キャリア

文化とは、人々が世界を解明する方法です。賑やかなムンバイの通りや蒸し暑いブラジルのビーチから、東京のネオンやメキシコシティのリズムまで、文化は人々にアイデンティティを与えてくれます。また、文化は規模に合わせて拡大することも、縮小することもできます。国、地域、職場にはそれぞれ、集合体としての個人を定義する文化があります。 一群の人々が価値観や感性に関する共通の理解に従って行動するとき、その人々はある一つの文化に寄与することになります。経済成長地域の企業は、デジタル変革時代の新たな機会を活かす豊かな企業内文化を確立するために、今すぐ行動を起こさなければなりません。 企業全体にわたるコンセンサスの構築   世界経済の進化に伴い、経済成長国は、国境を越えた国際市場にこれまでになくアクセスできるようになりました。しかし、急速な変化のため、多くのビジネスリーダーは、経済的な成功に対する文化の価値や役割について食い違う意見を持つようになっています。こうしたコンセンサスの欠如は、企業のビジョンを不明瞭にするだけでなく、社員や消費者の混乱の原因にもなります。 企業内文化が収益性にとってどのような意味を持つかという点について、世界中の企業の経営幹部、一般管理職、人事担当者の解釈は往々にして異なります。M&A業界に焦点を当てた、マーサーの調査レポート 『M&Aの価値を高めるための組織文化リスク対策 - Mitigating Culture Risk to Drive Deal Value』の概要は、経済成長地域のあらゆる企業に対し、文化をめぐるコンセンサス構築の複雑性に関する貴重な洞察を提供しています。 経営幹部レベルの重役は、ガバナンスと意思決定のプロセスが、文化の最重要構成要素だと評価しています(60%)。 独立系アドバイザーは、業務管理(測定)が組織変革を促し、文化を定義する上で役割を果たすことができ、また果たすべきであると考えていますが(45%)、これに同意している人事担当者は18%にすぎません。  経営企画の担当者(41%)は、リスク許容度および管理が取引の弱体化につながる可能性があると考えています。 人事担当者は、コラボレーション(69%)とエンパワーメント(54%)が文化の最重要構成要素だと評価しています。   経済成長地域の企業は、文化に関する自社の姿を定義することに積極的になるべきでしょう。技術革新や社員の意見を尊重する文化でしょうか、それともリスク回避型の厳密に階層的な文化でしょうか。個人の努力とチームワークのどちらを重視するのでしょうか。国際的な成長と、地域(ローカル)における卓越性のどちらに注力するのでしょうか。反抗的で不遜でしょうか、あるいは謙虚で真剣でしょうか。成功をどう定義し、社員と顧客をどのようにその定義の要素に組み込むのでしょうか。 効果的な企業文化は、リーダー、社員および業務全体のコンセンサスを構築することから始まります。 存在理由を明確に表現する   ビジネスリーダーも社員も皆が、「なぜここで働いているのか?」という質問に答えられなければなりません。この内省的な質問に答えることで、トップの意思決定者からあらゆるレベルの社員まで、企業に所属する人々が、その企業の存在理由を否応なしに内面化するようになります。存在理由を理解することで、ひとりひとりがその企業に入社し、ミッションの一端を担うことを選んだ意味合いが明確になります。 続いてビジネスリーダーは、その存在理由を、企業が市場価値を提供するターゲットと手段を示す戦略的目標として明確に表現する必要があります。この戦略的目標では、全社員に理解されている予算とスケジュールを考慮しなければなりません。それにより、全員が共通の価値観のもとで一丸となり、協力して目標に向かうことができます。 『M&Aの価値を高めるための組織文化リスク対策 - Mitigating Culture Risk to Drive Deal Value』報告書によると、アジア(日本以外)では、回答者の67%が、コラボレーションが「業績の高い」職場文化における最重要の行動であると考えています。ラテンアメリカでは、回答者の65%が同意しています。しかし、日本の回答者については、「コラボレーション」は、業績の高い職場文化の原動力の上位5件には入りませんでした。経済成長地域の企業は、競争の激しい世界経済に影響を与えようとする前に、強固な企業内文化を確立することが重要です。ただし、そうした企業内文化は、地理など、さまざまな要素の影響を受ける可能性があります。例えば、杭州を拠点とするアリババは、深センを拠点とするテンセントとはまったく異なる文化を持っています。 強固な文化は、企業が競合他社との差別化を図り、経済における逆境、リスク、制御不能な変動に効果的に対処する力となります。リスクへの取り組み方や課題への対処方法を決定すれば、企業の文化的価値が明らかになるだけでなく、社員や出資者に対して、団結につながる共通の目標をも示すことができます。企業内文化を明確に表明することは、生き残りの鍵となります。 さまざまな地域で文化を確立、強化しようとする企業にとっては、地理的ニュアンスを根本的に理解することが、例えばコラボレーションのような面で、戦略目標の成功と達成に不可欠となることがあります。 約束を実践するリーダーをエンパワーする   リーダーシップはあらゆる豊かな企業内文化の基盤です。