変革

方向転換から成長へ: AI により民主化される未来の仕事

2019年7月25日
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“ウォーレンと名付けられたマーサーコンサルティングの AI デジタルアシスタントは、学習したパターンでリアルタイムデータを活用して労働力の生産性を向上させる高度な AI プラットフォームとして機能します。”

AI のパワーにより未来の仕事が形成され、生産性が最適化されます。ビジネスの現場でデジタルトランスフォーメーションが加速するにつれて、仕事とプライベートのスケジュールはますます密接に関連するようになります。親の立場、仕事のプロとしての立場、そして社会全体として、仕事やプライベートでそれぞれ高まる要求を調和させなければならない時代はこれまでにありませんでした。

現代の生活において、バランス良く責任を果たすことは大変なことに思えます。健康でよくしつけられた子供を育て、苦労しているパートナーや友人をサポートしつつ、上司や同僚に感銘を与える、というようなことは普通の人間にはできません。チョコチップクッキーぐらい買いたくなります (そもそも優雅に夕食を取る余裕のある人などいるのでしょうか)。ありがたいことに、AI プラットフォームはデータ専門家による情報整理の方法や連携方法を変えるだけでなく、日々の生活の問題に対処する方法も変えてくれます。

AI のいる生活

 

ウォーレンと名付けられたマーサーコンサルティングの AI デジタルアシスタントは、学習したパターンでリアルタイムデータを活用して労働力の生産性を向上させる高度な AI プラットフォームとして機能します。24 時間 365 日あなたのために働き、プライベートと仕事の責任が果たされるようにきちんと計画し、順調にキャリアを積めるようにサポートしてくれます。過去、現在、未来のデータがコンテキスト化され、責任とスケジュールが最適化されるため、意思決定の向上が促進されます。

言い換えれば、ウォーレンは専属のパーソナルコーチであり、親友であり、チームメイトとなります。それは人間とテクノロジーの究極の融合です。

毎日、人々は自分の時間の価値を最大化するために奮闘しています。多くの場合、仕事は質の悪いデータによって損なわれ、選択を誤り、効率的でないスケジュールを立て、重要ではないことに多くの時間を消費してしまっています。多くの人々には、日々の避けられない緊急事態に対応するための時間やリソースが不足しています。

ウォーレンは、人が最も重要なタイミングで最も重要なことに集中できるようにするために、そばにいてくれます。テクノロジーでどのように情報提供するかということよりも、機械と人間のハイブリッドを開発し、協働していくということです。人間は創造性、戦略的思考、共感などの能力を発揮します。ウォーレンは指定された目的と目標に基づいた行動を推奨することによって、人間の能力を補強します。さらに、過去のやり取りに基づいて調整を図ります。

頭をクリアにしてくれるパーソナルアシスタントは、トップレベルのプロフェッショナルだけでなく、すべてのプロフェッショナルに必要です。AIによる労働力の民主化は、アイデアの実現やビジネスの成長に革命をもたらすはずです。

プライベートと仕事の生活を分ける時代は終わりました。生活の中で起こるどんな問題に対しても、ウォーレンは優先順位を付けてただちに対処してくれます:子供の学校の校長先生が火曜日の午後 1 時に電話をかけてきます。上司から木曜日の夜 8 時にメールが届く予定ですが、それにはすばやく返信して欲しいと言っています。ご心配なく。ウォーレンは、多くの時間やエネルギー、マインドを要求する世界で成功を実現する手助けをしてくれます。ウォーレンはあらゆるサポートを提供できます:いいえ、うちの子供にはピーナッツアレルギーはありません。はい、営業会議の議題はチームに連絡済みで、関係者それぞれのレポートも光沢紙に印刷済みです。すべて完了です。

現代の生活は、境界のない、完全に統合されたエクスペリエンスになります。ニューノーマルへようこそ。

AI のスピードで働く

 

AI のスピードで働くことは、コンロをつけっぱなしにしていないか、午前 9 時のミーティング場所はどこか、前四半期のグラフデータが正確か、などと考える必要はないことを意味しています。コンピューターでするリマインダーの録音、会議室で PowerPoint のスライドを開けない時の緊張感、また新しいパスワードを覚えておく必要がある、といった状況は過去のものです。夜遅くに赤ワインのグラスを見つめて、自分は親の務めを果たせているのか自問する必要もありません。ウォーレンは、娘が学校の学芸会で「不思議の国のアリス」のチェシャ猫役として女優デビューしている間は香港事務所との重要な電話会議をスケジュールしないように思い出させてくれます。

ウォーレンは人間の癖や不完全さを認識しています。毎日の忙しい生活におけるすべてのステップで、事実確認や品質管理を行ってくれます。ワークライフのあらゆる面が AI テクノロジーによって最適化されるため、パーソナルライフの質と楽しみも大幅に向上することになります。

AI は、人間にありがちな間違いや判断ミスを予測し、緩和することによって、エクスペリエンスを有意義で、報いの多い、インパクトのあるものにすることができます。電子メール、チャット、ビデオ通話が人々のコミュニケーションを変えたように、ウォーレンは人々のコミュニケーション方法、仕事の範囲、そしてキャリア全体を変えていくことでしょう。

民主化された AI の時代

 

ビジネスの方向転換から成長に向かうにつれて、人々は毎日のささいなことから解放されて、時間や頭脳、潜在能力のすべてを将来のため、進歩するためだけに使うことができるようになります。

ウォーレンは職場のあらゆるレベルで変化をもたらし、組織の力学とアイデアの流れが恒久的に変わります。これまでと違い、大きなアイデアや方向性の変更はトップダウンで来ることはありません。CEO から、サマーインターン、威厳のある役員室から活気のある郵便室まで、画期的な解決策や最先端の新発見がどこからでも生じるようになります。

AI の民主化により、製品、ソリューション、サービスに最も近い場所にいる人々は、最終的に改善することについて考え、次なるベストプラクティスやアイデアを発明するために必要な時間と能力を持てるようになります。AI はあらゆるレベルの従業員にインスピレーションを与え、より賢く、より速く考えることができるようにするとともに、革新的な戦略を推進し、共に想像し、イノベーションを起こす方法を見分けられるようにします。

ウォーレンやその他の AI テクノロジーにより、従業員は役職、レベル、ランクに関係なく、個人的にも仕事面でも成長できるようになるでしょう。仕事の未来は、これまで同様、情報や機会へのアクセス、テクノロジーと人間の潜在能力の統合によって規定されることになります。AI により、いまだかつてない可能性を秘めたビジネスの世界が展開されようとしています。そして雇用主は、将来的に競争力を高め、企業に価値を提供し続けるよう人々を備えさせるため、できる限りのことをしなければなりません。

