健康

変わりゆく、日本におけるリタイアメントに影響を与える3つの要因

2018年6月12日
  • 北野 信太郎

    年金コンサルティング プリンシパル、年金リスクコンサルティング部門代表

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「世界的に見ても日本に限っても、健康で豊かに賢く働くことは、より長く働き、自分の健康や貯蓄、職務スキルに今投資することを意味します。」

リタイアメントは世界的に変化しています。これは数十年にわたり、終身雇用制と国の年金が実質保障されてきた日本には特に当てはまります。しかし、21世紀は日本とそこに暮らす人々のライフスタイルに多くの変化をもたらしました。結果として、現代の労働力も進化しています。

企業は終身雇用を廃止しつつあります。その慣習が企業に重荷を課すためです。若い人々は安定性と給与だけでなく、プロとして成長するためにどのような支援が得られるか、そして良い条件でリタイアできるかなど、キャリアについてより戦略的に考えています。

先日実施されたマーサーの研究「Healthy, Wealthy and Workwise: The New Imperatives for Financial Security (健康で、豊かに、賢く働く: 経済的安定のための新たな緊急課題) 」では、経済的安定性に対する態度と退職に関する信念について調査しました。12カ国で実施した調査では、6つの年齢集団に属する7,000人の成人および600人の企業/政府幹部職員を対象としました。

この調査の結果、日本では経済的安定性が低く、日本人は他の国の人よりも自分の経済的状況にストレスを感じている可能性が高いと判明しました。

日本人を心配させるのは、経済だけではありませんでした。健康、富、キャリア、すべての基準において、日本の自信は調査された他のどの国よりも大幅に低いことがわかりました。この主たる原因は、退職に対する古いアプローチです。つまり、終身雇用への過度の依存と国の年金制度というセーフティネット、これらは現在過渡期にあります。

 

国への依存により引き起こされた貯蓄格差

 

他のアジア諸国と比べ、特に中国と比較し、日本は重大な貯蓄格差に直面しています。特に、50才以上の人々の間で格差が大きくなっています。しかし、これは主に、どう退職が設計されていたかに起因するかもしれません。日本の労働者にはかつて年功序列制の給与体系を持つ終身雇用制度があり、その給与に基づく国の年金制度がありました。現在、厚生労働省はプライベートセクターで働く一般的労働者に支給される国の年金の目標額は所得の50%と発表しています。

また、日本の健康保険制度が非常に優れていることにも注目すべきです。退職後、健康のための出費は大きな割合を占めるため、医療費の大部分を国が負担すると人々が把握していることも日本の貯蓄率が他国に比べて低い1つの要因かもしれません。

世界中でも、また日本でも、人々は、経済的に安定した退職と、良質な退職後の生活のために最も重要な要素として、現在および将来の健康を挙げています。しかし、日本では「仕事のパフォーマンスに関連するため、最高または非常に優れた健康状態である」と回答した人は全回答者の12%しかいませんでした。これは世界平均の39%と比較して、大幅に低い数値です。

 

経済状況に対する悲観的な見方が強いということは、金融リテラシー向上のための機会が多く存在することを示しています。

 

日本では、経済的安定性と退職制度について控えめな、場合によっては悲観的な展望があります。

1990年初頭にバブル経済がはじけるまでの、伝統的なパターンは、社員は大学卒業後すぐに会社に入社し、60才で定年を迎えるまでその会社で働くというものでした。退職後は国が年金と健康保険を提供しました。これは大規模な多国籍企業で働いていた場合には、特にそうした条件が該当しました。平均的労働者は退職について、それほど心配する必要はありませんでした。

バブル経済の崩壊後に起こった20年にわたる不況で、多くの企業が財務的苦境に陥りました。その結果、年金支給額は削減され終身雇用制度の約束は切り崩されました。大学を卒業する若い人々は、親の世代の退職の選択肢がもはや自分たちには該当しないと気付きました。日本が定年の年齢を、ほとんどの先進国よりも若い、65才に引き上げた際も、彼らは古いファイナンシャルプランニングのやり方に依存することは持続可能ではないと知っていました。唐突に、退職に備えた計画が個人の責任になったのです。

多くの日本人は現在、貯蓄が個人の責任であると気付いています。しかしこれは新しい概念であるため、その方法については曖昧なままです。経済に関する教育と指導は最低限しか行われていません。

日本人の回答者の半数 (49%) は、快適な退職後の生活を送るために経済的安定が必要であると答えており、現時点で経済的に安定していると感じている人は4分の1 (28%) にとどまりました。また、望ましい生活の質を退職後に維持できると予想している回答者は4分の1未満 (21%) でした。最も驚くべきは、退職後の収入を確保するのに十分な貯蓄があるという自信があると答えた回答者はわずか8%でした。

調査ではまた、日本では84%の人がトレードオフに前向きであることがわかりました。つまり、より良く、より長い未来のために、より多くを貯蓄に回し出費を抑えるということです。しかし16%は、退職後に希望する生活の質を維持できないことになっても、現在のライフスタイルを変えるつもりはないと答えています。これは、日本人の労働者は長期間労働し、65歳以降まで定年退職しないと見込んでおり、一生退職することはないと感じる傾向が他の国の人よりも強いからかもしれません。

 

長生きとは、退職後の生活を短く、質素にすること

 

