退職 + 健康

世界規模で変わりゆく退職の姿

2018年6月12日
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「高齢者人口が都市化経済に直面する状況において、都市化の問題は、多世代の従業員および家族構成にも影響を及ぼします。」

かつて就業者は65歳前後で引退し、年金、貯蓄、家族の支援を頼りに老後の生計を立てていました。しかし、より多くの人が健康を保ち長生きするようになった現在、60代半ばで退職することはもはや魅力あるものではなくなりました。

多くの人が60代から70代に入っても仕事を続けるつもりでいます。単に働きたいからというよりは、お金が必要であるという理由のほうが現実的です。

マーサーの最近の調査「健康で、豊かに、賢く働く - 経済的安定のための新たな緊急課題」では、経済的安定に影響を与える要因と退職のあり方について考察しました。12カ国で実施した調査では、6つの年齢集団に属する7,000人の成人および600人の企業/政府幹部職員を対象としました。調査対象者の3分の2 (68%)以上が、従来の定年退職の年齢を超えても働き続けると思うと回答しています。

今日、働き方と「退職」は根本的に変わってきています。この変化に雇用主と従業員の両方が適応する必要があります。これは、アジアとラテンアメリカのような成長市場に特に当てはまります。急速に拡大しているこのような市場の中間層は、将来に対して楽観的です。しかし、新しく手に入れた質の高い生活を晩年も維持できるようにするツールが必要となります。

 

都市化

 

高齢者人口が都市化経済に直面する状況において、都市化の問題は、多世代の従業員および家族構成にも影響を及ぼします。例えば、伝統的に若年層が高齢者を支えている中国では、2030年までに総人口の60%が都市部に居住することが予想されており、都市化は中国の物理的および文化的な構造を形作っていくことになります。現在、中国の家庭では、労働力の移動が非常に困難であるうえ、住居費、交通費、食費が急騰する状況に直面しています。

ラテンアメリカも世界で最も急速な都市化が進む地域の一つです(都市化率はEU諸国が74%、東アジア/太平洋地域では50%)。国連ハビタット(国際連合人間居住計画)では、2050年までにラテンアメリカの都市に同地域の総人口の90%が集中すると予想しています。中国と同様に、ラテンアメリカもこれまで家族重視文化であったため、都市化が家族構成および労働力移動における変化やひずみを生み出す可能性があります 1

 

退職という概念からの脱却

 

今日、世界平均で人は退職後に15~20年生きると見込まれています。しっかりした計画を立てないと、私たちの多くは、貯蓄が底をつくことになるか、生活の質を落とすことを迫られることになります。こうした状況は、雇用主が提供する退職金制度が未整備であることが多く、政府が提供する年金制度の持続性が危ぶまれる多くの成長経済市場においてより深刻化します。退職者1人に対する労働力人口の比率は、今後20年間で大幅に下がり、世界平均で現在の1:8から2050年までに1:4となります2

チリ、中国、ブラジルといった国々では、その半分の1:2 となります。このことは社会保障制度に極めて大きな負担をかけることになります。この負担は、多くの成長国における非公式労働者の割合に比例して増えます。一部の国では、非正規労働者が全体の50%を占めることがあります。こうした労働者は、社会保障制度や老齢年金制度において掛金の拠出や給付金受け取りに寄与することはないと思われます。このことは、個人だけでなく、マクロ経済にも大きな影響を及ぼすことになります。3

年金支出の対GDP比率もまた成長市場で上昇傾向にあります。人口高齢化と相まって、政府の年金制度の持続可能性はさらに低下しています。例えば、イタリア、ギリシャ、ウクライナの年金支出の対GDP比率は最も高い約16%です。2000年に約10%だったことを考えると、年金支出がいかに急増しているかが分かります。ポルトガル、フランス、オーストリア、スロベニア、スペイン、フィンランドを含む、他の多くの欧州諸国も割合はかなり高くなっています(11%以上)。ちなみに、現在、米国の公的年金支出の対GDP比率は7%、日本とハンガリーは10%です。4

急速に高齢化が進む社会において、企業は様々な従業員(一般に離職率が高いミレニアル世代から、経済的安定を求める非正規労働者やより長く働いて老後資金を確保できるよう健康維持を願う高齢労働者まで)のニーズを満たす制度を提供するにあたり、極めて柔軟に対応する必要があります。2010 年時点で、世界全域の65歳以上人口に占める東アジア/太平洋の成長地域の割合は36%です。2015年から2034年までの間に、東アジアの高齢者人口だけで5年毎に約22%増加すると予測されています。5

高齢化および都市化の進む成長市場をうまく乗り切るために、雇用主は多世代にわたる労働力に対応できるよう準備する必要があります。就業者の高齢化が進み、引退せずに働き続ける人が増えています。さらに、より多くの高齢労働者が都市部に居住する傾向が高まるにつれ、労働力の移動や業界の選択肢は減ることになります。言うまでもなく、中間層および富裕層が都市部の不動産を取得することで生活費は上昇する一方となります。このことは個人が健康で長生きすることを妨げる要因になります。

仕事と退職に対して雇用主と従業員が異なった期待を抱くことは、双方にとって有益となる場合があります。経験豊富な高齢労働者は非常に貴重です。そうした高齢労働者に、より長く貢献してもらう方法を見出した雇用主は競争優位性を持つことができます。

異なる職務内容や労働時間で、さらに10年または20年(あるいは30年)働く機会が提供されれば、それだけ貯蓄や投資に充てることができる年数が増えることになります。どのようなキャリア人生を設計しても長期に渡って堅実な貯蓄プランを維持できるようにすることが理想です。そうすることで、休職する人、柔軟な勤務形態を選ぶ人、非正規市場で働く人もより良い退職後の人生を実現できるようになるかもしれません。

