キャリア

海外プロジェクトのアサインメントは、グローバルモビリティ (国際間人事異動)マネジメントのホットトピックの 1 つです。2018 年の 駐在員マネジメント会議 (Expatriate Management Conference) に関する投票では、ますます多くの組織で、モビリティ部門が海外プロジェクトのアサインメントの管理に責任を持つようになっていることが明らかになりました。回答者の 90% 近くは海外プロジェクトのアサインメントと認識しており、80% は管理を担当していると回答しています。 では、新たな課題としてどのようなことが挙げられるのでしょうか。 課題 1: 用語の共通理解 海外プロジェクトのアサインメント(International Project Assignment) に一般的な定義は存在しないようです。マーサーの調査では、回答企業の約 40% は、海外プロジェクトのアサインメントの期間は関係なく単に割り当てが国際的なものと定義し、一方60% は期間を指定していました。また一部の組織では、クライアントと外部・内部におけるプロジェクトの割り当ても区別しています。 明確な定義がない上に、ほとんどの企業 (73%) にはまだ海外プロジェクトのアサインメントに正式なポリシーや規程がありません。存在したとしても、多くの場合が従来の長期または短期の割り当ての規程と重複しています。いま会社に問われているのは、海外プロジェクトへの取り組み方に関わらず、海外異動する従業員の人事について、一貫した処理と公正な待遇を可能にする用語の正確な定義付けをしているか、そして、対応するガイドラインが用意されているかどうかです。 本稿では、海外プロジェクトのアサインメントを海外クライアントのプロジェクトへの割り当て、組織内部における海外プロジェクトへのアサインメントは海外異動と定義しています。 課題 2: 公正かつ平等な待遇 海外プロジェクトのアサインメントについては個別に報酬パッケージが決定され、従来の海外異動の報酬とは異なります。一部の従業員は、プロジェクトの仕事のために特別、または専属で雇用されている可能性もあります。その他の従業員は短期、長期派遣または通勤パッケージに基づき、海外プロジェクトに割り当てられます。 派遣元の国やプロジェクトのアサインメントが母国でどのように定義されているかによって、派遣員の間で報酬レベルが異なる可能性も生じます。ターゲットグループとアサインメントのタイプを区別する明確な社内規程を設けることにより、モビリティプログラムの透明性が高まり最終的には従業員に受け入れられていくことになります。 課題 3: 投資利益率の判別 マーサーの 2017 年Worldwide Survey of International Assignment Policies and Practices (海外派遣規程および福利厚生制度調査) では、大多数が海外異動にはビジネスケースが必要(62%)、対応費用の見積もりを準備している (96%) と回答しています。しかし、予算に対して実績を管理しているのは 43% に過ぎず、海外異動の投資収益率 (ROI) として定量化して定義していたのはわずか 2%でした。多くの場合、中長期的な視点で実施されるため、純粋な経済指標では表しにくいのが現状です。ただし、駐在員の昇進率や定着率の向上によって成功したケースの管理は可能です。 対照的に、海外プロジェクトのアサインメントの ROI は測定が容易で、実際原価を元の見積額やクライアントが支払った金額と比較することができます。この透明性によりコスト圧力が高まり、競争力のある価格でプロジェクトを実施できるよう、既存の社内規則や規程の運用にはより高い柔軟性が求められます。 結論として、短期的なビジネス価値 (利益を残しつつプロジェクトを受注し実施すること) と海外異動の中長期的な価値 (派遣先でスタッフのスキルギャップを埋めたり、能力開発を行ったりする等) のバランスは入念に検討する必要がありますが、これは海外異動のポリシーを完全にセグメント化することで達成できます。 課題 4: 海外プロジェクトのアサインメント管理件数が多い 業界によっては、組織内の海外プロジェクトのアサインメント数が極めて多くなる可能性もあります。会議投票の回答者の一人によると、年間約 23,000 件の海外プロジェクトのアサインメントを処理しているそうです。したがって、モビリティ部門で海外プロジェクトにおける割り当ての責任を引き継ぐ場合、必要なリソースを増やすか再配分しなくてはなりません。 また、サービス提供モデルと各手順を確認・調整して、海外プロジェクトの効率と効果性を高める必要があります。適切なテクノロジーの活用でプロセスを合理化すれば、多数の海外プロジェクトのアサインメント管理がしやすくなります。 課題 5: 未知の場所に派遣しなければならない 海外プロジェクトのアサインメントは、会社の通常の派遣先だけでなく、新しいクライアントサイトでも実施されるため、会社はリソースやその場所に関する知識を持ち合わせていない場合もあります。 必要な情報を取得したり、出入国管理や給与計算等のサービスを実行したりするためには、クライアントのリソースまたは外部ベンダーの活用が有効です。さらに、生活環境として困難な地域に従業員を派遣するケースでは、安全とセキュリティも考慮しなければなりません。 課題 6: コンプライアンスの問題 海外プロジェクトのアサインメントでは、急な決定事項や変更があるため、モビリティ部門は多くの場合、従来の海外異動よりも短期間で結果を出すように求められます。ただし、コンプライアンスは他の海外異動と同様に複雑であり、個別に評価する必要があります。これは、外部および内部のコンプライアンスの問題にも当てはまります。 多くのモビリティマネージャーは、コンプライアンス対応を最重要業務の 1 つと見ていますが、それは氷山の一角に過ぎないことが観察されており、記事の最初の部分で掲載されている課題のリストですべてが網羅されているわけではありません。この記事のパート II  では、企業の監督責任と考えられる解決策について引き続き検討しています。 詳細はこちら、マーサーのコンサルタントまでお問い合わせください。

Juliane Gruethner | 31 10 2019
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