今日、日本人は退職後12~17年を過ごすと予想されています。これは世界平均の15~20年よりも短い期間です。そうした現実から、福利厚生は柔軟性を持つことが求められます。退職後のニーズと貯蓄形態は単一ではなく、働き続けるか、ライフスタイルを変えるかの意思決定に影響を与えます。

「健康で、豊かに、賢く働く」調査では、日本人の成人の半数以上 (53%) が80才以上まで生きると予想していることが判明しました。しかし、73%の人々は退職するつもりがないか、何らかの形で退職後も働き続けると予見しています。これはグローバル調査の12か国の中でも最も高いレベルです。そして26%は、従来の定年の概念を超えて雇用可能なほどに自らのスキルセットを維持することが、労働者の年齢が上がるにつれ困難になるという事実にも関わらず、退職後の主な収入源として給与が発生する仕事を続けると回答しています。

ほとんどの人が政府が提供する年金と個人の貯蓄、そして給料を組み合わせたものを財源とし、退職後は質素な暮らしをすると予測しています。退職後の生活を送るのに十分な収入を確保する責任者として、家族と自身が重視されています。

日本人は雇用主がアドバイスを提供してくれると信頼していますが、退職後の生活の計画や貯蓄、投資については、他の人や組織に対しあまり信頼を寄せない傾向があります。さらに個人は、雇用主の年金制度よりも、政府の公的年金に積み立てる傾向があります。日本では、雇用主の年金制度は潜在的な収入源とみなされることがあまりありません。

 

変化の機会

 

日本は現在、退職に対する重複するアプローチを取っています:上の世代はまだ当然のこととして終身雇用と年金制度を期待し、若い世代は自分の老後のために自分で貯蓄する必要があると理解し、それに従ってキャリアプランニングを行っています。

それを鑑みると、国家レベルで変化の機会があります。おそらく社会保障は贅沢なものではなく、単なるセーフティネットとして、80歳代の人など、だいぶ上の世代の人にのみ利用可能なものとして認識されるべきかもしれません。退職の制度が更新され、仕事と企業年金を組み合わせたら、人々は自らの財務上のニーズについてより正確な評価を下すことができるかもしれません。

現状、若い世代は貯蓄については新しい領域に直面していると感じており、多くの場合、資料や教育も多くはありません。世界的に見ても日本に限っても、健康で豊かに賢く働くことは、より長く働き、自分の健康や貯蓄、職務スキルに今投資することを意味します。そうするために、労働者は雇用主や国に個人的に力づけられる必要があり、雇用主も国も、現代の労働者の進化し続けるニーズに対応すべく変化の機会を模索するべきです。

