変革 [スポンサー記事]

革新的な企業文化と社内ベンチャーは既存企業が急成長するスタートアップ企業と競う手助けをする

2018年10月30日
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「これから企業を成長させ、未来に耐久性のある組織を構築するためには、機敏なスタートアップ企業からプレッシャーを受けている既存企業の意思決定者たちは、社員の過剰なまでの意欲を正しい方向へ導き、活用する方法を見つけなければならないのです。」

ベンチャーキャピタルが成長市場に流入し続ければ、あらゆる規模の既存企業は、急成長する創造的破壊者たちとの激しい競争に挑むことを強いられることになります。ピッチブックのデータによると、例えばアジアのベンチャー投資は、2016年から2017年におけるグローバルベンチャーキャピタルの成長の大部分に寄与しており、2018年のベンチャーキャピタル総投資額の40%以上を占めることが見込まれています。この投資の流入は、インドのオヨ・ルームズやビッグバスケット、東南アジアのTravelokaやトコペディア、中国のDidi(滴滴)やLu(陸金所)といった、ユニコーン企業の台頭を世界中で加速させ、小売業から、ホスピタリティ産業、運送業、金融業といった業界の既存企業を脅かす存在になっています。

米国では、資金力のあるスタートアップ企業の急成長に対処する方法として、既存企業は自社への初期投資を行ってきました。このようなコーポレート・ベンチャー・キャピタル(CVC)には、企業にとって重要な――かつ多くの大企業がしばしば不適切に配分し、享受している経営資源――つまり事業会社の自己資金が活用されています。CBインサイツによると、昨年の時点でCVC企業の上位50位を占めたのはアジアの企業でした。この割合は2016年から8%増加し30%近くに上っています。一方、自社でベンチャーキャピタルを行うことで複雑な問題とリスクを背負う企業もあります。CVCは経営陣にこれまでとは異なる成長戦略の構築や、コンサルタントの雇用、投資銀行に対する考え方を強いるばかりでなく、彼らのビジネスモデルや市場のあり方にさえも疑問を投げかけるものなのです。

CVCは人気がありますが、すべての企業に適切であるとは言えません。多くの企業は自社の社員がすでに持っているアイディアや意欲をしばしば見落としがちなのです。世界中で急速に増え続けている副業が、我々に何か伝えているとすれば、それは労働者の現状が、彼らの財政的、現実的なニーズを十分に満たしていないということでしょう。2017年のゴーダディの調査によると、フィリピン人の77%、シンガポール人の54%、香港の住民の37%が副業を行っているのです。これから企業を成長させ、未来に耐久性のある組織を構築するためには、機敏なスタートアップ企業からプレッシャーを受けている既存企業の意思決定者たちは、社員の過剰なまでの意欲を正しい方向へ導き、活用する方法を見つけなければならないのです。

社員の意欲を活用するには、新しいアイディアや新しい事業を生み出すことのできる、革新的な企業文化と社内ベンチャーをつくる必要があります。このような企業文化の構築を必須とする戦略は、完全に有機的にはいきませんが、慎重に設計され、積極的に指揮される必要があります。また戦略には、社員に考えさせ、コラボレーションさせ、実証実験させ、夢を見させるようなシステムとプログラムの実行が伴います。また社員のアイディアが商業化、或いはスピンオフ(子会社あるいは分社独立)された場合は、彼らが事業のアップサイドを取りにいけるようにしておく必要があります。

このようなプログラムに構築する一つの方法として、刑事司法用語で言う、手段、動機、機会を与える方法があります。企業と社員の両者に利益をもたらすには、社員に、行動する手段、行動する動機、行動する機会を与える必要があるのです。それでは具体的にどのようなことが必要なのでしょうか。

  • 手段 — アイディアを考え、適切なチームを設立し、ビジネスケースを構築し、アイディアをテストするのに、必要な資金、知識、道具、権限を社員に提供すること。具体的には社内ベンチャーファンドの設立、コンテストの開催、社内ベンチャーに関するワークショップ、或いはデザイン思考のワークショップの開催等を行う。
  • 動機づけ — 通常の職務を超えて思考すること、所定の枠組みの中でリスクをとることを社員に奨励すると共に、社員に彼らの業績から発生する利益のアップサイドに参加できるようにすること。具体的には、メリットとなり得るアイディアに対して社員にボーナスを与える、発案に対してロイヤリティーを与える、株式を保有させる、子会社でリーダーシップを取らせるなど。
  • 機会 — アイディア発案とコラボレーションの時間と場所を社員に与える。社内ベンチャー業務と通常業務のバランスが取れるようにする。具体的には、インターナル・スタートアップのためのインキュベーターを設置する、毎日又は毎週、社内ベンチャーのための時間を設ける、作業場や設備を提供するなど。

内側から革新を起こすよう社員に促すだけでは十分ではありません。企業がすべきことは、プログラムを実行し、それを進めるための手段、動機、機会を社員に与えることなのです。また社内ベンチャーの文化へと意識改革するためには、組織のすべての層の人間が、仕事の目的と職場の条件を見直す必要があるのです。数十年前は、通常職務よりも新しいアイディアの構築に時間を割くことは忌み嫌われていました。しかし今日では、通常業務よりも新しいアイディアの方が、指数関数的により多くの価値を生み出す可能性があるのです。

生産性の持続とリスク管理にバランスは必要ですが、その事業にどれぐらいの人材を配置するかを考えるのはリーダーの責任です。あなたの企業の人材は、主要な事業を支えるために効率的に使われているのでしょうか。それによってあなたは今日を生き抜き、未来の事業にも繁栄を期待できているのでしょうか。こうした疑問は、特に伝統的な職場規範や組織構造が残る多くの成長市場の中で、真剣に考えられなければいけないことでしょう。

成長市場で数多くの新興企業が生まれる中で、競争力を保てるように既存企業は、早期のうちに対応しなければなりません。アップサイドを攻めるために、CVC企業になる企業もいくつかありますが、CVCは必ずしもすべての企業に合うわけではありません。企業はCVC戦略に呼応する、或いはそれに代わる戦略に沿って、社内にイノベーションを見出す必要があるでしょう。社員はアイディアを開発する手段と動機と機会があれば、社内ベンチャーをする準備が既にできている、その能力があると言われています。ですから変化し続ける市場の中で成長を続けるためには、すべての企業が必ずしもスタートアップに投資する必要はないのです。前向きな企業は、内側から成長を促すスタートアップ文化を構築するために、アイディアや組織の人材に投資をしていくでしょう。

