健康

オフィスライフは極めてストレスの多いものになり得る。特に仕事における競争や長時間労働はストレスとなり、睡眠障害を起こす場合もある。 実際、マーサー・マーシュ・ベネフィッツが2018年に実施したMedical Trends Around the World(世界の医療のトレンド)調査では、メタボリック症候群や心血管のリスク、食事のリスクと情緒的・精神的リスクの3つが世界の医療リスクトップ3という結果が出た。世界におけるメンタルヘルスの問題を総体的にとらえると、イギリスでは3人に1人がメンタルヘルスの問題を抱えているとの記録がある。 雇用側が社員の情緒的健康と精神的健康に対する包括的なウェルビーイング(身体的、精神的、社会的に良好な状態にあること)の戦略を提供し、社員のメンタル面におけるウェルビーイングをサポートすることが今日は重視されている。デジタルやデータの強力なケイパビリティによる健康とウェルビーイングの統合戦略を取入れることは、上昇する社員の健康面の福利厚生制度のコストを管理する上では重要な要素となる。 雇用主はウェルビーイングに対して全体的なシステムアプローチを採ることが推奨される。それは精神的な健康は肉体の健康と平行してとらえられ、社員がその能力をフルに発揮する為の重要な構成要素の1つであると考えられるものだ。しかし、残念なことに、雇用側はメンタルヘルスに関わるリスクへの理解に乏しく、保険会社やその会社の医療制度で個別カウンセリングのアクセスを提供しているのは5割以下であった。 アジアでは、メンタルヘルスをとりまく偏見によりそれをタブー視する傾向があり、競争の激しい労働環境でメンタルヘルスの問題を表に出すことに難色を示す。香港メンタル疾病調査(The Hong Kong Mental Morbidity Survey)という香港で2010年から行われた3年間の研究によると、一般的な精神疾患の罹患者のうち前年に医療的サポートを受けている人は4分の1以下であることがわかった。そしてたったの3.9%の人しか心療内科を受診していないこともSCMP(南華早報)では報告されている。 「団体医療保険の場合、最も雇用側に影響する3大リスクは何であるか?」という質問を保険会社した場合、グローバルでは、前述の通り、メンタルヘルスが3位で43%であった。しかしながら、アジアでは、労災リスク(44%)と環境リスク(51%)を下回りメンタルヘルスは最下位で31%であった。 これは世界で医療コストが上昇する中で、アジアでは企業がメンタルヘルスの福利厚生制度を無視していいという事ではない。前述の2018年世界の医療トレンド調査(2018 Medical Trends Around the World)では、2017年の世界の医療コストは9.5%上昇し、それはインフレ率の3.4%のほぼ3倍に相当する。香港の上昇率は世界の平均を下回っているが、シンガポール(8.6%)や韓国(7%)といったアジアの他の先進都市よりも高かった。 「香港の医療コストは現地のインフレ率を著しくしのぎ、雇用主のヘルスケアにかかるコストは上昇し続けている。よって、雇用主は既存のヘルスケアの制度設計の見直しを迫られ、データ分析への更なる投資や全体へのシステムアプローチをとって効果的に従業員のヘルスケアコストを管理している」とマーサー香港のヘルス&MPFビジネスリーダーのビリー・ウォングは語る。 雇用主は職場の健康戦略を打ち出すことでメンタルヘルスの問題に取り組むことができる。精神的に健康で幸せな職場環境を保つ上での次の3つのアイディアを参考にしてみてはどうか。 マインドフルネス・トレーニング:職場でマインドフルネス・トレーニングを実施することで、社員は効果的にストレスに対処できるようになり、職場の生産性が上がり、優れた集中力が維持され全体的な健康が改善する。しかし、マインドフルネス・トレーニングとは具体的には何であるのか?マインドフルネス・トレーニングとは、瞑想技術の1つで、今の瞬間の心(今、ここにあること)に集中することを目標にすることで、社員の日々の業務を行う能力を向上させ、バランスを保つ。 フィットネス・プログラム:トレーニングを行うことによる身体の健康への利点について述べられたものは多くあるが、運動もまた精神の健康を保つ上では効果的な方法である。運動によって、人が幸福を感じるエンドルフィンが放出される。ストレスを感じている人、落ち込みや不安を感じる社員は1週間に数回、30分の運動をするのがよい。 フレックスな仕事のスケジュール:在宅勤務やフレックス制度は、モチベーションを保つために必要な自由が与えられる。柔軟な勤務体制をとることで、社員が休暇をとり、燃え尽きるリスクを低くする。在宅勤務は、家族がいることで必要となる事に柔軟に対応することが可能となり、子育てのストレスが低減される。こうした要素が、社員の士気を高め、欠勤を少なくする。