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Didintle Kwape | 14 11 2019

アフリカ大陸で多国籍企業の事業拡大を支えるのは、貴重な資産の1つである若手社員です。 アフリカでは記録的な数のティーンエイジャーや若年層が失業している、または十分な仕事に就いていません。しかし彼らは機会さえあれば率先して働く意欲を持っています。南アフリカだけでも、今年度の失業率は 30% を超えると予想されており、15~24 歳の層が失業者の 3 分の 2 を占めています。1 人材プールの最大活用 南アフリカ共和国のシリル・ラマポーザ大統領は 2019 年 6 月、「若者の失業が国家的な危機となっている現状について大変懸念している」と語りました。2 現在、アフリカ大陸の各国では、多国籍企業と地元の中小企業双方で若者の雇用が円滑に進むよう労働法を改正し、形式的な手続きを簡略化しています。さらに非営利組織と協力し、若者の才能や必要な労働スキルを育成しています。 国際労働機関 (ILO) とアフリカ開発銀行、アフリカ連合委員会、国連アフリカ経済委員会 (UNECA)のパートナーシップに見られるように、これら取り組みを支援するため各種団体が連携しています。地域および国全体で一体となり若者の雇用という課題を解決すべく取り組んでいます。ILO は、若者が就労に十分に備えられるよう、就労サービス、スキル開発、労働市場訓練を提供し、恵まれない若者のために技術や職業に関する教育、実習、職業紹介サービスの充実に尽力しています。3 6 月、ケニアのウフル・ケニヤッタ大統領は、マスターカード財団、ケニア政府と民間部門の間で若手社員のための官民パートナーシップ Young Africa Works プログラムを開始しました。このプログラムでは 5 年以内に、500 万人の若いケニア人を訓練し「尊厳とやりがいのある仕事」に就かせることを目指しています。 4 マスターカード財団はケニアの銀行 2 行 (Equity Bank と Kenya Commercial Bank、およびその各財団) とともに、約 10 億ドルの資本、事業開発サービス、およびプログラムの市場連携を提供します。目的は若手社員のための仕事を創出することであり、これは 20 万を超える個人企業、中小企業が生産性を強化し、持続可能性や創意工夫を高めるのに役立ちます。4 「国際的にビジネスを展開するホテルはアフリカ大陸の新興市場へ進出する際、若者のスキル開発を育む業界の1つとなっている」とヒルトンのアフリカおよびインド洋業務担当副社長のヤン・ヴァン・デル・プッテンは言います。5ヒルトンはモロッコ、ケニア、ザンビア、ボツワナなどアフリカ全域に 46 軒のホテルをオープンし、今後 5 年以内の倍増を計画しています。観光とホスピタリティ事業の拡大は、社会経済的な成長を促進するだけでなく、意義のある雇用機会を創出します。アフリカの若い労働者の成功を支援する、そのような環境を作り出すことは極めて重要です。 現代の若者を訓練する 基本的な労働スキルに加え、新興デジタル経済の若手社員はデジタル技術を使いこなすこと、創造的な思考力や問題解決能力、互いに協力し共感する順応性など、幅広いスキルを習得することも求められています。6 ウィットウォーターズランド大学のマンデラ・ローズ・スカラーのシンバラシェ・モヨ氏は言います。「ルワンダやケニアのような国々はすでに、デジタル経済と未来の仕事に若者を備えさせる上で進歩を遂げている。しかし他アフリカ諸国では、スキル格差と不十分なデジタルインフラに対し意義のある行動がまだ見られていない」7 モヨ氏は、アフリカ諸国は未来の仕事に若者を備えさせる必要性があると助言しています。まず、ニーズに応える教育システムを構築し適切なスキルと責任感を身に付けさせることです。また、全国的にデジタルインフラを展開し国家間における相互接続の向上も欠かせません。さらに、拡大するデジタル経済の中で利害関係者を継続的に監視するには、適切な規制政策の策定が求められます。最後に、大がかりなデジタル技術の訓練プログラムをサポートするには、官民協力を最適化すしなければなりません。 「政府、国際開発金融機関、民間部門が協力することにより、アフリカの若者のスキルアップを促進する革新的な金融モデルを創出する余地が生まれます」 とモヨ氏は記しています。「これにより、特にアフリカ諸国でデジタルインフラを構築する際に、労力が重複して不平等が引き起こされる状況を減らすことができます。多くの若いアフリカ人が訓練プログラムに参加しデジタルインフラにアクセスできるようにする、そのカギは官民連携が握っているといえます」 新たな労働力を訓練する 企業はアフリカの若者の間で急速に普及している携帯電話を活用し、モバイルアプリ経由でトレーニングや開発プログラムを提供することもできるでしょう。マーサーの2019年グローバル人材動向調査レポートによると、南アフリカの労働者は職場で成功する方法に新しいスキルやテクノロジーを学ぶ機会を一番に挙げる他国の考えに同調しています。 調査では、労働者が自習を好んでいることも明らかになりました。企業は情報源として、まとめられたノウハウや専門家にアクセスできるようプラットフォームを与えることが望まれています。企業が主催するトレーニングと従業員が自分で行うトレーニングを組み合わせ、何をどう学ぶかを学習者にゆだねながら組織の目標に貢献するスキル開発を行うことができます。 マーサーの調査では、99% の企業が未来の仕事に備えて行動を起こしています。具体的には、現状と必要とされるスキルの供給ギャップを識別し、将来にフォーカスした人事戦略を立案し、新しいテクノロジーやビジネス目標に合わせたスキル要件に適応させようとしています。アフリカでの事業拡大に関心を持つ多国籍企業にとって、これらのステップで若年労働者のスキルアップや訓練、支援を行うことは極めて重要となります。 多国籍企業は、アフリカの若手社員が何を必要としているかを理解し、人を中心とした戦略を開発し統合することによって、アフリカの労働力開発の最前線に立つことができます。これにより、利害関係者の今日のニーズに応えつつ、明日のための労働力の拡大、改善、育成を実現することができます。見渡す限り意欲のある労働者がいるアフリカ大陸の完全なる再発見により、長期的な利益がもたらされることでしょう。 出典: 1.     "Africa's Youth Unemployment Rate to Exceed 30% in 2019: ILO," 7Dnews, 4 Apr. 2019, https://7dnews.com/news/africa-s-youth-unemployment-rate-to-exceed-30-in-2019-ilo. 2.     D, Sourav. "Youth unemployment a 'national crisis' in South Africa, says Ramaphosa," Financial World, 18 Jun. 2019,https://www.financial-world.org/news/news/economy/2276/youth-unemployment-a-national-crisis-in-south-africa-says-ramaphosa/. 3.     "Youth Employment in Africa." International Labour Organization, https://www.ilo.org/africa/areas-of-work/youth-employment/lang--en/index.htm. 4.     Mbewa, David O. "President Kenyatta launches program to tackle Kenya's youth unemployment," CGTN, 20 Jun. 2019, https://africa.cgtn.com/2019/06/20/president-kenyatta-launches-program-to-tackle-kenyas-youth-unemployment/. 5.     "Exclusive: An interview with Hilton's Jan van der Putten on expansion in Africa," Africa Outlook Magazine,7 Apr. 2019, https://www.africaoutlookmag.com/news/exclusive-an-interview-with-hiltons-jan-van-der-putten-on-expansion-in-africa. 6.     "World Development Report 2019: The Changing Nature of Work," The World Bank Group, 2019, https://www.worldbank.org/en/publication/wdr2019. 7.     Moyo, Simbarashe. "4 ways Africa can prepare its youth for the digital economy," World Economic Forum, 29 May 2019, https://www.weforum.org/agenda/2019/05/4-ways-africa-can-prepare-its-young-people-for-the-digital-economy/.

