジェントシティ。アジャイルシティ。データ主導型の都市。統合された都市。ブロックチェーンを活用した都市。持続可能な都市。将来性のある都市。現代の都市がビジョン、熱意、才能を持った人々に不足することはありません。それでも優良企業、スタートアップ企業、優秀な人材だけでなく、海外の直接投資を呼び込み、成長を促進する最高のテクノロジーにアクセスできるようにしておかなければなりません。 ただし、世界の GDP はこれまでと同じ仕方で成長していくわけではありません。明日の最も競争力のあるスマートシティの多くは、今まで見過ごされていた都市であり、かつては世界で最も成功している従業員や企業の事実上のホームタウンとして、地位が確立されていた巨大都市を追い抜かすチャンスが提供されてきました。その運命に従うことになります。これらのスマートシティは、エネルギーやモビリティなど都市サービスの質とパフォーマンスを向上させる情報通信技術に投資することにより、組織を支え、成長を保証する高度なスキルを持つ労働者の獲得に競い合っています。 雇用主と従業員が直面する問題   従業員がどこで働き、生活し、家族を育てるかを決めるについて、マーサーの最近の調査『ピープルファースト:新興メガシティの成長を推進する (People first: driving growth in emerging megacities)』では、人間的また社会的要因が優先されることが明らかになっています。労働者に対するアンケートでは人間、健康、お金、仕事という 4 つのカテゴリーで 20 の詳細な要因を重要度順に並べる質問がなされました。回答では自分が住んで働く都市を決める場合、総合的に暮らしに満足できるか、安全やセキュリティ、環境への配慮、友人や家族の住んでいるところに近いこと、などの人間的な要因が最重要要因として位置づけられています。 この調査では、インドのコルカタからナイジェリアのラゴスまで、世界の急成長中のいくつかの都市について、どうしたら経済的に成長し、人々を引きつけ、新しい住民が繁栄し、市民生活を向上させる道を開けるかについても考察しています。考察された内容から、世界中の都市のリーダーや政策立案者は、都市の持続に必要なことだけでなく成長を推進するために必要なことについて貴重な教訓を学ぶことができます。 実際、ますます都市化が進んだ世界では高度なスキルを持つ人材が不足する中で、雇用主と都市は実存に関する重要な問いに直面しています: ·  プロフェッショナルが特定の都市に移住し、そこにとどまる理由は何でしょうか? ·  台頭するホットスポットで新興スタートアップ企業、将来のユニコーン企業、グローバルブランドが求める高いレベルのスキルを持つ優秀な労働者を雇用主や都市が囲い込むにはどうしたらいいでしょうか? ·  生産的な従業員は雇用主やホームタウンにいったい何を望んでいるのでしょうか? その答えは、世界の新興メガシティが、後追いの都市から世界的なパワープレーヤーに変革を遂げることをどの程度優先するか、という点にあるかもしれません。したがって、長期的に成功し、成功し続ける可能性が非常に高い都市のサンプルを比較すると参考になります。共通しているのは、チャンスとリソースに対する地域的優位性に対するコミットメントであり、独自の方法でシリコンバレーのような、将来の最もスキルのある人材が成長し、人工知能と最新テクノロジーの発展の中にあって有意義な人生を送ることができる都市を築くという決意です。 「サイバーバッド」から他のライバル都市へ   新興メガシティの典型的な例は、インド南部のテランガーナ州の州都ハイデラバードです。人口 800 万人のハイデラバードは、インドで 6 番目に人口の多い都市圏で、世界的な IT ハブとして評判が高まり、サイバーバッド (「インド版シリコンバレー」) として人気を集めています(メガシティの定義は 1,000 万人以上の人口を擁する都市です。この記事で説明される都市は、すでにその基準に達しているか、到達することが予想されています)。 ハイデラバードでは IT に加えて、自動車産業や医薬品、そして伝統的な農業基盤でも成長を遂げています。デジタルおよび不動産インフラに大規模な投資を行って都市をアップグレードし、IT 企業を誘致しています。特に HITEC シティでは、アメリカの IT 大手企業のために最新テクノロジーを備えた街づくりを行っています。国内外のブランドが市内に店舗をオープンしており、小売業も成長しています。 対照的に比較的大きな都市、チェンナイ (2017 年人口 900 万人、2014 年時点の GDP 590 億ドル) は「インドのデトロイト」として知られており、同国の自動車産業をリードしていますが、ソフトウェアサービス、医療ツーリズム、金融サービス、そしてハードウェア製造 (石油化学製品や繊維製品と共に) の成長によって、経済的な深みを増しています。IT と BPO (ビジネスプロセスアウトソーシング) サービスの主要輸出国でもあります。 経済規模が大きいため、中国の新興メガシティは強い印象を与えます。成都の 2014 年の GDP は 2,340 億ドル、2017 年の人口は 1,400 万人で、中国西部で一番の都市圏であり、特に省エネと環境保護産業で成長しているため、熟練労働者にとって魅力的な都市となっています。 実際、「新エネルギー」産業 (素材、ハイブリッド自動車、電気自動車、および IT) に重点が置かれていることが、成都の成長を後押ししています。一方、中国で 2 番目に大きい東部の都市、南京 (2014 年の GDP は 2,030 億ドル、2017 年の人口は 700 万人) では、金融サービス、文化、観光を中心とするサービス産業が支配的です。IT、環境保護、新エネルギー、スマートパワーグリッドが南京の新たな柱となりつつあり、多数の多国籍企業がそこに研究センターを開設しています。南京の失業率は数年間中国の全国平均を下回っています。 ケニアからハリスコへ   新興国経済の規模では中国とインドが支配的である一方、他の地域もメガシティマップ上に多数出現しています。ナイロビはケニアの首都で最大の都市というだけではありません。 2017 年の 400 万人から 2030 年には 1000 万人への人口増加が見込まれています。ナイロビには国連環境計画や世界銀行など 100 を超える国際機関、ならびに大手製造業および IT 企業の地域本部があり、卓越した農業と合わせて現在そして将来に向けた経済の足がかりとしています。 同様に、グアダラハラ (2014 年 GDP: 810 億ドル、2017 年人口: 500 万人) は、メキシコの首都でハリスコ州の最大の都市を超えています。フィナンシャルタイムズによると「メキシコ版シリコンバレー」として知られ、メキシコでも投資を呼び込む可能性が最も高い都市と考えられています。一種の社会文化センターとして国際的な映画祭やブックフェアを開催することで、ハイテク、化学、電子製造業の成長を強力に補完し、優秀な人材を引き付ける働きをしています。 これらの都市はそれぞれ独自の方法で人を集め、スキルの高い人材がさまざまな面で成長できる環境を作り出しています。これには人々を第一に考え、最も重要なことにフォーカスすることが求められます。マーサーによる新興メガシティについての調査では、雇用主は人々が都市に引っ越してそこに留まる動機について誤解しがちであることが明らかになっています:人的および社会的な要因は、お金や仕事の要因よりも重要です。新興メガシティにとって、シリコンバレーのようになることが望ましいと考えられているかもしれませんが、いずれにしても、今日も明日も人々が住める場所であることを実証していく必要があります。 元の記事はBRINK ニュースに掲載されています。

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