政策的観点から見た場合、引退年齢の引上げまたは廃止を検討する時が来ています。同様に、多くの国は従来の引退年齢を過ぎても働く人にインセンティブを与えることを検討する必要があります。例えばシンガポールのような経済成長を続ける一部の国は、そうしたインセンティブ制度の導入に成功しているものの、より長く働くことを奨励する社会年金制度は依然として多くありません。

 

個人ができること

 

どの国の調査回答者も、自己の責任で引退準備をするべきだと感じており、その大半は貯蓄できると楽観的に考えています。例えば中国は将来に対しての楽観性で最上位です。調査回答者の70%が、完全に引退した後でも生活の質を維持できると見込んでいます。これは、急速に拡大する中間層および伝統的な貯蓄文化に起因しているかもしれません。この貯蓄は必ずしも引退後の生活に当てられるものとは限りませんが、中国では将来のために貯蓄することは日々の生活の一部なのです。

一方、世界で2番目に古い社会組織を持つとされる日本における経済的安定は非常に低く、調査回答者の72%は経済的に安定していると感じないと回答しています。完全に引退した後も希望する生活の質を維持できると回答した人の割合は21%、退職後の収入源となる十分な貯蓄をできたと確信を持っていると回答した人の割合は8%に留まっています。調査回答者の78%が各自の経済状態について何らかのストレスを感じていると回答していることは驚くに当たりません。ストレスの要因として挙げられたのは、「健康上の問題がある」、「公的年金が当てにできない」、「引退に向けて十分に貯蓄していない」などです。

日本に限らず、世界各国が高齢化社会に直面する中、この憂慮すべき統計は、措置を講じなければ長期的な貯蓄ギャップが悪影響をもたらすという警告の役割を果たします。私たちは、自己の責任で引退に向けた周到な準備をすべきであることを認識しているものの、経済的安定を高めるために必要な行動を取っていません。

調査回答者の85%は、より長く生きるために、もっと貯蓄する、生活レベルを下げる、といったトレードオフが必要であることを認識したうえで、現在のライフスタイルを変える意思があると回答しています。可処分所得のより大きな割合を貯蓄する意思があると回答した人の割合は40%、支出を減らして生活レベルを下げる意思があると回答した人の割合は32%でした。そして、パートタイムの仕事に就く意思があると回答した人の割合は27%でした。調査回答者は、検討すべきトレードオフに関する優れたガイダンスを求めています。

 

雇用主ができること

 

必要な老後資金の額は従業員によって異なるため、柔軟な対応が極めて重要となります。従業員はいつまで働くかを自ら決定することを望んでいます。特に従業員は従来の引退年齢を超えて働き続けることを希望しているため、従業員の退職手当を見直すことが雇用主の果たす重要な役割となります。これは、多くの場合、特に人材の確保が困難になっている現状では、雇用主が高齢労働者の経験と知識・技能から恩恵を受けることを意味します。

雇用主は従業員が経済的に余裕のある状態になるよう支援することで大きな見返りを得ることができます。調査結果によると、経済的に安定していない従業員は、ストレスが多く注意散漫であり、生産性の低下、顧客サービスの低下、健康上の問題を招くとされています。実際、マーサーの調査では、全世界の調査回答者の40%が経済的に不安定な状況がストレスを引き起こしたと回答しています。

また、成人の79%は、雇用主がファイナンシャルプランニングに関して確かな助言を提供してくれることを確信していると回答しています。従業員の86%は、雇用主が福利厚生を改善したり、投資プランの選択肢を増やしたりしてくれれば、仕事の満足度や会社への忠誠心が高まるとしています。言い換えれば、従業員は、雇用主からの支援を期待しているのです。

お金に関する心配事は、職場での生産性を大きく低下させることになりますが、雇用主から従業員に対して、長期貯蓄に関する選択肢を含む、お金に関するより賢い決定をするための適切な金融ツールや金融関連情報を入手する支援を提供すれば、そうした事態を回避できる可能性があります。実務上の便益以上に、従業員が経済的安定を達成できるよう雇用主が支援することは、雇用主として当然のことなのです。

これらのツールは、特にミレニアル世代に対して効果があります。ミレニアル世代は、今日の労働力の中で最も経済的に不安定な世代です。ミレニアル世代の93%は、ツールが使い易くて、データの安全性が確保される限り、支出、健康、個人データを追跡・管理するのに役立つオンラインツールを使用する意思があると回答しています。調査対象のミレニアル世代の82%は、貯蓄が老後の生計に与える影響を理解できれば、もっと貯蓄をするだろうと回答しています。

ただし、同様の関心度を示さない回答者群も存在します。成人の52%は、ロボアドバイザーが自動化されたシステムを通じてアドバイスを提供することに抵抗を感じています。ファイナンシャルアドバイザーが対応するコールセンターについても同様の感情を抱いています。これは、ガイダンスやアドバイスについては個人対応を求めていることを意味します。

雇用主は、貯蓄という行為をエンゲージメントの高い体験へと転換して、分かりやすい用語、ツール、リアルタイムで貯蓄額や達成状況を把握する機能を通じて貯蓄目標を達成できるようにする必要があります。そうすることで、1970年代と1980年代のフィットネス革命と、パフォーマンスの追跡・向上や動機付けに役立つ最新のデジタルツールの追い風を受け、過去数十年に渡ってフィットネス業界が飛躍的進歩を遂げたのと同様な進歩を遂げることができるかもしれません。

 

今行動を起こして、より良い老後を送る

 

個人が全責任を負うのではなく、企業と政府も今行動を起こすべきなのです。長期貯蓄制度や商品を、人口動態や経済環境の変化に適応させることは急務です。現在予想されている道筋を辿れば、職場での生産性が低下することに加えて、多くの人々が貧困に陥るリスクにさらされることになります。独創的かつ戦略的な思考を適用することで、多くの人々の将来を変えることができます。