ウォーレンは AI バージョンの献身的な同僚で、ほとんど眠ることもなく、事実と正確なデータのみに基づいて行動し、冷蔵庫のお弁当を盗み食いすることは決してありません。最終的に、ウォーレンは新しい時代の人々やテクノロジーの同僚となり、労働力として共存するようになるでしょう。

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Wejdan Alosaimi | 17 10 2019

何十年にもわたり、サウジアラビアは国家的、文化的、経済的に石油輸出およびエネルギー産業と密接に結びついてきました。Saudi Vision 2030 と名付けられた大胆且つ真新しいビジョンは、大規模な改革と政策立案により、化石燃料依存から脱却し、サウジアラビアの国内外を近代化させ、世界的な金融大国となることを目指しています。 変化を受け入れる力 2016 年にムハンマド・ビン・サルマン・ビン・アブドゥルアズィーズ・アル・サウド皇太子が発表した Saudi Vision 20301 という国家的プロジェクトでは、急速に変化する世界のリーダーとして台頭する、という前例のないコミットメントが詳述されています。新しい経済状況を反映して原油価格が変動し、地政学的な勢力が中東全体の国家の役割と目的を形作るにつれて、積極的に変化を受け入れる、というサウジアラビアのこの決断は国内外で驚くべき波及効果をもたらす可能性があります。 人口 3,340 万人以上、年齢の中央値が 25 歳のサウジアラビアには、大きな挑戦と機会に満ちた未来があります。Saudi Vision 2030 は、グローバライゼーションが続く世界において石油が時代遅れで有害なエネルギー源と見られる中、何百万人もの若い市民の労働力、成功への道筋を国家が示すロードマップとなります。長年にわたり作り上げてきた収益源と経済パラダイムを移行させるためには、地元の労働力のスキルセットを本格的にシフトし、最新テクノロジーに習熟する必要があります。 他の国々が気候変動やその他の地政学的なシフトに苦戦している一方、サウジアラビア政府は政策改革によって国内外の人々の生活を向上させる具体的な方法を世界に指し示しています。2 複雑なグローバル経済への対応 Saudi Vision 2030 は、デジタルトランスフォーメーションを活用しつつ、イノベーティブな国内の人材政策の実施を試みるインドなど、経済成長著しい国々に大きな影響を与えるはずです。 実際にサウジアラビアとインドとの関係性はますます複雑化してきています。インドは多くの西側諸国とは異なり、力強い経済的成長を推進するために大量の石油を必要としています。欧州や米国など工業化されたマーケットでは、環境に優しい代替交通手段や電気自動車の需要が高まっていますが、インドでは現在も化石燃料に大きく依存しています。2040 年までにインドは、拡大する経済と徐々に都市化する人口を支えるために、毎日最高 1000 万バレルの原油を処理する必要が生じると予想されています。3 サウジアラビア政府は、国家として市民生活の水準を向上させるための政策 (市民に無料の大学教育を提供するなど) を既にいくつか実施しており、民営化を優先して経済の国際化を進めています。2030 プランでは、金融機関が民間部門の成長を促進し、グローバルな経済競争に向けて国内の労働力を調整する点で大きく前進することを奨励しています。建設、金融、ヘルスケア、小売、宗教観光など、民営化や石油以外の産業の成長に注力することで、サウジアラビアの企業や起業家に新たなチャンスを創出します。4 地域のリソースを活用した未来の創造 Saudi Vision 2030 では、労働市場と社会における女性の役割、デジタルトランスフォーメーションと自動化の影響、サウジアラビア企業の感性を近代化させる必要性など、国家が直面する地域的、文化的な課題の多くが取り上げられています。女性の労働参加率を 22% から 30% に引き上げることを目標に、女性に車の運転を認め、経済的成長に至る道を開いたことは、世界中の投資家から好意的に受け止められました。2030 プランでは、国内問題と国民の健康全般にも重点を置き、平均寿命を 74 歳から 80 歳に引き上げる目標を掲げ、すべてのサウジアラビア国民に対し、毎日の運動と健康的なライフスタイルを推奨しています。5 サウジアラビア政府はまた、スマートフォンやデータ中心のオペレーション、その他のテクノロジーを通じて市民とリソースをつなぐ電子政府サービスを導入することで、社会にデジタル時代をもたらそうとしています。この動きにより、政府の仕事がなくなった人的資本が民間部門に流入するはずです。『マーサーグローバル人材動向調査2019年度版』のレポートによると、インド、ブラジル、日本などの国では、オートメーション分野が 70% 成長するため、サウジアラビアなどで働き手のための新たな役割やプロフェッショナルによる開発機会を探るニーズが高まることが予想されます。 2030 プランでは、国家固有のリソースに向けて壮大なビジョンがあります。市場経済と政府機関全体における女性のエンパワーメントと最新テクノロジーの統合は、この包括的な戦略の一部に過ぎません。サウジアラビアはグローバル経済の先進的な金融メカニズムの投資を招き入れ、国家の歴史に焦点を当てたキャンペーンで観光を盛り上げ、新しく現代的な視点から国民と世界を永遠に続く未来へと導こうとしています。成功するか否か、世界は 2030 年に知ることになるでしょう。 出典: 1. Kingdom of Saudi Arabia. "Saudi Census: The Total Population." General Authority for Statistics, Accessed 11 July 2019,https://www.stats.gov.sa/en/node. 2. Mohammed bin Salman bin Abdulaziz Al-Saud. "Vision 2030." Vision 2030, 9 May. 2019, https://vision2030.gov.sa/en. 3. Critchlow, Andrew. "India is too important for oil titan Saudi to ignore." S&P Global Platts, 6 Mar. 2019, https://blogs.platts.com/2019/03/06/india-important-oil-saudi/. 4. Nuruzzaman, Mohammed. "Saudi Arabia's 'Vision 2030': Will It Save Or Sink the Middle East?" E-International Relations, 10 Jul. 2018, https://www.e-ir.info/2018/07/10/saudi-arabias-vision-2030-will-it-save-or-sink-the-middle-east/. 5. "Saudi Arabia Vision — Goals and Objectives." GO-Gulf, 14 Jul. 2016,https://www.go-gulf.com/blog/saudi-arabia-vision-2030/.

