資産運用

今日の世界においてテクノロジーの影響は多くの混乱と苛立ちを招き、人々は情報の真偽や利害性を判断することに悩まされています。デジタルトランスフォーメーションは、人々の自分自身や自分のお金、自分の将来に対する見方に影響を与えきましたが、投資業界はそれに対する免疫をもっていないのです。最高情報責任者(CIO)はこうした変化を認識し、技術革新が投資業界、そして社会全体に影響を与える中、それをどう利用するかを判断する必要があるのです。 誇大広告と現実:真実はその中間にある   AIやデジタルトランスフォーメーションに関する誇大広告の多くは、投資業界を含むあらゆる業界の中で、機械が労働者を代替するとしています。AIは金融データ、取引情報、インターネット上で表現された利害関係者の感情等を瞬時かつ包括的に分析することで、企業価格評価の選定プロセスに革命を起こしてきました。また非構造化データ、購買行動モデル、市場の変動性に対しても、新しいインサイトを提示してきました。しかし一方では、人的要因も未だに必要とされています。最高情報責任者であれば言うまでもありませんが、我々は未来を100パーセント確実に予測することはできません。しかしデータ分析や調査を注意深く行えば、未知のものもある程度のコントロールすることができるのです。安全性や資産価値は、部分的には人間の知覚によって決定されています。従って戦略を立てる際には、投資チームは全ての情報とデータを分析した上で、どう前進するかを人間的に決定する必要があるでしょう。 フィンテックの進歩は、最高情報責任者や投資チームに恩恵をもたらしてきました。例えばフィンテックの高度なデータ分析やリスク分析能力によって、彼らはより緻密で改良されたリスクダッシュボードを利用し、実用的な情報を素早く得られるようになりました。フィンテックの洞察的な診断は、彼らが戦略をどう実行すべきかを理解する手助けをしています。また運とスキルの間に明確な線を引く手助けをしているのです。しかしながら、それもまた、とても定性的ゲームと言えましょう。 フィンテックは、消費者の役割にも大きく影響しています。アプリやテクノロジー・プラットフォームによって消費者が財務目標や戦略をコントロールできるようになったからです。消費者は誰もが利益を受けられる投資目標に、これまで以上に注目していますので、これは前向きな傾向と言えるでしょう。今のところ、先進技術が投資業界を支配するという憶測は、現実には起こっていません。感情的に議論されているその他の様々な事柄にも言えることですが、真実とは大抵どこか中間辺りにあるものです。 ロボアドバイザーは関係性を合理的にする   ロボシステムと業務自動化により、企業は顧客情報にアクセスしやすくなり、肥大化したプロセスを合理化できるようになりました。多くのファイナンシャルアドバイザーは人間が介在する度合いに幅を持たせ、ロボアドバイスをサービスの中に取り入れています。全く人間を介さない場合から密なやり取りする場合まで、さまざまなレベルでやり取りができることで、顧客は実際にファイナンシャルアドバイザーの協力が必要か不要かを、希望通りに選択できるようになりました。ロボアドバイザーやその他の技術的進歩は、投資業界に混乱を招くこともありますが、ファイナンシャルアドバイザーがより生産的に有益に働けるような手助けをすることもあります。例えば、ファイナンシャルアドバイザーは顧客へのアドバイスを考案するテクノロジーを使うのではなく、アドバイスの提案方法に特化したテクノロジーを利用することもできるでしょう。しかしながら結局のところは、顧客の多くが、家庭の未来を左右する財務に関わる決断は、人間のアドバイザーと相談してから決めたいと思っているのです。 ブロックチェーンと信用の再構築   マーサーの「Healthy, Wealthy, and Work-wise report」―12ヵ国で検証した内容―は人々が誰を一番信用するのかを分析したレポートです。このレポートによると信用する相手の上位になったのは、家族、友達、従業員でした。一方で、低い順位に付けられたのは、金融仲介機関、銀行、保険会社でした。この結果は投資会社、そして投資業界全体に関わる問題です。世界金融危機と大恐慌後、人々は金融界を信用しなくなりました。投資業界からひどい目に合わされた(あるいはそういう人を知っている)多くの人々は、利息の少ない銀行口座に預金を預ける傾向があり、質の高い投資アドバイスを受けることから遠ざかっているのです。 ブロックチェーン技術は、金融界やその信頼性の評価の低さに大きな変革をもたらします。ブロックチェーンは投資家と顧客に不変的で安全な金融取引のデジタル記録を提供しているのです。投資家たちは、混乱した財政構造の時代―例えばサブプライムローンのトランシェなど世界情勢を悪化させた問題―を経たのち、透明性が高いものに魅力を感じるようになりました。顧客や世間の信頼構築に苦労している投資業界にとっては、ブロックチェーンはアカウンタビリティの新たな時代を作り出すものであり、収益性の高い関係性を構築するための手段になっているのです。 その他の業界でも同じことが言えますが、顧客と消費者はネット上でナラティブをコントロールしています。ビジネスはいかなる決断や、やり取りにも公的説明責任があるのです。こうして透明性のレベルが高まり続けていることは、投資のプロフェッショナルや投資会社がより良いサービスや結果を提供するための動機づけ要因になっています。高いレベルの透明性を保つことは、世間からが失った信頼を金融業界が再構築する方法なのかもしれません。 個人がコントロールすること   マーサーは―他の資産運用機関や投資アドバイザーと同様に―個人がファイナンシャルアドバイスや投資金融商品の良し悪しを判断する手助けをする責任は、政府や、プラン・スポンサー、金融仲介機関、業界全体にあるとしています。投資業界に奉仕し、信頼回復を促進するために、マーサーはシンガポールや香港を含む複数の市場で、以下の二つの目標達成を目指してMercer FundWatch.comをローンチしました。 (1) 個人投資家が利用できるファンドの評価システムを提供し、投資家とファイナンシャルアドバイザーが評価に基づいてファンドを比べられるようにする。これらの評価は綿密な定性分析に基づくものとする。 (2)  このサイトを利用する金融仲介者に―顧客へ推奨するプロセスへのインプットとして―Mercer Fu ndWatch.com.に着目する機会を与える。個人投資家またはファイナンシャルアドバイザーが、共に取引ができるハイクオリティーな機関を探している場合は、信頼できるデューデリジェンスをもとに、彼らが簡単に仲介人を見つけられるよう、また仲介人リストにアクセスできるようにする。 デジタルトランスフォーメーションは、世界中で急激に加速しており、その可能性は無限です。投資会社は新たな領域を探求し、激しい競争の中で勝ち残るためには、AIとスマートテクノロジーの台頭を受け入れるべきなのです。テクノロジーの進化は投資業界のみならず、顧客の期待、人とお金の関わり方、顧客自身や投資のあり方を絶えず変え続けているのです。

Beverley Sharp | 07 3 2019
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