現代の多様な社会制度および就労経験を反映するために、引退に向けた貯蓄のダイナミクスを変える必要があります。経済的安定が、雇用者が提供する制度を享受できる人々に限定される、特定の性別にとって有利である、若年層が犠牲になって高齢者を支える、といった状況で実現されるものであってはなりません。公営企業と民間企業は、力を合わせてすべての人々に経済的安定がもたらされるようにしなければなりません。

1 出典: UN Habitat, 2012
2 United Nations Population Data, 2017
3 出典: World Bank, 2017
4 出典: OECD, 2015
5 出典: World Bank, 2015
6 出典: World Bank, 2015

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Amy Scissons | 27 11 2019

国際チームを首尾よく率いるには何が必要でしょうか? 多くの場合、成功するチームは共通の目標を掲げ、一連の体験を共有することで団結しています。ただし、ワークフォースの分散が進み、出張が利益を圧迫し、環境に負荷がかかるようになれば、それに伴い、リーダーは創意工夫により積極的にチーム力学を発展させ、育成する必要があります。対面会議が少ない中で、国際的なリーダーはどのようにチームを一体化させられるでしょうか? ここでは、国際チームを管理する際に考慮すべき 4 つの習慣をご紹介します。 習慣 1: 「お願いだからそこにいて」という考えから脱却する   間違いなく、テクノロジーは国際チームの効果性を高めるゲームチェンジャーです。ただし、多くの場合、人間主導型の組織は、迅速で恒久的な変化をもたらすデジタルテクノロジーを受け入れ、活用するのに苦労しています。もちろん、対面会議が必要な場合もありますが、マーサーでは、クライアントがオンライン会議プラットフォームでのセミナー、会議、およびその他個人間のやり取りを快適に感じることが多くなっていると見ています。バーチャルワークフォースの流れは目新しいものではありませんが、多くのクライアントがバーチャル環境の俊敏性や多彩な能力を評価し、そのパワーや実用性を積極的に取り込む企業との提携を好ましいと思う転換点に達しています。 今日の革新的な最高マーケティング責任者 (CMO) は、C レベルの経営責任者がこの考え方を取り入れ、差別化につながる新しいテクノロジーを活用しするよう期待しています。マーケティングリーダーは、マネージャーとして、スタッフやマーケティングチームがプライベートな時間にも仕事ができるようにすれば、生産性が高まり、オンラインでの時間が増えることに気付くでしょう。従業員は自分の仕事を管理できるだけでなく、スケジュールを自分で決められる柔軟性を歓迎します。マーサーでは、自分のペースで優れた能力を発揮する自由を与えられると、従業員がより一層奮起して、情熱を持ち、熱心に協力して働くことを観察してきました。才能のある人々に、仕事を片付けるために必要なことをしてもらいましょう。 習慣 2: 国際チームにおける異文化コミュニケーション 方向性が決まり、前進への権限をチームに与えれば、コミュニケーションに集中する時期です。もちろん、異なる文化において、情報やコンテキストは異なる方法で認識、処理、解釈されます。これらの違いにより、コミュニケーションの障害が発生すると、時間、品質、金銭の面で非常にコストが高くなることがあります。効果的なメッセージとは、正確で、特定の電子メール、電話、または会話を必要とする限定的かつ重要な情報のことを指します。意欲を呼び起こすリーダーは自分の思いを表現し、シンプルで記憶に残る、協力的な方法でコミュニケーションを図ります。国際チーム内でのすべてのコミュニケーションでは、内容を慎重に吟味し、盛り込み、考え抜く必要があります。 繰り返しが持つ力を過小評価しないでください。多くの場合、複数の文化や言語を背景とするチームメンバーと仕事をする場合、設定目標、プロセス、タイムライン、期待されていることを繰り返し説明することが、成果達成には不可欠となります。繰り返しは巧みに、また、明確な意図をもってなされた場合、失礼なものとはならず、不必要に細かい管理ともみなされません。これにより、チーム全員の目標達成に向けた能力が増強されます (実際のところ、繰り返しは非常に有効です。何を達成しようとしているのか、3~4 回、特にさまざまな方法で繰り返されれば、脳裏に残ります)。 国際チームと仕事をする場合、最初の 2、3 回の会議で戦略や求められる成果について、全員が完全に理解したとは思わないでください。繰り返しを創造的に使用すれば、チームは目的に集中できるようになります。 習慣 3: 簡潔に、そして文化を意識する   文化的意識は学習するものです。私も、問題解決へのアプローチだけでなく、全体的な視点においても、文化の影響でチームの各メンバーが示す微妙な差異を尊重し、理解するのには時間がかかりました。ダイバーシティおよびインクルージョン (D&I) に関する調査では、チーム全員の意見に耳を傾けることの価値が指摘されています。実際に現在、従業員が自らの視点を共有できるように設計されたさまざまな製品 (従業員エンゲージメント調査とは別個のもの) があり、その多くは D&I を目指して作られています。国際チームでは、この教訓は特に強調されます。東京、台湾、メキシコシティのチームメンバーが話し合う場合、全員が同一の直接的な、シンプルかつ馴染みのある言語を使うことで、効率的に業務を行えるようになり、成功する可能性が高まります。 文化を敏感に意識することは非常に重要です。何年も前、私は人々がマーケティング会議で発言していなかったり、ビデオ会議でもすぐに顔を表示させなかったりすることを非常に懸念していましたが、時間が経つにつれて、それぞれの状況にあった方法でコミュニケーションをとる必要があるのだと気付きました。リーダーとして、他者の学習や仕事のスタイルを尊重することが自分の責任であり、私がそうすることで、個々の人々がさらに心を開いて、私を信頼してくれるようになるのだということを学びました。 マーケティングリーダーも他の皆と同様、信頼を獲得する必要があります。自分が考えたり行動したりするのと同じ方法で、他者も考えたり行動したりするだろうと期待しないことが重要になります。人は異なる視点を持ち、内向的な人から外向的な人、その中間の人々など、性格はさまざまです。そして、その多様性が成功に貢献する鍵となります。 習慣 4: 本当の意味でポジティブにリードする   私の好きな習慣は、全身全霊で仕事に打ち込むことです。リーダーとして私たちは、皆に自信をつけてもらうような真摯で誠実な励ましや誉め言葉をかけるよう、意識的な努力をしなければなりません。各従業員の動機づけは異なり、指示に従う方法や感性も異なるため、これには時間がかかり、配慮が必要となります。企業としては攻めの目標を設定しているのですから、要求は厳しく行わなくてはなりません。ですが、目標を達成する上で最も効果的で価値あるアプローチは、特に困難な時期に、責任を果たそうとする従業員を意識的に励ますようにする方法です。 性別、人種、国籍に関わりなく、信頼できる肯定的なフィードバックや励ましを受けた人がより丁重に、生産的かつ情熱的に反応するというのは、最も重要な普遍的事実でしょう。正の刺激強化 (Positive Reinforcement) の効果は、個人的に何度も経験して知っています。最も必要な時に、私も友人、同僚、仲間のチームメンバーから声をかけてもらいました。本当に助けになるものです。実際、私の知人で共に仕事をしてきた、最も成功を収めている経営者たちは、非常にポジティブな人々です。 チームと個人は、特に状況の厳しい時期には、自分が優れた仕事をしており、正しい方向に向かっているのだと思い起こす必要があります。キャリアの一時期に、圧倒されるように感じたり、感謝されていない、あるいはやる気が出ないと感じている人に対し、「よくがんばっていますね」、「その調子」などと本心から伝えることがどれほどの影響力を持つか、過小評価しないでください。正の刺激とは、従業員が成功に向けて投資している時間とエネルギーを高く評価し、その努力と成果を褒めることです。 初出はThrive Global。