Varun Khosla | 03 10 2019

何十年にもわたり、スタートアップ企業やその役員報酬というと、シリコンバレーやテクノロジーの第一人者が多数働く、次世代のユニコーン企業を目指す 10 億ドル規模のイノベーティブな会社やその最先端のオフィスビルのイメージで語られてきました。しかし、近年、グローバルスタートアップ企業はこれまで予想もしなかった地域で成長しています。 最近の調査によると、8 億 9,300 万ドルが中東および北アフリカのスタートアップ企業 366 社に投資されています。スタートアップ企業への投資額は 2017 年に比べ 2 億 1400 万ドル増加し、6 億 6900 万ドルとなりました。1 また、東南アジアにおいても、海外 (ほとんどの場合シリコンバレーなどの欧米) で学び、地元に戻った「ウミガメ」と呼ばれる人々によって、スタートアップ企業の立ち上げが相次いでいます。この地域では重要な転換点を迎えており、東南アジアの VC 投資家は 327 ディール、 78 億ドル超を投資しています。2 すべてのスタートアップ企業で必要不可欠な要素、それはリーダーシップです。しかし、幹部クラスの人材と経営陣を確保・維持することは、成長中のスタートアップ企業にとって、特に報酬面では大きな課題となるかもしれません。 役員報酬を変える機関投資家 世界的に有名なスタートアップ企業の多くは、ジェフ・ベゾス、ジャック・マー、マーク・ザッカーバーグなど、カリスマ的な創業者によって立ち上げられました。しかし、これらの有名人や成功物語は、世界中に花開くスタートアップ企業の新しい時代の幕開けを反映しているものではありません。 たとえば、中東・北アフリカ (MENA) では、投資会社がスタートアップ企業の立ち上げに必要な初期の資金援助を行っています。これらの投資会社は、スタートアップ企業の立ち上げ時から資金繰りを支援しています。さらに、これらのスタートアップ企業の経営幹部は創立者ではないため、ロイヤリティや創造性、コミットメントを維持するために異なる報酬モデルを望んでいます。 C-レベルの優秀な人材を獲得するのは、実績がほとんどない、あるいは全くないスタートアップ企業にとってはリスクが高いため、非常に困難と言えるかもしれません。従来、欧米のスタートアップ企業は成長予測を前提とした中長期的なベンチマークを中心に役員報酬パッケージを策定してきましたが、成長モデル、投資戦略、役員報酬の三角化は複雑で厳しい課題となることがあります。 現在、世界的なスタートアップ企業はほとんどの場合、インスピレーションに富む創業者ではなく、投資会社が中心となって設立されているため、会社は経営陣、いわば成功と失敗の分かれ道となり得る人々に払う報酬を決定する際は入念に検討する必要があります。 役員報酬はいくらにすべきか? 当然のことながら投資会社は収益の最大化を望みます。つまり、スタートアップ企業にはできるだけ多くの純資産や株式を保持しておきたいと考えます。スタートアップ企業の役員に支払われる金額 、株、またはオプションはすべて投資会社が運用コストとして支払う費用になります。ただし、スタートアップ企業の役員に低い報酬を提示したり、スキルや経験のない人材を雇ったりすると、企業の競争力、成長力、収益力が損なわれるリスクもあります。 経営陣に潜在的な株式を提供する財務的な取り決め (シャドウエクイティともいう) は、慎重に考慮し検討する必要があります。役員報酬プランは、スタートアップ企業の報酬のインセンティブと経営者を維持する制度として機能させる一方、企業に資金を提供した投資家や株主に適正なリターンを提供するものにしなければなりません。投資家と株主は、経営陣に適切なエクイティ・プールを提供するために、どの程度の株式希薄化を受け入れることができるかを決める必要があります。 このため、多くの企業では、企業価値の増加に対応して資金調達の各投資ラウンドでエクイティ・プールのサイズを縮小する段階的アプローチの実行が決定されます。このタイプのプログラムにより株式希薄化を緩和し、特に製薬業界やフィンテック業界など、熟練した専門家や経営者の才覚や知識を必要とする、先進的なスタートアップ企業を扱う際に創造的な報酬戦略を策定することができます。 投資会社は、一定のタイミングと価格で株式を売買する権利を付与する株式オプション、または会社の実際の所有権を付与する普通株式のいずれかを従業員に提供することがあります。いずれも株式を希薄化しますが、オプションでは通常、普通株式よりも希薄化の効果が高くなります。たとえば、オプションで構成されるエクイティ・プールは、会社資本の 15 ~ 20% に達することがありますが、普通株で構成されるプールではわずか 3 ~ 5% に過ぎません。これは、長期インセンティブ報奨について、同額をオプションで支払うと、普通株の付与と比べて株式の希薄化効果が高まることを示しています。投資会社は、目的に対してどの戦略が最も適しているかを判断する必要があります。 役員および経営幹部に支払うタイミング 投資家が役員や経営幹部に支払うのは、投資回収の後にすべきでしょうか?それとも、業績は多くの場合、制御不能な外部の経済要因に左右されるため、経営者報酬は業績ではなく、従業員として能力を最大限に発揮して仕事を遂行したかどうかに基づいて支払うべきでしょうか。 多くのスタートアップ企業では、投資回収のベンチマークが経営幹部をやる気にさせ、株主価値を生み出すために最善を尽くす追加のインセンティブになると考え、前者の戦略を実行しています。実際、多くのケースで長期インセンティブプランは投資家がリターンを受け取った時にのみ支払われています。あるいは、一部のスタートアップ企業は、相互に合意した特定の企業の目標や目的に基づく役員や経営幹部に対する報酬を選択しています。報酬は現金や株式で提供されますが、株式の売却または付与のタイミングが制限されたり、オプションや普通株の形式で付与されたりもします。 世界中でスタートアップ企業が出現し、アイデアやイノベーション、そして次世代における未来のユニコーンを生み出す投資家や経営幹部が登場してきました。これらのスタートアップ企業の経営幹部を担う役員報酬の支払方法について新たなトレンドが続く中、グローバルスタートアップ企業は投資家の利益を最大化しつつ優秀な経営幹部を確保する選択肢を慎重に検討する必要があります。 出典: · "2018 MENA Venture Investment Summary." MAGNiTT, January 2019, https://magnitt.com/research/2018-mena-venture-investment-summary. · Maulia, Erwida. "Southeast Asian 'turtles' return home to hatch tech startups." Nikkei Asian Review, 22 May 2019, https://asia.nikkei.com/Spotlight/Cover-Story/Southeast-Asian-turtles-return-home-to-hatch-tech-startups.  