Michael Braun | 14 11 2019

Part I では、海外プロジェクトのアサインメントに関連する 6 つの課題について概説しました。管理面で生じる課題の概要を考察する前に、Part IIでは企業とグローバルモビリティマネージャーの責務の1つである監督責任を取り上げます。 課題 7: 監督責任 企業には従業員の安全、保健、福利厚生を海外でも保証する義務があります。プロジェクト担当者を海外に派遣する場合、特に困難を伴う国に異動させる場合は、地域の適切な情報、安全に関する説明、セキュリティ訓練、健康保険を提供する必要があります。 モビリティマネージャーは、このような医療および警備プログラムに加入する際、同時に相乗効果を考慮することが求められます。たとえば、ビジネス旅行者と一定期間 (通常 90 日)に満たない海外派遣者の両方に旅行保険を提供することも選択肢の1つです。さらに、残りの派遣員はグループ保険としてカバーされるためコスト効率の高い保険を活用することができます。また、中心となる医療保険のサービスに加え、多くの会社では警備および支援プログラムの特典が提供されています。 通常、警備プロバイダーにより医療サービス以上のサービスが提供されることはあまり知られていません。多くの場合は特定の場所の安全に関する情報が追跡機能とともに、また関連する最新情報も提供されます。一部のプロバイダーからは、避難する必要がある場合に実践的なサポートを受けられます。 従業員の保護 従業員のグローバルなビジネスライフにおけるモビリティは、多くの点で「ボーダーレス」化しています。この事態の進展を視野に入れ、保険の形態も絶えず変化し拡大しています。たとえば、プロジェクト数が増加している業界によって波がある場合、保険の加入という点では特に問題が生じます。 派遣期間、母国、求められる保障の範囲は保険の選択において大きく影響します。以下、海外プロジェクトのアサインメントやその他の海外異動で利用できる医療、障害、および死亡補償オプションについて掘り下げます。 医療保障 長期派遣者向けの出張支援と国際民間医療保険/国外居住者健康保険に焦点を当て、複雑さを最小限に抑えています。 出張支援 出張支援を提供する国際的な保険会社は、既存のグローバルネットワークを活用して、グローバルな補償という課題を克服しています。従来の旅行医療保険と比較しても出張旅行支援には多くのメリットがあります。たとえば、雇用主は保障期間として旅行日数を最大 1 年間に延長し、次のような手当を大幅に増やすことができます。 ·     事故の場合、本人または遺族に一定額が支払われます。これは直接費用となる、会社の傷害保険に代わる緊急援助とみなされます。傷害保険ではより多くの給付金が得られますが、審査プロセスが長期化するためです。 ·     一部の国では、ビザを取得するための必須要件として賠償責任保険に加入する必要があります。 ·     荷物紛失/旅行遅延に対する補償は旅行者向けの追加の特典です。これらの補償が保険でカバーされている場合、保険会社に直接請求できるため、会社の事務作業が軽減されます。 追加の特典については、ビジネス旅行者や海外プロジェクトにアサインされた社員の独自のニーズに合わせて調整されます。ただし、出張支援の主な部分とリスクプレミアムは、一部の支援サービスを除き医療上の緊急事態の対処に限られています。既存の支援契約の内容は出張旅行支援と調和させ、明確に伝える必要があります。事務手続きを効果的に軽減するために、プロセス、払い戻し手順、コスト管理、および償還請求の回収について明確に定義する必要があります。 出張支援の範囲内での給付金の支払いは、いわゆる「予測不能」な事象に対するものです。既往症や常用薬の払い戻しについては除外されます。このようなグループプランでは、個別の登録は不要です。海外プロジェクト派遣では珍しいことですが、同伴する家族も出張支援を受けることができます。 長期プロジェクトのアサインメントに適した医療保険 長期の海外プロジェクトのアサインメントが計画されている場合、またはさまざまな理由から保険の対象範囲を改善する必要がある場合は、既存の国外居住者向け健康保険を活用するか個別の保険加入が推奨されます。特に困難な状況にある国のプロジェクトに携わらなければならない場合、会社の信頼には安全のための予防策、健全性、誠実さが問われます。また、海外事業をカバーする専門的なグローバル保険プロバイダーも活用できます。国外居住者向けの確固とした健康保険制度があれば、そのメリットを総合グローバル医療保険のメリットと比較できます。 本稿で取り上げた基準は、必要とされる保障対象期間で最適な保険商品とプロバイダーを選択する際に是非お役立てください。そして、海外異動または海外プロジェクトのアサインメントにおける補償対象範囲は、会社のポリシーガイドラインで概説されていることが理想的です。 障害および死亡保障 医療保険は多くの企業の海外派遣員にとって非常に重要です。同時に、障害および死亡補償についても考慮する必要があります。 自国の社会保障制度で保障されない従業員には、障害または死亡に関する補償にギャップが生じるリスクがあります。具体的には、恒久的な障害が発生した場合に本人、また死亡した場合には家族に対して長期的に十分な収入を確保できなくなります。母国の補完的な制度も同時に打ち切られた場合、潜在的なギャップはさらに大きくなります。 従業員が派遣先国の社会保障制度に加入している場合でも、これらの制度では多くの場合、死亡および障害補償について待機期間が存在することにも注意しなくてはなりません。欧州協定などにより、このような待機期間が存在しない場合でも、給付金レベルは母国のものとは大きく異なる可能性があります。企業は現地の制度または補完的なグローバルなリスク保険のいずれかを通じて、ギャップを特定し解消する必要があります。 ギャップはいわゆる「グローバルノマド」にも存在します。これら派遣従業員は、多数の連続性のあるアサインメントに携わります。グローバルノマドは最悪の場合、断片的な給付という事態に直面します。特に母国の制度に登録されていない、あるいは受給資格を満たしていないことから、国家の社会保険制度や補完的な年金制度のギャップが存在することになります。さらには、これらの従業員は通常、複数の国から送金して積み立てできる柔軟な個人年金制度がないため、適切な確定拠出年金制度も利用できていません。 グローバルノマドに該当する従業員数が多い企業は、このギャップを埋めるためにオフショア国際年金制度を利用することができます。過去 10 年間でマーケットが大幅に発展したため、少数の派遣スタッフについても効率的な商品が用意されており、必要とされる管理も限定されます。 まとめ 今はモビリティのエキスパートにとって要求も厳しく挑戦の多い時代です。海外プロジェクトのアサインメント数は増加しており特別な手配が必要です。ただし、エキスパートとしての専門スキルを活かす絶好の機会でもあります。 すべてを簡素化するために、まず何が手元にあるのか考えます。一部のソリューションは、海外に異動する従業員も既に利用できるようになっており、海外プロジェクトのアサインメントにも活用できるかもしれません。 モビリティマネージャーは、主に新たな作業負荷により引き起こされる困難を軽減するため、適切な海外プロジェクトのアサインメントのソリューションを探求し導入することに注力する必要があります。グローバルモビリティに万能薬は無いとしても、理想に近い ソリューションへと調整する多くのオプションがあります。 詳細はこちらからマーサーのコンサルタントまでお問い合わせください。