Didintle Kwape | 14 11 2019

アフリカ大陸で多国籍企業の事業拡大を支えるのは、貴重な資産の1つである若手社員です。 アフリカでは記録的な数のティーンエイジャーや若年層が失業している、または十分な仕事に就いていません。しかし彼らは機会さえあれば率先して働く意欲を持っています。南アフリカだけでも、今年度の失業率は 30% を超えると予想されており、15~24 歳の層が失業者の 3 分の 2 を占めています。1 人材プールの最大活用 南アフリカ共和国のシリル・ラマポーザ大統領は 2019 年 6 月、「若者の失業が国家的な危機となっている現状について大変懸念している」と語りました。2 現在、アフリカ大陸の各国では、多国籍企業と地元の中小企業双方で若者の雇用が円滑に進むよう労働法を改正し、形式的な手続きを簡略化しています。さらに非営利組織と協力し、若者の才能や必要な労働スキルを育成しています。 国際労働機関 (ILO) とアフリカ開発銀行、アフリカ連合委員会、国連アフリカ経済委員会 (UNECA)のパートナーシップに見られるように、これら取り組みを支援するため各種団体が連携しています。地域および国全体で一体となり若者の雇用という課題を解決すべく取り組んでいます。ILO は、若者が就労に十分に備えられるよう、就労サービス、スキル開発、労働市場訓練を提供し、恵まれない若者のために技術や職業に関する教育、実習、職業紹介サービスの充実に尽力しています。3 6 月、ケニアのウフル・ケニヤッタ大統領は、マスターカード財団、ケニア政府と民間部門の間で若手社員のための官民パートナーシップ Young Africa Works プログラムを開始しました。このプログラムでは 5 年以内に、500 万人の若いケニア人を訓練し「尊厳とやりがいのある仕事」に就かせることを目指しています。 4 マスターカード財団はケニアの銀行 2 行 (Equity Bank と Kenya Commercial Bank、およびその各財団) とともに、約 10 億ドルの資本、事業開発サービス、およびプログラムの市場連携を提供します。目的は若手社員のための仕事を創出することであり、これは 20 万を超える個人企業、中小企業が生産性を強化し、持続可能性や創意工夫を高めるのに役立ちます。4 「国際的にビジネスを展開するホテルはアフリカ大陸の新興市場へ進出する際、若者のスキル開発を育む業界の1つとなっている」とヒルトンのアフリカおよびインド洋業務担当副社長のヤン・ヴァン・デル・プッテンは言います。5ヒルトンはモロッコ、ケニア、ザンビア、ボツワナなどアフリカ全域に 46 軒のホテルをオープンし、今後 5 年以内の倍増を計画しています。観光とホスピタリティ事業の拡大は、社会経済的な成長を促進するだけでなく、意義のある雇用機会を創出します。アフリカの若い労働者の成功を支援する、そのような環境を作り出すことは極めて重要です。 現代の若者を訓練する 基本的な労働スキルに加え、新興デジタル経済の若手社員はデジタル技術を使いこなすこと、創造的な思考力や問題解決能力、互いに協力し共感する順応性など、幅広いスキルを習得することも求められています。6 ウィットウォーターズランド大学のマンデラ・ローズ・スカラーのシンバラシェ・モヨ氏は言います。「ルワンダやケニアのような国々はすでに、デジタル経済と未来の仕事に若者を備えさせる上で進歩を遂げている。しかし他アフリカ諸国では、スキル格差と不十分なデジタルインフラに対し意義のある行動がまだ見られていない」7 モヨ氏は、アフリカ諸国は未来の仕事に若者を備えさせる必要性があると助言しています。まず、ニーズに応える教育システムを構築し適切なスキルと責任感を身に付けさせることです。また、全国的にデジタルインフラを展開し国家間における相互接続の向上も欠かせません。さらに、拡大するデジタル経済の中で利害関係者を継続的に監視するには、適切な規制政策の策定が求められます。最後に、大がかりなデジタル技術の訓練プログラムをサポートするには、官民協力を最適化すしなければなりません。 「政府、国際開発金融機関、民間部門が協力することにより、アフリカの若者のスキルアップを促進する革新的な金融モデルを創出する余地が生まれます」 とモヨ氏は記しています。「これにより、特にアフリカ諸国でデジタルインフラを構築する際に、労力が重複して不平等が引き起こされる状況を減らすことができます。多くの若いアフリカ人が訓練プログラムに参加しデジタルインフラにアクセスできるようにする、そのカギは官民連携が握っているといえます」 新たな労働力を訓練する 企業はアフリカの若者の間で急速に普及している携帯電話を活用し、モバイルアプリ経由でトレーニングや開発プログラムを提供することもできるでしょう。マーサーの2019年グローバル人材動向調査レポートによると、南アフリカの労働者は職場で成功する方法に新しいスキルやテクノロジーを学ぶ機会を一番に挙げる他国の考えに同調しています。 調査では、労働者が自習を好んでいることも明らかになりました。企業は情報源として、まとめられたノウハウや専門家にアクセスできるようプラットフォームを与えることが望まれています。企業が主催するトレーニングと従業員が自分で行うトレーニングを組み合わせ、何をどう学ぶかを学習者にゆだねながら組織の目標に貢献するスキル開発を行うことができます。 マーサーの調査では、99% の企業が未来の仕事に備えて行動を起こしています。具体的には、現状と必要とされるスキルの供給ギャップを識別し、将来にフォーカスした人事戦略を立案し、新しいテクノロジーやビジネス目標に合わせたスキル要件に適応させようとしています。アフリカでの事業拡大に関心を持つ多国籍企業にとって、これらのステップで若年労働者のスキルアップや訓練、支援を行うことは極めて重要となります。 多国籍企業は、アフリカの若手社員が何を必要としているかを理解し、人を中心とした戦略を開発し統合することによって、アフリカの労働力開発の最前線に立つことができます。これにより、利害関係者の今日のニーズに応えつつ、明日のための労働力の拡大、改善、育成を実現することができます。見渡す限り意欲のある労働者がいるアフリカ大陸の完全なる再発見により、長期的な利益がもたらされることでしょう。 出典: 1.     "Africa's Youth Unemployment Rate to Exceed 30% in 2019: ILO," 7Dnews, 4 Apr. 2019, https://7dnews.com/news/africa-s-youth-unemployment-rate-to-exceed-30-in-2019-ilo. 2.     D, Sourav. "Youth unemployment a 'national crisis' in South Africa, says Ramaphosa," Financial World, 18 Jun. 2019,https://www.financial-world.org/news/news/economy/2276/youth-unemployment-a-national-crisis-in-south-africa-says-ramaphosa/. 3.     "Youth Employment in Africa." International Labour Organization, https://www.ilo.org/africa/areas-of-work/youth-employment/lang--en/index.htm. 4.     Mbewa, David O. "President Kenyatta launches program to tackle Kenya's youth unemployment," CGTN, 20 Jun. 2019, https://africa.cgtn.com/2019/06/20/president-kenyatta-launches-program-to-tackle-kenyas-youth-unemployment/. 5.     "Exclusive: An interview with Hilton's Jan van der Putten on expansion in Africa," Africa Outlook Magazine,7 Apr. 2019, https://www.africaoutlookmag.com/news/exclusive-an-interview-with-hiltons-jan-van-der-putten-on-expansion-in-africa. 6.     "World Development Report 2019: The Changing Nature of Work," The World Bank Group, 2019, https://www.worldbank.org/en/publication/wdr2019. 7.     Moyo, Simbarashe. "4 ways Africa can prepare its youth for the digital economy," World Economic Forum, 29 May 2019, https://www.weforum.org/agenda/2019/05/4-ways-africa-can-prepare-its-young-people-for-the-digital-economy/.