Jackson Kam | 30 9 2019

中国は社会全体でイノベーションの文化を育んでいますが、最も注目すべきはスタートアップ企業です。多国籍企業は中国のスタートアップ企業に投資する、または成功している「ユニコーン」企業がどのように中国の絶え間ない消費者の需要を満たしているのかを探ることで、自社の成長に結び付けることができます。 マーサーの「2019年グローバル人材動向調査」によると、多国籍企業は中国の労働者が雇用主に最も望んでいること、つまり健全なワークライフバランスを提供する能力に留意する必要があるとされています。現在、これは技術系のスタートアップ企業で働く従業員にとって切実な問題です。 イノベーションの文化を発展させる 中国政府は業界のイノベーション文化を育成するため、ビジネス規制をよりいっそう緩和し起業家による実験や成長を促進しています。さらに、効率的なインフラや地域の支援の提供も行っています1。 この新しい風土のもと、著しく成長しているセクターの一つはフィンテックの保険版、インシュアテックです。たとえば、中国平安保険、テンセント、アリババが後援するデジタル保険会社の衆安オンラインは、保険会社向けのSaaSプラットフォームを開発し、保険請求、医療保険、処方薬局、地元の病院情報を含む衆安のデータベースへの迅速なアクセスを提供しています2。 インシュアテックのもう一つの事例に、ルイ・シン・インシュアランス・テクノロジー (Rui Xin Insurance Technology) とチャイナ・レンディング (China Lending) の提携が挙げられます。このパートナーシップでは、保険会社がチャイナ・レンディングの商品を提供する、独自の消費者金融プラットフォームの開発支援を目指しています。2社は両社のプラットフォームで多数の保険商品を開発し、集客の向上のために連携しています3。 こうしたインシュアテックの提携は、中国が現状打破のための実験的コラボレーションやイノベーションのための土台をいかに構築しているかを例証したものです。 中国のユニコーン企業に学ぶ 中国のスタートアップ企業数千社が多くのセクターで革新的なビジネスモデルを開発し、革新的な製品を販売することで従来の企業から顧客を奪い、業界を混乱させていると言われています4。 実際、中国では120社ものスタートアップ企業が成功し、世界234社のユニコーン企業の半数以上を占めています5。中国のスタートアップ企業が卓越している理由は、巨大市場ですばやく拡大できること、そして米国の2倍の博士号を持つ専門家の人材プールを活用できることにあります。また、リスク許容度が高く、「怖いもの知らずの実験」を行って新製品を急ピッチで市場に投入しています。 これらのユニコーン企業はデジタル化の創造破壊的なイノベーションとともに、大きなリスクを進んで引き受け、母国をイノベーターとしてかつての地位に押し上げたいと考えています5。 多国籍企業がこの活力を自社に取り入れる方法 変革・起業家精神を持つ清華大学戦略学部の准教授兼副議長、朱恒源 (Hengyuan Zhu) 氏は、成功を収めているスタートアップ企業は「イノベーションのコンテキスト化」を実践していると言います。中国国内の地域の顧客と連携し、特定の地域で求められている製品を確実に適合させることも含まれます。中国で事業を展開する多国籍企業はここからヒントを得ているのです6。 朱氏は、「成功を望む多国籍企業は中国の現地支店で意思決定ができるよう権限を付与する必要がある。そうすることでグローバルなリソースを活用し、イノベーションシステムに統合し、中国人の顧客のために中国でイノベーションを実現できる」としています。 組織が成功するためには、職場の革新的な文化においてもバランスを取らなければなりません。たとえば、組織では実験的な試みを行いますが、しっかり規律を守る必要があります。職場のあらゆる面で慎重に検討することで、生産的で革新的な文化の実践と成功が保証されるのです。 996勤務への対応:ワークライフバランスの見直し 中国の技術者コミュニティ、特にスタートアップ企業の間では、「996.ICU」と呼ばれる勤務スタイルに反発が強まっています。「996.ICU」とは、中国のプログラマーの一般的な勤務スケジュール、つまり働きすぎで集中治療室 (ICU) 送りになるリスクに脅かされながらも、午前9時から午後9時まで週6日働くことを示しています7。一部のスタートアップ企業は、あからさまにこのような勤怠と不当なKPIのノルマを要求しています。中国人の心情に訴え、このような勤務を奨励している人もいます。 たとえば、アリババの創業者ジャック・マー氏は、「どの会社も従業員に996勤務を強いるべきではないが、幸福を手に入れるには勤勉な労働が必要不可欠。それを若者に理解してもらうのは重要です。996勤務を擁護するわけではなく、私は一生懸命に働く人を尊敬しています」7と語っています。 このような意見は「2019年グローバル人材動向調査」で明らかになった大半の中国人労働者の意見とは対照的です。大多数の人は、職場で能力を発揮するための最大の条件は、ワークライフバランスを管理できることと回答しました。楽しく働きながら新しいスキルや技術を身につけることよりも優先度が高くなっています。 中国のスタートアップ企業への投資を検討し、ユニコーン企業から学ぼうとする多国籍企業は、中国の労働者の健全なワークライフバランスを促進し、変革に成功した人々の多くの特性を取り入れることが求められます。その積み重ねによって、最終的には組織の業績も向上するでしょう。 出典: 1. Jun, Zie. "Whole-of-society effort drives technology development in China," Global Times, 25 Jun. 2019, http://www.globaltimes.cn/content/1155732.shtml. 2. Fintech News Hong Kong. "ZhongAn Technology Launches AI-Powered Data Platform for China's Insurance Industry," Fintech News, 14 Aug. 2018, http://fintechnews.hk/6308/insurtech/zhongan-technology-saas-insurance-data/. 3. China Lending Corporation. "China Lending Forges Strategic Partnership with Rui Xin Insurance Technology to Develop Online Financial Services Platform," PR Newswire, 15 Jul. 2019, https://www.prnewswire.com/news-releases/china-lending-forges-strategic-partnership-with-rui-xin-insurance-technology-to-develop-online-financial-services-platform-300884622.html. 4. Greeven, Mark J; Yip, George S. and Wei, Wei. "Understanding China's Next Wave of Innovation," MIT Sloan Management Review, 7 Feb. 2019, https://sloanreview.mit.edu/article/understanding-chinas-next-wave-of-innovation/. 5. Nheu, Christopher. "The Secret Behind How Chinese Startups are Winning," Startup Grind, 1 May 2018, https://medium.com/startup-grind/the-secret-behind-how-chinese-startups-are-winning-44876b196626. 6. Zhu, Hengyuan and Euchner, Jim. "The Evolution of China's Innovation Capability," Research-Technology Management, 10 May 2018, http://china.enrichcentres.eu/sharedResources/users/4807/The%20Evolution%20of%20China%20s%20Innovation%20Capability.pdf. 7. Liao, Rita. "China's startup ecosystem is hitting back at demand-working hours," TechCrunch, Apr. 2019, https://techcrunch.com/2019/04/12/china-996/.