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Wejdan Alosaimi | 17 10 2019

何十年にもわたり、サウジアラビアは国家的、文化的、経済的に石油輸出およびエネルギー産業と密接に結びついてきました。Saudi Vision 2030 と名付けられた大胆且つ真新しいビジョンは、大規模な改革と政策立案により、化石燃料依存から脱却し、サウジアラビアの国内外を近代化させ、世界的な金融大国となることを目指しています。 変化を受け入れる力 2016 年にムハンマド・ビン・サルマン・ビン・アブドゥルアズィーズ・アル・サウド皇太子が発表した Saudi Vision 20301 という国家的プロジェクトでは、急速に変化する世界のリーダーとして台頭する、という前例のないコミットメントが詳述されています。新しい経済状況を反映して原油価格が変動し、地政学的な勢力が中東全体の国家の役割と目的を形作るにつれて、積極的に変化を受け入れる、というサウジアラビアのこの決断は国内外で驚くべき波及効果をもたらす可能性があります。 人口 3,340 万人以上、年齢の中央値が 25 歳のサウジアラビアには、大きな挑戦と機会に満ちた未来があります。Saudi Vision 2030 は、グローバライゼーションが続く世界において石油が時代遅れで有害なエネルギー源と見られる中、何百万人もの若い市民の労働力、成功への道筋を国家が示すロードマップとなります。長年にわたり作り上げてきた収益源と経済パラダイムを移行させるためには、地元の労働力のスキルセットを本格的にシフトし、最新テクノロジーに習熟する必要があります。 他の国々が気候変動やその他の地政学的なシフトに苦戦している一方、サウジアラビア政府は政策改革によって国内外の人々の生活を向上させる具体的な方法を世界に指し示しています。2 複雑なグローバル経済への対応 Saudi Vision 2030 は、デジタルトランスフォーメーションを活用しつつ、イノベーティブな国内の人材政策の実施を試みるインドなど、経済成長著しい国々に大きな影響を与えるはずです。 実際にサウジアラビアとインドとの関係性はますます複雑化してきています。インドは多くの西側諸国とは異なり、力強い経済的成長を推進するために大量の石油を必要としています。欧州や米国など工業化されたマーケットでは、環境に優しい代替交通手段や電気自動車の需要が高まっていますが、インドでは現在も化石燃料に大きく依存しています。2040 年までにインドは、拡大する経済と徐々に都市化する人口を支えるために、毎日最高 1000 万バレルの原油を処理する必要が生じると予想されています。3 サウジアラビア政府は、国家として市民生活の水準を向上させるための政策 (市民に無料の大学教育を提供するなど) を既にいくつか実施しており、民営化を優先して経済の国際化を進めています。2030 プランでは、金融機関が民間部門の成長を促進し、グローバルな経済競争に向けて国内の労働力を調整する点で大きく前進することを奨励しています。建設、金融、ヘルスケア、小売、宗教観光など、民営化や石油以外の産業の成長に注力することで、サウジアラビアの企業や起業家に新たなチャンスを創出します。4 地域のリソースを活用した未来の創造 Saudi Vision 2030 では、労働市場と社会における女性の役割、デジタルトランスフォーメーションと自動化の影響、サウジアラビア企業の感性を近代化させる必要性など、国家が直面する地域的、文化的な課題の多くが取り上げられています。女性の労働参加率を 22% から 30% に引き上げることを目標に、女性に車の運転を認め、経済的成長に至る道を開いたことは、世界中の投資家から好意的に受け止められました。2030 プランでは、国内問題と国民の健康全般にも重点を置き、平均寿命を 74 歳から 80 歳に引き上げる目標を掲げ、すべてのサウジアラビア国民に対し、毎日の運動と健康的なライフスタイルを推奨しています。5 サウジアラビア政府はまた、スマートフォンやデータ中心のオペレーション、その他のテクノロジーを通じて市民とリソースをつなぐ電子政府サービスを導入することで、社会にデジタル時代をもたらそうとしています。この動きにより、政府の仕事がなくなった人的資本が民間部門に流入するはずです。『マーサーグローバル人材動向調査2019年度版』のレポートによると、インド、ブラジル、日本などの国では、オートメーション分野が 70% 成長するため、サウジアラビアなどで働き手のための新たな役割やプロフェッショナルによる開発機会を探るニーズが高まることが予想されます。 2030 プランでは、国家固有のリソースに向けて壮大なビジョンがあります。市場経済と政府機関全体における女性のエンパワーメントと最新テクノロジーの統合は、この包括的な戦略の一部に過ぎません。サウジアラビアはグローバル経済の先進的な金融メカニズムの投資を招き入れ、国家の歴史に焦点を当てたキャンペーンで観光を盛り上げ、新しく現代的な視点から国民と世界を永遠に続く未来へと導こうとしています。成功するか否か、世界は 2030 年に知ることになるでしょう。 出典: 1. Kingdom of Saudi Arabia. "Saudi Census: The Total Population." General Authority for Statistics, Accessed 11 July 2019,https://www.stats.gov.sa/en/node. 2. Mohammed bin Salman bin Abdulaziz Al-Saud. "Vision 2030." Vision 2030, 9 May. 2019, https://vision2030.gov.sa/en. 3. Critchlow, Andrew. "India is too important for oil titan Saudi to ignore." S&P Global Platts, 6 Mar. 2019, https://blogs.platts.com/2019/03/06/india-important-oil-saudi/. 4. Nuruzzaman, Mohammed. "Saudi Arabia's 'Vision 2030': Will It Save Or Sink the Middle East?" E-International Relations, 10 Jul. 2018, https://www.e-ir.info/2018/07/10/saudi-arabias-vision-2030-will-it-save-or-sink-the-middle-east/. 5. "Saudi Arabia Vision — Goals and Objectives." GO-Gulf, 14 Jul. 2016,https://www.go-gulf.com/blog/saudi-arabia-vision-2030/.

