資産運用

近年になって激しさを増す経済の多様化と開発努力の観点から、プライベートエクイティ(PE)は、湾岸協力会議(GCC)においてますます重要になっています。PEはGCCにおける比較的新しい資産クラスとして台頭してきていますが、GCCでは、UAEや西ヨーロッパの先進国市場に見られ、ファンドマネジャーが過半数の株式を取得する従来の「買収型」PEよりも、「成長資本型」PEへの関心が高まっています。実際、ベンチャーキャピタル(VC)では、Careemのようなこの地域のVCユニコーンの成功やAmazonによるSouq.comの買収を受けて、資金調達が急増しています。 PEは、経済成長を促進する上で重要な役割を果たすことができます。GCCは、富の増加、最近の重要な経済改革、そして地域の各政府が強力に主導する、現地の起業家精神の強化や中小企業の振興などの要素によって、PE投資にとってきわめて魅力的な地域となっています。 地域の各政府は、地域での起業計画を奨励するため、規制を緩和したインキュベーターや地域ハブを創設することにより、VCのさらなる成長を促進しようとしています。最終的にはこうした取り組みが、持続可能な経済成長を促進し、より大きな成功をもたらし、さらに高度な技術を要する仕事を増やすことでしょう。 しかし、大きな話題になったAbraaj Groupの事件を受け1、 投資業界はこの地域において、より強固な企業統治を求めています。自らの資金がどう扱われるかという点について、投資家がより大きな注意を払うようになったため、現地のPEマネジャーは以前よりはるかに厳しい監視を受けるようになっています。 地域の投資家は、民間市場の業績を測定する際、さらに深い理解を求めるようになっています。買い手や投資家は、過去のパフォーマンスなどの要素を考慮し、投資と業務に対してデューデリジェンスを実施して、実証済みかつ試験済みの情報に基づいてPE市場に参入する決定を下したいと考えています。 民間市場の絶対的および相対的なパフォーマンス測定はとても重要であると同時に、非常に繊細なものでもあります。「価値創造」はPEのストーリーにおける重要な側面であるため、測定は正確であるのみならず意味を持つものでなくてはなりません。 あらゆる投資と同様、過去のパフォーマンスを評価することは常に、ポートフォリオの全体的資産配分にPEを含めるかどうかを決定する際の要素となります。しかし、PE投資家は、厳格なデューデリジェンスを通して、ファンドの真のパフォーマンスをさらにじっくり見極めなくてはなりません。測定基準と定性的測定の組み合わせは、ファンドの実績と将来のパフォーマンスの可能性を総合的に理解するために重要です。 定量的測定基準に関して最も一般的に使用される3項目は、内部収益率(IRR)、投資倍率(TVPI)、および実現倍率(DPI)です。 IRRは、民間市場投資のパフォーマンス測定に最も広く引用されている測定基準です。これは、一定期間にわたって行われた投資と取得された投資を考慮する、時間ベースの測定です。投資が成熟する(または特定の価格で売却する)のに時間がかかればかかるほど、年換算IRRは低くなります。 2つ目の指標であるTVPIは、当初の投資と比較して、(配当および最終的な売却を通じて)投資からどれだけの価値が得られたかを検討するものです。最後の指標はDPIで、当初投資された金額と比較して、当初の資本のうちのどれだけが(配当またはその他の支払いを通じて)返ってくるかを測定するものです。DPIは実現値のバロメーターであり、合計値ではありません。 これら3つの指標はすべて、投資家がPEファンドの過去のパフォーマンスを評価するために重要な役割を果たします。PEファンドのパフォーマンスを包括的かつ正確に評価する唯一の答えはありませんが、これらの指標を一括使用すると、より深く理解することができます。 ファンドの過去のパフォーマンスを測定しても、今後のPEファンドのパフォーマンスがわかるわけではありません。こうしたコミットメントの有効期間は長いため、投資に関連する他の要素を検討する必要があります。その一環として、投資チームの安定性を評価する場合があります。投資チームによるディールソーシングの方法や、投資先企業で価値を生み出している方法を検討することになります。 Abraajの事例を受け、マネジャーやバックオフィス業務の評価は、デューデリジェンスの重要な測定基準の1つになりました。効果的な内部統制、強力なシステム、十分な人数の運用チームも、PEファンドを成功させるために重要となります。 民間市場のパフォーマンス測定は、公設市場のパフォーマンス測定より明らかに複雑です。民間市場のパフォーマンスを測定するためには、関連する測定基準や手法に対する見方を明確にする必要があります。しかも、さまざまな観点から情報が入るうえに、特殊な分析方法が求められます。さらに、主観が入ることがあるうえ、操作されるおそれもあります。結局のところ、このようなパフォーマンス測定は、民間市場投資の成功の不完全な評価を表現するものとなっています。しかし、民間市場のパフォーマンス測定は進化し続けており、現在の欠点が改善される可能性はあります。 投資家にとって鍵となるのは、長期にわたって持続的に強力な投資を生み出すことができる投資人材を見出すことです。過去のパフォーマンスはマネジャーの今までの実績を評価するためには役立ちますが、将来の成果を保証するものではありません。したがって、投資家は深い「定性的」投資を行いつつ、運用に対するデューデリジェンスを実施して、投資が将来的に成功する可能性を見極める必要があります。 マーサーによる投資戦略の支援方法についての詳細は、こちらをクリックしてください。 出典: 1Ramady, Mohamed, "Abraaj Capital: The Rise and Fall of a Middle East Star," Al Arabiya, July 3, 2018,https://english.alarabiya.net/en/views/news/middle-east/2018/07/03/Abraaj-Capital-The-rise-and-fall-of-a-Middle-East-star.html#.

Sean Daykin | 13 6 2019
tiles1

Contact Us

Speak with a Mercer consultant.

back_to_top