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Amy Scissons | 26 3 2020

今日の世界では、多様な人材を育成し、雇用し続けることはかつてなく困難になっています。多様性の問題を「解決」するばかりで人材確保ができるものではありません。多様な人材を育成、開発しなければ、離職や意欲の低下という新たな問題に直面します。 この点はマーサーが発表したレポート「ダイバーシティ&インクルージョンテクノロジー:革新的な新興マーケット」の論評にも反映されています。「経営者らは、多様な組織や包容性の高い文化がないことは全体の問題であり、個人の力ではどうにもならないことを理解し始めている」 幸い、多様な人材のニーズを的確に支援する方法があります。詳しく見ていく前に、まず多様な人材の構築、維持、育成の重要性について考えましょう。 開発された多様な人材のメリット   今日の企業が生き残るためには、HRを含めビジネスのあらゆる面で俊敏性を優先する必要があります。マーサーの「2019年グローバル人材動向調査」における調査では、素早い変化を実現し、事業の混乱を最小限に抑えつつ、急激なトレンドにも迅速に対処する自信を持っている企業は約3割です。では、HRのアジャイルアプローチとは、どのように実践されているのでしょうか。 この俊敏性と自信は、一つには十分に開発された多様な人材から生まれています。従業員をスキルアップさせて将来のビジネスニーズを満たせるようにしておくことで、デジタルオートメーションや産業融合など、あらゆる激変に伴う移行を円滑化できます。俊敏性を高めることで、広範囲にわたる業界の変革を乗り切り、競合他社を出し抜いて、スムーズに優位性を獲得できるとしたら、いかがでしょうか。 それを実現するためには、多様な人材が必要としているものに注目しなければなりません。 多様な人材のニーズを理解する   まず、今日の人材は、スキル開発の機会が見える雇用プロセスを求めています。マーサーの「2018年グローバル人材動向調査」によると、会社が個人的および職業的に成長する機会を与えてくれていると考える従業員は66%に過ぎませんでした。 とはいえ、マーサーの「2019年グローバル人材動向調査」になると、世界の人材が職場で優先するものは微妙に変化しています。従業員と雇用主の間でスキルアップのニーズに差があるのが世界的な傾向です。 労働者が雇用関係に求めるものを調査した結果、新たなスキルの開発が第1位となった国もあります。世界的には、これは従業員の雇用主に対する要望第3位になっています。いくつか例を見てみましょう。 1.     ブラジル:世界の大半の地域と同じく、貢献に対する評価が第1位となっているものの、従業員が求めているもの第2位がスキルの向上と新たな能力の開発となっています。 2.     メキシコ:新たなスキルとテクノロジーを学ぶ機会が従業員にとって最優先事項となっており、次にワークライフバランスの管理が続きます。 3.     中国:中国の従業員にとっては、ワークライフバランスが最優先事項であり、次に新たなスキルの習得が続きます。3位に優先することは、楽しい職場環境です。 4.     中東:中東では、何よりも新たなスキルの開発や新たなテクノロジーの学習機会が最優先事項となっています。ワークライフバランスが2位、有意義なプロジェクトが3位と続きます。 これらの嗜好は様々な形で表出します。例えば、メキシコの労働者の9割以上は、カジュアルなフリーランススタイルの働き方に対してオープンであり、新たな仕事の機会を求めるとともに、自らのスケジュールを管理することに一定の関心があることが分かります。これはワークライフバランスの優先度の高さとも結びつきます。 優先順位は国によって多少異なるものの、世界的、文化的、地理的な違いを越えて、従業員が職場に求めるものは似通っていることが分かります。真の課題は、雇用主がスキル開発にどのように取り組むかという点にあります。 人材のスキル再開発、スキルアップ、育成   スキルの再開発とスキルアップにおいて、従来のトレーニングは必ずしも最善の方法ではありません。多文化の人材の特定のニーズに対応していないことが多いためです。例えば、講義形式のセッションにおいて、受講者がテーマを自らに当てはめて考えることができなければ、理解は困難になります。また、受講者が大人数の前で発言することを好まない場合、会話の交換が難しくなる可能性があります。 そこでマーサーのダイバーシティ&インクルージョンレポートが指摘するように、新たなテクノロジーを活用する独自の方法でこの課題に対処できます。その例の1つは、プライベート通信チャネルの活用です。翻訳会社などが提供しているような新たなツールを活用し、教室での受講者は匿名で質問でき、トレーナーはバランスの取れたディスカッションの仲介役を果たすことができます。また、トレーナーが受講者のパルスサーベイを行い、会話のトピックに対する安心感の推移を評価できます。 このような新たなテクノロジーや手法を活用することによって、人材育成に目を見張る成果が出ることがあり、そこに独自のメリットも伴います。ただし、離職率の低減にも等しく重点を置いてスキル開発に取り組まなければ、効果が乏しくなることに留意します。手塩にかけて育てた人材が競合他社で新たなスキルを活用することほど悔しいことはありません。雇用主が学習を最終目標と見なすのではなく、従業員のキャリアジャーニーにおける継続的なステップとして見る必要があるのはそのためです。 従業員はスキル開発を望み、キャリアに対するその影響を理解しているというデータがあります。一方の雇用主は、競争力を維持するためにも、学習についてさらに革新的なアプローチを取る必要があります。多文化の背景や多様なニーズを持つ労働者を含め、全ての人材を育成すること、これが長期的に業績を維持していく秘訣です。