Varun Khosla | 03 10 2019

何十年にもわたり、スタートアップ企業やその役員報酬というと、シリコンバレーやテクノロジーの第一人者が多数働く、次世代のユニコーン企業を目指す 10 億ドル規模のイノベーティブな会社やその最先端のオフィスビルのイメージで語られてきました。しかし、近年、グローバルスタートアップ企業はこれまで予想もしなかった地域で成長しています。 最近の調査によると、8 億 9,300 万ドルが中東および北アフリカのスタートアップ企業 366 社に投資されています。スタートアップ企業への投資額は 2017 年に比べ 2 億 1400 万ドル増加し、6 億 6900 万ドルとなりました。1 また、東南アジアにおいても、海外 (ほとんどの場合シリコンバレーなどの欧米) で学び、地元に戻った「ウミガメ」と呼ばれる人々によって、スタートアップ企業の立ち上げが相次いでいます。この地域では重要な転換点を迎えており、東南アジアの VC 投資家は 327 ディール、 78 億ドル超を投資しています。2 すべてのスタートアップ企業で必要不可欠な要素、それはリーダーシップです。しかし、幹部クラスの人材と経営陣を確保・維持することは、成長中のスタートアップ企業にとって、特に報酬面では大きな課題となるかもしれません。 役員報酬を変える機関投資家 世界的に有名なスタートアップ企業の多くは、ジェフ・ベゾス、ジャック・マー、マーク・ザッカーバーグなど、カリスマ的な創業者によって立ち上げられました。しかし、これらの有名人や成功物語は、世界中に花開くスタートアップ企業の新しい時代の幕開けを反映しているものではありません。 たとえば、中東・北アフリカ (MENA) では、投資会社がスタートアップ企業の立ち上げに必要な初期の資金援助を行っています。これらの投資会社は、スタートアップ企業の立ち上げ時から資金繰りを支援しています。さらに、これらのスタートアップ企業の経営幹部は創立者ではないため、ロイヤリティや創造性、コミットメントを維持するために異なる報酬モデルを望んでいます。 C-レベルの優秀な人材を獲得するのは、実績がほとんどない、あるいは全くないスタートアップ企業にとってはリスクが高いため、非常に困難と言えるかもしれません。従来、欧米のスタートアップ企業は成長予測を前提とした中長期的なベンチマークを中心に役員報酬パッケージを策定してきましたが、成長モデル、投資戦略、役員報酬の三角化は複雑で厳しい課題となることがあります。 現在、世界的なスタートアップ企業はほとんどの場合、インスピレーションに富む創業者ではなく、投資会社が中心となって設立されているため、会社は経営陣、いわば成功と失敗の分かれ道となり得る人々に払う報酬を決定する際は入念に検討する必要があります。 役員報酬はいくらにすべきか? 当然のことながら投資会社は収益の最大化を望みます。つまり、スタートアップ企業にはできるだけ多くの純資産や株式を保持しておきたいと考えます。スタートアップ企業の役員に支払われる金額 、株、またはオプションはすべて投資会社が運用コストとして支払う費用になります。ただし、スタートアップ企業の役員に低い報酬を提示したり、スキルや経験のない人材を雇ったりすると、企業の競争力、成長力、収益力が損なわれるリスクもあります。 経営陣に潜在的な株式を提供する財務的な取り決め (シャドウエクイティともいう) は、慎重に考慮し検討する必要があります。役員報酬プランは、スタートアップ企業の報酬のインセンティブと経営者を維持する制度として機能させる一方、企業に資金を提供した投資家や株主に適正なリターンを提供するものにしなければなりません。投資家と株主は、経営陣に適切なエクイティ・プールを提供するために、どの程度の株式希薄化を受け入れることができるかを決める必要があります。 このため、多くの企業では、企業価値の増加に対応して資金調達の各投資ラウンドでエクイティ・プールのサイズを縮小する段階的アプローチの実行が決定されます。このタイプのプログラムにより株式希薄化を緩和し、特に製薬業界やフィンテック業界など、熟練した専門家や経営者の才覚や知識を必要とする、先進的なスタートアップ企業を扱う際に創造的な報酬戦略を策定することができます。 投資会社は、一定のタイミングと価格で株式を売買する権利を付与する株式オプション、または会社の実際の所有権を付与する普通株式のいずれかを従業員に提供することがあります。いずれも株式を希薄化しますが、オプションでは通常、普通株式よりも希薄化の効果が高くなります。たとえば、オプションで構成されるエクイティ・プールは、会社資本の 15 ~ 20% に達することがありますが、普通株で構成されるプールではわずか 3 ~ 5% に過ぎません。これは、長期インセンティブ報奨について、同額をオプションで支払うと、普通株の付与と比べて株式の希薄化効果が高まることを示しています。投資会社は、目的に対してどの戦略が最も適しているかを判断する必要があります。 役員および経営幹部に支払うタイミング 投資家が役員や経営幹部に支払うのは、投資回収の後にすべきでしょうか?それとも、業績は多くの場合、制御不能な外部の経済要因に左右されるため、経営者報酬は業績ではなく、従業員として能力を最大限に発揮して仕事を遂行したかどうかに基づいて支払うべきでしょうか。 多くのスタートアップ企業では、投資回収のベンチマークが経営幹部をやる気にさせ、株主価値を生み出すために最善を尽くす追加のインセンティブになると考え、前者の戦略を実行しています。実際、多くのケースで長期インセンティブプランは投資家がリターンを受け取った時にのみ支払われています。あるいは、一部のスタートアップ企業は、相互に合意した特定の企業の目標や目的に基づく役員や経営幹部に対する報酬を選択しています。報酬は現金や株式で提供されますが、株式の売却または付与のタイミングが制限されたり、オプションや普通株の形式で付与されたりもします。 世界中でスタートアップ企業が出現し、アイデアやイノベーション、そして次世代における未来のユニコーンを生み出す投資家や経営幹部が登場してきました。これらのスタートアップ企業の経営幹部を担う役員報酬の支払方法について新たなトレンドが続く中、グローバルスタートアップ企業は投資家の利益を最大化しつつ優秀な経営幹部を確保する選択肢を慎重に検討する必要があります。 出典: · "2018 MENA Venture Investment Summary." MAGNiTT, January 2019, https://magnitt.com/research/2018-mena-venture-investment-summary. · Maulia, Erwida. "Southeast Asian 'turtles' return home to hatch tech startups." Nikkei Asian Review, 22 May 2019, https://asia.nikkei.com/Spotlight/Cover-Story/Southeast-Asian-turtles-return-home-to-hatch-tech-startups.  