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Anil Lobo | 27 6 2019

補完型退職貯蓄プランは固定給のない高齢者のために安全と安定を提供するための制度であり、インドの国民年金制度 (NPS) はまさにそれを目指しています。NPS は、補完型確定拠出年金プランであり、制度への加入は任意です。世界のほとんどの国と同様、インドの人口も高齢化しており、寿命も長くなっています。健康状態や衛生状態の改善により、世界の平均寿命は1990年の65歳から2050年までには77歳に延びると予測されています。1 ほとんどの人にとって寿命が長くなることは、働かないで生活を楽しむ期間が長くなることを意味します。ただし、ますます多くの世界中の人々にとって、働かない期間に快適に暮らすために十分な収入を維持することは困難になることが予想されます。ほとんどの高齢者はもはや収入を得ていないだけでなく、年を取るにつれて生活費とインフレ率が増加しています。世界中の政府指導者が国民の退職後の生活に備えるよう支援する方策を検討している中、退職後の貯蓄を促進し、高齢の労働者が老後の貧困状態を回避することを支援するモデルとして、インドの NPS を参考にできます。 インド国民年金制度の基本   2004 年、インド政府は国民に退職後の収入を得させることを目指して国民年金制度を開始しました。2この制度は年金改革を実施し、退職後の貯蓄の習慣化を促進することを目的としています。 当初、このプログラムは国家公務員のみが利用できましたが、2009 年には、18~60 歳のすべてのインド国民が NPS を追加で利用できるようになりました。Tier I NPS 口座 (税務上の優遇措置を受けるのに必要な口座) は、口座保有者が退職年齢に達するまで早期の引き出しを抑制するように設計されています。口座保有者が退職年齢前に引き出す場合、2 割のみ許可されますが、残りは年金保険の購入に使用されます。NPS の加入者には税制上の優遇措置が十分に提供され、税引前で拠出が行われます。ただし、一部引き出した場合は課税されます。 退職年齢に達した場合、累積金額の 6 割を非課税で引き出すことができますが、残りの 4 割は公認年金保険機構から年金保険を購入する必要があります。給付は 70 歳まで延期して投資を続けるか、希望すれば新たな拠出を行うことも可能です。 Tier II NPS アカウントは、厳しい解約ペナルティやロックイン制度のない任意の年金基金です。3 年間のロックイン期間を要する Tier II NPS では、いくつかの税務上の特典が提案されています。ただし、この提案は確定ではありません。 この制度の開始後にインド政府は、特に低収入労働者の間で退職後の貯蓄を促進する追加の社会保障プログラムを創設しています。2010 年、政府の Swavalamban スキームでは、政府または雇用者年金でカバーされていない、毎年 1,000 ~ 12,000 ルピーを拠出した貯蓄者の口座に、1,000 ルピーを預けることが約束されました。ただし、2015 年には、退職時に一定の資格を満たす貯蓄者のために確定拠出年金を保証する Atal Pension Yojana (APY) が支持されるようになると、その計画は廃止されました。さらに、APY では 5 年間 (2015 年から 2020 年まで) で基金の合計拠出金の 50% または年間 1000 ルピーのいずれか少ない方で政府が出資を行っています。 インドの NPS は何度か繰り返され、進化し続けていますが、この制度はインド国民の間で退職者の貯蓄を増やすのに役立っています。国民の期待も変化しています:老後を支えてくれる若い家族に依存する代わりに、貯蓄を調整して、退職後の生活を支える準備をし始めています。 それに加えて、NPS は最も安い投資商品の 1 つです。NPS の全体的なコストは他の商品よりはるかに低く、おそらく利用できる最も安い年金商品です。 インドモデルから学べる3つの教訓   国民全員のための国民年金プログラムを提供するインドの実験は、世界中の組織のリーダーに対して、多くの貴重な教訓を提供しています。 1.持続不可能な国債には新しい解決策が必要   NPS が創設される以前、インド連邦および州政府の職員は税方式の確定給付年金プログラムにより、退職時にインフレ調整後 5 割の代替賃金で補償されていました。1980 年代半ば、このプログラムのコストは年間 5 億ドル未満でしたが、2006 年までに寿命が延びたため年間 6,000 億ドル以上に急上昇しました。  3 プログラムは持続不可能となり、リーダーは将来の労働者の退職に備え、国の財政を保護するための代替プログラムを開発する必要があることに気付きました。