Simon Coxeter | 27 2 2020

ファイナンスは、会社のあらゆる機能に影響を与え、個人にとっては個人の生活にも影響を及ぼします。従業員の経済状態が厳しくなると、仕事の満足度や態度に影響が及び、パフォーマンスが妨げられる可能性があります。経済的なストレスを抱えた労働者は、そうでない労働者よりも仕事の機会を逃し、医療費が高いことが知られています。これらの要因は、必然的に企業の従業員エンゲージメントレベルを損ない、最終的には業績にも影響します。特に、複数の従業員が経済的困難を経験している場合はそう言えます。 同時に人事のプロフェッショナルは、人は給料のためだけに働いているのではなく、給与を上げるだけでは必ずしも仕事の満足度が上がるとは限らないことを知っています。さらに従業員は明るい企業文化、柔軟な予定、表彰、人材開発(L&D)、退職プラン、その他の福利厚生も求めています。当然、従業員は給料は別の話としても、自分の価値が認められ、未来が開けている会社で働きたいと考えています。 世界の失業率が40年間で最低レベルに到達する中、人手不足が進行し、雇用主はますます採用競争が激化する環境に直面している一方、福利厚生パッケージは優秀な人材を集めてつなぎ留めるますます重要なツールになりつつあります。福利厚生で成長を続けているプログラムの一つは、体系化されたファイナンシャル・ウェルネスです。 ファイナンシャル・ウェルネスのソリューションでは、目標の策定、基本的なファイナンシャル・リテラシー、予算編成、負債管理、経済的ストレスの軽減などのコースがあり、従業員はお金に関する教育が受けられます。ファイナンシャル・ウェルネスのプログラムの目的は住宅、自動車、大学、退職金などのための貯蓄など、お金が関係する様々なライフステージで目標達成に役立つ行動に向けて従業員をガイドすることにあります。「マーサーの健康的で働きがいのあるレポート」では、ファイナンシャル・ウェルネスが提供された場合、福利厚生プランに対する従業員(および雇用主)の満足度が高いことが明らかになっています。さらに、多くの企業はファイナンシャル・ウェルネスの投資対効果を33%と報告しています。 従業員が経済状態について不安を抱く。 多くの従業員にとって、ストレスの最大の原因はお金です。マーサーのInside Employees Mindsレポートで3,000人のワーカーを対象に行われた調査では、経済的ストレスがどの程度仕事に影響を与えたか、という質問に対して、経済的な課題を抱えている人の62%が最も大きな経済的な心配として月々の支払いを挙げています。その中には年間の世帯収入が10万ドル以上の人々も含まれていました。 経済的ストレスは年齢層によって異なります。ヤングアダルト層は、特に大学の教育関連費用などで多額の負債を抱えています。ファミリー層はキャッシュフローの問題や予想外の出費で経済的な目標達成に苦労しています。中高年層も高齢の親の介護や家に戻ってきた子供の世話をすることで経済的なストレスを抱えていることがあります。ひとり親には特有の経済的ストレスがあります。したがって、ファイナンシャル・ウェルネスプログラムを設計する際は、従業員全体の年齢層とそれぞれの生活の経済状態を考慮することが重要です。 注目すべきファイナンシャル・ウェルネスのトレンド 経済的な困難からくるすべての苦悩については、ファイナンシャル・ウェルネスのプログラムにより状況が改善され、従業員にも雇用主にも利益がもたらされることが期待されます。ギャラップの調査によるとファイナンシャル・ウェルネス(経済的健康)は、所得レベルに関係なく、前向きな行動と強い人間関係に密接に関連しています。 雇用主はファイナンシャル・ウェルネスのプログラムを導入することで、従業員がより幸福で、より健康的で、より生産的になることで恩恵を得ます。モルガン・スタンレーとファイナンシャル・ヘルス・ネットワークの共同調査では、75%の従業員がファイナンシャル・ウェルネス・プログラムは福利厚生の重要な要素であり、60%がファイナンシャル・ウェルネス・ソリューションを実施している会社で働き続けたいと回答しています。 雇用主は従業員が抱える経済的ストレスに対処することの重要性を認識していますが、従業員へのサポートを提供する取り組みの点で改善の余地があります。アジア太平洋、ヨーロッパ、アフリカ、中東、および北米の従業員を対象にしたシグナの世界幸福度調査では、従業員の87%が職場でストレスを感じており、個人の経済状態が最大のストレス要因になっています。そして、従業員の38%はストレス管理のサポートがまったく提供されていないと回答しています。従業員のうち雇用主からサポートを受けていると回答しているのは46%に上る一方で、サポートが適切であると感じているのは28%にとどまります。 そろそろファイナンシャル・ウェルネスの水準を引き上げても良いころです。企業が従業員のファイナンシャル・ウェルネスのソリューションを最大限に活用し、競合他社を先んじるために企業が検討しているいくつかの新しいトレンドと戦略を以下に示します。 ユーザーはパーソナライズされたテクノロジー主導型ソリューションを求めています。 ファイナンシャル・プランニングについては、モダンでシンプルなインタフェースで経済状態の全体像を把握し、お金に関する目標を達成して説明責任を果たせるように、パーソナライズされた解説つきのソリューションが求められています。 最近のForresterの調査によると、資産管理会社の顧客はファイナンシャル・プランニングのソリューションに対してもっと多くの機能やデジタル対応を求めています。こうした需要から、アカウントの集約、パーソナライズされたコンテンツ配信などの機能が生まれ、説明責任という基本的な要素がファイナンシャル・ウェルネス・プログラムの成功をもたらしています。「ヘルプ・ミー・ヘルプ・マイセルフ」型のツールは経済状態のスナップショット、予算プランナーやローン返済計算機の機能を備え、ユーザーごとにパーソナライズされます。 特に、モルガン・スタンレーとファイナンシャル・ヘルス・ネットワークによる調査では、42%の従業員が、雇用主の提供する福利厚生やプログラムについて十分に知らされていないと感じる、と回答していることが明らかになりました。すべての福利厚生を活用していない多くの従業員は、もっと明確な説明があり、利用しやすくなれば、福利厚生を利用するようになるだろうと回答しています。Thompsons Online Benefits Watchによると、従業員の70%が福利厚生パッケージへのスマートフォンによるアクセスを望んでいますが、それを提供している雇用主は51%にすぎません。 これらのギャップは、企業がファイナンシャル・ウェルネス・プログラムを向上させ、従業員にとって使いやすく魅力的なものにする機会があることを意味しています。雇用主はライブWebセミナー、ソーシャルメディア、SMS通知などを使って福利厚生について知らせる必要があるでしょう。また、スマートフォンからアクセスでき、ユーザーエクスペリエンスをパーソナライズできるオンラインツールを提供する必要もあります。 2.データアナリティクスとデジタルテクノロジーによって、ファイナンシャル・ウェルネス・プログラムをパーソナライズする。 ファイナンシャル・ウェルネス・プログラムでは、データ・アナリティクスに基づいてデジタル時代に従業員が期待するパーソナライゼーションが提供されます。データ・アナリティクスは従業員をタイプとカテゴリーに分類し、ライブイベントやライフステージごとにプログラムがパーソナライズするのに役立ちます。 オンラインストアで消費者の好みが収集され、統計データを使用して推奨や提案が行われるのと同様、ファイナンシャル・ウェルネス・プラットフォームではデータ・アナリティクスとアルゴリズムを活用して、従業員が目標に向けて成長しているか、何らかの支援が必要かどうかを判断します。 一部のプログラムでは、データ・アナリティクスを活用して従業員の節約と支出の習慣をフレーミングし、同僚と比較します。これらのプログラムでは、行動を分析し、スコアを提示できるため、従業員が貯蓄や債務の管理で改善が見られているかどうかを確認するのにも役立ちます。 