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中国の国内市場の大きさと規模は、国家の最も大きな経済的な功績となった。中流階級の爆発的な台頭から全人口及び全産業界を通じたデジタル変革の圧倒的な影響まで、中国、そしてグローバル経済は、投資の機会の新時代に突入している。中国に投資することで生み出されるであろう収益はあるが、厳しく規制されているこの国の国内アセットを国外の投資家に開放するには、まだまだ双方ともに学ばなければならないことが多い。 展望:中国vs成長経済 マーサーのレポート 中国A株のMSCI指数への組み入れ:アセットマネージャーと投資家にとって意味すること では、中国の国内市場がグローバル経済へと開放されることが、なぜ国際的な投資業界及び市場全体に熱狂をもたらしたのかが説明されている。この熱狂に対して、中国とMSCIは慎重に計画された戦略によって注意深くコントロールしており、将来の成長のためのフレームワークを構築しながら計画を実行している。初期段階では株式の時価総額のほんの5%に過ぎない226の銘柄しか採用されておらず、これは、この新時代が認められるにはじっくりと長期的な考え方が必要なことを表していた。この慎重なアプローチはこの地域の競合する成長経済にとっては歓迎すべきニュースかもしれない。 中国のA株(国内アセット)の国際市場への段階を踏んだ公開にもかかわらず、MSCI指数への組み入れは、グローバルな経済的見通し、特に新興経済への影響という面において、大きなインパクトを与えるだろう。例えば、中国A株の5%組み入れと、そして100%組み入れとにおいてMSCI指数がどのように変わるかを見てみよう。インドや台湾、韓国のような成長経済は、中国の国内市場がグローバル指標に組み入れられることによりネガティブな影響を受けるかもしれない。もしも、投資家たちが成長市場から中国A株という新たな機会へと焦点を移す場合は特にそうだ。 (出展:MSCI) 変化というものはいつも、ブレイクスルーや障害物、そして未知への不安といったものをはらんでいるものだ。将来のことを100%正確に予測することは誰にもできないが、中国がグローバル経済において新しいステータスとなることによる機会や課題を、そしてそれが株式投資家にとってどのような意味を持つのかを、一緒に分析してみよう。 MSCIへの組み入れによる機会 1.     市場の大きさ:中国の国内市場は3,000以上の銘柄の株からなる大きなもので、世界で最も流動的だ。2017年初から上海及び深センの証券取引所は、一日当たりの総取引数においてニューヨークとNASDAQ証券取引所を併せたよりも多くの件数を記録している。 2.     多様性:中国の国内市場には、幅広い産業における様々な企業が存在し、それは(ITと金融に集中している)香港証券取引所で中国株が上場されているよりも、セクターレベルではるかに多様化している。 3.     独自性:歴史的に見て、中国A株市場は他の株式市場との相関関係が低く、それこそが、価値を生み出す新しく未開拓な機会の時代を特徴づけている。 4.     限られた外国人持株比率:中国国内の個人投資家がその浮動株の時価総額(一般の人々に入手可能な発行済みの株式の数)の75%以上を占めている状態で、この市場に通じた機関投資家が不足している。前例のないこの状況そのものが効率の悪さを生み出すかもしれないが、同時に、新たな機会を模索しようとしている投資家にとって良い結果をもたらす環境を作り出すかもしれない。 MSCIへの組み入れによる課題 1.     ボラティリティ:この市場は大きくて流動的であるとはいえ、変動的であり短期間の間にその流動性が劇的に下降する期間も過去にあった。しかし、中国は不安定さを緩和する対抗策を講じてきており、それには、市場が混乱する時期にA株を購入することで市場を安定させる「ナショナル・チーム」ともいうべきものを構築したことなどを含む。 2.     集中:中国A株すべてが指数に組み入れられた時に懸念されるのが、指標銘柄の構成だ。グローバルエマージングマーケットインデックスは現在のところ比較的多様化されているが、中国A株市場全体が組み入れられることで次第に中国に席巻されるようになるだろう。しかし、この課題に取り組むために、多くのイノベーティブな運用会社がこの地域で経験のあるアナリストやポートフォリオマネージャーを採用している。 グローバルでの不確定要素:米中貿易の緊張や他の地政学的な懸念事項により、投資家の中には中国国内市場での機会について及び腰になっている人もいる。市場というものは混とんよりも安定を求めるものであるから、先の見えない将来や浮かび上がってくる投資の現実とメカニズムなどにより、戦線離脱を選択する運用会社も出てくるだろう。しかしながらこれは、新たな機会を模索するためのポートフォリオとリスク耐性1.     を備えた投資家にとっては、より大きなポテンシャルのある機会となることを意味する。 中国A株市場のMSCI指数への組み入れがグローバル市場に与える影響と、自分の組織にとっての新たな投資の機会を生み出すことについてもっと知りたい場合は、Mercer Wealth and Investments (または Mercer Wealth and Investments – China)をご覧ください。

Gareth Anderson | 21 3 2019