NPS の創設以来、新たに政府職員となるすべての人が加入しており、労働者が自ら退職に備える責任を養い、政府の持続不可能な年金債務がかさんでしまわないよう保護しています。 2.補完型退職貯蓄制度で重要となる税制上の特典   加入者のほとんどは、税制上の優遇措置のために NPS への投資を選択します。しかし、一部のインド国民は、ミューチュアルファンド商品や民間退職貯蓄手段の中には市場平均を上回る可能性が高く、税制上の優遇措置も提供されていたため、NPS への加入を選択しなかったことが報告されています。 国民に貯蓄を奨励し、NPS を促進するために、政府は 3 種類のカテゴリーで減税オプションを用意しました。3 番目の選択肢は、NPS の企業モデルを通じて拠出されている給与を支給される従業員に限定されています。3 つのカテゴリーはすべて組み合わせて利用できますが、互いに排他的です。 さらに、退職時に認められているコーパスの非課税引出し限度額 (コーパスの早期限度 4 割からコーパスの 6 割まで) が最近緩和されました。もともと、引き出し額は 6 割が許可されていたものの、残りの 2 割には通常の税率で課税されていたため、完全非課税にすることでさらに魅力が高まりました。 雇用主が提供する確定拠出年金制度を含む他の退職貯蓄制度を利用できる少数の役員がいるかもしれませんが、国民のほとんど (特に労働者階級) は他の退職貯蓄制度を利用できないため、NPS の優遇税制について説明することが、退職貯蓄を奨励する決定的な動機付けになります。 3.国民にはモデルの優遇税制に関する教育が必要   NPS ではいくつかの優遇措置が提供されているものの、加入率は比較的低いままとどまっています。4最近の調査に対する回答からは、貯蓄の重要性や複利の利点を理解していないため、加入しないままでいる可能性があることが明らかになっています。 NPS リーダーは、この制度について人々に伝え、教育するためにさまざまな方法を使ってきました。たとえば、別々の 2 か所で行われたパイロットプログラムでは、組織化されていないセクターの労働者と主要な利害関係者を対象としたワークショップ、会合、キャンプが開催されました。さらに、情報発信はケーブルテレビネットワーク、ラジオ、広告宣伝車、セミナーやロードショーで行われました。 インドでは年金プログラムの成功の評価が続いており、将来さらに変更が加えられる可能性があります。多くの国で高齢者の貧困問題を解決しようと苦労していますが、インドの NPS は多くの国民にとって将来を保護するための積極的なステップとなっており、モデルとして参考にする価値があります。 出典: 1. United Nations: Department of Economic and Social Affairs,"World Population Prospects — 2017 Revision: Global life expectancy," United Nations: Department of Public Information, June 21, 2017, https://www.un.org/development/desa/publications/graphic/wpp2017-global-life-expectancy./ 2. "National Pension System — Retirement Plan for All," National Portal of India, October 22, 2018, https://www.india.gov.in/spotlight/national-pension-system-retirement-plan-all. 3. Kim, Cheolsu; MacKellar, Landis; Galer, Russel G.; Bhardwaj, Guatam, "Implementing an Inclusive and Equitable Pension Reform," Asian Development Bank and Routledge, 2012, https://www.adb.org/sites/default/files/publication/29796/implementing-pension-reform-india.pdf. 4.Zaidi, Babar, "5 Reasons Why Investors Stay Away From NPS. But Should You?" The Economic Times, December 27, 2018, https://economictimes.indiatimes.com/wealth/invest/5-reasons-why-investors-stay-away-from-nps-but-should-you/articleshow/61890679.cms.