実際、マーサーの報告書では、アジア(日本以外)の回答者の69%が、「リーダーの行動」が健全な組織文化の一番の「原動力」だと答えています。ラテンアメリカでは、64%がこの回答です。日本では、職場文化に対するリーダーシップの重要性を支持する回答が74%と目立っています。 企業の成功はしばしば、組織の価値を具現化し、それを社員や顧客に伝えるリーダーに直接結び付けられます。アリババとテンセントは、それぞれのリーダー、ジャック・マー(現在は引退していますが)とポニー・マーで有名です。リーダーシップはビジョン、エネルギー、方向性を提供します。企業の価値観と約束を最も代表するリーダーを見極めて選択することは、企業文化にとってきわめて重要です。これは必ずしも最も熟練した、あるいは最も人気のある実業家を選ぶということではなく、どのような関係でもそうであるように、最も相性の良い人物、すなわち、インスピレーション、創造性をもたらし、他者に奮闘するよう意欲を湧き起こさせることのできる人物を選ぶということです。 効果的なリーダーは、自分自身を含む全社員に説明責任を要求します。CEO、経営幹部レベルの上級管理者、その他マネージャーは、各自が代表する業務の価値観と基準に従って行動する必要があります。リーダーは、文化の持つビジョンと期待を行動に移すことによって、文化に正当性を与えます。模範を示さない偽善的なリーダーは、社員の意欲を失わせ、ブランド全体に対する人々の敬意を弱体化させます。説明責任の公平な分担を重視する文化は、社員同士のラポールと責任感を生み出します。自分自身より有意義で偉大なものに属していると感じれば、人は自らの仕事に善意を注ぎ込みます。強固な文化は、質の高い製品、サービス、そして顧客体験を生み出します。 人と業務にビジョンを合わせる   文化は偉大な企業同士を結びつける無形の力です。しかし、文化は空気のような性質のものであるため、多くの企業にとっては苛立たしいほど捉えどころのないものともなります。まして、文化が国際的なプレッシャーとデジタル変革の新時代に突入しつつある経済成長地域においては、なおさらです。 Mercerの東南アジアM&AリーダーDhruv Mehraは、ウェブキャストにおいて、前述の報告書についてこう説明しています。「文化は天気のようなものです。我々は、文化について好んで話題にし、文句を言い、何かにつけて文化のせいにします。しかし、文化をどうこうするつもりはないし、率直なところ、何ができるのかわからないのです。」 企業には途方もない金銭や価値が掛かっているので、天気のように文化を扱う余裕はありません、とMehraは説明を続けます。 基本的に、文化は人々が共に働くための業務基盤です。組織の集団的な力の中心です。企業文化は無形かもしれませんが、社員や顧客の視点および行動から容易に認識できます。文化とは、その目的を理解する社員全体から、専門的に満たされていると感じる個々の社員、そして繰り返し戻ってくる得意客まで、すべてを指します。文化とは、人々が集まり、彼らにとって意義のある何かを行うことです。文化は、企業が存在する理由なのです。

Dhruv Mehra | 07 3 2019
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資産運用

グローバル化により金融サービス業界の形成が続いている。企業は事業の国際化を余儀なくされ、世界中にその影響の及ぶ範囲が拡大している。 世界金融危機後の時代、金融サービス業の殆どはその企業構造とグローバルフットプリントを綿密に検討している。最近では、ブリテックスや浮上する貿易戦争の影響で、金融サービス業は長年に渡り力と名声の上に築き上げられた業界を刷新する可能性のある非伝統的な場所に立地選定を検討している。金融ハブとして崇められてきたロンドン、ニューヨークシティーや東京は、歴史における名高い評判とストリート・クレディビリティはある。しかし、コスト意識が高く鋭敏で非集中的になっている世界にとっては、信じられないほど高価で過密な場所になる。 こうした傾向に拍車をかける重要な別の要素として、従来のビジネスモデルや金融業界におけるこれまでの顧客との関わり方の崩壊を約束するフィンテック(FinTech)業界の発展がある。フィンテックは、モバイルペイメントやP2Pの貸借取引の簡素化、株や暗号通貨への投資方法の現代化やその他のインターネットベースの金融取引を個人のスマートホンで実行するといった、大手銀行と顧客の関係に対して、先端のプラットフォームとアプリを通じて革命を起こす準備を整えている。特に、こうした業界の非集中化は新興経済国にとって前代未聞の成長のチャンスが訪れる。異なる州、国や文化のどこでどのように新しい存在感を確立するかの判断には、拡張したベンチャーのみならずブランドや企業の全てを予告なく壊滅できる決定的因子の複雑な絡み合わせを必要とする。 複雑な状況を理解するカギはその中心的要素を解体し、こうした要素がどうお互い関係し合い、成功または失敗を導くかをあらゆる角度で検討することである。金融サービス業において、効果的な立地選択には不動産や国際税法、そして環境技術やサプライチェーンのロジスティックスと全てに至る専門知識と適格性の多様な陣列を提供する結合力のあるチームを必要とする。