一部のプログラムでは、従業員個人を対象に、新車の購入や結婚などのマイルストーンに的を絞ったマーケティングキャンペーンを作成する機能を雇用主に提供することもできます。これらのマイルストーンを活用し、家財保険への加入や教育貯蓄口座の開設を推奨するなど、貯蓄や支出といった何らかの行動のヒントを提供することもできます。 データ・アナリティクスを使用して各従業員のプロフィールを作成し、カスタマイズされたセルフサービス型のツールでサポートできます。こうすることで従業員は質問の答えを見つけ、ライフステージの変化をより適切に計画できるようになります。たとえば、従業員は自分のプロフィールやファイナンスに関するすべての情報を検討し、子供を産んだ場合に加入すべき生命保険の金額を判断できます。データ・アナリティクスがないと、金額は自分で計算しなければならず、面倒で時間がかかるほか、ファイナンシャル・アドバイザーに相談する場合はコストがかかります。 雇用主側のメリットとしては、ファイナンシャル・ウェルネス・プログラムのパフォーマンスを判断するデータを収集できるという点が挙げられます。このデータはプログラムで新しいコンポーネントや機能を提供するのに役立ち、従業員のニーズへの対応が改善されます。 3.従業員は口先だけでなく実質的な支援を求めている。 福利厚生エコシステムにおいては、ファイナンシャル・ウェルネス・プログラムの重要性が拡大し、給料の支払いだけでなく、経済的な安定についても雇用主に面倒を見てもらいたいとする従業員が増えています。Thompsons Online Benefits Watchによると、従業員の79%が計画、節約、投資に関する健全なアドバイスを提供する点で雇用主を信頼しています。従業員の経済状態の改善に向けて、雇用主には現実的で実際的な方法を示すことが期待されています。 メリルリンチの調査によると、ファイナンシャル・ウェルネスのプログラムに従業員が望むことと、雇用主が提供しているものの間には大きなギャップがあることが明らかになっています。たとえば一般的に、従業員は最終的な目標達成に向けて努力し、一度に一つの目標に集中したいと考える傾向にあります。一方で雇用主は、全体のファイナンスを管理するための包括的なアプローチを強調し、厳格なアプローチを取ります。 雇用主の包括的な戦略が善意に基づいていることは確かですが、利用者にとっては負荷が重くなる傾向があります。特にストレスの多い状況では、ファイナンシャル・プランニングは脅威として受け取られることもあります。こうした状況を緩和するため、ウェルネス業界の企業は従業員の視点からプログラムを設計して、総合的なアプローチを提供しています。経済的な健康を心身の健康と統合するホリスティックプログラムでは、お金に関する「部屋の片づけ」を行い、経済状態や結婚式用の貯蓄、住宅の購入、ローンの管理など、生活のさまざまな要素を結びつけるのに役立ちます。 適切に設計されたプログラムは、理解不可能なサービスや金融商品の複雑な情報や提案を次から次へと提示して従業員を怖気づかせるのではなく、ファイナンシャル・ウェルネスのトピックをわかりやすく説明しなければなりません。 4.エンゲージメント、生産性向上、成功のためのファイナンシャル・ウェルネス・プログラムのビジネスケースを構築する。 経営陣が知っているかどうかにかかわらず、従業員は経済的ストレスを職場に持ち込んでおり、それは会社の業績に影響を与えています。米国人材マネジメント協会の調査では、個人的な経済問題が過年度の全体的な仕事のパフォーマンスに少なくとも何らかの影響を及ぼしたと答えた回答者が83%もいたことがわかっています。このディスエンゲージメントは、企業にとって大きな損失を意味します。従業員のストレスにより、企業は年間500万ドル以上のコストを負担する可能性があります。 従業員のファイナンシャル・ウェルネスを支援することは、事業上の損失につながるため、組織にとって重要な優先事項となる傾向が高まっています。GuideSparkの調査によると、ウェルネス・プログラムが重要な福利厚生と回答したのは従業員の82%で、ストレス管理(86%)および運動(85%)に次いで3番目でした。 従業員のウェルネス・プログラムの成果は前途有望です。Employee Benefit Newsによると、ファイナンシャル・ウェルネスプログラムの参加者は経済状態が向上したことが明らかになっています。個人的な経済状態について「非常にストレスを感じている」と答えた参加者の割合は、ファイナンシャル・ウェルネス・プログラムの導入後には52.4%から19.2%へと減少しました。同様に、ファイナンシャル・ウェルネス・プログラムの導入後、参加者の56%が毎月のキャッシュフローを上手に管理できるようになったと回答しています。 5.学生ローンの返済とリーズナブルなコストの教育への関心が高まる。 人事業界においては、従業員を育成するスキル開発が従業員エンゲージメントの原動力となってきました。ただし、実際のところ多くの従業員にとって過去の支払いが負担となっています。高等教育の費用が高騰し、先進国と発展途上国の両方で学生ローンの債務問題が発生しています。大学の授業料は上昇し続けており、大卒の学生ローンの負債額は記録的なレベルに達しています。世界銀行は、先進国よりも発展途上国で高等教育の問題が発生していることを報告しています。 莫大な負債と高い授業料により、多くの従業員はキャリアアップのチャンスを得る前に意欲がそがれ、企業の人材格差が拡大し、人材の層が薄くなっています。授業料が上昇し負債が増大する中で、人事のプロフェッショナルには、企業と従業員の双方が直面する問題について解決策を示すことが求められています。つまりローンの返済教育を行うことで、従業員ができるだけ早くローンを返済できる戦略を立てることです。人事部の中には、さらに踏み込んでローンの代位弁済や授業料の返還プログラムを提供するよう経営陣に説得できる場合もあるでしょう。 従業員が経済状態を心配している場合、転職して、必要なツールや報酬を喜んで与えてくれる雇用主を見つける必要があるかもしれません。ローンの返済に関するアドバイスやサポートを提供することにより、従業員が直面する個人的な問題の解決策を提示できます。そうすれば従業員はもっと会社に尽くすようになり、会社全体の士気が向上するだけでなく、生産性も高まります。 授業料の返還とその後の教育の奨励により、企業はデジタルトランスフォーメーションで繁栄し、生涯学習の文化を育成する点で大いに貢献することもできます。デジタル化が進行する中、従業員の役割は常に変化しており、固定の役職や詳細な職務記述書は過去のものです。現在のテクノロジーの成長のペースを考えると、技術スキルの多くは、今高く評価されていても、ほんの数年で時代遅れとなるかもしれません。 スキルの格差が拡大すると、企業は新しい従業員を簡単に採用するわけにはいかなくなります。その代わりにスキルアップと事業経営に新しいテクノロジーの導入に情熱を傾ける学習意欲に富む人材の採用に注目していく必要があります。授業料の返還や教育プランについてのアドバイスを行うことで、デジタル時代のための有能な人材を引き付け、育成していくことができるでしょう。 GallupのAnnual Global Emotions Reportでは、世界中の人々が多大なストレスを強いられており、経済状態は確実に最大のストレス要因の一つとなるだろうとしています。従業員のストレスが高まるにつれて、個人のパフォーマンスが低下し、会社の業績に悪影響を及ぼすことに多くの企業が気づくでしょう。何か手を打たなければ従業員の経済的なストレスレベルが上がり続け、企業は生産性の低下、欠勤の増加、エンゲージメントレベルの低下に苦しむことになります。 ファイナンシャル・ウェルネスのソリューションを適切に導入すれば、すべての関係者の経済状態は右肩上がりに上昇し、従業員にも会社にも利益がもたらされます。人事部は従業員と会社が手を取り合いながら働いていくというメッセージを発信することで、両者を結びつけるユニークな立場にあります。