Jackson Kam | 30 9 2019

中国は社会全体でイノベーションの文化を育んでいますが、最も注目すべきはスタートアップ企業です。多国籍企業は中国のスタートアップ企業に投資する、または成功している「ユニコーン」企業がどのように中国の絶え間ない消費者の需要を満たしているのかを探ることで、自社の成長に結び付けることができます。 マーサーの「2019年グローバル人材動向調査」によると、多国籍企業は中国の労働者が雇用主に最も望んでいること、つまり健全なワークライフバランスを提供する能力に留意する必要があるとされています。現在、これは技術系のスタートアップ企業で働く従業員にとって切実な問題です。 イノベーションの文化を発展させる 中国政府は業界のイノベーション文化を育成するため、ビジネス規制をよりいっそう緩和し起業家による実験や成長を促進しています。さらに、効率的なインフラや地域の支援の提供も行っています1。 この新しい風土のもと、著しく成長しているセクターの一つはフィンテックの保険版、インシュアテックです。たとえば、中国平安保険、テンセント、アリババが後援するデジタル保険会社の衆安オンラインは、保険会社向けのSaaSプラットフォームを開発し、保険請求、医療保険、処方薬局、地元の病院情報を含む衆安のデータベースへの迅速なアクセスを提供しています2。 インシュアテックのもう一つの事例に、ルイ・シン・インシュアランス・テクノロジー (Rui Xin Insurance Technology) とチャイナ・レンディング (China Lending) の提携が挙げられます。このパートナーシップでは、保険会社がチャイナ・レンディングの商品を提供する、独自の消費者金融プラットフォームの開発支援を目指しています。2社は両社のプラットフォームで多数の保険商品を開発し、集客の向上のために連携しています3。 こうしたインシュアテックの提携は、中国が現状打破のための実験的コラボレーションやイノベーションのための土台をいかに構築しているかを例証したものです。 中国のユニコーン企業に学ぶ 中国のスタートアップ企業数千社が多くのセクターで革新的なビジネスモデルを開発し、革新的な製品を販売することで従来の企業から顧客を奪い、業界を混乱させていると言われています4。 実際、中国では120社ものスタートアップ企業が成功し、世界234社のユニコーン企業の半数以上を占めています5。中国のスタートアップ企業が卓越している理由は、巨大市場ですばやく拡大できること、そして米国の2倍の博士号を持つ専門家の人材プールを活用できることにあります。また、リスク許容度が高く、「怖いもの知らずの実験」を行って新製品を急ピッチで市場に投入しています。 これらのユニコーン企業はデジタル化の創造破壊的なイノベーションとともに、大きなリスクを進んで引き受け、母国をイノベーターとしてかつての地位に押し上げたいと考えています5。 多国籍企業がこの活力を自社に取り入れる方法 変革・起業家精神を持つ清華大学戦略学部の准教授兼副議長、朱恒源 (Hengyuan Zhu) 氏は、成功を収めているスタートアップ企業は「イノベーションのコンテキスト化」を実践していると言います。中国国内の地域の顧客と連携し、特定の地域で求められている製品を確実に適合させることも含まれます。中国で事業を展開する多国籍企業はここからヒントを得ているのです6。 朱氏は、「成功を望む多国籍企業は中国の現地支店で意思決定ができるよう権限を付与する必要がある。そうすることでグローバルなリソースを活用し、イノベーションシステムに統合し、中国人の顧客のために中国でイノベーションを実現できる」としています。 組織が成功するためには、職場の革新的な文化においてもバランスを取らなければなりません。たとえば、組織では実験的な試みを行いますが、しっかり規律を守る必要があります。職場のあらゆる面で慎重に検討することで、生産的で革新的な文化の実践と成功が保証されるのです。 996勤務への対応:ワークライフバランスの見直し 中国の技術者コミュニティ、特にスタートアップ企業の間では、「996.ICU」と呼ばれる勤務スタイルに反発が強まっています。「996.ICU」とは、中国のプログラマーの一般的な勤務スケジュール、つまり働きすぎで集中治療室 (ICU) 送りになるリスクに脅かされながらも、午前9時から午後9時まで週6日働くことを示しています7。一部のスタートアップ企業は、あからさまにこのような勤怠と不当なKPIのノルマを要求しています。中国人の心情に訴え、このような勤務を奨励している人もいます。 たとえば、アリババの創業者ジャック・マー氏は、「どの会社も従業員に996勤務を強いるべきではないが、幸福を手に入れるには勤勉な労働が必要不可欠。それを若者に理解してもらうのは重要です。996勤務を擁護するわけではなく、私は一生懸命に働く人を尊敬しています」7と語っています。 このような意見は「2019年グローバル人材動向調査」で明らかになった大半の中国人労働者の意見とは対照的です。大多数の人は、職場で能力を発揮するための最大の条件は、ワークライフバランスを管理できることと回答しました。楽しく働きながら新しいスキルや技術を身につけることよりも優先度が高くなっています。 中国のスタートアップ企業への投資を検討し、ユニコーン企業から学ぼうとする多国籍企業は、中国の労働者の健全なワークライフバランスを促進し、変革に成功した人々の多くの特性を取り入れることが求められます。その積み重ねによって、最終的には組織の業績も向上するでしょう。 出典: 1. Jun, Zie. "Whole-of-society effort drives technology development in China," Global Times, 25 Jun. 2019, http://www.globaltimes.cn/content/1155732.shtml. 2. Fintech News Hong Kong. "ZhongAn Technology Launches AI-Powered Data Platform for China's Insurance Industry," Fintech News, 14 Aug. 2018, http://fintechnews.hk/6308/insurtech/zhongan-technology-saas-insurance-data/. 3. China Lending Corporation. "China Lending Forges Strategic Partnership with Rui Xin Insurance Technology to Develop Online Financial Services Platform," PR Newswire, 15 Jul. 2019, https://www.prnewswire.com/news-releases/china-lending-forges-strategic-partnership-with-rui-xin-insurance-technology-to-develop-online-financial-services-platform-300884622.html. 4. Greeven, Mark J; Yip, George S. and Wei, Wei. "Understanding China's Next Wave of Innovation," MIT Sloan Management Review, 7 Feb. 2019, https://sloanreview.mit.edu/article/understanding-chinas-next-wave-of-innovation/. 5. Nheu, Christopher. "The Secret Behind How Chinese Startups are Winning," Startup Grind, 1 May 2018, https://medium.com/startup-grind/the-secret-behind-how-chinese-startups-are-winning-44876b196626. 6. Zhu, Hengyuan and Euchner, Jim. "The Evolution of China's Innovation Capability," Research-Technology Management, 10 May 2018, http://china.enrichcentres.eu/sharedResources/users/4807/The%20Evolution%20of%20China%20s%20Innovation%20Capability.pdf. 7. Liao, Rita. "China's startup ecosystem is hitting back at demand-working hours," TechCrunch, Apr. 2019, https://techcrunch.com/2019/04/12/china-996/.