Alice Harkness | 31 10 2019

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Anil Lobo | 27 6 2019

補完型退職貯蓄プランは固定給のない高齢者のために安全と安定を提供するための制度であり、インドの国民年金制度 (NPS) はまさにそれを目指しています。NPS は、補完型確定拠出年金プランであり、制度への加入は任意です。世界のほとんどの国と同様、インドの人口も高齢化しており、寿命も長くなっています。健康状態や衛生状態の改善により、世界の平均寿命は1990年の65歳から2050年までには77歳に延びると予測されています。1 ほとんどの人にとって寿命が長くなることは、働かないで生活を楽しむ期間が長くなることを意味します。ただし、ますます多くの世界中の人々にとって、働かない期間に快適に暮らすために十分な収入を維持することは困難になることが予想されます。ほとんどの高齢者はもはや収入を得ていないだけでなく、年を取るにつれて生活費とインフレ率が増加しています。世界中の政府指導者が国民の退職後の生活に備えるよう支援する方策を検討している中、退職後の貯蓄を促進し、高齢の労働者が老後の貧困状態を回避することを支援するモデルとして、インドの NPS を参考にできます。 インド国民年金制度の基本   2004 年、インド政府は国民に退職後の収入を得させることを目指して国民年金制度を開始しました。2この制度は年金改革を実施し、退職後の貯蓄の習慣化を促進することを目的としています。 当初、このプログラムは国家公務員のみが利用できましたが、2009 年には、18~60 歳のすべてのインド国民が NPS を追加で利用できるようになりました。Tier I NPS 口座 (税務上の優遇措置を受けるのに必要な口座) は、口座保有者が退職年齢に達するまで早期の引き出しを抑制するように設計されています。口座保有者が退職年齢前に引き出す場合、2 割のみ許可されますが、残りは年金保険の購入に使用されます。NPS の加入者には税制上の優遇措置が十分に提供され、税引前で拠出が行われます。ただし、一部引き出した場合は課税されます。 退職年齢に達した場合、累積金額の 6 割を非課税で引き出すことができますが、残りの 4 割は公認年金保険機構から年金保険を購入する必要があります。給付は 70 歳まで延期して投資を続けるか、希望すれば新たな拠出を行うことも可能です。 Tier II NPS アカウントは、厳しい解約ペナルティやロックイン制度のない任意の年金基金です。3 年間のロックイン期間を要する Tier II NPS では、いくつかの税務上の特典が提案されています。ただし、この提案は確定ではありません。 この制度の開始後にインド政府は、特に低収入労働者の間で退職後の貯蓄を促進する追加の社会保障プログラムを創設しています。2010 年、政府の Swavalamban スキームでは、政府または雇用者年金でカバーされていない、毎年 1,000 ~ 12,000 ルピーを拠出した貯蓄者の口座に、1,000 ルピーを預けることが約束されました。ただし、2015 年には、退職時に一定の資格を満たす貯蓄者のために確定拠出年金を保証する Atal Pension Yojana (APY) が支持されるようになると、その計画は廃止されました。さらに、APY では 5 年間 (2015 年から 2020 年まで) で基金の合計拠出金の 50% または年間 1000 ルピーのいずれか少ない方で政府が出資を行っています。 インドの NPS は何度か繰り返され、進化し続けていますが、この制度はインド国民の間で退職者の貯蓄を増やすのに役立っています。国民の期待も変化しています:老後を支えてくれる若い家族に依存する代わりに、貯蓄を調整して、退職後の生活を支える準備をし始めています。 それに加えて、NPS は最も安い投資商品の 1 つです。NPS の全体的なコストは他の商品よりはるかに低く、おそらく利用できる最も安い年金商品です。 インドモデルから学べる3つの教訓   国民全員のための国民年金プログラムを提供するインドの実験は、世界中の組織のリーダーに対して、多くの貴重な教訓を提供しています。 1.持続不可能な国債には新しい解決策が必要   NPS が創設される以前、インド連邦および州政府の職員は税方式の確定給付年金プログラムにより、退職時にインフレ調整後 5 割の代替賃金で補償されていました。1980 年代半ば、このプログラムのコストは年間 5 億ドル未満でしたが、2006 年までに寿命が延びたため年間 6,000 億ドル以上に急上昇しました。  3 プログラムは持続不可能となり、リーダーは将来の労働者の退職に備え、国の財政を保護するための代替プログラムを開発する必要があることに気付きました。