David Anderson | 03 4 2019

アジアの年金制度は大きな課題に直面しています。この地域では急速に人口が高齢化し、少子化が進むなど、人口統計学上の激しい変化が見られます。しかし、地政学的な不確実性と最低レベルの金利により、投資収益率は比較的低くなっています。 堅固な年金制度が比較的少ない地域であるため、多くのアジア諸国は、十分な年金を提供するのに苦慮しています。政府は金銭的負荷を軽減し、若者と高齢者による世代間の争いを回避するために、今すぐ積極的な行動をとる必要があります。 十分性、持続性、健全性の観点から世界の年金制度を比較・ランク付けする2018年度マーサー・メルボルン・グローバル年金指数(MMGPI)によると、アジアの出生時平均余命は、過去40年間に、多くの国で7年から14年延びています。平均すると、4年ごとに1年延びていることになります。過去40年間における65歳の国民の平均余命延長は、インドネシアの1.7歳からシンガポールの8.1歳までさまざまです。 世界の他の地域も、高齢化に関連する同様の課題に直面しており、各国で同様の政策改革が進められています。これには、年金受給年齢の引き上げ、高齢就労の奨励、退職後に備えた年金基金の増額、退職年齢前に年金口座から引き出せる金額の引き下げが含まれます。 2018年度MMGPIの調査結果は、ある根本的な疑問を投げかけています。アジア各国の政府が年金制度の長期的な成果を改善するには、どのような改革を実施できるか、というものです。 世界基準の年金制度を確立するための自然な出発点は、十分性と持続性の間の適切なバランスを確保することです。短期間で多くの給付金を提供するシステムは持続性が低く、一方で長年にわたり持続可能なシステムは、通常控えめな給付金しか提供しません。 退職年齢や、社会保障や個人年金にアクセスできる資格年齢を変更しなければ、退職制度への負荷が高くなり、結果として、高齢者に提供される経済的保障が脅かされる可能性があります。女性と高齢労働者の労働力参加率が増加すれば、十分性と持続性を改善できます。 日本、中国、韓国は、MMGPI指数の最下位近くにランキングされています。これらの国々の年金制度は、現在と将来の世代の退職を支援できる持続可能なモデルになっていません。制度が変更されなければ、年金給付が世代間で均等に分配されないため、これらの国々では社会的な争いが発生するでしょう。 例えば日本は、約340万人の公務員の定年退職年齢を現在の60歳から65歳に徐々に引き上げることにより、年金制度改革のために少しずつ前進しています。日本の退職者は現在、60歳から70歳までの任意の時点で年金受給の開始を選択でき、65歳以上で受給を開始すると、毎月の受給額が増えます。 世界最高の平均余命、世界最低の出生率の日本では、人口の減少が予想されています。この困難な状況は、すでに熟練者不足の一因となっており、これが日本の税収基盤の減少にさらに影響を及ぼすと考えられています。また、生産年齢人口の49%が個人年金制度を利用していないため、日本政府は、より高水準の家計貯蓄を奨励するとともに、国による年金保障水準を引き上げ続けることで、年金制度を改善できる可能性があります。退職給付の一部を、一時金ではなく年金として受給するという要件を導入すれば、社会保障制度の全体的な持続可能性は向上します。また、国内総生産に占める政府債務を減らすことによっても、現在の年金支払水準を維持できる可能性が高まります。 中国は別の問題に直面しています。中国独自の年金制度は、都市部および農村部の人々、さらには農村部の移住者や公共部門の労働者に対するものなど、さまざまな制度で構成されています。都市部および農村部には、(雇用主の拠出または政府支出の)プール用口座と、(従業員拠出の)積立個人口座からなる賦課方式の基礎年金制度があります。雇用主によっては、特に都市部では補足的な制度も提供されています。 中国の年金制度は、年金に占める労働者の積立の割合を増やして労働者の退職生活保護を総合的に強化するとともに、最貧困層への最低限の支援を増やすことによって改善される可能性があります。また、補足的な退職給付金の一部を年金として受給するという要件も導入する必要があります。より多くの投資オプションを年金加入者に提供して、成長資産への投資機会を増やす必要があります。また、年金制度と加入者とのコミュニケーションにも改善の余地があります。 香港では、自発的な加入者による積立を奨励し、それにより退職貯蓄を増やせるよう、税制上の優遇措置の導入を検討すべきです。また、香港でも、補足的な退職給付金の一部を年金として受給する要件を導入する必要があります。平均余命が伸びれば、高齢労働者は労働市場に留まるべきです。 韓国の年金給付額は、平均賃金の割合のほんの6パーセントで、貧困層にとってきわめて不十分な年金制度の一つです。韓国の制度は、最貧困層の年金受給者への支援水準を改善し、私的年金制度からの退職金給付の一部を年金として受給するという要件を導入し、全体的な積立水準を引き上げることで改善されると考えられます。 しっかりと構成されたシンガポールの年金制度は、アジアで第1位にランキングされており、持続性においても向上が見られます。退職金制度の中央積立基金制度(CPF)は、シンガポールで雇用を受けた全居住者および、永住者を含めた加入者に柔軟なサービスを提供しています。しかし、実施可能なことはまだあります。税務上承認を受けたグループ企業による退職金制度確立に対する障壁を緩和するとともに、労働力の3分の1以上を占める非正規かつ非居住の労働者もCPFを利用できるようにすべきです。CPF加入者が貯蓄を利用できる年齢も引き上げるべきです。 年金制度は世代間の問題であるため、長期的な視点が必要となります。年金制度は、いずれの市場でも最大の機関投資の1つであり、気候変動などのリスク管理を含め、託された資本の優れた管財役として働く重要性をもっと認識すべきです。 アジアの高齢者は70代から80代に達しても生産性を維持しているため、十分かつ持続可能な退職所得の準備状況を改善することが不可欠です。雇用主と政策立案者は、退職年齢の引き上げ、労働者の個人年金の対象範囲の拡大、ファイナンシャルプランニングおよび早期貯蓄の奨励に注力すべきです。 *本記事はNikkei Asian Reviewに掲載されたものです。