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Lewis Garrad | 30 1 2020

優秀な人材の確保は、あらゆる組織の将来の成功に不可欠である。そして、エンゲージメントの高い労働力は、人材を動員し求めるものを実現するための最短経路である。これら2つの基本的な経営理念をリーダーたちが確信する中、従業員エンゲージメントは過去10年間で極めて重要な人事トピックとなりました。その結果、主に年次の従業員フィードバックなどにより、多くの組織がエンゲージメントを高めるプログラムに投資するようになりました。 しかし、リーダーや人事部がいくら注力しても、多くの組織は従業員の エンゲージメントと生産性 の改善に苦戦しています。組織の慣性、あるいは「ドラッグ」(drag)は、複数のレベルで進捗に影響を与える普遍的な現象です。1ほとんどの組織は、人々が実際の変化よりも現状維持を好むと理解しています。そのため、多くの人事リーダーは、より関連性の高い有意義な 従業員エンゲージメント を生み出す要因を探求してきました。 科学的な見地 最近のメタアナリシスでは、職場でのエンゲージメントが性格によってどの程度予測できるかが検証されました。2多くの組織が文化的および環境的要因に焦点を当てる中、個々の違いが組織との関わり方にどれほど影響するかを知ろうとしたのです。分析では、職場でのエンゲージメントの約半分が個性によって予測できることが示されました。熱心で、明るく、誠実な従業員は、全般的により高いレベルのエンゲージメントを示しました。 この発見から、エンゲージメントを変えることがどれほど困難であるか説明がつきます。エンゲージメントの半分が性格によって予測できるのであれば、職場慣行や職場環境の組織的改革を成功させるには、個人レベルで何らかのインパクトを与えなければなりません。 エンゲージメントを増進する要因が従業員の認識と性格の両方であるなら、マネージャーレベルで変化を起こす必要があります。個々の従業員を対象に、その人と仕事の繋がりを強くするようなイニシアチブの実施も求められるでしょう。文化的/集団的な変化は、健康状態や協力体制、創造性、生産性を改善するためにも欠かせません。 「エンゲージ可能な」人材の登用こそが成功戦略、という意味ではありません。組織の多様性が極めて重要なリソースなのです。より懐疑的で批判的な人はエンゲージメントが困難になる可能性があるものの、現状に異議を唱えることができる可能性を秘めているのです。このような人材も職場には重要な存在であり、彼らを排除することは効果的なアプローチではありません。 ジョブ・デザインで仕事をもっと魅力的に 最近、Facebook HRチームは、従業員が辞職する理由を調査した結果を発表しました。3日々の仕事が自分の望むほど面白くなく魅力的ではないから、というのが主な理由に挙げられました。Facebookの場合、魅力的でないのはマネージャーではなく仕事なのです。 しかし、職務設計とは通常マネージャーが行うため、完成度は決して高くないと言えます。パフォーマンス管理など他の分野で準備されたトレーニングの量と比較すると、多くのマネージャーが仕事の設計方法に関するガイダンスを受けていないためです。 それでも、ジョブ・デザインは、人事管理でより優先度の高い機能を持つ可能性があります。AIが利用しやすくなれば組織は処理作業を外部委託できるようになります。これは、仕事の仕方を再考する重大な機会となるでしょう。というのも、テクノロジーの活用によって、仕事をより興味深く魅力的にするように設計し直せるからです。 この領域で2つ目の機会となるのが、エビデンスに基づいた管理を採用することです。効果的な仕事の設計を支える科学は既に確立されています。シンプルなプロセスと枠組みを導入することは、マネージャーが現在の仕事の設計を評価し、作成する作業の品質を向上させるために重要となります。 ジョブ・デザインはマネージャーにとって簡単な作業のように見えますが、具体的な職務記述書に忠実な従業員はほぼいません。職務設計をマネージャーと従業員間の共同プロセスにした研究では、自分の役割を作成する人のほうがより積極的で生産的になり、自身の仕事に多くの意味を見出すことが示されています。 キャリアは従業員と組織の未来を繋ぐ 多くの組織が長年にわたってキャリアの軌跡を重視してきました。タレント・レビュー、社内求人、上司とのキャリア開発相談など、これら全ては、キャリアアップをより楽観的に見られるよう設計されています。 問題は、これらの行動は想定したほど機能していない点です。多くの従業員が与えられた現実的なキャリアオプションについて明確に理解しておらず、また組織の構造や要件が変化すればたちまちそのキャリアが風化してしまいます。人材需要が変化するにつれ、慎重に計画されたキャリアも無用の長物となるのです。 極めて困難な課題と言えます。学校や大学の教育者でさえ頭を悩ませています。現在、そして未来、学生にはどのような仕事やキャリアがあるのか。社会的、技術的、経済的に絶え間ない変化があるため、この問いに答えるのは不可能です。この課題解決に導く立場にあるのが企業ですが、そのためには仕事からスキルへと焦点を移さなければなりません。機能性のリストではなく、顧客に価値を提供する適応可能なスキルの束として仕事を捉えるようになれば、ビジネスのどこに有用で応用可能なスキルがあるのかを理解できるようになるでしょう。 また、このシフトで、リーダー陣は異なる方法で従業員とキャリアアップについて話せるようになるでしょう。テクノロジーを使うことで、各々にとって価値あるスキル、価値を低下させているスキル、仕事との関係性を維持するために必要なスキルを従業員が理解するサポートができます。また、個々のエンゲージメントデータは、従業員を前向きにするような経験についてアドバイスしたり、個性に沿った方向で指導したりするうえで役立ちます。 技術的なスキルに加え、組織はリーダーシップ候補となる人材についても検討が必要です。リーダーシップの可能性を最大化させるのは、あらゆる企業にとってホットトピックですが、成功している組織は多くありません。人材データの量が増加する中、リーダーシップ力のある人材が必要な能力開発に集中できるよう、より強力な自己認識の構築に向けた支援を行うことが大切です。 ホリスティックなEPV(Employee Value Proposition)の構築 仕事は、タスクリストという概念から脱却し、代わりに個人的な意義と商業的価値双方における活動のセットとして考えられなければなりません。人事部が従業員のバリュープロポジションを抜本的に異なる方法で考えない限り、この移行は不可能と言えるでしょう。 最も効果的なバリュープロポジションは、仕事が果たす狭い「経済的な」役割だけではなく、従業員の経験全体を評価するものです。生計を立てることより、やりがいのある仕事をする方が困難という人も多いはずです。説得力のあるバリュープロポジションでは、その両方を行えるよう取り組みます。つまり、従業員の処理作業(給与や福利厚生)の先を考え、より未来志向な関係の要素、すなわち、持続可能な幸福感、革新、造成、体験、新しいスキルを開発する機会を取り入れます。 職場で成功することの価値 現在、多くのエンゲージメントプログラムでは、従業員をより組織に尽くせるようにする方法を重視しています。しかし、ここでの問いは、「より健全かつ生産的な体験を実現するテクノロジーを活用しつつ、組織と従業員が共有された未来を一緒に作っていくにはどうすればよいか?」これにより、関係の構造が変化し、従業員による貢献をより広く評価できるようになります。 人事リーダーは、従業員による仕事への認識と彼らの行動をより強力に結び付けながら、従業員の自己認識向上に役立つツールの構築に目を向けなくてはなりません。 従業員調査プログラムは、「エンゲージメントインデックス」のような結果ばかりに焦点を合わせていることもあり、長年にわたって暗礁に乗り上げています。テクノロジーによって従業員のフィードバックデータの活用法が民主化するにつれ、これを双方向的な形で活用し、従業員とマネージャーの両方を指導する機会が出てきました。個々の経験や改善点と主軸に従業員アンケートやフィードバックを改革すると、人事リーダーは、実際に機能するツール採用するうえでより良い決断を下すことができるようになるでしょう。 詳細は、こちらをご覧ください:https://www.mercer.com/what-we-do/workforce-and-careers/talent-strategy/allegro-pulse-survey-platform.html ソース: 1. Garton, Eric. "Your Organization Wastes Time: Here's How to Fix It." Harvard Business Review, 13 Mar. 2017, https://hbr.org/2017/03/your-organization-wastes-time-heres-how-to-fix-it. 2. Young, Henry R.; Glerum, David R.; Wang, Wei; Joseph, Dana L. "Who Are the Most Engaged at Work? A Meta‐Analysis of Personality and Employee Engagement." Wiley Online Library, 23 Jul. 2018, https://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1002/job.2303. 3. Goler, Lori; Gale, Janelle; Harrington, Brynn; Grant, Adam. "Why People Really Quit Their Jobs." Harvard Business Review, 11 Jan. 2018, https://hbr.org/2018/01/why-people-really-quit-their-jobs.