島田 圭子 | 27 2 2020

世界経済フォーラムが2019年末に発表したジェンダー・ギャップ指数で、日本は153ヵ国中、過去最低の121位となった。ランキングを2018年の110位から大きく下げている。一方で例年実施している同フォーラム年次総会(通称:ダボス会議)での弊社主催イベント「When Women Thrive, Business Thrive - 女性が活躍するとき、企業も持続的に成長する」には今年三菱ケミカルホールディングス株式会社が日本企業からパネリスト参加をされ、弊社主催の同タイトルの調査にも日本から有意な数の企業の参加があり、企業における女性活躍への関心は高まっている。そのような中、先般小泉環境相の「男性による」育休取得が話題になった。特に海外からは、自国では男性の取得が当たり前であり、日本で男性の取得率が6.16%(2018年厚労省調べ)と低いことに驚く声が多くきかれた。この「男性の育休取得」を、小さなこどもを持つ働く「女性の活躍」との関連で見ていきたい。 まず、日本における育児休業制度とはどのようなものか。現在につながる法定の育児休業制度は、日本では1992年に所得補償のない状態で施行、1995年に雇用保険による一部所得補償が導入され、その後何度かの改正を経て現在では原則として休業開始時賃金月額の50%(休業開始後6か月間は67%)支給される。父親の育児休業取得を促す仕組みとして、取得回数と期間の特例がある。子1人につき原則1回である育児休業の回数を、子の出生日から8週間以内に父親が最初の育児休業を取得した場合に2回目の取得を可能とし(「パパ休暇」)、また原則満1歳までの育児休業期間に対して、夫婦の両方が時期をずらして取得することによって、子どもが最大1歳2か月まで休業を可能としている(「パパ・ママ育休プラス」)。それでも男性の取得率は大きく上がっていない。主な理由として、「会社での育児休業制度の未整備(27.5%)」に加え、「業務繁忙による職場の人手不足(27.8%)」、「職場で育児休業を取得しづらい雰囲気(25.4%)」等が挙がっている(出典:三菱UFJリサーチ&コンサルティング「仕事と家庭の両立に関する実態把握のための調査研究事業報告書」(平成29年度))が、取得後に職場で不利な扱いを受ける等のパタニティハラスメントの存在も否めない。共働き世帯が1997年を境に増加し、専業主婦世帯の2倍を超すようになっても(2018年男女共同参画白書)、共働き世帯の夫の家事・育児にかける時間は1日平均46分(妻は4時間44分)と大幅な差がある。(2016年社会生活基本調査)。 この男性の育児休業取得の促進は、特に日本企業、また日本社会にとってどのような意味があるだろうか。それは、働く女性の活躍の加速である。私は女性の活躍を阻むもののひとつとして、専業主婦世帯が多かった時代の名残で、育児は母親がすべき、従って女性は(仕事をしていても)家事・育児をメインで負担すべきという考え方とそれにより、女性が家事・育児に時間を取られすぎている状況があると考える。特に子どもが小さい時には、保育園に子どもを迎えに行き、食事を与え、寝かしつけてから夜仕事をする、というサイクルが続くと心身共に疲弊し、当初希望していてもより重い役割を担うことに逡巡するリスクは必ずある。せっかく管理職になっていても、疲弊して管理職を降りる決意をするケースも存在する。なお、この「ワンオペ育児」を助長しているのが、女性(母親)のみによる育児休業制度の取得だと考えており、この間に母親が家事・育児をメインでカバーする状態が確立してしまうと、仕事復帰後にその状況を変えることが難しくなる。男性(父親)側も、手伝おうにも習熟していないので対応が難しく、また入る隙がないということになる。男性が育児休業を取得することにより、まず育児をしっかりと体験するので、母親(女性)と役割分担ができる知識とスキルが身に付き、子どもとのアタッチメントが高まる。この経験は早い段階で行うほど効果がある。主に母親が育児休業を取得する現状においては、男性(父親)は産後直後と、女性(母親)の仕事復帰の前に2回取得できると、比較的初期に育児・家事の分担ができ、女性の早期の仕事復帰とその後の仕事と育児・家事のバランスがとりやすくなるのではないかと思う。 育児は母親がするものという固定概念を崩すには大きな力が必要となる。職場で実質的に促進するなど、経営側も現場も取得を本気でサポートする風土を作らないと、給付金を80%に引き上げても男性の育児休業取得は促進されないと考える。また、実際に取得する場合には、うまい引継ぎや生産性の向上も求められるだろう。働き方改革、日本の雇用・人材マネジメントの改革の一環として、ぜひ特に日本企業で男性の育児休業取得に向けた後押しをしていけると理想的である。まずは各企業で定めている年間5日程度の有給の「育児休暇」の取得からスタートするのでも意味があると考える。

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