NPS の創設以来、新たに政府職員となるすべての人が加入しており、労働者が自ら退職に備える責任を養い、政府の持続不可能な年金債務がかさんでしまわないよう保護しています。 2.補完型退職貯蓄制度で重要となる税制上の特典   加入者のほとんどは、税制上の優遇措置のために NPS への投資を選択します。しかし、一部のインド国民は、ミューチュアルファンド商品や民間退職貯蓄手段の中には市場平均を上回る可能性が高く、税制上の優遇措置も提供されていたため、NPS への加入を選択しなかったことが報告されています。 国民に貯蓄を奨励し、NPS を促進するために、政府は 3 種類のカテゴリーで減税オプションを用意しました。3 番目の選択肢は、NPS の企業モデルを通じて拠出されている給与を支給される従業員に限定されています。3 つのカテゴリーはすべて組み合わせて利用できますが、互いに排他的です。 さらに、退職時に認められているコーパスの非課税引出し限度額 (コーパスの早期限度 4 割からコーパスの 6 割まで) が最近緩和されました。もともと、引き出し額は 6 割が許可されていたものの、残りの 2 割には通常の税率で課税されていたため、完全非課税にすることでさらに魅力が高まりました。 雇用主が提供する確定拠出年金制度を含む他の退職貯蓄制度を利用できる少数の役員がいるかもしれませんが、国民のほとんど (特に労働者階級) は他の退職貯蓄制度を利用できないため、NPS の優遇税制について説明することが、退職貯蓄を奨励する決定的な動機付けになります。 3.国民にはモデルの優遇税制に関する教育が必要   NPS ではいくつかの優遇措置が提供されているものの、加入率は比較的低いままとどまっています。4最近の調査に対する回答からは、貯蓄の重要性や複利の利点を理解していないため、加入しないままでいる可能性があることが明らかになっています。 NPS リーダーは、この制度について人々に伝え、教育するためにさまざまな方法を使ってきました。たとえば、別々の 2 か所で行われたパイロットプログラムでは、組織化されていないセクターの労働者と主要な利害関係者を対象としたワークショップ、会合、キャンプが開催されました。さらに、情報発信はケーブルテレビネットワーク、ラジオ、広告宣伝車、セミナーやロードショーで行われました。 インドでは年金プログラムの成功の評価が続いており、将来さらに変更が加えられる可能性があります。多くの国で高齢者の貧困問題を解決しようと苦労していますが、インドの NPS は多くの国民にとって将来を保護するための積極的なステップとなっており、モデルとして参考にする価値があります。 出典: 1. United Nations: Department of Economic and Social Affairs,"World Population Prospects — 2017 Revision: Global life expectancy," United Nations: Department of Public Information, June 21, 2017, https://www.un.org/development/desa/publications/graphic/wpp2017-global-life-expectancy./ 2. "National Pension System — Retirement Plan for All," National Portal of India, October 22, 2018, https://www.india.gov.in/spotlight/national-pension-system-retirement-plan-all. 3. Kim, Cheolsu; MacKellar, Landis; Galer, Russel G.; Bhardwaj, Guatam, "Implementing an Inclusive and Equitable Pension Reform," Asian Development Bank and Routledge, 2012, https://www.adb.org/sites/default/files/publication/29796/implementing-pension-reform-india.pdf. 4.Zaidi, Babar, "5 Reasons Why Investors Stay Away From NPS. But Should You?" The Economic Times, December 27, 2018, https://economictimes.indiatimes.com/wealth/invest/5-reasons-why-investors-stay-away-from-nps-but-should-you/articleshow/61890679.cms.