Pat Milligan | 19 12 2019

平均寿命はここ数十年で急激に延びています。1960年には平均53歳に満たなかったのが、2017年には72歳となりました。高所得国では、平均寿命は80歳に届こうとしています。1 世界中で平均寿命と労働寿命が延びているため、就労生活における3大ステージ、すなわち「就学」、「就業」、「退職」に沿ったキャリアモデルにこだわる人は少なくなりつつあります。これに代わって広がりを見せているのがマルチステージという形です。一個人が正社員となり退社した後、パートタイムで働いたり、ギグエコノミーに参加したり、熟年期になって新しいことを学んだり資格を取得したりするスタイルです。 企業は、従業員の労働寿命が長くなり退職年齢が上がっている、この新たな現実に合わせてモデルや慣行、ポリシーなどを進化させていかなければなりません。労働寿命を延ばして高齢に至るまで生産性を維持するべく、「高齢化に備える」必要があります。これを怠れば、拡大しつつあるこの層から得られる利益を失うことになるでしょう。 また、こうした従業員が年齢差別を受けないように配慮することも大切です。雇用の平等に対する取り組み、そして徹底したダイバーシティ(多様性)とインクルージョン(一体性)の戦略を採用している組織でも見過ごされがちなものです。 世界の人材、熟練社員 マーサーが発表したレポート「Next Stage:高齢化への備えはできていますか?」によると、平均寿命と労働寿命は世界中で延びているものの、アジア太平洋地域が最も熟練社員の増加の影響を受けています。 同レポートでは、2015年から2030年の間に65歳以上の人口が2億人を上回ると推計しています。日本は世界初の「超超高齢(ultra-aged)」社会を迎えつつあり、65歳以上が人口の28%を上回るようになります。香港、韓国、台湾が後に続いて「超高齢(super-aged)」社会を迎え、人口の21%以上が近く65歳以上になろうとしているのです。 平均寿命が延びていることから、高齢な従業員は難しい判断に迫られています。多くの人は新しいスキルを学びたい、他の人とつながっていたい、あるいは社会に貢献したいという動機で仕事をしています。しかし、そのような選択肢を持たない高齢な労働者も存在します。延びた寿命の生活資金を賄うためだけに働き続ける人たちです。 老後は出費がかさむこと、年金制度が脆弱化していること、所得格差を背景とした貯蓄不足、低金利などの要因により、かつては退職年齢の迫った社員が当たり前に享受していた安心感が揺らいでいます。継続雇用を望むベテラン社員の存在は、企業や若手従業員にとってかつてない課題であるとともに、機会でもあります。 先入観と偏見を取り除く 世界中の職場において、従業員の人種や性的指向、性別に関わる差別をなくす取り組みは大幅に進歩しているものの、年齢差別については見過ごされがちです。 熟練社員に対する誤解のうち、とりわけ根強く有害なものをマーサーのNext Stageレポートより紹介します。 1.     誤解: 「熟練社員は生産性が低い」 事実:加齢とともに仕事のパフォーマンスが低下するという思い込みが誤解であると証明する研究が多く存在します。 2.     誤解:「熟練社員は新たなスキルやテクノロジーを習得するのが困難」 事実:ここで障害となっているのは、高齢な従業員は新たなスキルの習得が困難ということではなく、往々にして特定のスキルや知識を向上させるために必要なトレーニングを受けていないということです。熟練社員を含む労働者のうち、85%がキャリア開発の可能性を高めるためにスキル開発の機会と技術的なトレーニングを積極的に求めているという研究があります。 3.     誤解:「熟練社員は多くの国で人件費がかさむ」 事実:年齢(と責務)が増すにつれて賃金が上昇する可能性はあるものの、離職率が少ないなど、別の面で雇用者のコストを大幅に削減することもできます。マーサーのデータでは、労働者の年齢が上がる中で、同レベルの役職の賃金に一定の低下が見られます。 熟練した労働者の生産性、学習意欲および能力、雇用者の支出に切り込んだマーサーの調査と分析では、ベテラン社員と若手社員の間に繊細で複雑な関係があることが明らかになっています。高齢な従業員の生産性が低かった事例においても、個人のパフォーマンスに焦点が当てられる一方、メンタリングやトレーニング、指導に充てた時間など、重要な要素が考慮されていませんでした。 熟練社員の価値を高める 企業は、円熟した従業員の才能やスキル、潜在能力を活用することを学ぶ必要があります。マーサーの「2019年グローバル人材動向調査」は、現代のテクノロジーを企業の人事システムに統合することで、ベテラン社員に有益なツールを提供し、価値ある新たなスキルを教えることができるとしています。これらのテクノロジーでは、専門的な学習機能と予測型のソフトウェアアルゴリズムを利用し、精選(キュレーション)されたキャリア開発パスを提供します。 企業の学習プラットフォームでは、特定のキャリア目標に関係するコンテンツを集めたりスキルギャップを埋めたり、また専門知識を共有する同僚とのネットワーク作りにも活用できます。キュレーション学習プログラムでは、従業員が自分のペースでスキルを開発し、個人的なキャリア目標のベンチマークに基づいて資格を取得することも可能です。 また、企業の多くは熟練社員の価値と貢献を正確に評価できていません。そのために高齢な従業員の職業能力開発の機会が制限されているのが現状です。マーサーのNext Stageレポートでは、熟練した労働者は、長年の実務経験から得た深い知識、事業に関連する社会資本、技術またはコンテンツの専門知識を通じて、組織のパフォーマンスに大きく貢献できるとしています。 また、傾聴やコミュニケーション、コラボレーション、チームビルディングなどの重要なソフトスキルは、一般的に軽視されがちです。業績評価や昇進の可能性、報酬など、一般的なパフォーマンス指標に頼る企業では、ベテラン社員の貢献を過小評価し、活用機会を逃してしまいかねません。 熟練社員の価値と可能性を最大限に高めることにより、雇用主はこれらの従業員の経験や知識、人生経験を活用する職業能力開発の機会を新たに創出できます。年齢は知恵を育みます。エンパワーメントによって活用された熟練社員は、過去の貴重な経験を道標にしつつ、企業を明るい未来に導いていけるはずです。 出典: 1. "Life expectancy at birth, total (years)." The World Bank, 2017, https://data.worldbank.org/indicator/sp.dyn.le00.in