Liana Attard | 21 2 2019
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健康

社員の健康は、会社の生産性を確保する上で非常に重要であるが、従業員の健康は雇用者単独の責任なのか、それともその責任は社員にも共有されるべきなのか? 中小企業は大手の多国籍企業と比較して社員の健康を確保する為の財源をコミットすることが難しいため、ウェルネスの取り組みには会社の規模が確実に関係する。福利厚生制度を考える上で多くの企業にとって予算が大きな悩みとなる。それは、ライブ世論調査が実施された2018年 従業員福利厚生のイベント(2018 Employee Benefits event) でも注目された点である。「ウェルネスの取り組みにおいて足かせとなる事は?」と参加者は聞かれ、ROIを心配すると人事の専門家達は言い、「予算」という答えが一番多かった。 しかしそれは中小企業の従業員が置き去りになっているという意味ではない。福利厚生制度は各市場に合わせて従業員が求めるものと全く同じ制度が提供されるように仕立てられる。例えば、猛烈な労働文化で知られる日本では、ストレスに関する試験の受講が必須となっている福利厚生制度を会社が社員に提供している。小さな努力を行う企業ではパントリーに健康食品を加えるといったシンプルな取り組みで社員の健康向上に努める会社もある。   精神的に満たされていることも人の健康には欠かせない。シンガポールでは、職に就く前に、その会社の休暇制度やフレックス制度があるかどうかなどを会社に聞くことで知られている。社員がストレスとうまく付き合い、健康的なワークライフバランスを享受する上で休暇制度もフレックス制度も重要である。更に、「ウェルビーイング大使」を活用する会社も増え、会社の福利厚生のメッセージをオフィス内で浸透させる努力をしている。ウェルビーイング大使は健康に対して熱心な人が選ばれ、それぞれの持つ知識を大使に任命された人達でお互いに共有する。 福利厚生のイベントでは「何にフォーカスするのかの意思決定をする場合に重要なことは?」という質問も参加者に問われた。最も多かった答えは社内データの評価、そして福利厚生制度が会社にどうマッチするかという事だった。 今日の福利厚生制度は10年前に設計されたもので、その中身の多くが社員のニーズには合っていない。時代は変わった。従業員体験を中心に据えて、進化し、社員に手を差し伸べる方法を考え直し、制度を再構築するかどうかは雇用者の考え次第である。 前述のトピック等は、シンガポールで開催された2018年 従業員福利厚生のイベント(2018 Employee Benefits event) の「健康とウェルネス:責任の共有」というパネルディスカッションで健康及び福利厚生の専門家が集まった際に話し合われた。 パネルディスカッションの司会はマーサーマーシュベネフィットのアジアコンサルティングリーダーであるリンダ・アタードが務め、パネラーには人間栄養学修士でヘルスキャンビーファンの創立者であるフィオーナ・チア、ハニーウェルインターナショナルのAP福利厚生部長のガン・ソウ・チャット、スタンダードチャータードのインターナショナル福利厚生マネジャーのラウル・ラマスワミそしてマーサーのリージョナルインダストリーズ&プロダクツリーダーのゴディーブ・ヴァン・ドーレンを迎えて行われた。

リアナ・アタード | 15 11 2018
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社員の健康は、会社の生産性を確保する上で非常に重要であるが、従業員の健康は雇用者単独の責任なのか、それともその責任は社員にも共有されるべきなのか? 中小企業は大手の多国籍企業と比較して社員の健康を確保する為の財源をコミットすることが難しいため、ウェルネスの取り組みには会社の規模が確実に関係する。福利厚生制度を考える上で多くの企業にとって予算が大きな悩みとなる。それは、ライブ世論調査が実施された2018年 従業員福利厚生のイベント(2018 Employee Benefits event) でも注目された点である。「ウェルネスの取り組みにおいて足かせとなる事は?」と参加者は聞かれ、ROIを心配すると人事の専門家達は言い、「予算」という答えが一番多かった。 しかしそれは中小企業の従業員が置き去りになっているという意味ではない。福利厚生制度は各市場に合わせて従業員が求めるものと全く同じ制度が提供されるように仕立てられる。例えば、猛烈な労働文化で知られる日本では、ストレスに関する試験の受講が必須となっている福利厚生制度を会社が社員に提供している。小さな努力を行う企業ではパントリーに健康食品を加えるといったシンプルな取り組みで社員の健康向上に努める会社もある。   精神的に満たされていることも人の健康には欠かせない。シンガポールでは、職に就く前に、その会社の休暇制度やフレックス制度があるかどうかなどを会社に聞くことで知られている。社員がストレスとうまく付き合い、健康的なワークライフバランスを享受する上で休暇制度もフレックス制度も重要である。更に、「ウェルビーイング大使」を活用する会社も増え、会社の福利厚生のメッセージをオフィス内で浸透させる努力をしている。ウェルビーイング大使は健康に対して熱心な人が選ばれ、それぞれの持つ知識を大使に任命された人達でお互いに共有する。 福利厚生のイベントでは「何にフォーカスするのかの意思決定をする場合に重要なことは?」という質問も参加者に問われた。最も多かった答えは社内データの評価、そして福利厚生制度が会社にどうマッチするかという事だった。 今日の福利厚生制度は10年前に設計されたもので、その中身の多くが社員のニーズには合っていない。時代は変わった。従業員体験を中心に据えて、進化し、社員に手を差し伸べる方法を考え直し、制度を再構築するかどうかは雇用者の考え次第である。 前述のトピック等は、シンガポールで開催された2018年 従業員福利厚生のイベント(2018 Employee Benefits event) の「健康とウェルネス:責任の共有」というパネルディスカッションで健康及び福利厚生の専門家が集まった際に話し合われた。 パネルディスカッションの司会はマーサーマーシュベネフィットのアジアコンサルティングリーダーであるリンダ・アタードが務め、パネラーには人間栄養学修士でヘルスキャンビーファンの創立者であるフィオーナ・チア、ハニーウェルインターナショナルのAP福利厚生部長のガン・ソウ・チャット、スタンダードチャータードのインターナショナル福利厚生マネジャーのラウル・ラマスワミそしてマーサーのリージョナルインダストリーズ&プロダクツリーダーのゴディーブ・ヴァン・ドーレンを迎えて行われた。

/content/mercervog/jp/authors/liana-attard リアナ・アタード | 15 11 2018
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