David Anderson | 03 4 2019

アジアの年金制度は大きな課題に直面しています。この地域では急速に人口が高齢化し、少子化が進むなど、人口統計学上の激しい変化が見られます。しかし、地政学的な不確実性と最低レベルの金利により、投資収益率は比較的低くなっています。 堅固な年金制度が比較的少ない地域であるため、多くのアジア諸国は、十分な年金を提供するのに苦慮しています。政府は金銭的負荷を軽減し、若者と高齢者による世代間の争いを回避するために、今すぐ積極的な行動をとる必要があります。 十分性、持続性、健全性の観点から世界の年金制度を比較・ランク付けする2018年度マーサー・メルボルン・グローバル年金指数(MMGPI)によると、アジアの出生時平均余命は、過去40年間に、多くの国で7年から14年延びています。平均すると、4年ごとに1年延びていることになります。過去40年間における65歳の国民の平均余命延長は、インドネシアの1.7歳からシンガポールの8.1歳までさまざまです。 世界の他の地域も、高齢化に関連する同様の課題に直面しており、各国で同様の政策改革が進められています。これには、年金受給年齢の引き上げ、高齢就労の奨励、退職後に備えた年金基金の増額、退職年齢前に年金口座から引き出せる金額の引き下げが含まれます。 2018年度MMGPIの調査結果は、ある根本的な疑問を投げかけています。アジア各国の政府が年金制度の長期的な成果を改善するには、どのような改革を実施できるか、というものです。 世界基準の年金制度を確立するための自然な出発点は、十分性と持続性の間の適切なバランスを確保することです。短期間で多くの給付金を提供するシステムは持続性が低く、一方で長年にわたり持続可能なシステムは、通常控えめな給付金しか提供しません。 退職年齢や、社会保障や個人年金にアクセスできる資格年齢を変更しなければ、退職制度への負荷が高くなり、結果として、高齢者に提供される経済的保障が脅かされる可能性があります。女性と高齢労働者の労働力参加率が増加すれば、十分性と持続性を改善できます。 日本、中国、韓国は、MMGPI指数の最下位近くにランキングされています。これらの国々の年金制度は、現在と将来の世代の退職を支援できる持続可能なモデルになっていません。制度が変更されなければ、年金給付が世代間で均等に分配されないため、これらの国々では社会的な争いが発生するでしょう。 例えば日本は、約340万人の公務員の定年退職年齢を現在の60歳から65歳に徐々に引き上げることにより、年金制度改革のために少しずつ前進しています。日本の退職者は現在、60歳から70歳までの任意の時点で年金受給の開始を選択でき、65歳以上で受給を開始すると、毎月の受給額が増えます。 世界最高の平均余命、世界最低の出生率の日本では、人口の減少が予想されています。この困難な状況は、すでに熟練者不足の一因となっており、これが日本の税収基盤の減少にさらに影響を及ぼすと考えられています。また、生産年齢人口の49%が個人年金制度を利用していないため、日本政府は、より高水準の家計貯蓄を奨励するとともに、国による年金保障水準を引き上げ続けることで、年金制度を改善できる可能性があります。退職給付の一部を、一時金ではなく年金として受給するという要件を導入すれば、社会保障制度の全体的な持続可能性は向上します。また、国内総生産に占める政府債務を減らすことによっても、現在の年金支払水準を維持できる可能性が高まります。 中国は別の問題に直面しています。中国独自の年金制度は、都市部および農村部の人々、さらには農村部の移住者や公共部門の労働者に対するものなど、さまざまな制度で構成されています。都市部および農村部には、(雇用主の拠出または政府支出の)プール用口座と、(従業員拠出の)積立個人口座からなる賦課方式の基礎年金制度があります。雇用主によっては、特に都市部では補足的な制度も提供されています。 中国の年金制度は、年金に占める労働者の積立の割合を増やして労働者の退職生活保護を総合的に強化するとともに、最貧困層への最低限の支援を増やすことによって改善される可能性があります。また、補足的な退職給付金の一部を年金として受給するという要件も導入する必要があります。より多くの投資オプションを年金加入者に提供して、成長資産への投資機会を増やす必要があります。また、年金制度と加入者とのコミュニケーションにも改善の余地があります。 香港では、自発的な加入者による積立を奨励し、それにより退職貯蓄を増やせるよう、税制上の優遇措置の導入を検討すべきです。また、香港でも、補足的な退職給付金の一部を年金として受給する要件を導入する必要があります。平均余命が伸びれば、高齢労働者は労働市場に留まるべきです。 韓国の年金給付額は、平均賃金の割合のほんの6パーセントで、貧困層にとってきわめて不十分な年金制度の一つです。韓国の制度は、最貧困層の年金受給者への支援水準を改善し、私的年金制度からの退職金給付の一部を年金として受給するという要件を導入し、全体的な積立水準を引き上げることで改善されると考えられます。 しっかりと構成されたシンガポールの年金制度は、アジアで第1位にランキングされており、持続性においても向上が見られます。退職金制度の中央積立基金制度(CPF)は、シンガポールで雇用を受けた全居住者および、永住者を含めた加入者に柔軟なサービスを提供しています。しかし、実施可能なことはまだあります。税務上承認を受けたグループ企業による退職金制度確立に対する障壁を緩和するとともに、労働力の3分の1以上を占める非正規かつ非居住の労働者もCPFを利用できるようにすべきです。CPF加入者が貯蓄を利用できる年齢も引き上げるべきです。 年金制度は世代間の問題であるため、長期的な視点が必要となります。年金制度は、いずれの市場でも最大の機関投資の1つであり、気候変動などのリスク管理を含め、託された資本の優れた管財役として働く重要性をもっと認識すべきです。 アジアの高齢者は70代から80代に達しても生産性を維持しているため、十分かつ持続可能な退職所得の準備状況を改善することが不可欠です。雇用主と政策立案者は、退職年齢の引き上げ、労働者の個人年金の対象範囲の拡大、ファイナンシャルプランニングおよび早期貯蓄の奨励に注力すべきです。 *本記事はNikkei Asian Reviewに掲載されたものです。