Fabio Takaki | 19 12 2019

影響力を持つ女性たちには企業、業界、さらには国家を変革する力があります。マーサーのレポート「When Women Thrive Business Thrive ~女性が活躍するとき、企業も持続的に成長する~[T.M.1] 」によると、女性がリーダーとして働き生活している地域では、教育、健康、地域開発プログラムへの貢献度が高くなるとされています。 女性のリーダーが企業や地域社会にポジティブな影響を与えるにも関わらず、世界の大手金融機関のリーダーに女性は少ないのが現状です。また、女性たちは投資対象となる企業の経営陣にも低いウエイトでしか存在しません。オリバー・ワイマンの新しい報告書[T.M.2] (MMCグループ企業の一部) によると、世界の金融機関では経営幹部の20%、取締役会の23%を女性が占めていますが、CEOはわずか6%に留まっています。 しかし、伝統的に女性の昇進が最も難しいとされていた地域の1つの中東において、金融業界の経営幹部に女性が徐々に登用され始めています1。中東の金融業界で女性が地位を確保し地域社会や他の業界に波及していくにつれ、世界の経営者たちはこの動きに注力する必要があるでしょう。 中東の金融業界で活躍する女性の経営幹部 中東の金融業界ではますます多くの女性が、銀行、投資会社、金融、法律、コンサルティング関係の会社の経営幹部を務めています1。たとえば、2018年9月、ローラ・アブ・マネ (Rola Abu Manneh) 氏はスタンダードチャータードUAEのCEOに指名され、UAE初の女性頭取になりました。UAEの銀行業界で長年の経験を持つアブ・マネ氏は、重要案件を銀行に持ち込むナレッジとリーダーシップ力を発揮しています。マネ氏は、CEOに就任した最初の年に、ドバイに拠点を置くエマール・プロパティーズに対し、ホテルをアブダビナショナルホテルに売却するよう提言しました2。 もう一つ例を挙げるとすると、サウジアラビア最大の商業銀行、サンバ・フィナンシャル・グループ初の女性CEOのラニア・ナシャール (Rania Nashar) 氏です。商業銀行セクターで20年以上の経験を持つナシャール氏は、2017年にCEOに指名され、サウジアラビアの上場銀行初の女性CEOとなりました3。また、この瞬間をもってサウジアラビアKSAのビジョン2030の一環として男女平等を促進する改革が始まっており、ナシャール氏はこれを継続させたいと述べています。 「サンバ銀行ほどの規模の銀行でも女性CEOが指揮を執ることができ、史上最高の業績を上げられることを実証するだけでなく、サウジアラビアや世界のすべての女性のために示したいです」とナシャール氏は語り、付け加えました。「サウジの女性たちが誇れるお手本になりたいと思います」4 ルブナ・オラヤン (Lubna Olayan) 氏も、サウジアラビアの有力なリーダーの一人です。彼女は30年以上にわたって、湾岸地域でオラヤングループの貿易、不動産、投資、消費、産業関連の業務を行う持株会社オラヤン・ファイナンシング・カンパニーのCEOを務めました。また、タイム誌の「世界で最も影響力のある100人」、フォーチュン誌の「世界で最も有力な女性」への選出を含め、多数の賞を受賞し、女性の経済的権利の擁護者として評価されています5。 リーダーシップに重要なジェンダー平等 こうした女性のリーダーたちは、地域の金融業界の男女平等の推進と変革に貢献しています。進歩はしているものの、課題は山積みと言えるでしょう。政府はジェンダーの均等を促進するための取り組みを行っていますが、経営者たちのマインドセットを変え、バイアスを克服するには時間がかかります。 しかし、それは追求する価値のあるプロセスです。人手不足に直面している組織や国家にとって、女性の人材を活用することにより、競争、成長、成功のための戦略的な機会が提供され、経済全体の変革も促進されます。 マーサーのレポート「When Women Thrive Business Thrive ~女性が活躍するとき、企業も持続的に成長する~」によると、女性は供給者、育児・介護者、意思決定者、消費者として重要な役割を担っており、将来の世代の教育と健康、そして地域社会の発展に貢献しているとされています。女性幹部は、結束力の強いチームを作り、人材の維持、スキル開発、育成を行い、多様で新しい視点を組織にもたらす上でも寄与します。 実際、マーサーの調査は女性幹部の登用の増加が、地域社会や国家における経済的および社会的発展に影響を与えることも示唆しています。エコノミストは、男女の雇用格差を是正することで国内総生産を米国で5%、日本で9%、アラブ首長国連邦で12%、ヨーロッパで34%大幅に向上させることができると算出しています。 女性比率の低い領域におけるジェンダー平等の実現 女性の人材を獲得し、意欲的に働いてもらうための適切なアプローチは、それぞれの企業の風土や必要性によって異なるとはいえ、世界的にも有効と考えられる戦略がいくつか存在します。マーサーの調査によると、ジェンダーの多様性を実現するために必要な要素として、健康、経済的な安定、人材の適切なマネジメントが挙げられています。 1.健康 女性にとって健康は特に重要です。女性特有の健康問題や病気の影響があり、男性とは異なる方法で医療制度を利用することがあるためです。 たとえば、女性の罹患率が高い精神衛生上のリスクは、女性の生産性に大きな影響を与えています。単極性うつ病は、仕事上の障害の主な要因となっており、男性より女性の方が約2倍多いと言われています6。 