このレベルの知的洗練の操縦には並外れた努力を必要とする。金融サービス業がその課題を回避できなければブランドにとっては恒久的なダメージとなるコスト高な経費を回避する為の立地選択における7つの課題を次に示す。 1. 文化的相違:異文化コミュニケーションは、異なる人々が同一の相互交流を経験するが、その経験から全く異なる感想と結論を持ち去る為、様々な目に見えない予期せぬ挑戦が余儀なくされる。立地選択は現地の事業許認可の規定や規制、建設やユティリティの問題、その他労働法、政治的問題や財務プロトコルといった文化的にデリケートな課題といった込み入ったトピックについて徹底した話合いを必要とする。立地選択チームのメンバーは全員が選ばれた地域の言語に堪能でその文化に長けていなければならない。 2. 要件定義の不足:立地選択はそれぞれが特有で、独自の挑戦課題や障害がある。金融サービス業は足場の拡大と株主に好印象を与えることに熱を上げ、重要な詳細を頻繁に見過ごすことがある。スマートな立地選択チームは、場所の発見から最終的な交渉に至るまで、そのプロセスにおいて終始要件が明確に定義され優先順位がつけられていることが保証されるよう内在のチェックアンドバランスに依存する。同時に、各立地評価で確認が必要な決定的要件範囲の遵守において、複数の立地を検討はチームを支援する。もしも、最初の要件で明確な定義や描出がされない場合、プロジェクト全体が危険にさらされることになる。 3. 透明性の欠如:立地選択にはそれが常に生産的方法で一致し繋がるとは限らない眩暈がするほどの数の人、意見そして専門的な洞察が関与する。コミュニケーションの崩壊はプロセスの全ての段階に影響し、その是正には予算のない時間とお金を必要とするコスト高という過ちの結末を招く。立地選択チームは、全ての基準に客観的な事実とデータに基づき評価される計画書が用意されている事の確認が必要となる。人は誰しもが誤りを免れない。よって、立地選択チームは、データソースの完全性と透明性、リサーチの手順と普及と情報分析を保護する厳しいガイドラインに従わなければなない。 4. 不完全な調査:立地選択は広範囲のステークホルダーに影響し、各ステークホルダーから慎重に意見を聞く必要がある。リサーチが不完全になる場合の多くは「全て」のステークホルダーの完全な関与を募ることが出来なかった結果で、誰の目にも明らかという理由だけではない。受入国や地方自治体及びその規制当局の意思決定者と住民に加えて、立地選択チームは近隣の地方自治体、労働及び経済開発機関、そしてその他の関連のコミュニティ、政治又は業界団体などを考慮しなければならない。こうしたステークホルダーの優先順位に早期に対処することが立地選択を成功させるカギとなる。 5. オペレーション全体への影響の理解:立地選択は資源集約的な努力である。企業にとって立地選択のプロセスが既存の優先順位や事業に与える全体の影響を過小評価することは容易い。人的資本、技術又はその他の資産の小規模のリロケーションであっても、重要なルーチンや関係を中断させる形で企業やその外部パートナーに反響が及ぶ。立地選択のプロセスを開始する前に、企業は立地選択の手順により最も影響を受ける人とプロセスを特定する為のストレス試験を実施すべきである。 6. 不適切な見落とし:効果的なリーダーシップは立地選択プロジェクトを成功させるカギである。立地選択の意思決定に多くの団体や個人が貢献するようになると、ワークフローサイロ、データの断片化、業績基準(パフォーマンスベンチマーク)に影響を受けやすいオペレーションになってしまう。立地選択チームは要件の定義、コミュニティの評価、租税/不動産分析と最終的な立地買収に至るまで各レベルに対する責任をもつエンティティを持つ必要がある。その後の協議と決断の堕落からデータ又はプロセスの崩壊を防ぐ為に、監視メカニズムは一番最初から実施されなくてはならない。 7. ブランドの品格:金融サービス業のグローバルフットプリントを増やす為の業務拡大は非常に公的で、コスト高の注目を浴びる追求である。立地選択の失敗のニュースはすぐに業界中そして世界に広がる。金融サービス会社で「それにしくじる」会社はそのブランドアイデンティティにとって壊滅的なダメージに苦しみ、無能で経営のお粗末な意思決定を誤った会社と受け取られるようになる。立地選択チームはメディアと共に立地選択の効果と利益に関する語り口を導くことを行うべきである。「それにうまくいく」会社はブランドを競合他社よりも高い位置に押し上げ、良く練り上げられた立地選択のオペレーションの上に将来のビジネスと利益を築くことができる。   最後に、金融サービス会社は立地選択の各プロジェクトには柔軟性、先見性そして学習意欲を必要とする非凡な努力を要することを覚えておく必要がある。同じ戦略、一般的な同じ質問は失敗への温床となるだけである。一方で、偏見のないダイナミックな包括的戦略は課題を早期に特定し、現実的なソリューションを可能とし、プロセス全体を最適化する。状況認識はチームの全メンバーから常時観察されなければいけない。結局のところ、立地選択の成功は、人が場所に優先する立地選択と言える。

マリオ・フェラーロ | 15 11 2018
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