Janet Li | 29 12 2018

生活の質(QOL)というものは強い力である。ある世代の人々が先例のない経済的な機会や長期間金銭的に恵まれた状態を経験すると、その水準を維持する、もしくはより良いものを強く望むようになる。中国では、その快適なライフスタイルを、将来的にもずっと謳歌しようと心に決めている中流階級の人々の波が押し寄せている。さらに、現代テクノロジーに精通して金銭感覚も鋭い、より若い世代の中国人従業員達は、14億人もの人口が引退することの意味を見直し始めている。 何を頼りにするかが重要な鍵となる。中国人は引退後の生活において、政府や年金基金、雇用主、家族、生命保険の保険金やファイナンシャルアドバイザーのような、外部からの金銭的なサポート を強く信用している。仕事を始めたばかりの若い従業員は、自分達の長期間の財政を管理するにあたり、オンラインツールやファイナンシャルアプリにより重きを置いている。しかし、こういった信頼は、中国がより大きく世界的な経済勢力に適応し、力強く文化的に発展するにつれて、社会の高齢化のような試練を受けるだろう。詳しくは『マーサー・メルボルン・グローバル年金指数(MMGPI)』に記されている。 変化に適応することの課題 MMGPIでは「十分性」「持続性」「健全性」の3つの指数をもとに各国の年金制度を評価している。これらのデータの包括的な分析により、各国の総合的な指数ランキングを行う。中国は2018年、総合指数で46.2の評価を受けた。ちなみに、オランダとデンマークが最高評価でそれぞれ80.3と80.2、アルゼンチンが最低評価で39.2だ。日本(48.2)、韓国(47.3)そしてインド(44.6)はすべて中国と似たような評価だった。当然の事ながら、これらの成長市場においては、特に少子化が進む時代において高齢化する何百万人もの人々への経済支援に関して、中国でも見受けられるような国内の政策課題を抱えている。   1970年には、中国の平均寿命は59歳だった。今はそれが76.5歳だ。高齢化する中国人労働者はより長生きするようになり、中国の人口統計に劇的な変化をもたらしている。寿命が長くなることにより、国家の年金の財源と、中国の中流階級世代が自分達の前に一生懸命働いてきた両親や祖父母世代を支えるための経済力とが、試されることになる。現在、中国の年金制度は農村の制度と都市の制度とに分けられ、賦課方式の年金を採用している。これらの年金は、プールされた口座(雇用主からの拠出金もしくは財政支出)と従業員拠出による個別の個人口座とで構成されている。都市部によっては、雇用主が企業年金を提供している場合もある。しかしながら、こういった複合的な財源も、中国の高齢化する人口のニーズについていけていない。 財源の多様性について語る MMGPIの分析により明らかになったのは、中国の年金制度の将来に最もインパクトのある道筋を作るには現行のサービスを増強し、先を見据えた政策を実行し、そして従業員に対して各々の個別なニーズに最も合った様々な選択肢や制度について教育を行うことが必要だということだ。調査結果により中国の政策立案者には具体的に下記のようなことが推奨されている。 1. 労働者の既存の年金制度の対象者の拡大を続ける。対象者を拡大することで何百万人という引退した従業員の安全網をより強くし、「十分性」を高めることになる。 2. 最も困窮している高齢者個人へのサポートの最低レベルを引き上げる。この層は高齢化する人口の中でも最も脆弱で危険にさらされており、追加のサポートにより最も恩恵を受ける。 3. 補完的な退職給付の一部を継続した所得という形で受け取ることを義務づける。分割払いもしくは年金としての収入があれば、お金の支払いに対して固定された効果的な手段となる。多様化する引退後の所得戦略の一部として使用されるとなれば、特にそうである。 4. 公的年金の受給年齢を徐々に引き上げる。人々は今や長生きをしており、自ずと働く期間も長くなり引退する時期も遅くなってきている。これは「持続性」を高める鍵となる。 5. 投資の選択肢の幅を広げ、それにより加入者に資産を増やすための可能性を広げる。投資を多様化することは賢明な投資の基盤となる。特に自身の資産を増やす新しい方法を強く望んでいる中国の中流階級にとっては、より多くの投資機会を提供することがより一層の経済的な安定をもたらす。 6. 年金制度の詳細について、加入者に対して、よりコミュニケーションをとり教育をする。新たな投資メカニズムや政策、そしてデジタルテクノロジーが次々と出現しているということはつまり、各個人は最新の機会についての情報を知らないことがあるということだ。   協調するQOL 成功している文化というものは、その社会を構成する全てのメンバーに対してきちんとした質の生活を提供しようと努力するものだ。それには、資産の取得と分配において公正で統制が取れていることが必要になる。現代の中国では、そういった資産の大部分は若い労働者、特に賃金の高騰やとてつもない機会を経験している中流階級によって生み出されている。中国の中流階級が、新商品や高品質のぜいたく品そしてより高い生活水準をもっと欲するようになれば、それは長期間、つまり自分達自身とその高齢化する家族に対して資産を分配することとなる。 43%近くの中国人労働者は、年金の積立額を増やしたり副業の仕事をすることで貯蓄を補完 し、引退後のQOLを自分達の望むようにしたいと思っている。これはつまり、中国人の多くの層が来るべき年金問題について認識しており、将来の困難を減らそうと個人的に行動を起こしていることを表している。個人の経済的な豊かさのための熱心なアプローチは、雇用主や政府機関からのスマートな年金制度によって補完され、財源の相乗効果によって年齢を重ねる上でQOLを考慮に入れるのが当たり前になり、Y世代やミレニアル世代からその親や祖父母世代までの幅広い中国人労働者を力づけることができる。 中国やほかの国々の年金制度についてもっと詳しく知りたい場合は、『マーサー・メルボルン・グローバル年金指数(MMGPI)』と Mercer Chinaをご覧ください。

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