ビジネスにおけるジェンダー平等を実現するには、企業は次のような分野で、女性が最も必要とする方法でヘルスケアを提供する必要があります。 1.     フレキシブルな産休 2.     身体的健康、ウェルネス、メンタルヘルスのサポート 3.     医療リソースへの自由度のあるアクセス 4.     厳しいライフイベントにおける精神的支援 5.     女性専用の医療サポート 2.経済的な安定 女性の抱える経済的責任や経済的ストレスは、男性よりも大きいことが報告されています。プルデンシャルが実施した2018年の調査によると、平均的な女性は、平均的な男性と比較して、退職後の貯蓄が少ないことも明らかになっています。退職後に備えて貯金をしていた女性はわずか54%で、その額は平均115,412ドルです。対照的に、退職後に備えて貯金をしていた男性は61%で、その額は平均202,859ドルでした。女性が退職後に貧困に陥る可能性が大幅に高く、女性の平均余命を短くすることにもつながることを示しています7。 この問題に対応すべく、組織は女性が公正な報酬を受けられるようにすること、将来のお金[T.M.3] の計画についてコーチングや教育支援を強化すること、女性向けに退職オプションを調整すること、貯蓄・退職口座への体系的かつ定期的な積み立てを奨励することを確実に行っていく必要があります。 3.人材の適切なマネジメント 女性には、トレーニングとスキル開発の機会だけでなく、昇進の機会に加え仕事以外の重要な役割を果たすための柔軟な勤務体系も必要です。 経営レベルでの男女共同参画をさらに改善するために、管理職に対する取り組みは欠かせません。しかし通常、管理職は長時間勤務が必要となり、チームやクライアント、上層部の管理能力も求められます。そうした地位の女性たちにとっては出産期と重なる可能性があり、企業がテクノロジーの活用、育児支援、女性向けメンタリングおよび経営支援、ビジネスリソースグループ、多様性および一体性プログラム、トレーニングなど、適切な働き方を提供しなければさらに困難になります。 女性の人材がビジネスに貢献し、事業拡大をもたらす力となりうることに疑いの余地はありません。金融機関と政府が優秀な女性を労働者また経営者[T.M.4] として登用するために求められる戦略に注力することにより、ポジティブな成果が表れてくるでしょう。影響力を持つ女性たちは、ビジネスの洞察力を生かし組織の成長を促すだけでなく、社会における女性の役割が教育やコミュニティを大きく改善し、ひいては国家の変革を可能にします。 出典: 1. 1. "The 50 Most Influential Women in Middle East Finance," Financial News, 29 Apr. 2019, https://www.fnlondon.com/articles/the-50-most-influential-women-in-middle-east-finance-20190429. 2. "FN 50 Middle East Women 2019," Financial News, 2019, https://lists.fnlondon.com/fn50/women_in_finance_/2019/?mod=lists-profile. 3. "Rania Nashar," Forbes, 2018, https://www.forbes.com/profile/rania-nashar/#20d8136e473c. 4. Masige, Sharon."Raising the Bar:Rania Nashar," The CEO Magazine, 27 Jun. 2019, https://www.theceomagazine.com/executive-interviews/finance-banking/rania-nashar/ 5. "Lubna Olayan Retires as CEO of Olayan Financing Co.; Jonathan Franklin Named New CEO," Olayan, 29 Apr. 2019, https://olayan.com/lubna-olayan-retires-ceo-olayan-financing-co-jonathan-franklin-named-new-ceo。 6. "Gender and Women's Mental Health:The Facts," World Health Organization, https://www.who.int/mental_health/prevention/genderwomen/en/#:~:targetText=Unipolar%20depression%2C%20predicted%20to%20be,persistent%20in%20women%20than%20men。 7. "The Cut:Exploring Financial Wellness Within Diverse Populations," Prudential, 2018, http://news.prudential.com/content/1209/files/PrudentialTheCutExploringFinancialWellnessWithinDiversePopulations.pdf.

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