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世界経済のグローバル化は大きな一歩を踏み出している。MSCIは世界第二位の株式市場にその門戸を開きはじめている。中国だ。この取り組みにより、中国とグローバルな投資コミュニティがこの新しく注目すべき関係を育むことで、かつてない機会と課題が生み出されるだろう。中国の国内証券取引所(上海と深セン)は、グローバルな機関投資家やヘッジファンドに、価値や収益をもたらし、以前はなかった機会を提供する。 中国がグローバル市場でその重要性を増すことにより、外部投資家にかかる長年続いてきた規制や慎重な姿勢における、前向きな変化の必要性が浮き彫りになってきた。マーサーのレポート「The Inclusion of China A-Shares In MSCI Indices: Implications for Asset Managers and Investors (MSCI指数への中国A株採用:アセットマネージャーと投資家に意味すること)」では、中国およびグローバルな投資コミュニティがともにこの歴史的な合意に至るまでにたどった道のりと、新たな成長と協調の時代から何が期待できるかを時系列に記録している。MSCIのブレイクスルーより前は、外国人投資家が中国の国内市場に参加できる初期的な仕組みは、適格外国機関投資家(QFII)および、人民元適格外国機関投資家(RQFII)のみだった。どちらも規則や規定が厳しく定められており、割り当てに申請できる組織の種類や大きさ、そして資本をどれだけ本国に送還できるかが制限されていた。 しかしながら、中国当局は、中国本土の株式市場を開放することを重要な優先事項にした。だが、この革新的な戦略を実行するには、変化を実行に移すための、統制が取れて計算しつくされたアプローチが必要となった。中国は、外国人投資家を受け入れる仕組みを作り出すことから始めた。2016年12月には、深セン・香港ストックコネクトプログラムが導入され、外国人投資家が深セン証券取引所に上場している企業へとアクセスできるようになった。この先見の明のある構想により、中国そしてグローバルな投資コミュニティ双方が協調し、国際的な影響及び参画への道が開けることとなった。 忍耐と妥協の力 MSCI指数への組み入れは、双方が共通の利益と妥協を通じて信頼と信用を築くことから始まった。上海及び深センと香港とのストックコネクトプログラム、併せて「ストックコネクト」と称されるそれは、外国人投資家にさらなる割り当てを提供し、手間のかかる制約を緩和した。MSCIに受け入れられたのは、値幅制限の緩和、取引停止に関する継続的な前進、そして、新たに指数リンクの投資手段を作り出すことに加えて、さらなる規制緩和を行ったことによる。中国は、MSCIそしてグローバルな投資コミュニティと協力して取り組むという意欲を示して見せた。 引き換えにMSCIは中国A株市場の組み入れを促進するためにいくつかの譲歩をした。手続きに遅延がないよう、MSCIは組み入れのためのより積極的で合理化されたアプローチを提供した。MSCIの無駄がなく効果的な戦略により、銘柄と国別格付けを制限し、グローバルな投資家にのみ、特定の市場であらかじめ定められた部分だけ公開することを許可した。これらの展開は、長い道のりのほんの初めの部分に過ぎない。この協定は、成長を約束された将来と相互の繁栄との力強いシンボルともなっている。中国A株の海外市場指数での比重はやがて増えざるを得ないだろう。おそらく今後5~10年で、1990年代初頭に台湾や韓国の市場がそうだったように、中国A株は部分的な組み入れから全体の組み入れへと発展するかもしれない。 投資家にとってのこれからの道   MSCIは、これほどまでに大規模で複雑な経済市場へと参入する際に特有のボラティリティを認識している。構想を前へ進めるためには、期待値をコントロールすることが必要不可欠だ。第一段階では時価総額の2.5パーセントとなる226銘柄のみ採用し、次の段階では銘柄数を10増やして、2.5パーセント増で時価総額の計5パーセントとした。MSCIは明らかに、成長と組み入れの促進に対して抑制的なアプローチをとっている。中国A株市場は数多くの魅力的な特性を持っているとはいえ、比較的小規模、もしくはシンプルな株式のポートフォリオを持つ投資家にとっては、中国の出現に対しては様子見のアプローチをとるのが極めて合理的だろう。他の投資家は、より積極的な選択をするかもしれない。 新興市場の株式にかなりの割合で自身の財産を投資してきた投資家で、かつ、ポートフォリオの長期的発展を求めている人であれば、拡大しつつある中国での機会をどうやったら自身の株式のより大きな配分へと組み込めるかを検討すべきだ。(ベンチマークに影響された配分よりも)独自の配分をすれば、より高い配分ができ、それにはリターンと分散の両方において市場拡大のポテンシャルを持つ、より大きく深いリスクが伴う。しかしながら投資家は、特にこの発展段階のシナリオの前例のない特性を考えると、重要なリスクとガバナンスという問題に同時に取り組まなくてはならない。 MSCI指数への中国A株採用のグローバル市場に与える影響や、新たな投資機会創出の可能性に関する詳細は、Mercer Wealth and Investments (または Mercer Wealth and Investments – China)をご覧ください。   1Pisani, Bob. “Here's Why You Will Own More China Stocks in the near Future.” CNBC, CNBC, 31 Aug. 2018, www.cnbc.com/2018/08/31/msci-adds-more-mainland-china-stocks-a-shares-to-its-indexes.html.

Gareth Anderson | 21 2 2019
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