Janet Li | 29 12 2018

生活の質(QOL)というものは強い力である。ある世代の人々が先例のない経済的な機会や長期間金銭的に恵まれた状態を経験すると、その水準を維持する、もしくはより良いものを強く望むようになる。中国では、その快適なライフスタイルを、将来的にもずっと謳歌しようと心に決めている中流階級の人々の波が押し寄せている。さらに、現代テクノロジーに精通して金銭感覚も鋭い、より若い世代の中国人従業員達は、14億人もの人口が引退することの意味を見直し始めている。 何を頼りにするかが重要な鍵となる。中国人は引退後の生活において、政府や年金基金、雇用主、家族、生命保険の保険金やファイナンシャルアドバイザーのような、外部からの金銭的なサポート を強く信用している。仕事を始めたばかりの若い従業員は、自分達の長期間の財政を管理するにあたり、オンラインツールやファイナンシャルアプリにより重きを置いている。しかし、こういった信頼は、中国がより大きく世界的な経済勢力に適応し、力強く文化的に発展するにつれて、社会の高齢化のような試練を受けるだろう。詳しくは『マーサー・メルボルン・グローバル年金指数(MMGPI)』に記されている。 変化に適応することの課題 MMGPIでは「十分性」「持続性」「健全性」の3つの指数をもとに各国の年金制度を評価している。これらのデータの包括的な分析により、各国の総合的な指数ランキングを行う。中国は2018年、総合指数で46.2の評価を受けた。ちなみに、オランダとデンマークが最高評価でそれぞれ80.3と80.2、アルゼンチンが最低評価で39.2だ。日本(48.2)、韓国(47.3)そしてインド(44.6)はすべて中国と似たような評価だった。当然の事ながら、これらの成長市場においては、特に少子化が進む時代において高齢化する何百万人もの人々への経済支援に関して、中国でも見受けられるような国内の政策課題を抱えている。   1970年には、中国の平均寿命は59歳だった。今はそれが76.5歳だ。高齢化する中国人労働者はより長生きするようになり、中国の人口統計に劇的な変化をもたらしている。寿命が長くなることにより、国家の年金の財源と、中国の中流階級世代が自分達の前に一生懸命働いてきた両親や祖父母世代を支えるための経済力とが、試されることになる。現在、中国の年金制度は農村の制度と都市の制度とに分けられ、賦課方式の年金を採用している。これらの年金は、プールされた口座(雇用主からの拠出金もしくは財政支出)と従業員拠出による個別の個人口座とで構成されている。都市部によっては、雇用主が企業年金を提供している場合もある。しかしながら、こういった複合的な財源も、中国の高齢化する人口のニーズについていけていない。 財源の多様性について語る MMGPIの分析により明らかになったのは、中国の年金制度の将来に最もインパクトのある道筋を作るには現行のサービスを増強し、先を見据えた政策を実行し、そして従業員に対して各々の個別なニーズに最も合った様々な選択肢や制度について教育を行うことが必要だということだ。調査結果により中国の政策立案者には具体的に下記のようなことが推奨されている。 1. 労働者の既存の年金制度の対象者の拡大を続ける。対象者を拡大することで何百万人という引退した従業員の安全網をより強くし、「十分性」を高めることになる。 2. 最も困窮している高齢者個人へのサポートの最低レベルを引き上げる。この層は高齢化する人口の中でも最も脆弱で危険にさらされており、追加のサポートにより最も恩恵を受ける。 3. 補完的な退職給付の一部を継続した所得という形で受け取ることを義務づける。分割払いもしくは年金としての収入があれば、お金の支払いに対して固定された効果的な手段となる。多様化する引退後の所得戦略の一部として使用されるとなれば、特にそうである。 4. 公的年金の受給年齢を徐々に引き上げる。人々は今や長生きをしており、自ずと働く期間も長くなり引退する時期も遅くなってきている。これは「持続性」を高める鍵となる。 5. 投資の選択肢の幅を広げ、それにより加入者に資産を増やすための可能性を広げる。投資を多様化することは賢明な投資の基盤となる。特に自身の資産を増やす新しい方法を強く望んでいる中国の中流階級にとっては、より多くの投資機会を提供することがより一層の経済的な安定をもたらす。 6. 年金制度の詳細について、加入者に対して、よりコミュニケーションをとり教育をする。新たな投資メカニズムや政策、そしてデジタルテクノロジーが次々と出現しているということはつまり、各個人は最新の機会についての情報を知らないことがあるということだ。   協調するQOL 成功している文化というものは、その社会を構成する全てのメンバーに対してきちんとした質の生活を提供しようと努力するものだ。それには、資産の取得と分配において公正で統制が取れていることが必要になる。現代の中国では、そういった資産の大部分は若い労働者、特に賃金の高騰やとてつもない機会を経験している中流階級によって生み出されている。中国の中流階級が、新商品や高品質のぜいたく品そしてより高い生活水準をもっと欲するようになれば、それは長期間、つまり自分達自身とその高齢化する家族に対して資産を分配することとなる。 43%近くの中国人労働者は、年金の積立額を増やしたり副業の仕事をすることで貯蓄を補完 し、引退後のQOLを自分達の望むようにしたいと思っている。これはつまり、中国人の多くの層が来るべき年金問題について認識しており、将来の困難を減らそうと個人的に行動を起こしていることを表している。個人の経済的な豊かさのための熱心なアプローチは、雇用主や政府機関からのスマートな年金制度によって補完され、財源の相乗効果によって年齢を重ねる上でQOLを考慮に入れるのが当たり前になり、Y世代やミレニアル世代からその親や祖父母世代までの幅広い中国人労働者を力づけることができる。 中国やほかの国々の年金制度についてもっと詳しく知りたい場合は、『マーサー・メルボルン・グローバル年金指数(MMGPI)』と Mercer Chinaをご覧ください。

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